LinkedInの登録者の特徴
石黒卓弥氏(以下、石黒):4つの具体的にやっていることに戻るんですけど。LinkedInとかWantedlyとか Instagramとか。
先ほどお話が出ましたが、LinkedInはメルカリでは、今年の5月から始めています。始めたときに、100人以下だったフォロワーが、今日でだいたい400名くらいのフォロワーに増えています。グローバルで見るとまだまだ少ないんですが、これを少しずつ増やしていこうかなと思っています。
要はコミュニケーションツールなので、どんどんどんどん情報発信していくことで会社のブランディングが高まっていくんじゃないかなと思っています。 LinkedInを使ってる会社の方、よかったら手を挙げていただけませんか?
(会場挙手)
そうですよね。みなさま頭の中ではLinkedInというツールがあることを認識していても、それが効果があるかまずわからないし。面倒臭かったりするし、新しくやるのもちょっと大変だし、というのがあるんですが……だから僕らはやろうと思った。先進的、グローバルというブランディングをしていきたい思って、意識して始めています。
実際にLinkedInで採用できるかという点については、やはりプロフェッショナルの登録が多いなという印象があります。
数字だけで申し上げても、登録はビズリーチさんやWantedlyさんが登録者数十万というなかで、LinkedInは130万を越えているので、当然それぞれアクティブのパーセンテージは異なると思いますが、日本でも間違いなくこれからくるなと思います。
大人の方はLinkedInのご登録が多いかなという印象です。あと、当然ですけど、ご自身のプロフィールを表に出しても恥ずかしくない方の登録が多いので、プロフェッショナルなビジネスマン、エンジニア、デザイナーが多いという印象があります。
Wantedlyのインタビューページを活用
Wantedlyですが、Wantedlyのインタビューページってみなさんご存知ですか? 採用のページではなくて、社員のインタビューをやるページがあって、私ともう1人のHR担当のメンバーである鈴木が、社内で社員に対してインタビューして記事化しているんです。
これをFacebookとかでシェアすると、あたかも他の会社の方が取材してくれたんじゃないかみたいなOGPになって、今5人くらいインタビューして、SNSのいろんなアクションをいただいています。
もう1つの効果は、社員に対してです。メルカリはもう東京オフィスで100名クラスになってきていて。例えば柄沢(聡太郎)は執行役員CTOなのでみなさん知っているかもしれませんが。積極的に若いメンバーの取材をして、社内と社外に対して、どんな人間がいるかというのをどんどん発信しています。
(Wantedlyのインタビューページは)取材して4000〜5000字ぐらいの記事にしてくれて、綺麗な記事になっているんですけど、(それを)どんどんどんどん発信していく。
これは社員のメンバーの思いつきで、「取材の良い媒体がなかなかないよね。どうしようか? じゃあ自分たちでやろうか」と。何でもかんでも内製して、とにかくやってみる。
やってみたらかなり反応が良くて、「これどこの媒体に書いてもらったの?」という反応があったりしました。どんどん良いと思うことをやっていこうかなと思って続けています。 なのでみなさんは、Wantedlyさんの機能を100パーセント使ってないんじゃないと思います。
Instagramを使ったブランディング
インスタも始めたばかりなんですけど、フォロワーが約140人くらいになってきました。これも地道にコツコツやっていて、新卒の学生が見てくれてたりとかします。
「#mercari」というハッシュタグをつけているので、アメリカの人が見てくれたり、当社の事業展開とは全く関係のない国のオシャレな人が見てくれてたりして、少しずつ広がってるなと思っています。
「効果はどうなの?」と言われても、正直わからないです。「メルカリってインスタを採用に使ってるんだ」というのだけが伝わればいいです。あとは見てもらって。先にやるというのはすごく大事だなと思っていて、後は続けてやる。
担当者は「いいね!」がつくとかつかないとかで日々一喜一憂あると思うんですが、これをどんどん続けていくというのは、必ず将来何かの糧になるのかなと思います。
先日別のとある記事で読んだのですが、アメリカではInstagramで15パーセントくらいの人が会社情報を見てるみたいな話があったので、どこかで必ず役に立つんじゃないかと思っています。ブランディングです。
役員クラスも行う「採用会食」
最後に「採用会食」です。これも4月くらいから、「採用会食はメール1通で3行ですよ」と言い続けて来ました。通算でやっと70〜80人くらいになりました。始めた頃は週に1人くらいでしたが、今は平均すると1日1人くらい採用会食のメールを送ってくれる頻度まで増えています。
もちろん社員の数が増えてるというのも関係しているんですが、それ以上にいろんな社員が「ご飯行ってきます」となっています。
当社の採用会食の制度を簡単にご紹介すると、名前が固いんですけども。メール1通でこのアドレスに「誰々さんと行きます」と3行だけ書いて行ってよし。予算は会社とし上限は設けていなくて、ランチでもディナーでも何回行ってもいいというルールとしています。
事前と事後のメールだけはするということ以外は制限なくて、いろんなところに行ってもらっています。
マネージャーや役員が積極的に行っているので、会社全体として行く風土ができているのですが、「自分が紹介した人が受からない」とか、「そもそも(誘う相手の)志望意欲もないのにご飯行っていいのかわからない」というメンバーもいるんです。
しかし、「とにかく行って下さい」とか、毎日とか毎週とか、(社員の)脇に座って「最近いい人いないですか?」とかばっかり僕は言っていて。「また石黒来たな、めんどくせーな」という顔をされながら(笑)「今度いるんですよ」と言ってくれたりします。しつこく言い続けることかなと思ってしています。
紹介した方が不合格になるのはうれしい人いないですよね。なので、そのときは面接じゃなくて、「理解を深める面談の場ですよ」とか言って、こっち側の判断できそうな人に会ってもらうとか。いろんな「こうやっていったらいいですよ」というルールを作ってっていうのはやったりしています。
いろんな媒体に、ミートアップのこととか、GitHubのこととか、LinkedInのこととかを入れています。LinkedInなんて使い出してから半年しかしていないのに、このように話していいのかよくわからないんですけど。
この記事だけで、僕のところに個別に10社以上問い合わせがきていて、LinkedInさんのほうにも問い合わせがきている。
そのぐらい、みんなどこかで「やらなきゃな」と思っているんだけどやっていない。やっていないことをやってみるというのはけっこう意味があるんだなと実感した例の1つです。
勢いのあるスタートアップの人事の担当の方や何社からも、「LinkedInをどうやって使っているんですか? ちょっと今度ご飯食べませんか?」とご連絡いただいてます。
私が使っているのは10パーセントぐらいの機能ですけど、それをお話させていただいています。こちらからお伝えすると、そのことでみなさん「そうなんだ」と言ってくれたりしますし、「こういう使い方もあるよ」と教えてくださったりもするので、そういう関係は大事にしています。要するに、共感、ブランディングだなということです。
メルカリのリファラル採用の成果
初めて出す数字なんですけど、「リファラル採用どんな感じですか?」という話で、創業から前の四半期末までの数字をお出しすると、社員紹介が半数以上を占めています。
あと自社のホームページですね。メルカリは、自社ホームページからの応募も非常に多いのが特徴の1つかなと思っていて、この2つを合わせると8割近くが「リファラル採用」と呼んでいいんじゃないかなと思っています。
媒体からの応募は非常に少ないです。ボタン1つで応募する方は、ボタン1つで逃げちゃうなというところがありますし。
実際問題、媒体を利用している時間がないというのが本音でして。(応募が)1000通きて1通しか受からないようなものは、見ている時間がもったいないなと思って、やれることを絞ってやっているという状況です。
あとは、リファラル採用について僕がMediumでブログを1個書いたんですよ。ちょうどここでお話させていただくことがわかってから書いたんですね。書いてちょっとでもみんなに読んでもらうと、「リファラル採用」で検索した時に、Googleで1ページ目の下から4つ目、要は6位くらいにくるんですね。
みなさん検索したときに1ページ目くらいは見てくれるじゃないですか。そうすると、「メルカリがリファラル採用やってる」って勝手に噂が流れるわけです。
この半年くらいで「採用会食しよう」と言ってるだけなんですけども。いろんな方面から話を聞くというのはすごく大事で、マーケティングなんかもそうで、ネットで見て、テレビで見て、地下鉄の広告で見てというふうに、いろんなところにあるんだなというお話だと思います。
書いたら何かネタになるかなと思って書いたら、検索結果の上のほうにいったりするというのは、やってみてわかったことです。
採用活動で大事な3つのポイント
先ほど、「大事なことは何かな?」と改めて考えたんですが、「とにかく手数を打つこと」と「やったほうがよいことをやる」ですね。あと「しつこく言う」この3つかなと思っています。
うまくいかないことはたくさんあると思うんです。「LinkedInってけっこうお金がかかるんですけど、取れなかったらどうすんの?」と。言ってても始まらないので、誰もやってないからやってみようと。実際に採用にも数人つながったのでいいかなと思っています。
ミートアップイベントも毎回100人から応募があるのかというと、20人の枠に7人しか応募がないこともあって。それはそれで寂しいんですけど、何とかやってダメだったら変えようみたいな感じで、プライドを持たずにやるというのは大事にしています。
あとは、グループプレゼンをやっています。『Work Rules』という本を読まれた方いらっしゃいますか? (会場を見て)けっこうみなさん読んでるんですね。
あれに、「リファラル採用とかいって、『ジョブディスクリプション見ればわかるでしょ』とかいうのはよくないから、ちゃんとみんなの前で説明するようしたほうがいいんだ」って、ラズロ・ボックが書いてるんですね。
本の一番最後に、「ここに書いてあることはみんなやってないだけで、やればできるんだよ」ってあるんですけど。グループプレゼンというのをちょうど1ヵ月前から始めました。
「うちのHRグループで、今こういう人が欲しいんです」とか、「未経験でいいんですけど、未経験の中では、例えば営業だったり広報だったり、外に向けての発信が好きな方がいいですね」とか。「年齢としては20代後半〜30代前半くらいがいいですね。何となく社内で言えば、○○さんみたいな人です」とか。
ここまでやっているかというお話でして、確かにやっていなくて、本に書いてあることはやろうということで、とにかくやっている。
2点目の話と似ているんですけど、やれば動くなという感じがします。ブログとか最初は本当に反応ないですし、LinkedInも Wantedlyも本当に反応ないんですよね。でもブログとかでも書いていれば何となく動いてくるので、あとはやり続けたほうが勝つかなと思っています。
3点目は、すでにしつこいんですけど、とにかくしつこく言い続けると、本当びっくりするくらいに最近みんなが採用のごはんに行ったり、部門を跨いでエンジニアから「カスタマーサポートに興味ある友達がいてさ」と言ってくれるようになるので、言い続けるって大事じゃないかなって思いました。
最後に、経営陣が圧倒的にコミットしています。可能性が0でも声を掛け続ける。彼らはよく、「欲しい人材は常に最後までくどき続けるというのが大事だ」と言っています。
たくさん宣伝していますので、良かったらみなさん見てください。以上です、ありがとうございました。
(会場拍手)