己の“適所”を見つけるべし
『刀剣乱舞-ONLINE-』花澤Pが、プロデューサー志望者へ贈るアドバイス

対談 #3/5

2018年2月1日、DMM meetup主催のイベント「ゲームプロデューサーが描く、これから。」が開催されました。登壇したのは、株式会社DMM.comラボ、DMMGAMES花澤部部長で『刀剣乱舞-ONLINE-』エグゼクティブプロデューサーの花澤雄太氏と、株式会社ミクシィXFLAGスタジオ、モンスト事業本部長の多留幸祐氏。ヒットメーカー2人が考えるプロデューサー論や、チームを率いるトップとしての苦悩などを語ります。

シームレスになるゲーム開発の国境

花澤雄太氏(以下、花澤):次にいきましょう。海外展開について。

多留幸祐氏(以下、多留):これ、今日一番話したかった。

花澤:弊社でもご説明したい話題だったんですよ。アジア系を中心として、まずは文化が似ていますので、そこを中心として世界と組んで共闘して。昔は日本産を中国、海外に輸出したり、逆に海外でうけたゲームを日本に輸入するという流れも多かったんですが。

多留:そうですね。

花澤:最近はそのへんの垣根がわからなくなってきています。

多留:中国で作って中国で出すということですね。

花澤:そういうこともありますし、冠は日本の会社でも、実際作っているところは違ったりします。本当にいろいろあって、そのへんがシームレスになってきている。逆に、協力して作って、どっちをメインというより両方にうけるものを考えたりもします。

多留:日本と中国など、アジア諸国と組んだり。

花澤:そうです。

多留:日本向けというよりもどっちも向けだったり。

花澤:逆に中国向けに作ったりする。

多留:はい。

花澤:機能のコミットをうまく使うことが大切かなと思います。この機能を入れちゃうと日本だとややこしいけど、海外では必須だったり……、日本以外も含めて広い市場を考えなければいけない。泥臭い話ですが、プロデューサーは開発費を見ないといけませんから。

多留:それはそうですね。

花澤:今は広く見て広く作ることが1つの解決策ということで、力を入れています。

多留:市場に対する魅力などはあるんですか?

花澤:まず母数です。

多留:中国は本当にそうですね。

花澤:中国だと、DAU、つまり1日に何人ぐらい遊んでるかの話で、返ってくる答えが1億5千万人とかなんです。

多留:すぐに数万DAUをたたき出すタイトルもありますからね。

花澤:日本の人口ってどれくらいだったっけとなるくらい、桁がポンポンって違うので売り上げも大きく見込める。大きく予算をかけて気合入れてボリュームを作ってリリースしよう! と、なりますよね。あわせて、より多くの人に遊んでもらえる事は作り手として当然うれしいですしね。

多留:本当にそうですよね。

日本とは桁が違うユーザー数

多留:モンストも、もういいじゃないですかって言われますが、もっと自分たちでプロジェクトの領域を広げていきたい。

花澤:私も思いますよ、もういいじゃないですか(笑)。

多留:言わせてください、お願いします。

花澤:(笑)。モンストさんは数字を聞くたびにすごすぎてため息が出ます。

多留:そこはそこでおいといて、もっと多くの人に広げていきたいですね。

花澤:世界に出るときに思うことが、先ほど出た母数に関わるんですが、1億人をさばく技術です。

多留:さばくというのは?

花澤:サーバー技術です。リリースして、実際のプレイヤーが入ってきて、遊んでみないとわからない負荷ってありますよね。

多留:そうですね。

花澤:マルチプレイをいっぱい使うなとか。そういったことはテストプレイだけではなかなかわからないので、実際に稼働したあとに落ちることもある。そういう点で見たときに、どうやってさばくのか。恐ろしいなと思うところがあります。

多留:ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、実は中国は1回撤退してまして、今回再進出しています。 フルコントロール体制で運営したく、自分たちで出したんですが、色々な手続きがあるので2年ぐらいかかりました。

中国は大きな市場ですが、日本に近くて近くないところもあるかもしれません。台湾は日本によく似ていると僕は思っていて、日本の感覚で出してもヒットする可能性がある。でも中国はちょっと違う。バーンと燃やしていく感じ。

花澤:リリース前の計画がやたらもりもりですよね。

多留:僕ら日本の感覚では、育てていって、何年も続くようにやっていくのに対して、1年で終わってもいいからどれだけ回収するか、という印象です。

北米圏はどうなんですか?

花澤:開発会社さんとお話させていただいている段階です。プラットフォームが今のところあるので、eスポーツとかいろいろありますし、そこの可能性も探っています。弊社は、DMM.com本体でもご存知かと思いますが、とにかくチャンスがありそうならいろいろやってみる方針なので。

幅広い事業を持つ会社だからこそのメリット

多留:DMM〇〇でこんなことまでやってるの、って驚くことがよくある(笑)。

花澤:私たちも、リリース時のメールとか、Facebookのニュース記事で初めて知ってびっくりすることが多いです。変なサービス立ち上がってると思ったらうちだった、みたいな(笑)。

多留:DMM〇〇がいっぱいある中で、DMMというブランドのプラットフォームはなんなんでしょうか? ポータルという感じなんですか?

花澤:それも今いろいろ変わってきてるみたいで、幅広くというところです。

多留:そうですね。

花澤:DMMの看板自体も……これ、全然違う話ですよね。

多留:(笑)。いろいろあるんでしょうね。

花澤:DMMGAMESはゲームに特化していますが、本体にもいろいろな部があって、社内でいろんな連携がとれるので、そのへんは感謝してます。うちの面白いところだと入社時に思いました。

多留:逆にいうとなんでもあり。

花澤:自社で試せるので、提供会社さんを探さなきゃという話がないんです。

多留:社長、会長も面白い方ですよね。

花澤:社長はフランクな方で面白いです。

多留:そうですね。

花澤:そうなんです。でもそういう文化もあるということで。

多留:北米といえば、モンストも北米と、あと中国、韓国、台湾などのアジア諸国に出していました。先ほどの話にもありましたが、中国は一度撤退して再度出し直した。その他、現在リリースしているのは台湾、マカオ、香港ですね。日本の文化と近いこともあって受け入れてもらえている印象ですが、北米はやっぱり少し違いました。僕らがやっているコンセプトってFace to Faceのマルチなので……。広いんです。広げたくなるんです。この問題が絶対出てくるんです。

花澤:北米まで広げたら。

多留:いや、広げるとコンセプトがずれちゃうので。方向性としてはカルチャライズはあまり意識しない、ローカライズはする。

花澤:なるほど。

異なる文化にもゲームそのものの魅力で勝負していく

多留:結局ゲームの核となるコンセプトでいけるかどうかなんです。これで北米でダメだったら、このゲーム自体がそもそもよくない。文化が違うけど、逆に新しい文化を作ってやるという気概です。オンラインゲームが主流の韓国とか中国もその姿勢が原因だったのかもしれないし、顔合わせマルチじゃなくて、北米という違う文化圏に合わせていくべきなのかもしれないですが、逆に、向こうの国にその文化を新しく作れるかもしれない。

花澤:なるほど。

多留:それができるまでやるだけです。何年かかるかわからない、僕はもう生きていないかもしれないし、やめてるかもしれないけど、会社としてはずっとやり続けます。

花澤:職人ですね。

多留:これも戦略なんです。正解がいっぱいある中の1つの戦略で、僕らはこういう戦い方にこだわるだけ。

花澤:弊社もそうなる可能性がありますね。今はいろいろ試して……。

多留:急にコンセプトを決めて絞っていくだろうし。

花澤:ですね。いろいろ探った結果、ここは勝負できるってなれば、そこを突き詰める部ができるかもしれない。

多留:部によっても全然違うでしょうし。

花澤:ただ、そういうところでいろいろやってるようには見えるんですが、会社自体にそこまでブレがあるかというとまた話が違う。

多留:それがさっきの社内転職の話につながる。

花澤:適材適所はけっこう意識しています。やっぱり、適したところに適した人を置くことが一番成功率が高いと思っています。

多留:それは量産としてのマネジメント……。

花澤:マネジメントとして。難しいのは、やりたいこととやれることが違うことですが。

多留:それはあとの話題に近いかもしれないです。

自分の「適所」に入ってほしい

花澤:最後に、ゲームプロデューサーを目指している人へのアドバイスということでお話しさせていただきます。

多留:えらそうなことは言えないですが、プロデューサーとして僕らがどういうことをやっているかを、質疑応答で答えていきます。

花澤:自分では適材適所を意識していて、それが一番のマネジメントだと思っているのですが、本人のモチベーションも大事なので、難しいんです。やりたいこととやれることは違う。自分でもそうかなと思いますし。

多留:今の立場はやりたくないことなんですか?

花澤:やりたくないとまでは言わないですが、もともとはコンシューマーでドラクエみたいなゲームを作ってみんなを感動させたい、どちらかというと現場気質だったのが、年を経てプロデューサーとかマネジメント方向に行った感じです。

そういう人たちに活躍できる場を作っていくほうが面白くはなってきたんですが、そういうふうに意識を変えるときは、うまく切り替えられなかった。今となっては、適所に思えるので、自分としては良かったとは思うんですが。

多留:メンバーにもそうなってほしくもありつつ、そうやってシフトしていくことは難しいということですね。

花澤:幸い社内にある程度の環境があるので、まずは花澤部でなくても全然問題ないから、自分のやりたいことがあるのであれば手を上げてもらいたい。こちらとしても心から送り出して、向こうで活躍してほしい。いつか私がそちらに入るかもしれないし。

多留:育ててくれて、でかくしてくれたらまたやろうってなるかもしれないですし(笑)。

花澤:そういうことをやっていきつつ、自分の適所にだんだんはまっていってほしい。

プロデューサーはどうあるべきか

多留:ゲームだけにとどまらないという話があったので、「ゲーム」を取った「プロデューサー」についての僕の考えです。

僕が思っているのは、コンセプトやビジョンを決める仕事だということです。そしてそれにもとづいて、そのゲームとかサービスの魅力を決める。それもただ決めればいいわけじゃなくて、世の中においての位置づけを決めていく。

別に僕らがやることでもないしとか、他にもっとすごいゲームあるじゃんってなったら意味がないですし、長い期間かけてプロジェクトをやっていく中で、こっちのほうが良かったとかなるんです。そうなったときにこのゲームはこのコンセプトだからこっち、というように修正できないとプロジェクトが崩壊する。

だからプロデューサーはそれを決められる人であるべき。なおかつ、そのコンセプトにすごくコミットして、どんな手を使ってでもその魅力を広げていくんだということを誰よりも考える、そういう人が向いていると思います。決断力があればもっといい。メディアミックスの話やミュージカルの話とつながりますが、魅力を広げるために固定観念を無視して、いろんなことをイメージできる人が向いています。

花澤:方法って無限ですよね。見ていると、ディレクターさんとか現場よりの方って、こういうゲームを作りたいとかの方法にこだわる人が多い。

でもプロデューサーはもっと上の目的で、これをかなえるにはこういうゲーム、こういう方法というふうに考える。目的がかなえば、一見マイナスだろうが音楽フェスで反感を買おうが問題ない。

多留:すごく大きな円で見てるんです。ゲーム1個じゃなくて、いろいろなものがくっついていく。

花澤:エンターテインメントビジネスとして征服させることが目的ですから。

多留:そこのイメージをちゃんと説明できて、なおかつ他人を引っ張れる人ですね。

いかに自分の想いを伝えられるかがカギ

花澤:得意なネタを得意な人と作るから良いコンテンツになると思うんです。自分が全部やりたいとしても、そんなに得意なことってないですもん。得意な人に協力してもらうためには、自分の描いている想いを伝え、相手の想いを汲み取って……。

多留:のってもらわないといけない。

花澤:そうです!予算の話でもそうですが、自分の心の中で「これは最高のゲームだ!」って思ってるだけでは輪ができない。ゲームとしての魅力も必要ですが、いかにそれを伝えられるかです。

多留:人としての魅力があればいいかもしれないですし、最近だと、新規案件に対してあまりアサインしないようにしてるんです。例えば新規の案件を立ち上げるときに、まずプロデューサーが立ち上げる。アサインをしないで、プロデューサーがちゃんと魅力付けをして、社内の人間を引き抜いてくる。

花澤:殺伐とする感じになるんですか?

多留:最終はもちろん上長の(承認)とかありますが、自分で「こういうのやるけどどう?」って聞くことが大事なんです。もちろん相手側のスキルとかもありますし、その辺は……。

花澤:おお! 周りを巻き込んでいくんですね!。

多留:しっかり話して、プロデューサーの魅力付けについてきてくれる人とやっていく。コアメンバーがそうあるべきということです。その後30人、40人と増えていくときにはアサインしますが。

花澤:まずそこを組み立てられる魅力が大事ですね。

多留:それをアサインがないという状況でやってもらう。ちゃんと自分で説明して、メンバーにやりたいって思わせないと、開発中に問題が起きることもありますよね。

花澤:そうですよね。そもそもプロジェクトが問題なく終わることなんてそうそうない。

多留:問題が起きたときに、そこが生きてくるんです。無駄なことで議論しなくていい。ちゃんとわかってついてきているメンバーじゃないと、それはこういうコンセプトだから、という根本からの議論が発生してしまうこともあるんですよね。

花澤:正解はいっぱいあるけど選択しないといけませんからね。

多留:でも、こういうコンセプトだからこの進め方でいいよね、というふうにやっていくと意外に無駄な議論はなくなります。

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