DMM GAMES×XFLAG
2人のプロデューサーが語る、ゲームづくりの舞台裏

対談 #1/5

2018年2月1日、DMM meetup主催のイベント「ゲームプロデューサーが描く、これから。」が開催されました。登壇したのは、株式会社DMM.comラボ、DMMGAMES花澤部部長で『刀剣乱舞-ONLINE-』エグゼクティブプロデューサーの花澤雄太氏と、株式会社ミクシィXFLAGスタジオ、モンスト事業本部長の多留幸祐氏。ヒットメーカー2人が考えるプロデューサー論や、チームを率いるトップとしての苦悩などを語ります。

DMM.comのエバンジェリスト

司会者:花澤はDMMGAMES花澤部部長、エグゼクティブプロデューサー、代表作『刀剣乱舞-ONLINE-』を筆頭に、『Lord of Walkure』や『FLOWER KNIGHT GIRL』の立ち上げなど、DMMGAMESプラットフォームの初期を支えた第一人者。現在も数々の注目タイトルを手掛ける、DMM.comきってのエバンジェリストです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

続きまして、株式会社ミクシィ多留様。携帯コンテンツ会社、株式会社ライブドア、現LINE株式会社等を経て、2014年2月に株式会社ミクシィに入社。モンストスタジオ、現XFLAG スタジオで、『モンスターストライク』の企画運用に従事。

その後2015年1月に同スタジオの部長に就任され、2017年4月よりXFLAG スタジオモンスト事業本部長として、モンスターストライクに関わる全部門を統括。2017年6月には取締役に就任されました。

多留さん、よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

本日はこの2名で、表題のテーマで対談を進めていただきます。ではお2人、よろしくお願いいたします。

多留幸祐氏(以下、多留):よろしくお願いします。

花澤雄太氏(以下、花澤):よろしくお願いします。今日は足元が悪い中、お集まりいただきありがとうございます。お酒飲みながら、ゆるっといきたいと思います。

先ほど、「DMMきってのエバンジェリスト」とありましたが、まず、エバンジェリストってなんですかね?

多留:僕はけっこう使っていて、役職として「あなたがエバンジェリストね」って言ったりしますが、どうですか?

エバンジェリストという言葉をご存じの方は?

(会場挙手)

多留:半分もいない。

花澤:あまり浸透していないみたいですね、意識高い系ワードですよね(笑)。

多留:どういった意味なんですか?

花澤:なんか、がんばろうってことじゃないですか(笑)。

多留:僕の思ってるエバンジェリストは、ゲームだったらゲームの魅力を、PRよりもう少し深い感じで、最大限広めていく人というイメージです。

花澤:勉強になりますね。では今日はDMMGAMESをより深くお伝えできるように頑張ります!

DMMGAMESの現在の状況

多留:先ほどお聞きしたんですが、元はマジシャンだったんですよね。いつ頃ですか?

花澤:25~26歳くらいからです。

多留:ゲームを作る前ですか?

花澤:そうです。もともと家庭用ゲーム機の開発企画から入ったんですが、それと並行して新宿歌舞伎町あたりでやっていました。

多留:バイトですか?

花澤:言いにくいですが(笑)

多留:DMM社の宴会では見られる?

花澤:あはは、リクエストいただければ!

多留:僕はちょっと特殊で、ゲームのことをやりだしたのはモンストからです。

それまではスマートフォンのアプリを作ったり、インターネットの仕事を10年ちょっとしていました。さらにその前の25歳くらいのときは、大学を卒業してバンドを2年くらいやってて、ダメだったので就職して、今に至ります。

花澤:続いて、「XFLAG、DMMGAMESの今の状況」をお願いします。

多留:僕からですか?(笑) どうぞ。

花澤:DMMGAMESは、今年で立ち上げから6期目です。まだまだ若い会社ではありますが、おかげさまで順調に成長を続けております。今期は、どこの会社さんも言ってると思いますが、内製で原作を作るというところを強化していきたいと考えています。

多留:一緒です。その話はあとでさせていただければ。

花澤:あと、東京ゲームショウ2017で、『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』という、いわゆるFPSのようなバトルロイヤルゲームを出展させていただきました。無人島にみんなで降りて、奪ったり殺したりという、ちょっと物騒な感じなんですが。

プレイヤー同士で対決して強弱を決めていく、eスポーツのような体感になることもやっていきます。

多留:一緒です。eスポーツには力を入れます。

花澤:これはあとでまたお話ししますが、国外、アジアを中心として、中国などとの業務提携も含めて、市場を大きく見て展開していこうと。これは似てないですか?

多留:中国に力を入れていくかどうかですか? それもあとでお願いします。

花澤:わかりました。

ゲームだけで完結しない体験を作る

多留: XLFAG スタジオは、今はモンスターストライクですね。ご存じの方も多いと思います。これをただのスマートフォンのゲームで終わらせないように、先ほどIPというお話がありましたが、もっと大きく育てていきたい。スマートフォンのゲームだったら、もしかしたらもういってるかもしれないですけど、もっと広げていくチャレンジをする。

あとはモンスト以外のIPを育てる、立ちあげる。これはゲームだけではなくて、エンターテインメントコンテンツ全般でチャレンジしていきたいと思っています。もちろん新規ゲームが中心になりますが、アニメやマンガも含めて、モンスト以外のIPを作っていくこともやっています。

花澤:モンストでは映画もその1つですか?

多留:はい。モンストの世界観を広げるというか、ゲームだけで完結しない体験をやりたかった。

ただ映画をやるだけではなくて、せっかくスマートフォンゲームの映画なので。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、全国300館以上で上映され、映画館に行くとGPS機能と連動してクエストが登場したり、期間限定のガチャを引けるオラ玉がもらえるということをやりました。

ただ映画を見て終わりではなく、GPS連動機能を使ってその映画に出てくるボスと戦ったり、映画に出てきた味方のモンスターをガチャで引く、というように体験を広げていく、つなげていくことを意識していました。

映画だけ作ってもしょうがない、せっかくゲームがあるんだからつなげていこうというのは、誰か1人というわけではない、僕ら全体の意識です。

花澤:うらやましいです!

多留:(笑)。そんな状況です。

数分のプレゼンで数千万の開発費が決まる

花澤:続いて、「新規案件を立ち上げるときの流れ」です。

多留:さっき雑談をしている中で、新規案件のところでは少し違うところがあるなと思いました。

花澤:これはいろんな会社さんの状況もお聞かせいただければと思うんですが、弊社の場合は2週間に1回くらい、定例の決裁会議があります。

多留:それは役員会議?

花澤:役員とプロデューサが混じった会議ですね。そこでプレゼンを行います。早ければ3分くらいで終わります。

多留:「おもしろいね」という。

花澤:今日は、うちのゲームは3分なかったです。

多留:オーケー出たんですね。

花澤:「いいんじゃないの、大丈夫大丈夫」と。

多留:大丈夫ですか? 

花澤:(笑)。今6期目で、僕は立ち上げのときから入ってるんですが、一番驚いたことは攻めの姿勢というか、決断の早さがそれまでいた会社とはだいぶ違ったことです。何千万、何億の開発費に、数分で決裁が下りて、とりかかれる。

多留:でもダメ出しも早いんですよね。

花澤:ダメって言われるのも早いです。その場合はもう1回出し直すか、あきらめるかです。

多留: 1時間くらいダラダラ説明して、やっといけることになった、というようなことはない?

花澤:ないです。そもそも資料が3枚までで、表紙入れて4枚以内で収めなくちゃいけない。要は、どの会社さんと協力して、スタッフは誰がどのくらいいて、絵はどの方に描いていただいて、いくらで、どこの市場に向かっていくのか、というところをチェックしたい。それ以外のゲーム内部に関しては、「お前をゲームプロデューサーとして雇ったんだから、中身を面白くするのはお前まかせるよ」というスタンスです。

多留:事業計画は入ってるんですか?

花澤:P/Lとか。

多留:もちろんあります?

花澤:ただやっぱり大きくはそこのところで考えていただけて、そのあとは本当にプロデューサー次第で、途中のチェックはそこまで入らないです。

プロデューサーにすべてが委ねられる

花澤:これも驚いたんですが、よく開発途中で「最近こういうのが流行ってるって聞いたぞ」みたいなことを言われるなんてことあるじゃないですか? 言い方悪いですが(笑)。

多留:「大丈夫かお前」みたいな茶々が入る。

花澤:「今マルチプレイが来てるらしいけどちゃんと入ってるか」って言われて、あとから慌てて入れることになったり……。

多留:モンストを見てですか(笑)。

花澤:モンストさんを見ちゃったら、マルチプレイ入れろみたいなアドバイスが出る。でも、弊社では多少そういったアドバイスはあるにしても、り入れるかどうかは、プロデューサーに任せられます。

そのかわり、「売れなかったら100パーセントお前のせいだから」という、はっきり言われてはいないけど、そういう部分はあります。プロデューサー冥利に尽きる部分もあれば、心が折れそうになるときもあります(笑)。

弊社は部がいろいろありまして、私は「花澤部」なんですが。

多留:部名がプロデューサーの名前なんですか?

花澤:最初は単純に第1、第2だったんですが、部がわかれたり、統合されたときに欠番ができるので、名前になったんです。部長によって方針がけっこう違いまして、本数は少な目で、1つ1つをしっかり見てゲーム性が高いものを作る部もあれば。私はどちらかというといろんな人に協力してもらって、確度の高いものをいろいろ立ち上げていったほうが、キャパが広がると思って進めています。

多留:リリースされてるものと開発中のものを合わせて、何本くらいあるんですか?

花澤:今までで30本くらい。

多留:現時点だとどうですか?

花澤:同時に走ってるものは10本以上あります。

多留:そんなにあるんですか?

花澤:運営中も含めるともうちょっとあります。そろそろ「多すぎる!」って怒られるかも……。

提案を実現できるようにアンテナを張る仕事

花澤:それぞれの部の方針に沿って、メンバーもアサインされています。部長が判断して、「これならいいね」と。

多留:プランナーか、プロデューサーもその下にいるんですか?

花澤:そうです。プロデューサーはディレクターみたいな立ち位置なので。

多留:その人たちがそれぞれ企画して、花澤さんに持っていくという流れですか?

花澤:そのパターンもありますし、私が、「○○社さんと一緒にできることになったよ! あそこは3Dが強いからそういう案件いいよね」というふうにお題をある程度出して、企画を出していただく。もしくは企画を預けていただいて、チャンスが来たときに「御社と組むならいい企画ありますよ」というかたちで出す。

チャンスがあっても、「今から考えます」だとよくないですよね。どんどん提案してもらって、それをいつか実現できるようにアンテナを張るのがプロデューサー、という感じで進めています。XFLAGさんは?

多留:われわれの立ち上げは2パターンくらいです。花澤さんがおっしゃっていたやつと一緒かもしれない。

例えばパートナーさんや開発会社さんからご提案いただいて、「うちが作ってちょうどいいかもしれない」というものがあれば、それを基に弊社でプロデューサーを当てて、企画を詰めさせて、役員会に持っていくかたちです。うちでは、ゲームのプランナーとかプロデューサーとかディレクターとか関係なく、誰が企画を上げてもいいことになってるので、そういったものを上げることもあります。

「みんなで楽しめるゲーム」にこだわる

多留:これは花澤さんにもお聞きしたいんですが、XFLAGで新規ゲームを作るときは、おもしろければなんでもいいわけではなくて、みんなで楽しんで遊べるゲームしか作らないと決めてます。

簡単に言うと、マルチプレイのゲームしか作りません。もっというと、フェイスtoフェイスの、顔合わせのマルチが中心となるゲーム以外は作りません。だからソロプレイのゲームは絶対却下されます。

花澤:社としてのコンセプトですね。

多留:これはビジネス上の戦略です。例えばソロプレイのゲームだったら、僕らよりもうまく作る会社って、たぶんいっぱいあると思うんです。勝つために、モンストのナレッジ、マインドをどんどん深く堀っていって、横展開していく。基本的には自由に作っていいんですが、そういう意味では縛りがある。

それに縛りがあるほうが、軸があるぶん絞りやすい。おもしろいおもしろくないって結局は感覚ですよね。だから(縛りが)あるとプロジェクトを進めやすくなるとは思います。「これ自分では絶対おもしろいと思うのに」という企画があっても、「ぜんぜんマルチプレイじゃないじゃん」となったらダメなので、そういう人はうちには合わないかなと思います。

花澤:それは一番初めにご説明するところですか?

多留:そのコンセプトはもちろん認識していただいて、そのうえでそれを達成していきたいと思っていただいた方に入っていただく。経営会議が毎週木曜日の朝に開催されるので、毎週持っていけるチャンスがあります。さっきの花澤さんのお話では、B/Sまでの承認を得てますよね。

花澤:そうです。

多留:ここで最初の事業承認、α版までの開発の承認を得られます。

花澤:モックはその前ですか?

多留:モックがないとおもしろさが伝わらない場合は会議に持っていくまでに作ります。

花澤:プレゼンの内容としてですね。

多留:α版は一応ほとんどの機能をそろえるまでの開発です。それを会議で承認します。β版の開発に入るために、もう1回、同じように持っていきます。それで、最後にリリースの承認が入ります。

中途半端なゲームは出せない

花澤:β版までいって、リリースしないことは……。

多留:あります!(笑)。だから、原資は限られているし、選択肢を集中させていかなきゃいけない。リリースするからには運営する責任も担いますから。

花澤:この業界というか、私はもともと家庭用だったので、パッケージを出すところまでは締め切りがあって、翌朝から1週間倒れていいよみたいな感じ。

多留:そうですよね、3ヶ月休むとかもある。

花澤:途中でやめるということは、やる会社さんもあるとは思いますが、あまりないですよね。パッケージは「ここまで作ったんだからなんとか形を整えて出しちゃおう」ってなるけど、運営型ってリリースしてからが真の戦いですから。しんどい。

多留:だから中途半端な状態のやつは出さない。ここはけっこう厳しくて、本当は作ってたのに、世に出てないゲームはいくつかあります。うちのゲームがなかなか出ないのは、そういうところがあります。

花澤:改修することもありますよね? こことここがよくないから、やり直そうというような。

多留:実際に今もそういうプロジェクトが走ってます。普通だいたい1年くらいの開発期間で出ますが、ゲームとしての可能性はあるからもう半年間やり直し、ということはあります。

花澤:そのパターンはすごく想像できます。逆に「これはもう変えてもダメだな」というものはどう判断してるんですか?

多留:これは、ほぼ責任者判断です。会社では決めてないですね。

花澤:プロデューサーが自分なりに、「俺の考えは間違いだった」というような。

多留:過去にありました。

花澤:おぉー。それはそれで勇気がありますね。

多留:こういう言い方するとあれですけど、ホームランしか狙わないないようにしてるんです。空振り三振かホームランで、ヒットを打たないように、フルスイングでやってこう、というふうにやってるので、そういうことも起きます。

花澤:なるほど。

多留:そういう一応の縛りがある。

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