二面性をうまく使い分けること

田中美和氏(以下、田中):では、会場の方、ほかのご質問はいかがですか?

質問者3:1つうかがいたいんですけど、自分らしさを守るというところで、やっぱり強さが必要なのかなと思っていて、どうしても周りの目を気にしてしまうというか、それこそ男性陣に囲まれていたら、「同じ土俵で見られるためには」みたいなことをやってしまいがちなんです。

私の場合、けっこう力のある人がいると、できるだけできるように見せようみたいな、どちらかというと自分らしさよりも、どう見られるかをすごく気にしてしまうなということがあります。お二人はそういうところをどうされていたのかと、折り合いというか、気持ちをどう保たれてるのかということを、おうかがいしたいです。

小崎亜依子氏(以下、小崎):ギンカさんのメッセージが参考になるかもしれません。本の中でギンカさんは、「二面性を使い分ける」ことを提案されています。

女性が管理職になったら読む本 ―「キャリア」と「自分らしさ」を両立させる方法

上からは「この人には仕事を任せられる」という存在にならなければいけないので、上に対してはちょっと見栄を張って、「私できます」とか、ちょっと強い自分を見せていく。

そして、リーダーとして、下の人に対しては、そちらのほうが自分らしいのかもしれないんですけれど、丁寧なコーチングをしたり、フレンドリーな面を見せていく。

その二面性をうまく使い分ける。上に出すときも偽りの自分ではダメなんですけれど、二面性をうまく使い分けていく。無意識バイアスの問題があるからということもあるんですけれど、それをうまくバランス取っていくことが、女性には必要なことです、と。なので、「別にいいんじゃないですか」って、ちょっと思いました(笑)。

Visionが強さにつながる

小安美和氏(以下、小安):ちょっと違った視点からでいくと、先ほど小崎さんがプレゼンでおっしゃっていたとおりなんですけれど、Vision、「どうしたいのか」ということが、私は強さにつながると思っているんですね。

「どうしたい」が弱いと、それこそ逃げてしまったり、人の目を気にしてしまったりするんですけど、本当に本当に成し遂げたいことが明確にある時って、なりふりかまわないですよね。

なので、「ちょっと逃げているな」「人の目を気にしているな」と、思った時には、本当に自分がやりたいことはなんだろうとか。1年後、2年後、3年後に振り返って、「あの時、こうしておけばよかった」と後悔しないために、今なにをしておくんだろう、みたいなことを考えるようにはしています。

できているわけではないですけど、そういうふうにしよう、としています。

田中美和氏(以下、田中):「Visionが強さにつながる」って、すごく胸に響く言葉ですよね。

ほかに、いかがですか? 

「会社にコミットするのが嫌」にどう対応するのか?

質問者4:ちょっと筋が違う質問になってしまうかもしれないんですけれど、今、チームの女性メンバーと「管理職になりたいのか? なりたくないのか?」、そういう話をしているんです。「言われたらやってもいい。だけど、最後の最後、会社にジョインしたくない。『会社にコミットするのが嫌』っていう自分がいる」みたいな話になって。

けっこう女性って、そういうところがあるなというのを、いろんな方と話していて思っているんですが、そこに対して、リーダーのあり方だったり、なにか思われることやアドバイスがあったら、教えていただきたいなと思います。

田中:「会社にコミットするのが嫌」というのは、会社のビジョンとかミッションに共感できないとか、そういう趣旨ですか?

質問者4:会社が嫌いなわけではないし、職場で楽しく働いているんですけれど、最後、管理職になって、あの意思決定を下している人たちの仲間としていくのが嫌だ、みたいな。

(会場笑)

田中:対経営陣、みたいなことなんですか?

質問者4:なのかなとか。あと、会社というものなのかもしれないな、と思っていて。

田中:ありがとうございます。

小安:ご自身はコミットしているんですか?

質問者4:私ももともとはぜんぜんコミットしてなかったなかで、最近ちょっと愛が出てきました。

小安:それはなにがきっかけですか?

質問者4:それは、やはりこの女性の活躍のテーマをここのところ目にして、本当に会社を変えようとか、この組織をどうにかしたいと思う、いくつかのきっかけがあったので、腰を据えてそれをやってもいいかなと思ったことですね。

本人がやりたいことと会社の接点を探す

小安:なるほど。たぶん、まさに今おっしゃったプロセスが必要なんだと思います。

私自身もそうだったんですけれど、会社にコミットというより、「世の中をこうしたい」みたいなところから、「でも、それやるためにはこの会社の中でこういうことをやったほうが、スケーラビリティを持って影響を与えられるよね」という考え方で、会社の中でやっていました。

そこのストーリーが結びつくのかどうかを、上司であれば、部下と一緒に考えてあげるのがいいかなと思いますし、本人にもそのプロセスを埋めるように、「じゃあ、そもそも最終的になにをやりたいの?」という話を考えていただく、ということをやるといいんじゃないかなと思います。

言葉尻だけとらえると、「会社にコミットしたくないんです」とか言うんですけれど、もう少し、もう一段深いところで会話をすると、なにか違う理由があるかもしれないですし。

本当のところはやりたいんだけれど、なにか別の、もしかしたらキャリアじゃなくてライフの部分で引っかかっていることがあって、そういう表現になっているのかもしれないですし。意外と女性って複雑じゃないですか(笑)、言葉の使い方が。

それで、「面倒くさいから、リーダーになりたくない」とか、「コミットしたくない」と言うんですけれど、たぶんそこをもう少し分解してあげる、ということをやるといいんじゃないかなと思います。

会社に貢献しながら個人のスキルを深める道も

田中:小崎さん、いかがですか?

小崎:私はぜんぜん会社にコミットしたことがないので(笑)。

(会場笑)

小崎:私はシンクタンク、コンサル出身なので、20年後の自分の面倒を見てくれるわけではないので、それこそ会社は一種のステップアップの機会であり、会社も私を利用する、そういうちょっとドライな関係でした。

田中:それは専門職ならでは、というところもありますよね。

小崎:そうですね、ちょっと特殊だと思います。もちろん会社には貢献しつつ、個人ではリソースを最大限に活かし、自分のやりたいことをやろうと思っていました。

田中:個人としてスキルを深めていく?

小崎:そうですね。

田中:わかりました、ありがとうございます。お時間も、押し迫ってまいりました。では、最後のご質問ということで、お願いいたします。