NFT絡みのゲームはシビアな世界
ーー最近ではNFTゲームに関する話題も多いですが、NFTゲームもNFTアートと同じように気をつけるべきことはありますか?
ヨーロピアン氏(以下、ヨーロピアン):NFTゲームは現実世界への例えが難しいですが、ポケモンカードや遊戯王カード、『マジック:ザ・ギャザリング』のような対戦型のカードゲームがあるじゃないですか。特に『マジック:ザ・ギャザリング』とかは、レアなカードはすごく高額で売買されているらしく、ものによっては100万円とか1,000万円という世界らしいです。NFTゲームもそれと同じようなことが起きています。
NFTゲームと呼ばれている中で有名なものでいうと、『Axie Infinity』、通称「アクシー」があります。
これはNFTのアクシーちゃんを育てて戦わせるゲームです。育てて戦わせて、そこから報酬として暗号資産、ファンジブルのトークンを得る。つまり、ゲームで稼げるんですよ。
なぜかというと、バトルで勝って手に入るこのトークンを売却することで、利益を得られる(Play to earn)から。つまり、このゲームにおける強いアクシー、レベルの高いアクシー、レアなアクシーは、稼げる力に直結するんですよ。カードゲームでレアなカードが戦いに有利になるのと同じように、レアなアクシーを持っているとたくさん稼げる仕組みになっているんですよね。
そうなると、このゲームがおもしろいかどうかをいったん横に置いておいて、お金稼ぎの手段となってしまう。もはや労働みたいなものです。ゲームをやって効率よく稼ぐためにいいアクシーがほしい。高額なNFTがほしいとなる仕組みになっています。
きちんと整理をしていくとわかることですが、得たトークンを誰が買っているのかというと、新しくそのゲームに参入してくれる人なんですよね。どういうことかというと、新規にゲームに入ってくる人の最初のイニシャルコスト、参入するために払う費用が、今アクシーに参入してゲームを遊んでいる人たちの報酬になっているんです。すごくわかりやすくいうと、ねずみ講みたいになっている。
だから、NFT絡みのゲームはけっこうシビアな世界というか。「なんで普通のNFTゲームで遊ぶのに、いきなり30万円ぐらいするNFTを買わなくちゃいけないんだ」と思うかもしれませんが、実態としてはそんなふうになっていたりします。
アートよりも余計に経済合理性を剥き出しというか、ゴリゴリの鉄火場みたいになっているので、初心者が入るのは少し大変です。「やたらお金のかかるNFTゲームはやらないほうがいい」というのが僕からのアドバイスですかね。