2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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ーーまずはヨーロピアンさんがふだんNFTに対してどのような取り組み、関わりかたをされているのか教えてください。
ヨーロピアン氏(以下、ヨーロピアン):僕はNFTで収益を得ることに特化しているというか、それしかやっていません。ただ、一般的に言われているNFTのオークションで売買するみたいなことではなく、NFTの配布の概念の中の1つである「Mint」というものを使って、売却することで利益を得られそうなものを自分でリサーチをして手に入れ、よさそうなやつを売却して利益を得るという、トレーダーみたいなことをしています。
NFTへの取り組みかたはいろいろあり、日本でいうコレクターのように、“自分のお気に入りの作品”として集めている人もいます。あとは自分がクリエイターになる人、NFTを発行する人もいると思いますが、僕は今のところやっていないです。
ーーありがとうございます。ヨーロピアンさんはトレーダーのような立場でNFTと関わっているとのことですが、そもそもNTFとは何なのでしょうか?NFTについて理解したいと思った時に、まず押さえるポイントはどのような内容になりますか。
ヨーロピアン:NFTは読んで字のごとく、NFTはNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことです。“非代替性”ということで、では「代替性トークンとは何か」ということになるじゃないですか。暗号資産、仮想通貨は、ほぼ全部が代替性トークンです。僕らがふだん支払いに使っている日本円とかUSドルとかも、全部代替性トークンになります。
例えば、1万円札には通し番号がついているじゃないですか。1万円札には1枚ずつ番号がありますが、あれは全部違う番号なんですよ。でも、どの番号の1万円札をもらっても、その1万円札がきれいだろうが汚れていようとも、同じ1万円として通用しますよね。通し番号のことを考えたら厳密には別の1万円札ですが、同じものとして扱うのがファンジビリティ、代替性で、代替性トークンというのはそういうもののことを言います。
逆にNFTはNon-Fungible Tokenなので、代替性のない、一つひとつがユニークなものとして扱われます。NFTを理解するなら“一点物”という考え方がたぶん一番正確に捉えられると思います。すごく端的にいうと、“一点物のトークン”ですね。
ただ、最近ではシリアルナンバー付きのNFTとかも出てきているので、徐々に曖昧になってきているところがあるんですけど。
ーー曖昧になってきている、とは?
ヨーロピアン:「一点物であるから価値がある」というところは、基本的な共通認識としてあります。NFTのイメージの1つとしてドット絵があると思いますが、本格的なイラストみたいなものも、NFTアートの文脈でけっこう出ています。
そういうものは、一部を変えるようなことが微妙だったりします。でも今は、大量に発行したいような意図がある時に、「通し番号が違うからNon-Fungibleだよね」という説明で世に出てしまっているものもあるんですよ。
例えば、高級時計とか何らかの記念品とかでも、まったく同じ商品にシリアルナンバー付きのものもあるじゃないですか。それと同じ概念なので別にいいと思うんですけれど、とにかくそういうものが出ている。それを一点物と捉えるかどうかは人によると思いますが、僕が“一点物”と言った説明と一見矛盾する可能性があるので、一応注釈として言いました。
ーーNFTの定義自体がまだまだ流動的な部分があるがゆえに、概念が徐々に変わりつつある、というところでしょうか。
ヨーロピアン:そうですね。
ーーSNSなどではNFTは投資的な文脈で話題に出ることが多いと思います。もしお金に絡めずNFTを理解するとしたら、どのような説明になるでしょうか?
ヨーロピアン:NFTという言葉そのものは、端的に言ってしまうと技術的な規格の話でしかありません。みなさんが一番よく触れるNFTはNFTのアートだと思います。人によるとは思いますが、ほとんどの人は実物のアート、特に高額なものの売買はしたことがないと思うんですよ。ちなみに僕もないです。
高額なアートは一部のお金を持っている人が、美術商とか伊勢丹とかで売買しているイメージじゃないですか。ただ、それがNFTになったことですべてがインターネット上で完結するし、敷居が低くなって入っていけるようになってしまった。
ハードルが下がって行けるようになってしまったので、そこがフォーカスされているんだと思うんですよね。ですが、先ほども言ったように、僕も含めてアートについてはみんな素人じゃないですか。
ギャラリーの詳しい人たちに言わせれば「本当にすごい価値のあるものと、そうじゃないものには明確な違いがある」と言うらしいですが、僕らにはわかりません。自分の気に入ったアートを自分の手の届く範囲で買うだけなら、それはただのお買い物ですよね。
もし初心者に向けて送る言葉があるとするなら、「NFTだから価値があるという思い込みはやめたほうがいい」という感じです。「NFTだから価値がある」という思い込みが一番問題なので、自分が何を見ているか、売買しているかは気をつけないといけません。
ーー最近ではニュースなどでも毎日のようにNFTというワードを見るようにもなってきました。歴史を知らない立場からすると「いきなりNFTというものが出てきた」というようにも見えてしまうのですが、メディアなどでも大きく取り上げられるようになるまでの流れを教えていただけますか?
ヨーロピアン:NFTというと、多くの人が認識しているのは“NFTアート”だと思います。その中で一番古くて有名なものの中に「CryptoPunks」というものがあります。最近ではこの画像をTwitterのアカウントに設定している人もいますよね。
これが最古ではないですが、有名なものの中では一番古いです。24×24ピクセルのドット絵のコレクションで、全部で1万件あります。
これのすごいところは、一つひとつアーティストが書いたのではなく、アルゴリズムによる自動生成なんですよね。オリジナルの画像はGitHubに上がっていて、大きな1枚の画像です。
CryptoPunksはイーサリアムというプラットフォーム上にあります。イーサリアムというのはスマートコントラクトのプラットフォームのことで、スマートコントラクトとしてイーサリアム上にデプロイする、それをブロックチェーンでつながっているマシンが実行してくれるというか、ざっくりいうと、自分の書いたプログラムをブロックチェーンで実行できる感じになります。
CryptoPunksはその仕組みを利用して、画像をブロックチェーン上に埋め込んでいるんです。さらに、そのブロックチェーンを参照した人がこのCryptoPunksを保有するという概念も生み出しています。GitHubのオリジナル画像のうち、例えば「上から30番目で左から40番目の画像が自分のCryptoPunks」のように参照する仕組みになっているんです。
CryptoPunksは、正確に画像がスマートコントラクトに埋め込まれているのが偉いんです。“偉い”というのは、他のNFTにはそうなっているものが少ないからです。
CryptoPunksはさらにすごいところがあって、コントラクトにオークション機能が埋め込まれているんですよ。つまり、ブロックチェーン上でCryptoPunksを売買することが、初めから想定されて作られていたんですよね。公式サイトを見るとバーッとPunksの顔が並んでいて、その中に背景が赤茶色みたいになっているものが一部あります。
クリックするとわかりますが、これは売り出し中のものなんですよ。公式サイトが裏側でそういうことをチェックする仕組みを作っていて、ブロックチェーン上でも確認できます。けっこうすごいんです。
ーー一覧で見れるのはおもしろいですね。
ヨーロピアン:おもしろいです。一応これが“みんなの知っている古いNFT”です。正確に古いNFTのことをいうと、2014年ぐらいにケビン・マッコイさんという人が「Quantum」というNFTを発表していて、これが真の最古のNFTらしいです。ただ僕はあまり詳しくありません。
技術的には「Namecoin」を使って発行されています。美術界で有名なアートのオークションをやっているサザビーズ(Sotheby’s)という会社があるんですが、そのオークションで2021年の6月に落札されて、けっこう値段が高かったらしいです。一応これが真の最古のNFTらしいですが、CryptoPunksのほうが有名です。
ちなみに、実はここまでのものは規格化されていないNFTです。つまり、僕が最初に説明したNFTの“一点物”という概念はこの段階で成立していますが、技術的には標準化されていないんです。
ここから標準化されたNFTの話をします。NFTはのちにERC721として標準化されますが、その議論がGitHub上でされています。歴史の話とかその時点であった話をしながら「これを標準化しようぜ」という動きになり、ERC721という規格が今の事実上の標準のNFTトークンになっています。
今のNFTは、NFTマーケットとして有名なOpenSeaというプラットフォームなどで売買されていますが、先ほどのCryptoPunksはERC721ではないので規格に対応していません。ただ、一部はERC721の規格に対応するように技術的に無理矢理ラップされて、1万個のうちのほんの数百個だけ、RapPunksというプロジェクトとして流通しています。
技術的な規格が決まった日付はGitHubの履歴を見ればわかりますが、2017年の9月ぐらいには確定していました。
その頃、同じくらいのタイミングで『CryptoKitties』というブロックチェーン上で猫ちゃんを育てる、かわいいプロダクトが出ました。これがすごく有名で。
具体的に何かというと、『たまごっち』みたいなものです。猫を表現するのにERC721の規格が使われているんですが、これが出たタイミングは、規格が標準化される前だったんですよ。つまり、ドラフトのタイミングで規格を使ったということです。標準化前の規格を使っていますが、この『CryptoKitties』が出たことで、より規格の議論が進みました。
ーー始めに概念が確定して、どこから技術的なところが固まっていった流れなんですね。
ヨーロピアン:そうですね。標準化はだいたいのことでけっこう遅れて来るんですけど、NFTはだいぶ早いほうでした。標準化されたのが2017年ぐらいなので、わりと最近ですね。
ーー先ほどのお話から見ても、歴史的にNFTが今に続くようになる話題のきっかけは『CryptoKitties』だったということでしょうか。
ヨーロピアン:CryptoPunksは当時はそこまで話題になっていませんでした。CryptoPunksは当時、1万件全部が無料配布をされたんですね。僕もリアルタイムで名前は見ていましたが、無料配布すら知らなかったぐらい、広く話題にはなりませんでした。
でも、『CryptoKitties』はすごく話題になったんですよ。爆発的に人気があったんです。みんな猫ちゃんを育てたくて(笑)。猫の中にもレアな猫がいて、それをみんな手に入れたくて、すごく高い値段で売買されていました。あまりにもすごい値段がついたので、CryptoPunks界隈のメディアにもけっこう名前が出たんですよね。
大手メディアにもけっこう取り上げられて、このあたりから一気にNFTの概念が浸透した感じです。だから、たぶんCryptoPunksよりも『CryptoKitties』のほうが、NFTの普及や認知度の向上につながったんじゃないかなと思います。
(後半につづく)
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