NFTとは“一点物のトークン”のこと
ーーまずはヨーロピアンさんがふだんNFTに対してどのような取り組み、関わりかたをされているのか教えてください。
ヨーロピアン氏(以下、ヨーロピアン):僕はNFTで収益を得ることに特化しているというか、それしかやっていません。ただ、一般的に言われているNFTのオークションで売買するみたいなことではなく、NFTの配布の概念の中の1つである「Mint」というものを使って、売却することで利益を得られそうなものを自分でリサーチをして手に入れ、よさそうなやつを売却して利益を得るという、トレーダーみたいなことをしています。
NFTへの取り組みかたはいろいろあり、日本でいうコレクターのように、“自分のお気に入りの作品”として集めている人もいます。あとは自分がクリエイターになる人、NFTを発行する人もいると思いますが、僕は今のところやっていないです。
ーーありがとうございます。ヨーロピアンさんはトレーダーのような立場でNFTと関わっているとのことですが、そもそもNTFとは何なのでしょうか?NFTについて理解したいと思った時に、まず押さえるポイントはどのような内容になりますか。
ヨーロピアン:NFTは読んで字のごとく、NFTはNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことです。“非代替性”ということで、では「代替性トークンとは何か」ということになるじゃないですか。暗号資産、仮想通貨は、ほぼ全部が代替性トークンです。僕らがふだん支払いに使っている日本円とかUSドルとかも、全部代替性トークンになります。
例えば、1万円札には通し番号がついているじゃないですか。1万円札には1枚ずつ番号がありますが、あれは全部違う番号なんですよ。でも、どの番号の1万円札をもらっても、その1万円札がきれいだろうが汚れていようとも、同じ1万円として通用しますよね。通し番号のことを考えたら厳密には別の1万円札ですが、同じものとして扱うのがファンジビリティ、代替性で、代替性トークンというのはそういうもののことを言います。
逆にNFTはNon-Fungible Tokenなので、代替性のない、一つひとつがユニークなものとして扱われます。NFTを理解するなら“一点物”という考え方がたぶん一番正確に捉えられると思います。すごく端的にいうと、“一点物のトークン”ですね。
ただ、最近ではシリアルナンバー付きのNFTとかも出てきているので、徐々に曖昧になってきているところがあるんですけど。
ーー曖昧になってきている、とは?
ヨーロピアン:「一点物であるから価値がある」というところは、基本的な共通認識としてあります。NFTのイメージの1つとしてドット絵があると思いますが、本格的なイラストみたいなものも、NFTアートの文脈でけっこう出ています。
そういうものは、一部を変えるようなことが微妙だったりします。でも今は、大量に発行したいような意図がある時に、「通し番号が違うからNon-Fungibleだよね」という説明で世に出てしまっているものもあるんですよ。
例えば、高級時計とか何らかの記念品とかでも、まったく同じ商品にシリアルナンバー付きのものもあるじゃないですか。それと同じ概念なので別にいいと思うんですけれど、とにかくそういうものが出ている。それを一点物と捉えるかどうかは人によると思いますが、僕が“一点物”と言った説明と一見矛盾する可能性があるので、一応注釈として言いました。
ーーNFTの定義自体がまだまだ流動的な部分があるがゆえに、概念が徐々に変わりつつある、というところでしょうか。
ヨーロピアン:そうですね。