フィードバックを受け止めるための3つのコツ

熊谷翔大氏:今日のテーマは「フィードバックの受け止め方」です。どんな職場においても、日々フィードバックが行われているかと思います。上司から部下へ、教育係から新入社員へ、そして同僚から同僚へ、いろんなパターンがあります。時には部下から上司へ、という流れもあるはずです。

もちろん、その人の成長や、職場・チームとしてのストレッチの観点では、フィードバックは欠かすことができないものですよね。

「ジョハリの窓」じゃないですが、人間には誰しも「自分では気がついていないけど、周りから見ると直したほうがいいところ」があるかと思います。それに気づかせてくれるのは、周りからのフィードバックだと思います。

でも、問題なのは、フィードバックを素直に受け止めることです。これってけっこう難しいんですよね。みなさんはいかがでしょうか? 「フィードバックされるのが大好きです」という人は、あまり多くないはずです。

私も、フィードバックを受け止めるのはけっこう難しいと感じている1人です。中には「この人は(フィードバックを)うまく受け止めて、プラスに変えているな」と、見ていて勉強になる人がいました。

今日は、フィードバックの受け止め方が上手い人の事例や、私自身が日々心掛けているポイントを踏まえて、フィードバックの受け止め方について、意識しておきたいポイントを3つお伝えします。

「指摘してくれる人」は、自分にとってプラスの存在

まずは1つ目が「フィードバックされてムッとした時は『当たりくじを引いた』と思いましょう」です。

正直なところ、フィードバックをされると「なんでそんなことを言われないとダメなんだ」と思ってしまうものです。「しっかり受け止めないとダメだな」と、頭ではわかっていても、心ではムッとしてしまう。そんな気持ち、私もよくわかります。

でも、ムッとする時って、自覚しているポイントを指摘されたからだったりするはずです。嫌な気持ちになっているだけだと、すごくもったいないんですよね。だからこそ、ムッとした瞬間に「よし、当たりくじを引いた」と、自分の中で思うように決めておくことをおすすめしております。

立場を変えて考えると、今のご時世、「誰かに何かを指摘する」というのは、正直難しくなってきていると感じています。だからこそ、何かを指摘してくれる人、フィードバックしてくれる人は、本当にありがたい存在かと思います。自分にとっては間違いなくプラスのはずです。

相手の方が、自分や仕事が少しでもよくなるようにと思ってフィードバックしてくれているのであれば、それはあなたにとっては「当たりくじ」ではないでしょうか?

文字に起こすと、「何を言われたか」に注目できる

続いて2つ目が「言われたことを、文字だけ切り取りましょう」です。フィードバックされた時についつい陥ってしまうのは、「誰から言われた」「どんな口調で言われたか」を気にしてしまうところかと思います。

それによって必要以上に落ち込んでしまったりしますが、そうすると、フィードバックが非常にもったいないかたちで終わってしまいます。だからこそ、フィードバックされた内容を文字だけ切り取ってみる。

具体的には「テキストに起こしてみる」のが良いでしょう。(文字だけ切り取って受け止めてみると)シンプルに良いアドバイスだったりします。

ですので、あなたがもし何かを言われて落ち込んだり、フィードバックをうまく受け止められない時は、ぜひ文字に起こしてみましょう。そうすると、意外とすんなり自分に入ってくるはずです。私も日記や「Evernote」に書いたりしていますが、けっこうおすすめです。

フィードバックが理解できなければ、いったん忘れる

そして最後に3つ目は「今すぐフィードバックの内容を理解できない時は、いったん忘れましょう」です。こんなことを言うと、せっかくフィードバックしてくれた上司に怒られそうなんですが、受け止めきれないものはいったん忘れてもいいかと思います。

欲を言うと、とりあえず書き出してみて、理解できなければいったん忘れる。そんなイメージです。すぐに理解できなくとも、数年先になって振り返ると「あの時〇〇さんにこんなことを言われたけれども、今となっては本当に良かったな」と感じることが、みなさんも多々あるはずです。

私もそういう経験がたくさんありました。この「仕事に役立つABC」でお伝えしているテーマの数々は、まさにそのおかげかなと、今になって本当に感謝しております。

だからこそ、誰かからのフィードバックですぐに効果が出なかったとしても、先になって活きてきたら、それで十分なんじゃないかなと思います。

今日は3つのポイントをお伝えしました。1つ目は「フィードバックされてムッとした時は『当たりくじを引いた』と思いましょう」。2つ目は「言われたことは文字だけ切り取りましょう」。そして3つ目は「今すぐ理解できないフィードバックは、いったん忘れましょう」。

尊敬するグロービスの講師の方から、「成長する人の特徴は、部下と飲みに行った時に、ひたすらダメ出ししてもらって、それを素直に聞ける人」という言葉をもらったことがあります。

「飲みに行ってダメ出しされ続けるのは、さすがに私にはなかなか無理だな。受け止めきれないな」と思ったんですが、それくらいフィードバックは意味があるものだというメッセージだと、私は受け取りました。

フィードバックされることは、時にはツラいんですが、うまく受け止めて自分の力に変えていけるといいかと思います。それでは、今回はここまでです。本日も素敵な一日をお過ごしください。