エンジェル投資家との出会い方

石井健一氏(以下、石井):「エンジェル投資家」という立場の方がいらっしゃると思います。エンジェル投資をなりわいとしている人もいれば、たまたま手元にお金あって友達・知り合いだから出すよ、という立場上エンジェルになっている方もいらっしゃるかと思います。そんなエンジェル投資家さんって、そもそもどこで会うんだろうと。

ビジネススクールで習うんですよ、みんな起業して事業計画ができたら、まずエンジェルを回るんだと。そこでだいたい2、3,000万集めてプロジェクトを回して。その次にベンチャーキャピタルに会いに行けと習うんですが、どこに行ったら会えるのかは書いてないんです。どうされたんでしょうか?

井上真大氏(以下、井上):本当に人の縁って不思議なんですけど、偶然で。僕たち、千葉功太郎さんという、元KLabの取締役でコロプラの副社長をされてた、現エンジェルの方に入れていただきました。

もともと僕たちは人材系のサービスをやっているんですが、千葉さんの奥様が当時リクルートにお勤めで我々のサービスにご興味持っていただいて。最初、千葉さんの奥様にアポに行ったんです。普通に外で会う予定だったんですが、お子さんの都合で家に来てほしいということになり、お宅に訪問させていただいたら、たまたま千葉さんもいらっしゃって。「あ、なんかベンチャーの人が来てるんだったら10分だけ話聞いていくわ」みたいな感じで千葉さんも同席されて。

10分だけ話聞くはずだったのに、奥さんよりも千葉さんのほうが僕たちに興味を持ってくれて、奥さんはそのまま子どもを外に連れていくために出て行かれて、千葉さんはずっと僕たちの話を聞いてくださって。「君たち面白いから、お金入れたい」みたいに言ってくださって、投資につながった感じですね。

とにかく人と会って、話すこと

赤澤夏郎氏(以下、赤澤):いわゆるエンジェル投資と言われているものは僕らは受けていませんが、アドバイスはたくさんいただいていました。

そもそもどこで知り合ったかのというと、自分たちが出ていたからですよね。すごく重要なアドバイスを受けていたエンジェル投資家というのは、3年前ですかね。アメリカでSXSWというテック系のイベントがあり、僕らはそれに行きたいと思っていました。

たいして根拠はなかったんですが、ちょっと行って打って出たいとなった時に、そのツアーの主宰をやっていた方がエンジェル投資家の方でした。それをきっかけによく相談をさせていただくようになりました。なので、先ほどと一緒でいろいろ出ていったり、この人と仲良くなりたいと思ってつきあっていった結果かな、なんて思います。

井上:そういった意味では、横のつながりではないですが人付き合いでご紹介いただくというか知り合うケースが多いので、おそらく一般化しづらいのかなと思っています。それぞれケースがあって、赤澤さんがおっしゃったとおり、とにかく人と会って話していくことが大事かなと思いました。

エンジェル投資家が株主にいるメリットはあるか?

石井:ありがとうございます。たぶん投資家さん、VCさんから見ると、投資するにあたって株主構成を気になさるかと思いますが、例えば界隈で有名なエンジェル投資家さんがチームに入っている場合は、なにかいい方向でのインセンティブはありますか?

萩谷聡氏(以下、萩谷):基本的にはポジティブですけどね。エンジェル投資家さんにはいろんな種類の方がいます。それこそ最近は日本でもM&Aが増えてきて、IT業界でも会社を立ち上げて売却して、今はエンジェルになっている方、最近だとエウレカの赤坂さんやサイタの有安さんなどたくさんいらっしゃいます。

そういうインターネット系の方だったり、金融系でけっこうお金をいっぱい稼いでエンジェルになって若者を応援するみたいな、そういったエンジェルの人だったり、上場企業の役員の方だったり。いろいろなタイプのエンジェルの方がいて、そのビジネスを、組織面なのかビジネス面なのか、なにかしら支援ができる方だったらいいかなという感じです。

石井:岩田さんもそうしたケースは多いですか? エンジェル投資家が入っていて。

岩田諒祐氏(以下、岩田):僕らはファーストラウンドといって最初の投資が前提になるので、著名なエンジェルさんが入ったら新規投資はやらないんですよ。ただ、すでに僕らが新規投資して、次のラウンドやフォローでもう1回投資します、というのだけはやっています。

そのときに一緒に入れてくる人が著名な方だと、多少は後押しになりますね。ただ、あくまで僕らの見方で事業を見て、資金を入れるか入れないを決めるので、そこが大きく作用することはないですね。

石井:ありがとうございます。梅澤さんのところはどうですか?

梅澤亮氏(以下、梅澤):似たような答えになってしまいますが、その事業に貢献してくれる人が入っていて、会社の成長を深く考えてくれている。それは経営陣であったり事業の方向性としてバリューアウトしてくれる人であればぜんぜんいいです。あとは時と場合によってはエンジェルからVCとして株を引き取るといった話もケースバイケースで出たりします。あと、エンジェルって出会いにくい。

石井:そう、出会いにくいんですよ。

梅澤:楽天に売却しました、ヤフーに売却しました、DeNAやグリーに売却しました。という事例は5年前に比べたらすごく増えてきているんですが、けっこう難しいですね。

VCに会うのとはまた違うレイヤーですし、周りでけっこうストーカーをやってる人いますね。Facebookでフォローしておいて、「今ここにいる」みたいにしたら、もう駆け込んでそこに会いに行くとか。基本的に紹介ベースで会うのが一番なんですけど、それぐらいじゃないと会ってもらえないとか。

暇だったらもうエレベーターピッチで30秒でもいいので、「今ここでプレゼンさせてください!」の気合をぶつける。それでドン引かれるエンジェル投資家もいますけど、それで「OK。その気力に負けたから投資するよ」みたいな人たちもなかにはいます。

ただ会いにくいですね。イベントに行ってもけっこうフィルターをかけてもらわないと困るとか、「どこの誰かわからないので」みたいなことも多かったりしますね。

VCとエンジェルのメリット・デメリット

石井:ありがとうございます。また質問を頂きたいともいます。

質問者2:簡単な質問で、エンジェルを使うメリット・デメリット、VCを使うメリット・デメリットをそれぞれお聞きしたいです。

石井:井上先生、お願いします。

井上:VCの方を目の前にしてVCを使うデメリットってちょっとお話しづらいんですけど(笑)。

1つ間違いなく実体験も踏まえて言えるのは、エンジェルの方は自己資金で、自分のお金で投資されているので、社内で踏まないといけないプロセスみたいなのが当然ないんですね。

ベンチャーキャピタリストさんだと、当然、企業としてやっているので、上にあげないといけないとか、全員の承諾を得ないといけないということがあるんですけど。

エンジェルの方は、もちろんその名のとおり個人投資家さんなので、個人のその人がOKと言ったらそれでおしまいなので、決断がすごく早いし、すごくスムーズであるというのは1つありますね。だから1人に説得したら終わりというのがすごく楽というか、早いかなと思います。

赤澤:エンジェルやVCという以前に、そもそも外部の資金を入れて自分たちの目標を実現するかどうかでお答えさせていただくと、私たちはずっと外部の資金を入れずに自分たちの自己資金で10年以上会社をやってきましたから、外部の資金を入れるということに関して決してポジティブなわけではありません。

でも、やりたいことを実現するためにどうしても自己資金では実現できないとなったときにはじめて入れるべきで、それまで投資ありきでビジネスをスタートするのは、僕らから見たらちょっと違うんじゃないかなと思います。最近こういう場に来てこうしたお話をすることが多いんですが、そんな見方もあるんじゃないかと思っています。

エンジェルに株を譲渡しすぎた問題

石井:僕の場合はどちらかというと、会社を立ち上げるときは別に会社を持っている人間が集まった会社だったんです。なので、必然的に自分たちで資本金をちょっとずつしか出さないで作ってしまった会社なので、回していくためには絶対的な外部資金が必要でした。

知り合いに声をかけたら、「おもしろそうやん。いっちょ乗るわ」というかたちで手あげで資金調達をしていったら、けっこうな株式を出してしまっていて。それが先ほどの資本政策について「これやりすぎやろ」と教えてくださったのがVCさんたちなんです。

だから当時、「この時期にこれだけエンジェルに株をやってるベンチャーいねえぞ」というところからスタートしたので、今していただいた質問を僕も2年前の会社を立ち上げた時に聞いておけば。

さっきのバリュエーションにも当てはまってくると思うんですよ。当時、本当に1株いくらの感覚だったんですね。自分たちが1株1万円で会社を作ったと。お金を出してくれる人がいくら出すというか、ほんなら1株10万円でお願いしましょうかって、バリュエーションで割り引くとかじゃなくて、単純に10倍。

だって売上もなにも立っていないのに、株が10倍になることなんてないよね、というド素人の生兵法でやってしまったことは、失敗したなと思っています。

でも、今それをこういう機関投資家やVCの方々からいろんな意見をいただいたり、逆にどんなかたちで戻していくか、エンジェルさんと交渉していくか、そうしたところはディスカッションしながら、まともな資本政策になるようにがんばっているところです。

ですので、僕はどちらかというとはじめから外部資金ありきでビジネスモデルを考えていました。要するに、スケールさせるために絶対にお金が必要であって、その必要なお金がいくらかを逆算して作ったので、良い悪いではなくて、必ず両方組み合わせてやっていこうと思っていました。こんな感じでいいでしょうか?

質問者2:大丈夫です。ありがとうございます。

萩谷:あと1点、エンジェルとVCで大きな一番の違いは、VCはファンドというものを作るんですね。

我々はファンドにお金を集めるんです。いろんな事業会社さんや金融機関のところに行って。

そのお金を運用するのがVCで、そのお金をスタートアップ投資をして、そのリターンをそのファンドに出資してくれている人に返していくという運用の責任があるんですね。だからイグジットに対してのコミットをしなきゃいけないというのが大前提で違います。

エンジェルの方は基本的に自分のお金を出しているので、その人の事業をそもそも応援するし、人に対して投資する感じで投資しているケースが多いので、前提が違います。VCから受けると、基本的にはM&AかIPOを目指すという前提に立つということは、しっかり理解してもらうといいかなと思います。