2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
羽生善治竜王 藤井聡太四段 共同記者会見(全1記事)
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記者1:読売新聞のタナカです。よろしくお願いします。竜王奪取後、約1ヶ月経ちまして、その間、国民栄誉賞の決定などいろいろあったわけですが、晴れて就位式を迎えるにあたって、羽生竜王、今のご心境をお教えいただけますでしょうか?
羽生善治氏(以下、羽生):1ヶ月ちょっとの時間が経ちまして、シリーズ終わった直後はあまり実感というのは湧かなかったんですけれども、今日、就位式という日を迎えて、本当に獲得することができたんだなということを実感しています。
記者1:第30期の竜王戦、もちろん最後いいかたちになったわけですが、ランキング戦から振り返ってみて、今思えばどう受け止めていらっしゃいますか?
羽生:ランキング戦のところでも本戦のところでも、途中で負けている対局もありますので、そのなかで勝ち上がることができたのは非常に幸運だったというふうに感じています。紙一重の対局も数多くあったので、そういう意味では非常にラッキーだったなという感じもあります。
記者1:今回、これだけ注目を集める就位式というのも珍しいと思うんですけれども、それについてはいかがですか?
羽生:そうですね、竜王戦30期ということで、本当に長い歳月をかけてこの棋戦を育てていただいたという点で非常に感謝をしています。私自身は、その前身の十段戦のほうからも棋士として参加しているというところもありますので、非常に感慨深い思いで今います。
記者1:31期もすでに始まっていますけれども、今度はディフェンディングチャンピオンの立場になるわけですが、約1年間、どういう思いで挑戦者を待とうと思っていらっしゃいますか?
羽生:将棋の対局というのは、始まってしまえば防衛する側、挑戦する側というのはなくて、同じ条件で同じ場所で対局をしていくものということでありますので、もちろん竜王戦に関しては始まるまでは対局はないんですけれども、その挑戦していく気持ちを失わずに31期の七番勝負の開幕を迎えたいと考えています。
記者1:続きまして藤井先生にうかがいます。藤井先生は竜王戦6組で優勝されて本戦2回戦に出られましたが、29連勝であるとか、公式戦の初黒星であるのが竜王戦だったわけですね。そういうことも含めまして、第30期竜王戦は自分にとってどういう経験になったかということを教えていただけますでしょうか?
藤井聡太氏(以下、藤井):そうですね、今期のランキング戦は初戦の加藤一二三九段との対戦に始まり、佐々木勇気五段に敗れるまで本当にいろいろな経験をさせていただきました。
とくにデビュー戦の加藤九段にも教えていただく機会を得たというのは本当に自分としてもとてもいい経験になりましたし、そして29連勝の過程で本当に多くの方からご注目いただいて、自分自身も竜王戦を通して成長できたのかなというふうに感じております。
記者1:31期も始まってまして、もうすでに5組で1局対局終わっているわけですが、今期の目標というものはどう考えていらっしゃいますか?
藤井:今期は5組のランキング戦からということで、強敵ぞろいではありますけれども少しでも上を目指せるように一局一局全力を尽くしていきたいと思っております。
記者1:再び羽生先生に戻りますが。羽生先生は昨年、できれば今年公式戦で藤井さんとあたれるようになればという話をされていました。2月17日に朝日杯でそういうことになったのですが、今はどうお感じですか?
羽生:ちょうど先週末に対局があって、対戦が決まったというところで。もちろんどこかで必ず顔を合わせるとは思っていましたが、こんなに早く実現するとは思っていなかったという意味では少し驚いています。
ただ一方で、公開対局で行われるということもありますので、多くのみなさんに楽しんでもらえるような対局ができたらいいなというふうに思っています。
記者1:藤井さんはいかがでしょうか?
藤井:今期の朝日杯では佐藤天彦名人に勝つことができて、羽生竜王との対戦の機会を得ることができたのはとても嬉しく思っています。
また公開対局になりますので、みなさまに楽しんでいただけるような熱戦が演じられるようにがんばりたいと思っています。
記者1:過去の対戦は非公式戦で1勝1敗ですが、指した感触とかあるいは相手の棋風というのはどうお考えでしょうか? まず羽生先生のほうから。
羽生:先日の将棋も2局とも非常に内容が良くて、手厚く少しずつリードを広げていくという指し回しを見て非常に感心しました。
もちろん棋譜を見るだけではわからない部分もありますので、実際に対局してどういったものかというのを体感するのも非常に楽しみにしております。
記者1:藤井さんはいかがですか?
藤井:羽生先生は先日の朝日杯で四間飛車を採用されまして、懐の深さを感じましたし。自分にないものを多く持っておられるというふうに感じました。公式戦での初めての対戦となりますので、少しでも近づけるようにと思っています。
記者2:デイリースポーツのフクシマと申します。まず羽生竜王におうかがいします。先ほど、藤井先生との対局がこれほど早く来るとは思わなかったとおっしゃっていて。実際、どれくらいの期間で自分のところまで来るかなと想定されていましたか?
羽生:将棋界の制度上、四段の段階だと1次予選から出場するものですから、かなりたくさん勝ち上がってこないと対戦の組み合わせにならないという、そういう制度上のところがあるので。ただ、今期の朝日杯では、藤井さんが並みいる強豪を打ち破って勝ち上がってこられたのは、非常に立派だと思います。
記者2:連勝が止まってから、また改めて、藤井四段の強さはどうご覧になっていますか?
羽生:それはなんというんでしょうか、連勝前と後という区切りではなくて。全体として8割の勝率というのは、将棋の世界ではちょっと考えられないような大変な数字でもありますし、結果だけではなく内容もともなって進んでいるというところで、1人の棋士として非常に強い、手ごわい存在であると認識しています。
記者2:藤井四段におうかがいしたいんですが。デビューしてから約1年で、公式戦で羽生竜王、いわゆる第一人者と対局するところまで来たというのは、ご自身の中では早かったのか遅かったのか、思った通りだったのかなど。
藤井:やはり羽生竜王との公式戦での対戦の機会を得るには、こちらが予選を勝ち上がっていかなければならないので、今回その機会を得たのは大変うれしく思っていますし、ずっと憧れの存在でもあったので、その羽生先生と公式戦で対局できるのはとても楽しみにしています。
記者2:先日、佐藤天彦名人とも対局されて、いわゆるタイトル経験者の方とは何度か対局をされてきましたけども、その中では羽生竜王というのは、藤井四段にとっては特別な存在ということになりますか?
藤井:そうですね。私が将棋をはじめるずっと前から、第一線で活躍されてきた先生ですので。そういった意味では、本当に特別な思いがあります。
記者3:テレビ朝日報道ステーションのトクミツと申します。羽生竜王にお話をうかがいたいんですけども。一昨年から、羽生竜王の持つタイトルへの挑戦者は20代の若手が増えてきたと思います。そのことについて、羽生竜王は自然なことと捉えているとお話しされていたんですけど、次の対局が決まった藤井四段は15歳ということですけれども。15歳の若手と競い合う時代がやってくるっていうのも、想定されていたことなんでしょうか?
羽生:最近は公式戦は、自分よりも年下、後輩の人との対戦というのがほとんどですので。私自身も棋士になって30年以上経っていますから、それは普通のことかなと思っています。例えば今期の竜王戦は30期ですけれども、藤井さんはその半分の15期は歴史上の出来事ということで、ちょっとそれには驚かされますし。
ただ一方で、将棋の世界というのは10代の若いときから台頭することができる可能性を秘めている世界でもあると思っているので、これもまたその1つの大きな流れかなというふうにとらえています。
記者3:そういった若い世代との戦い、競い合っていくご自身の心境としましては、羽生竜王がA級にはじめて昇格した年くらいに、当時名人だった米長永世棋聖が羽生竜王について、「近い将来、必ず私を倒しにやってくる存在だ」というようなお話をされていたと聞いているんですが。
今の羽生竜王の心境として、米長永世棋聖のような心情に近いのか、それともまだまだ負けたくないという気持ちが強いのか、どちらでしょうか?
羽生:米長先生は自宅を開放して、若い人たちと一緒に研究をして、40代、50代もずっと活躍を続けられていました。もちろん、経験とか実績も大事だと思うんですけれども、新しい世代、若い人たちの感性とか考え方とか、新しい戦術というのも自分なりに勉強して吸収して、やれるところまで頑張っていくと、そういう気持ちでいます。
記者4:報知新聞のキタノと申します。お二人にうかがいたいんですけれども、約1年弱前に非公式戦で2局指されているかと思うんですが、今回公式戦ということで。非公式戦も真剣勝負である思うんですが、その時と1年経って羽生先生は藤井さんの実力を見て、藤井さんはこの1年間対局を重ねてこられてまた変化があると思うんですが、あのときとは違う心もちで臨まれる1局になりますでしょうか?
羽生:1年前の初めて対戦したときというのは、対戦するのはもちろん初めてでしたし、ほとんど棋譜というのも見たこともなかったのでまったく未知の相手という感じだったんですけど、1年時間が経ちまして、公式戦非公式戦含めて藤井さんの棋譜が公開されて見るようになって、棋風やスタイルとみたいなものは少しずつたくさんの人に見えてきている時期に来ているのかなあと。そういう段階で公式戦で顔を合わせるという意味では、私自身も張り切って自分の持てる力を出し切って臨みたいなと思います。
記者4:藤井四段はいかがでしょうか?
藤井:前回の対戦から1年ということで、その間に私自身も本当にいろいろな経験をさせていただいて、成長することができたと思っているので、その成長を見せることができればと思っています。
記者4:羽生先生、もう1つうかがいたいんですが、すごい失礼かもしれないですけれども、重圧というのは感じないでしょうか?
羽生:将棋って同じ条件でやるものなので、対局が始まってしまえば五分と五分という気持ちと思って、もちろん対局をするというところでのプレッシャーはあるとは思いますけれども、あとは普段と同じように指すつもりでいます。
記者5:朝日新聞のムラカミです。まず藤井さんにおうかがいしますけれど、さきほどデビューしてから1年間成長してきたとおっしゃられてましたけど、自分としてはどういう点が成長したと思ってらっしゃいますか?
藤井:やはりプロ棋士となったことでトップ棋士の先生とも対局の機会を得て、そのなかでまだまだ自分の及ばないところ、課題というものがはっきり見えてきた部分があるかなと思っているので、課題というのを克服しているところかなとと今は思ってます。
記者5:どういった点が課題だと。
藤井:とくに形勢判断についてまだまだ甘いと感じる部分が多いので、そういったところの精度を上げていければと思っています。
記者5:羽生さんから見て、藤井さんはこの1年でこういうところが成長しているかなど、もし思うところがあれば教えていただきたいです。
羽生:もちろんプロになった段階でもうすでにかなり強かったというところが間違いなくあると思います。実際、公式戦を重ねていくなかで場慣れをして、どんな状況でも自分の力を発揮できるようになってきているところだと思います。
司会者:ありがとうございました。お時間になりましたので、これにて記者会見を終了させていただきます。
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