時間を取り戻す

小澤いぶき氏(以下、小澤):最後に、そういったことを考えながら、私たち一人ひとりがどんな関わりができるのかみたいなことを。湯浅さん、先ほどけっこうおっしゃってくださっているんですけど、改めて、お2人から何かおうかがいできたらと。

湯浅誠氏(以下、湯浅):私の最近のホットなコピーは、「時間を取り戻す」ということです。今まで、もうちょっと自分の時間とか、会社だけじゃない時間を、みたいなことを言うと、「そんなこと言ってたら成長できないんだ」って言われて、話が終わるっていうパターンだったと思うんですよ。それで、「そんな無責任なことは言えないんだ」みたいな、「そんなことを言ってるやつは、ゆとりのあるやつだけなんだ」みたいな、そういう言われ方もされたし。

けっこう昔から言ってる人はいたけど、あんまりメインストリームにはならないで終わってきたと思っているんですが。最近だいぶ変わってきたなと思うのは、それこそ、長時間労働規制の問題とか、ダイバーシティ経営とか、グローバル人材とか。いろんな言い方が出てますけど、ワークライフバランスもそうですけどね。

やっぱりもうちょっといろんな、多様な関わりと異質な人との交わりがあったほうが、むしろ経済成長にもプラスだ、みたいな話が……。これもメインストリームになったかと言われると、まだだと思いますけど、それでもかつてよりは相当強く言われていると思っていて。

そうなると、時間を取り戻すみたいな話も、前だったら、「昔はよかった」的なノスタルジーで、昔はもっとみんなのんびり暮らしてたよね、みたいな話だと言われて終わっていたんだけど、もうちょっと経済的にも合理的で、責任もある議論だと見られるようになってきたんじゃないかなと。

そういう意味では、真剣に時間を取り戻すということを言ったり考えたりしていい時期で、だからこそ、子供の居場所とかね。子供だけに限りませんけど、そういうことが、提起してる問題を、世の中的に受け止める素地ができ始めてきてるんじゃないかなと思うし、私たちはそういう素地を育てていく必要があるんじゃないかな、と思うので、そんなことを考えていただければ。

湯浅:という文脈の中で、右手と左手を、お風呂に入っているときにでも、じっと見ていただくと、「これならできるかもな」、みたいに思い付くかもしれませんよね。

家入一真氏(以下、家入):いやぁ、いいな……いいですね、右手と左手ね。いいなぁ。

湯浅:ありがとうございます(笑)。

家入:……え? え!(笑)。

湯浅:回ってきてるよ(笑)。

企業がセーフティネットの代わりにできること

家入:そうですね。うーん。僕、わりと真面目に会社をやっていて、それまではフラフラしてたんですけど、今は会社をやっていまして。

わりと本気で思っているのが、もちろんCAMPFIREとか、そういうもので、どう社会に関わっていくかというのも、それはそれでやりつつ。やっぱり日本って、長期で見ると経済が小さくなっていくと思っていますし、まぁなるでしょうし。

そして、そのセーフティネットみたいなものがどんどん小さくなって、こぼれ落ちる人も出てくるだろうという中で、きっと会社とか、社会とか、そういったいろんなものが、従来のセーフティネットの代替になる、代替というか、会社として何ができるのか、従業員のために何ができるのかとか、本気で考えなきゃいけないんだろうなと思っていて。そのために何ができるのかってことを……。

湯浅:会社が従業員のために何ができるのか?

家入:というのは、すごく思います。今思っているのは、これが再現性があるのかっていうか、どこまでできることなのかわからないですし、それが本当に有効かとか検討していないですけど。

僕らの事務所は今渋谷にあって、スタートアップって、今渋谷にオフィスがいっぱいあるので、いろんなところと共同で、「一緒に託児スペースみたいなのを作らない?」みたいな話を、今少しずつ始めていて。きっと、子育てをしながら働くみたいな。まぁ、「渋谷まで子供連れて来るの?」みたいな話はあると思うんですけど、時短でもいいし。

やっぱり働き場所がないらしいんですね。子育てしているお母さんとか、シングルマザーの方も含めて。そういった方々が働ける場所とか、会社で従業員のためにやれることって、まだいっぱいあるはずだと思っていて、そこをやれたらいいなと思いますね。

家入一真はつまらなくなった?

湯浅:変わった、ですか? フラフラしない家入一真ってね。

家入:つまんなくなったと思います。

湯浅:あ、そうなんですか?

家入:はい、人間的に。いや、元からつまんなかったかもしれない。つまんない人間です。

湯浅:リアクションに困るよなぁ(笑)

(会場笑)

小澤:ありがとうございます。たぶん、自分たちが持っている自分の資源とか、自分の周りのこと。じゃあ自分が会社をやってたらとか、いろんな視点から、子供がひとりぼっちにならないためには、というところも、ぜひそういった視点を持って考えていって、その力がちゃんと合わさっていくと、子供がひとりぼっちにならない環境というのは、ちょっとずつ育っていくんだろうなって、今のお話で思いました。

湯浅:あと、自分もひとりぼっちにならないね(笑)。

小澤:そうですね! まさに、子供をひとりぼっちにしないために、私たちもひとりぼっちにならないっていう、そういった共助ができていくといいなぁと改めて思いました。ありがとうございました。

すみません、グダグダで(笑)。ありがとうございました!

(会場拍手)

クラウドファンディングは魔法の道具ではない

司会者:会場のみなさんも、きっとこういうことを質問してみたいなというのをお持ちの方が多いかなと思いますので、質問の時間にしたいと思います。ちょっとこれを聞いてみたいという方は、ぜひ挙手していただければマイクをお持ちします。

(会場挙手)

はい、ありがとうございます。

スタッフ:会場の時間上、今、手を挙げていただいた方で最後にしたいと思います。3名で。順番にお願いします。

質問者1:すみません、さっき来ました(笑)。学生をやっていて、学生をやりながら、さっき出たフィンテックのベンチャーで働いている者になります。

前、NPOに所属していたときに、クラウドファンディングを実際にやってみたことがあるんですけど、そのときにすごく思ったのが、自分たちがどんなにいいことをやろうと思っていても、マーケティングというか、どれだけの人に自分の思いを届けられるのかというところは自分の専門外で、これをどうしたらいいんだろうというのが、ずっとあって。結局、自分の周りの人々からお金を取っているような感覚になったことがありました。

実際のところ、家入さんのほうでCAMPFIREというかたちでクラウドファンディングを運営されていると思うんですけど、これから新しく何かをしようと思ったときに、お金が欲しい・クラウドファンディングをしようと思ったときに、いろんな人にリーチするために、どのようなことをされているか、どのようなことをしていきたいと思っているか、そのあたりをうかがえればと思っています。

家入:そうですね。CAMPFIREとしてもだし、プロジェクト単位として、やっぱりコミュニティをどう作っていくかということになっていくんだろうなと。

よく僕らも説明する話として、3分の1ルールっていうのがあって。例えば、目標金額が100万円だったら、33万円は、まず身近な、リアルな知人だったり友人だったり親だったり兄弟にお願いして入れてもらいましょうと。33万貯まってくると、ネット上でそれが拡散され始めて、あぁ貯まってきているなっていうことで、追加で33万くらい入ってきて、最終的には、もう見ず知らずの人たちが残りの33万を入れてくれる、3分の1ルールみたいなものが実はあって。

最初の助走は自分たちでがんばらなきゃいけない部分もありますよと。もちろん、僕らも拡散したりとか、いろいろとお手伝いするところもあるんですけど、やはり、掲載しただけで集まるものではない、魔法のツールではないよというところは前提としても、先ほどお話させていただいたように、みんなが消耗して終わってしまうものになってしまったら意味がないので、そこで何ができるのかというのは、僕らもどんどん、もっと考えていきたいなとは思っている部分です。

1つは、コミュニティをどう形成していくかという機能になる気はしています。

声をあげたくてもあげられない人に対してできること

質問者2:支援を求めるお子さんに対して、いろいろな手を、ということはあると思うんですけども。僕、一番答えが出ないことが1つありまして、手を挙げられない子をいかにして探し出すか。今日のお話はお3人方にまったく同意で、1人の専門家が全部包括して支援できるという立場には、まずないわけですね。

私は先ほどもお話したように、労働問題をやってるんですけども、よく労働相談をやっているときに、ご飯を作って待ってました。すると、だいたいお母さん方が一緒に来るんですよ。「今日やってるんですか?」と、いきなり公衆電話からかかってきて、ガチャっと切れて、20キロ歩いてご飯食べに来たっていう方もいらっしゃる。

そういうバックグラウンドにいろんな問題を抱えているときに、積もり積もって、ギリギリのときになって、やっと手を挙げる方がいらっしゃる。挙げられなくなると、下手すると生命の問題に関わってくるような問題になってくるケースを経験しています。

そうならない中で、誰かに相談してもそれが飛び飛びで、「どこかでいい答えが返ってくるよ」という状況が続ければベストだと思っているんですけど。それは、いろいろ専門家と言われる人がネットで情報を発信していて、この問題だったらこの人に聞いてみなっていうことが、ゆるくできていければいいと思うんですけれども。

改めて、何かいいお考えとかっていうのはないでしょうか?

湯浅:いいお考えがあるかどうかわからないですけど、基本、本当にしんどい人はしんどいとは言わないですよね。なので、大きく2つなんじゃないかと思うんですけど。1つは、やっぱりアウトリーチですね。それはもう、こちらから出かけていくしかないというのが、1つと。

あともう1つは、手を挙げられない人をどうやって見つけ出すかという問題の立て方そのものを変える。つまり、「手伝ってくれ」と発信する場所をたくさん作るみたいなかんじですかね。

やっぱり、誰でも人にサポートされるのは嫌なものですから。なので、「しんどいんじゃないのか? 君は?」みたいな感じにいくと、子供も大人もそうなんですけど、「いやいや、そんなことありませんよ」って言いたくなっちゃうので。手伝ってくれというかたちで、支えられるといいと思っておりまして。

これは、大人もそう。「大人も」というよりかは、大人がとくにそうなんですけど。それがうまくいくと、みんなが何て言うかというと、「しょうがねぇな」って言ってやるんですよね。なので、いかに「しょうがねぇな」と言わせるかが、支援者の力量だと思うところもありまして。

そういう意味では、「ちょっと手伝ってくれ」と言っているようなところがいっぱいあると、結果的に、そうした子なり、大人も含めて、サポートできる。あるいは、キャッチできるような余地が広がるのではないか、と思ったります。

質問者2:ありがとうございます。