ありのままのトランプが受けている

ドナルド・トランプ氏(以下、トランプ):紳士淑女のみなさん。今朝この場にみなさんといられることは大変な名誉です。大統領の朝は早いのです。いかにも大統領らしいでしょう。

テレビでこう言った人がいました。「彼は国民に受けないだろう。おもしろがられるだけだ」。私が出馬したばかりのころの話です。興味深いでしょう。

立候補当初、(共和党の)候補者は17人でした。上院議員、州知事、そうそうたるメンバーです。例えばベン・カーソン医師です。彼は賢く、すばらしい人です。私の支持を表明してくれました。カーリー(カーリー・フィオリーナ共和党候補、ヒューレット・パッカード元CEO)も、みなそれぞれ実績ある人々です。

(会場笑)

ところが、この17人が次々撤退しました。毎週誰かが脱落しました。一体全体、なにが起こったのでしょう。ジェブ・ブッシュ(ジョン・エリス・ブッシュ)は1億6,800万ドルの選挙資金を集め、ロムニー(ウィラード・ミット・ロムニー)は出馬を断念しました。

ジェブ・ブッシュがロムニーに「出馬すれば、1億ドル以上の選挙資金をもって潰しにかかる」と迫り、4年前の出馬時同様、ロムニーは縮み上がったのです。前回選挙では最有力候補者だったのですが、今回はジェブ・ブッシュに追い落とされてしまいました。

ジェブ・ブッシュにも立派な経歴があります。8年間フロリダ州知事を務めました。ジェブ・ブッシュもよい人です。本当ですよ。脱落したからです。脱落した人は全員よい人で、友人です。前回の選挙戦での、ロムニーとルビオ(マルコ・ルビオ)の指名争いを覚えていますか。いつも演説の冒頭は「マルコは私の大切な友です」で始まり、私は「あいつは絶対ルビオを嫌いだ」と言っていたものです。政治トークと言うやつです。でも報道ではそう話すことが大事なのです。

マスコミは「ありのままのトランプが受けている。17人の候補が次々脱落した」と報道しました。今は候補者は2名ですね。こんな対抗馬は0.5名、つまり1名に等しいです。私が大統領らしくふるまったら、残るのは私1名になりますから。だって今朝のスピーチだって、私以外の人だったら、こんなに大きな会場にはならなかったでしょう。会議室かなにかに過ぎなかったはずです。

次世代のタイガー・ウッズ

私は先週から、大統領らしく振舞うようになりました。妻や娘を始め、ポール・マナフォート(トランプ陣営コンサルタント)、コーリー(コーリー・ルワンドウスキ、トランプ陣営の選挙対策責任者)に「大統領らしく振舞うように」と言われてきました。ところが近頃、人の目が変わり始め、こんなことを言うようになりました。

「この男は、野球の首位打者のようなものだ。マイナーリーグから頭角を現し、自分のスイング法を確立したんだ。全米アマチュア選手権からPGAルアーに行くゴルファーのようだ。すばらしい。まさに次世代のジャック・ニクラウスだ。まさに、次世代のタイガー・ウッズだ」。

ところがこのような場合は、マネージャーが突然こんなことを言うのです。「いやあ、あいつのスイングは気にいらないね」。スイングを変えろ、そうすれば成功する、という圧力がかかり、それきりとんと噂を聞かなくなります。こういった連中のその後を見たことがありますか。

私はこういったことをずっと研究してきました。例えばデューイ(トーマス・E・デューイ、共和党)が立候補した時です(1948年大統領選)。デューイはトルーマン(ハリー・E・トルーマン、民主党)の対抗馬で、世論ではトップをぶっちぎり、有望視されていました。

トルーマンは「ハリー、やつをやっつけろ」と言われていましたよね。トルーマンは、国民からいやなやつだと思われていましたが、大番狂わせが起こったのです。デューイのほうが大統領らしかったのですがね。ところで、私のルックスは大統領らしいでしょうかね。どうです。立派な大統領にふさわしい堂々たるものでしょう。

(会場大歓声)

紳士淑女のみなさん、誠にありがとうございます。

私は出馬した時から常にナンバーワン

ドラッジ・レポート(米保守系のニュースキュレーションサイト)によると、私は11回ステージ討論に出演しているようです。まとめているドラッジさんは大した人ですね。ドラッジやタイム誌がオンラインで世論調査をしているのです。

オンラインで世論調査されるすべての討論に出席して、すべての討論で中心にいました。しかも私はこういった討論は未経験者なのですよ。

私の人生は討論づくしでしたが、政界のヒルみたいな連中との、こういったステージでの討論は初めてです。あの連中は年がら年中、こういった討論ばかりやっています。ところが私は未経験者だったのに、いつもステージではセンターでした。

私からのリクエストはただ1つ「出演者の人数は奇数にしてくれ」というものでした。なぜだかわかりますか。偶数だと、私がほかの人と一緒にセンターに立つはめになるからです。5人だとセンター、6人だとほかの人とセンターをシェアで、それはいやなのです。

(会場笑)

だから私は闘うわけです。いつも勝つわけではありませんが。いつもセンターステージです。すべての討論でナンバーワンです。出馬した時から常にナンバーワンです。

思い出すのは「トランプはそのうち変わるだろう」と言っていたマスコミが、昨日「トランプはこれまでにない、すばらしい大統領になるだろう」という世論が出ても、今度は「トランプは誘導された」と言い出すわけです。この人たちは、もう病気ですね。絶望的です。

で、この記事を見てください。クルーズ(テッド・クルーズ共和党候補)が言ったことです。「嘘つきテッド(トランプ候補がクルーズ候補につけたあだ名)」です。「トランプが(メキシコとの国境に)壁を作るはずがない」。クルーズはそんなことは言っていませんよ。ただ、トランプは大統領にふさわしいし、今後変わるだろう、国民は多いに喜ぶはずだ、と言っただけです。

中国やISISを倒さなければならない

さて、私は断固たる態度を取るつもりです。中国やISISを倒さなくてはなりません。

(会場歓声)

アメリカは中国に、貿易でこてんぱんにされています。ISISに関して言えば……“ブルドッグ”ジョージ・パットン(ジョージ・スミス・パットン・ジュニア将軍、第二次世界大戦などで活躍した)を想像してみてください。彼はタフでした。

何年にもわたって軍務に就き、戦時中は国民に愛され、鞭を片手に戦場に臨みました。現在だったら、だめですね。彼のような人物は、放り出されるでしょう。「タフすぎる」という理由で伍長レベルにとどまるでしょう。

マッカーサーはまた別のタイプです。ダグラス・マッカーサー将軍は、ウェストポイント(米陸軍士官学校の通称)史上最高の成績を修めたそうです。私はうらやましいですね、成績は私にはとても重要なポイントです。とにかく大変賢い方です。

この2人はまったく別のタイプでしたが、共通点がありました。彼らには、勝利の手段がわかっていたのです。今の我々には、わかっていませんね。なぜなら、もはや勝とうと思わなくなったからです。

では例えば、ジョージ・パットンが、1週間以内でISISをやっつけられない今のアメリカの現実を見たら、なんと言うでしょうか。とにかく、速やかにISISをせん滅しなくてはなりません。速やかにです。

(会場大歓声)

昨日聞かれました。「具体的に、あなたはどうISISを倒すのでしょうか。あなたの計画を話してください」。絶対に勝つことはできますが、私の計画をみなさんにお話しするつもりはありません。

私がずっと「原油を取りに行け、原油を取りに行け」と言っていたのを覚えていますか。実際、すばらしいプランはあるのです。絶対に成功します。それはどんな計画でしょうか。

私は言いたくありません。私は、予測不能でありたいのです。相手に「大変な事態になった」と言わせてやりたいのです。ですから私は4ヵ月間「話したくない」と言い張りました。散々叩かれましたよ。「トランプには計画がない」と言われました。

計画がないのは単に伝えなかっただけ

だから私は、計画はある、誓って計画はちゃんとある、でも事前に話したくない、単に予測不能でありたいだけだ、と言い続けたわけです。

バラク・オバマの二の舞にはなりたくないのです。

(会場ブーイング)

何ヵ月か前にも「50人の精鋭を、イラクとシリアに派遣する」と宣言していましたね。なんでわざわざそんなことを言うのでしょう? わざわざ敵に、派兵を教えてやるのでしょう? 精鋭たちは、銃撃の標的を背中に背負わされているも同然です。

(会場ブーイング)

イラクにまだ米軍が駐留しているのですから、空爆するのではなく、原油をおさえに行くべきです。向こうに、トランプはタフガイだ、動きが速すぎる、と言わせたいのです。私も、イラク派兵に反対していた1人です。何年も前から、そう訴えていました。当初からイラク派兵は失敗でした。中東の情勢を不安定にするだけでした。そして、私は正しかったわけです。

遅れては来ましたが、私は米軍を大きく強く、パワフルに立て直してみせます。誰にも手出しはさせません。

(会場「トランプ」コール)

みなさん、大盛り上がりですね。ではまとめます。アメリカは予測不能になり、原油をおさえます。忘れもしませんが、最初に申し上げたとおり、マスコミは「トランプには計画がない」と報道しました。計画がない理由は、マスコミに計画を伝えなかったからです。公言したくない、と言ったのです。

でも、こういったことは、あのヒルのようなリポーターの連中には、わからないのです。だから、彼らは「ドナルド・トランプには計画がない」と報道するわけです。

日本は大好きだが、金を払え

日本についても同様です。私は、日本は大好きですよ。日本人の友人は大勢います。でも彼らは、追い剥ぎのようにアメリカから富をむしり取って行きます。日本もそのことは知っていますし、世界中にも公然の事実です。日本はアメリカに、何百万台も車を売りつけていますが、アメリカから日本へは、ほぼなにも売っていません。貿易不均衡の話をしているのです。グラフを見ると、日本が上で、アメリカは遥か下です。でもまあ、私は日本は好きですよ。

先日「ワシントンポスト」に話したのですが、我々は弁済を受けるべきなのです。経済的な話です。アメリカは、日本、ドイツ、韓国などの国々の駐留地の安全を保障するために、巨額の資金を支出しています。アメリカの防衛費は、他国のそれをはるかに上回っています。外国を守っているわけです。安全は保障しますが、しかし突き放すことも必要で、代償として相手国にも経費を支払わせるべきなのです。

次は、NATOについてです。(CNNの)ウォルフ・ブリッツァーに「トランプさん、NATOについてどうお考えでしょうか?」と聞かれました。NATOについては、これまで散々お話ししてきました。

私には世間で通用する一般常識があります。そこで2点、お話ししました。1つは、NATOは時代遅れだということです。そして私は正しかったのです。NATOを専門に研究している専門家が、答えを出すのに1週間かかりました。あんまり専門一辺倒だと、かえってわからないものなのですね。専門家たちは、トランプの言っていることは正しい、NATOはテロリズム相手には無力だ、と言いました。

また、参加国に問題があります。48か国ですが、この参加国に問題があります。

もう1つ、経費が掛かり過ぎます。アメリカは、無料サービスを提供しすぎるのです。適正な資金を提供しているのは、5ヵ国しかありません。

マスコミはこういったことを、きちんと書きません。経済の話をしても、全部カットされます。こういった調子です。「トランプ、日本に軍備を要求」。日本に軍備を要求しているのではないのです。結果としては、実際に武装してもらっても構いませんが。要するに、日本は金を払え、ということなのです。アメリカは、無駄金を払い続けるわけにはいかないのです。アメリカは、日本が金を出した上で、北朝鮮の偏執狂の核から、日本を守るべきなのです。

(会場拍手)

でもマスコミは、こういった見解をきちんと報道しません。あたかも、トランプはめちゃくちゃなことを言っているかのように編集します。見出しがこうなります。「トランプ、日本に軍備を要求」。別に軍備は要求しませんが、アメリカが損をしないためには、金を払え、ということです。これは、ぜひ解決するべき問題です。

サウジアラビアは米国なしでは1週間もたない

サウジアラビアは、アメリカが安全を保障していなければ、1週間ともたないでしょう。にもかかわらず、常に金銭面でいちゃもんをつけてきます。世界一金持ちのくせに、です。原油価格が上昇した時に、さんざん儲けておきながら、さらに資産を増やすことに余念がありません。

アメリカが守っている間、サウジアラビアは、原油高騰時に1日何億ドルも稼いでいました。こういった問題をきちんと理解した人材が必要なのです。サウジアラビアは、アメリカ軍が引きあげると言えば、大金を支払うでしょう。アメリカが守っていなければ、1週間とはもたないからです。

イランを見ればわかります。イランは、イエメンを狙っています。イエメン自体がほしくてイエメンを狙っているのではありません。イエメンが、サウジアラビアと長い国境を介して接しているので、その原油を狙っているのです。米軍が守っていなければ、原油はすぐに奪われるはずです。ですから、サウジアラビアには、防衛費を支払わせる必要があります。

具体的には、こうします。まず、アメリカは、実りのない交渉を一切やめるのです。すると、翌朝にはサウジから電話がかかってくるはずです。

アメリカは経済、国家、貿易を立て直し、強力な国境を築きます。そう、(メキシコとの国境に)壁を作るのです。資金を出すのは誰でしょうか?

会場:メキシコ!

トランプ:そう、100パーセントです。

製造業の雇用が流出している

さて、このスピーチの冒頭でお話ししようと思っていたことを、急いでお話しします。「製造業の雇用の流出ほど、苦渋に満ちた悲惨な結末はない」。その通りですね。

ウォーターベリーにおける製造業の雇用は、1990年代以降60パーセントも減少しています。ひどいありさまですね。私は、ニューヨーク州でさまざまな都市を視察してきました。シラキュース、アルバニー、ポキプシーなどです。産業がさかんだった街を視察しましたが、ひどいものでした。ロードアイランド州にも行きました。私の大好きな所です。

アメリカ議会が、2001年に中国の世界貿易機関への加盟を承認して以降、ウォーターベリーの製造業の雇用は50パーセント近くも減少しました。「嘘つき」テッド・クルーズが、これを強く後押ししました。

これらの国々は、通貨操作や自国通貨価値の下押し圧力を使って、アメリカに害を与えています。貿易の話です。

テッド・クルーズは、中国の通貨操作に加担しています。なぜなら、反対しないからです。ケーシック(ジョン・ケーシック、共和党候補)はNAFTA支持を表明しています。NAFTAは、アメリカの貿易に大打撃を与えました。雇用が流出したのです。ケーシックのせいです。また、彼らは選挙後に即TPPを批准するつもりでいます。TPPは、NAFTAよりひどい事態を招くことでしょう。

ウォーターベリーの労働力は、ほんの5年前に比べて、3,000人も減少しています。これはひどいですね。私が思っていたよりもひどい事態です。なにが起こっているのでしょう。

会場:壁を作れ!

トランプ:いや、これは壁で解決する問題ではありませんね。不法移民やドラッグなどの問題には壁は有効ですが、実際に悪いのは中国やそのほかの国々です。

とくに問題なのが、メキシコです。たくさんの企業がメキシコに流出しています。すばらしい都市であるインディアナポリスからメキシコに移転した、キャリアー社(米空調設備メーカー)のようにです。

私が大統領ならそんなことはさせません。キャリアー社がアメリカに逆輸入させる製品に、関税をかけてやるからです。そうしたら「移転する」などとは言い出しません。オーケーですね。極めてシンプルです。

支持者の議員を紹介

これは「ハートフォード・クーラント(コネチカット州の新聞)」からの抜粋です。いい新聞ですね。でも私の支持表明はしてくれないでしょうね。私は彼らの好みのタイプではなさそうです。まあいいでしょう。

「今日、多数の工場が流出し、一時は賑わっていたダウンタウンも、一気に規模が縮小してしまったが、今でも誇りは失われていない」。みなさんからも誇りは失われていませんね。私の集会にこうして集まってくださっているのですから。

さてここで、トニー・デミリオ議員(コネチカット州議会議員)をご紹介させていただきます。私はトニーが大好きです。この地域で、最初に支持を表明してくれました。

アンソニー・デミリオ氏:どうです、トランプは、すばらしい人物でしょう。

(会場歓声)

選挙本番で、私たちが支持すれば、彼は、アメリカを再び偉大な国にしてくれるでしょう。コネチカットのみなさん。どうぞ投票場に来て、1票を投じてしてください。ご近所さん、お父さんお母さん、みんなです。1票が必要です。1票を投じましょう。

(デミリオ議員退場)

トランプ:いい人ですよ彼は。最初に私を支持してくれました。感謝しています。絶対に忘れません。

支持を表明してくれる人たちは、もちろんありがたいのですが、ブッシュも支持するわ、ほかの候補者も支持するわで、節操がありません。挙句には、「支持を表明しますので、成績を見せてください。なに、“D”ですと。ではやめます」などと言い出す始末です。

トニーはその点、すばらしいです。彼のようなすばらしい人々は、当初から支持してくれて、私はこのような人々が大好きです。絶対に恩は忘れません。