新経済連盟が設立された目的

三木谷浩史氏:皆さま、新年あけましておめでとうございます。新経済連盟の新年会に起こしたいただきまして、誠にありがとうございます。代表理事を務めさせていただいております、三木谷でございます。

本年も皆さんと一緒に、素晴らしい1年になることを祈っております。本日は少し、楽てn……すいません、新経済連盟の(会場笑)、お話をさせていただきたいと思います。

新経済連盟も今年で4年目ということで、会員数もグッと増えまして、545社ということになりました。ますます、日本の社会と経済に貢献をしていきたいと考えております。

少しだけ、我々がなぜこういう団体を作ったのか、というお話をさせていただきたいと思っています。

ご存知の通り、我々は今、インターネット革命が起こっているというふうに思っているわけでございます。まず第一の革命は、18世紀から19世紀のかけての、第一次産業革命ということでございました。

基本的には蒸気機関が発明されて、動力が大幅にアップしたということで、大量の人と輸送、また新たな製造というものが可能となった時代なのかなというふうに思っております。

そして続きまして、19世紀末から20世紀にかけた第二次産業革命。これによって、石油、または電気を使った動力というものが確保されたということでございます。電灯、電車、電話、ラジオ、あとは自動車、飛行機、さまざまな物が発明されて、人々の生活が大きく変わったと。

そして通信というものが出来たのも、この第二次産業革命でございました。

今まさしく、1980年代に登場しましたインターネット、そして89年にワールド・ワイド・ウェブ(WWW)、ハイパーリンクというものが発明されまして、まさしくインターネット革命が起ころうとしております。

ビッグデータ、インターネットオブシングス(IoT)、そして人工知能という形で、恐らく今年はさらに大きな変革が起きる年なのではないかなと思っております。

インターネット革命がもたらすこと

ただこのインターネット革命というのは、我々のようなインターネット業界であったり、あるいはIT業界だけに関係していることではありません。

このプラットフォームの大きな進化というものは、人々の生活、行動、それから買い物であったり、旅行、教育・学習、医療、出版、通信・コミュニケーション、金融、またマーケティングの考え方、あるいは国境とか国家の考え方、それからメディア、またスマートグリッドを中心とした電力、そして交通・輸送、最近はシェアードエコノミーなんて呼ばれてますけども、そういうことまで全てを再定義する時代がきているのではないかな、というふうに思っております。

2014年の活動を振り返る

そういうバックグラウンドのなか新経済連盟といたしましては、昨年もさまざまな活動をさせていただきました。

まず4月には、新経済サミット、NESということで、安倍総理にもご参加をいただき、世界中からさまざまな、非常に影響力のある方々にお集まりいただきまして、これから社会はどういうふうに変わっていくのかというお話をさせていただきました。

また7月にはイノベーション大賞ということで、初代イノベーション大賞には、iPS細胞でノーベル賞にノミネートされた山中(伸弥)教授をノミネートさせていただきました。

そして11月には、みらいの視察団ということで、フィンランド、エストニアという世界でももっとも先進的な取り組みをしている国に行きまして、両国の大統領、そして総理という方々と意見交換なども行ってまいりました。

昨年の12月には失敗力カンファレンスということで、失敗を恐れないでチャレンジをしようということで、このような新しい形のカンファレンスをさせていただきました。

新経済連盟の活動内容

新経済連盟は、基本的には3つのフレームワークで活動させていただいております。

ひとつが、イノベーション。もうひとつが、アントレプレナーシップ。3つ目が、グローバリゼーションということでございます。

このようなイベントの他に、地道にさまざまなプロジェクトをやっておりまして、現在、ITイノベーション、エネルギー改革、起業促進など、全部は読み上げませんけれども、14のプロジェクトを推進しております。そのなかでもっとも大きな成果が挙がりましたものを、3つだけ説明させてください。

ひとつめが、対面原則・書面交付原則の撤廃ということで、デジタルファーストといいますか、基本的にはIT技術をどんどん使って、より効率性を上げて、そして競争力を上げていこうという話をさせていただきました。

この一環のなかで、去年の6月より一般医薬品のネット販売も解禁されましたし、不動産取引についても、一部取り組みが始まっております。

ふたつめは、アントレプレナーシップ。こちらには安倍総理にもご協力いただきまして、日本ベンチャー大賞、総理大臣賞というものを我々が提案させていただきまして、内閣のほうから出していただけるということになりました。

まさに今日、その授与式が他の会場で行われているということでございます。

そして三番目がグローバリゼーションということで、英語とプログラミング教育、こちらの改革にも積極的に取り組んでおりまして、2021年には大学入試試験における新テストの導入と、道筋が出来たのかなというふうに思っております。

新経済連盟の存在意義と使命

新経連としてはとにかく、今の延長線上にはもしかしたら未来はないよと、See Around the Cornerということで活動させていただいております。

基本的には今お話させていただいた通り、今の延長線上には未来はない、かもしれない、ということで新しいフレームワークを作っていきたいということで、新経済連盟のさまざまな活動をさせていただいております。

そんななかで、今年から新しいスローガンというものを作らさせていただきました。

それは「Hello, Future!」ということで、このスロ-ガンを基に今後、新経済連盟の活動をしていきたいというふうに思っております。

Hello, Future! 新経済連盟、今年も1年間よろしくお願い致します。明るい日本の未来のために、共に歩んでいきたいと思っております。そういう想いと願いを込めさせていただきまして、新経済連盟の年頭所感とさせていただきたいと思います。どうもご清聴ありがとうございました。

安倍総理より新年の挨拶

安倍晋三氏:安倍晋三でございます。本日は、新経済連の新年会がたくさんの皆さまのご来会のもとに盛大に開催されましたことを、お慶び申し上げる次第でございます。

昨年末、皆さまのご指示をいただきまして、引き続き、内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。新たな年を迎え、改めて身の引き締まる思いであります。今年も経済最優先で政権運営にあたっていく考えであります。

三木谷さんや金丸(恭文)さんには、産業競争力会議、IT総合戦略本部、規制改革会議にも参加をいただき、私の改革を強力にサポートいただいており、大変心強い限りでございました。感謝申し上げるとともに、今年も引き続きよろしくお願いしたいと思います。

先ほど、三木谷さんからご紹介をいただきましたが、新経済連のご要望はほとんど、我々がやらさせていただいているのではないかなと、こんなように思います。

(会場笑)

私たちも感謝申し上げますが、皆さんにもちょっと感謝していただきたいと思います。

(会場笑)

日本経済を必ずや再生する、そのためには、これまでにはない大胆な改革を進めなければなりません。今年は、あらゆる改革を大きく前進させる1年にしたいと思います。

今月始まる通常国会を、改革断行国会にしたいと考えています。農業・雇用・医療・エネルギーといった分野での岩盤規制改革をさらに強力に進めるための法案を提出いたします。

改革が後退したり、骨抜きになったりすることは、決してありません。

残念ながら先の臨時国会で廃案となった国家戦略特区法の改正案や、女性活躍推進法案も成立を目指してまいります。日本企業が稼ぐ力を取り戻し、国際競争に打ち勝つためには、成長分野への投資や、雇用のシフトが必要であります。

イーロン・マスク氏は「意外に常識人だった」

既存の企業に改善を迫るだけでは、日本企業の体質や慣行は一変しません。産業の変革の担い手になるのが、ベンチャー企業であります。

昨年9月、ベンチャー企業の雄、テスラ・モーターズのイーロン・マスク氏にお目にかかりました。予想外に、物静かで、常識的な方でありました。

(会場笑)

逆に、常識的な人が、電気自動車やロケットといったフロンティアに失敗を恐れず、果敢にチャレンジする。これがアメリカの文化であり、社会なのだと実感したところであります。

もちろん、新経済連の皆さまも、物静かで、常識的であるということは申し添えておきたいと思います。

(会場笑)

テスラ・モーターズのようなベンチャー企業が次から次へと生まれ、世界をリードするような新産業を生み出さなければなりません。真の経済再生は望めません。その起爆剤となるよう、先ほどご紹介いただきましたベンチャー大賞を創設いたしました。藤田(晋)さんにも審査員としてご協力いただきましたが、今晩まさに第一号を表彰致します。

ベンチャー大賞以外にも、新経済連盟には起業家と大企業や投資家を結びつける「ベンチャー創造協議会」の設立や、小学生や中学生向けの起業家教育で議論をリードし、プロジェクトの成功に向けてご尽力いただいています。

資金面でもしっかりと支援をします。昨年2月には、個人と会社の資産を区分してしっかり管理していれば、個人保証がなくても融資が受けられるよう、新たなガイドラインを作りました。

こうしたものを作っても、今までなかなか利用できないということが多かったわけでありますが、この件に関しましてはすでに、政策金融公庫と商工中金だけでも10ヶ月に約40000件の融資を実行しているところであります。ぜひこれを使いたいという方は、どしどし申請をしていただきたいと思います。

そして、ベンチャー企業にとって最大の悩みの種は、販路が広がらないことであります。創業10年未満の中小ベンチャー企業の商品サービスについては、政府調達の際、優先的に調達する仕組みを作ります。先の臨時国会では残念ながら廃案になりましたが、この通常国会での成立を目指します。

ベンチャー企業が大企業にハンディキャップを持たずに、思い切って活躍できるようにするためには、ITを活かしたネットワーク社会を実現しなければなりません。ITの利活用を原則とするようなネットワーク社会の構築に向けて、対面・書面原則の見直しを進めます。

あわせて、ビッグデータ時代の到来を踏まえ、パーソナルデータの利活用を推進するための個人情報保護法の改正法案や、これまで手を付けられてこなかった預貯金口座にもマイナンバーを利用可能とする法案を、通常国会に提出いたします。

成長志向の法人税改革は、初年度にふさわしい大胆なものといたしました。減税を先行させて、平成27年度には2.5%、平成28年度には3.3%の引き下げを決定しており、今後もさらなる上乗せを目指してまいります。皆さんもおおいに利益を上げて、それを賃上げや投資にどんどん回していただきたい。このように思います。

最後になりましたが、新経済連盟の皆さまのさらなるご健勝とそしてご成長、成長していただき、さらに税金を払っていただきたいと思うわけでありますが……。

(会場笑)

安倍晋三氏:日本のためにもおおいに貢献をしていただくことを期待いたしまして、ご挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(拍手)

司会:安倍総理、ご多忙の中お越しいただき、ご挨拶をいただきまして誠にありがとうございました。なお、安倍総理はこれで公務のためご退室されます。皆様、安倍総理を盛大な拍手をもってお見送りください。ありがとうございました。

(拍手)

甘利大臣「上流と下流を最短距離でつないでいく」

司会:続きまして、経済再生担当大臣 甘利明様よりご挨拶いただきます。甘利様、よろしくお願いいたします。

(拍手)

甘利明氏:上司がいるところでしゃべるのはやだなあと思ってましたから、しゃべりやすくなりました。

(会場笑)

甘利明氏:代表理事の三木谷さんはじめ、新経連の皆様には日本経済の問題点を的確にご指摘いただき、そして健全な経済の発展に対する提言・ご貢献、そして実践をいただいておりますことに、まずもって感謝を申し上げます。

総理からもお話がありました、三木谷さんや金丸さん(には)、政府の、私どもの機関に入っていただいて具体的な提言、改革に向けた作業に参加いただいております。

アベノミクスはいろいろな表現がありますが、私なりの切り口でいいますと2つです。ひとつは「好循環をしっかり回す」、もうひとつは「日本をもっともイノベーティブな国にしていく」ということであります。

(1つ目は)事業環境をよくして、企業にはしっかり儲けていただいて、それを賃金と下請け代金と自らの研究開発・設備投資に回していく。そのことを通じて消費がさらに喚起され、企業の業績がさらに上がっていく。新年度はぜひ給料を上げてください。

2つ目が、日本をもっともイノベーティブな国にしていくということであります。基礎研究=上流と、実用化・製品化=下流を最短距離で繋いでいく国家システムを、いま作っているところであります。これに関しても規制改革、そして好循環を実現していく、上流と下流をしっかり繋いでいく。各方面で提言いただいておりますことを感謝申し上げます。

そしてイノベーションといえば、何よりイノベーション大賞。新経連の理事の皆さんは、私費を拠出されて大きな金額にして、イノベーションに貢献した人に賞を出していただいているわけであります。理事均等割というふうに聞いておりますけれども、「総資産割にしてくれ」という声も聞こえてくるようでありますが……。

いずれにいたしましても、なかなかできないことを自ら進んでやっていただいております。その意気に応えて、我々も事業環境を徹底的に良くするためにしっかり取り組んでいく1年にしたいと思います。おめでとうございます。

(拍手)

ケネディ駐日大使の挨拶

司会:甘利様、ありがとうございました。続きまして、駐日米国大使キャロライン・ケネディ様よりご挨拶いただきます。それではよろしくお願いいたします。

(拍手)

キャロライン・ケネディ氏:新年おめでとうございます。昨年2014年に皆様方が成し遂げられたすべてに対して、心よりお祝いを申し上げたいと思います。

安倍総理ご出席の本レセプションに同じく出席させていただくことを、大変光栄に思います。甘利経済再生担当大臣、日米同盟のためのご尽力に心から感謝申し上げたいと思います。また、新経連代表理事の三木谷氏に対しても心から感謝申し上げたいと思います。また、ご来賓・友人の皆様方、本日はご招待ありがとうございました。

日米同盟は安倍総理とオバマ大統領のリーダーシップのおかげで、今までになく力強いものであります。この1年も経済的パートナーシップとともに、世界に平和をもたらすために、ともに連携できる年となりますことを楽しみにしております。

2015年はさらなる変革、そして大胆な改革、イノベーション、グローバリゼーション、繁栄の年となることでしょう。そしてその先陣を切るのは、新経済連盟の会員各社であります。女性のエンパワーメント、若いグローバル市民の採用、そして日米両国の経済関係の強化におきまして、皆様方と連携できますことを楽しみにしております。

すばらしい2015年となることを心からお祈り申し上げます。