いかにデータを収集するかの対となる、プライバシーの問題

小林佑樹氏(以下、小林):続きましてプライバシーにいきたいと思います。翔太くんお願いします。

斉藤翔太氏(以下、斉藤):プライバシーのところは先ほどAR Cloudのところでもちらっと触れたので、ここではサラッといきたいと思います。

XRの大御所とかもわりと問題提起をしていて、さっき出てきたCharlie Finkだとか、WIREDのKevin Kellyなどのセッションの中でも、やっぱり大きな2つの課題がある中で、プライバシーの話がちゃんと出てきているというのがありますね。

AR Cloud、彼らは「Mirror World」と呼んでいるんですけど、それを作り上げるときに誰が初期のデータ収集をするのかということだけじゃなくて、スキャンの拒否とか、そういった権利のプライバシーに関連した問題が絶対に出てくるよねと言っています。それこそGoogleのストリートビューですでに発生している問題の、AR Cloud版というのは100パーセント出てくるわけです。

ちょっと動画が撮れなかったんですけど、実際に会場で流れていた動画の中で、2人が談笑していて、そのときに手元でボタンかなんかをポチっと押すと、その周りにヴェールがバーっと出て見えなくなるみたいな。そういった動画が流れていたり。そういったイメージも作っていかなきゃいけないよね、というような、プライバシーに対してすごく意識が向いているところがあります。

そこに対して、けっこう6d.aiが進んでるなと思ったのが、すごくソリッドな解決策を自分たちで持っていて。これは、Semantic Segmentationのデモです。すごい精度で撮れてるんですよね。けっこうTwitterでバズったりしているので、見た方もいると思うんですけど、すごい精度で、ちゃんと人を撮れている。

従来は、AR Cloudを構築するにあたって、人だけどけて3Dメッシュを作れるよねという価値提供だという認識がすごく多いと思うんですけど。これによって、3Dメッシュの獲得精度向上だけじゃなくて、プライバシーの対処にも活用できるよね、と明確に言っているんです。

プライバシーへのケアを怠ると、その時点で業界から干されてしまう

斉藤:右上は自分たちで……これは6d.aiのキーノートだったんですけど、クロスプラットフォームだけじゃなくて、プライバシーとかデータオーナーシップの話をしていて。そのどちらもちゃんとケアしてるのがうちだよね、ということを言っていました。

メカニズムはさっきお話したとおりですね。エッジ側で全部処理して、Semanticでカットして、最後に撮れたデータだけをクラウドにアップするのでプライバシーに配慮しているということを言っていたりするんですけど。そういったところをめちゃくちゃケアしてるんですよね。

右下のスライドですが、これができたら何が嬉しいのか、真っ先の一番上にプライバシーが書いてあったりするんですよね。ということからも、すごくプライバシーに(配慮していて)、6Dだけじゃなくていろんなセッションでもプライバシーがどうだとか言っています。

それこそ内容がテックのトークセッションでも、プライバシーについての質問が飛んだり、ここは業界全体としてすごく盛り上がっているところだと思います。

OpenARCloudの中のワーキンググループの1つに、プライバシーというグループがちゃんとあったりするので、そういったことがすごくありますね。

なので、裏を返せばなんですけど、例えば今後日本発のARスタートアップなどがめちゃくちゃいいユースケースを見つけたりとか、toBのものすごいエンタープライズのソリューションを出したりして、そのときにプライバシーのケアをちょっとでも怠ると、たぶんその時点で業界から干されますね、完全に。

人の顔という、最もパブリックかつプライベートなデータの扱い方

斉藤:みんなめちゃくちゃセンシティブで、1社が単独で飛び出してなんかやらかしたら全部死ぬよねっていうのを理解してのOpenARCloudの流れだったり、こういう各社の動きだったりなので。

別に国内だからとかって言っても、そこで問題になるようなことは日本でARやるとか関係なしにすごくセンシティブに扱うべきなんだなというのは、自戒の念を込めて思ったことですね。

ここは、海外に行かないとトーンとかトレンド感はわからなかったなとは思います。本当にめちゃくちゃ熱量が高かったです。プライバシーは以上です。

小林:さっきスパイダーマンの話をしてるときに質問として上がったんですけど、デジタルコピーというところで、対象が人と物でけっこう判断が分かれそうですねという話があったんですけど。まさにそういうのを避けているのが、さっきの6d.aiですよね。

斉藤:そうですね。

梶谷健人氏(以下、梶谷):Kevin Kellyが言っててすごくおもしろかったのは、「人の顔というのは最もパブリックであり、最もプライベートなものだから。それをARがどう扱うかはかなり慎重になるべきだ」っていう話でした。

ARのユースケースとしてフェイスになにか出すというのはすごく多い。それはやっぱり今後ユースケースとして絶対残っていくので、最もパブリックで最もプライベートなプライバシーをどう扱っていくかというのは、今すごくホットに議論されてましたね。

小林:ありがとうございます。