5万円の消費者向けARグラス「nreal」の衝撃
小林佑樹氏(以下、小林):次はグラスですね。アクセサリーについてのセッションです。けっこうグラスとか周辺のハードウェアについていろいろ出てくるので、そちらについては僕と梶谷中心でお話ししたいと思います。それでは梶谷さんからお願いします。
梶谷健人氏(以下、梶谷):グラスやハードウェアなんですけど、まず全体を通して、けっこうハード面でもおもしろい発表が多かったイベントだったなと思っています。のちほど詳しく説明するnrealという、けっこうやばいデバイスが発表されたんですけど、そのnrealの販売価格と時期が発表されたりもしました。
あとはVarjoっていう、けっこうハイエンドのVRデバイスを作ったメーカーがXR、MRデバイスを発表しました。それがすごかったです。あと、これはのちほど小林のほうから詳しく話しますが、QualcommがSmart Viewerというものを提唱していて。その理念に沿ったARグラスもけっこうブースの中で注目を集めていた。
まず、nrealは消費者向けARグラスとしてかなり期待できるデバイスです。特徴は、軽くてスタイリッシュでとにかく安くて、機能も十分なサングラス型のMRグラス。
サイズとデザインというところで言うと、右上が実際のデバイスなんですけど、とにかく軽い。実際の重さが88グラムで、自分も体験したんですけど、本当にふだん使っているサングラスよりちょっと重いかなくらい。ぜんぜん重さを感じないです。
大きさとしてもあんまり大きいなという感じはしなくて、通常のサングラスより一回り大きいくらい。デザインに関しても、Supremeのようなストリートブランドっぽいデザインを採用してるので、自分自身ぜんぜん街中でかけられるな、と思うくらいのデザインとサイズ感でした。
価格がとにかく驚きで、一般消費者向けに売る価格がなんと499ドル。なので5万円程度で買えるというところで。AWEで初めてこの価格が発表されたんですけど、かなり会場全体が湧くような発表でした。
それに先立って、開発者向けのキットが今年の9月から発売されるんですけど、それはグラスとコンピューティングユニットとタッチパッド、コントローラーが付いて、だいたい1,200ドルくらい。
CPUを持たない、スマホと連携したシステム
梶谷:ベーシックな機能としては、まず大前提としてこのグラス自体にバッテリーとかCPU/GPUが入っているわけじゃなくて、スマホとつないで使うようなデバイスです。Snapdragonの現状の最新の2バージョンくらいが対応していて、それとコードでつないでバッテリーの給電と処理系をするという感じですね。
実際の機能として、Magic Leapを体験されたことがある方がいれば、視野角の実寸値はMagic Leapと同じくらいなんですけど、体感はけっこう広く感じます。彼らはかなり高解像度というのを押していて、次のスライドでちょっとお見せします。
平面検知とイメージトラッキングも対応しており、Spatial Soundも対応していて、SLAMのカメラが2台とRGBのカメラが1台入っているので、ゆくゆくはハンドトラックなども採用予定で、今どの方式がいいかを検討しているという感じでした。
これが実際のnreal越しに見える風景をスマホで撮ったものなんですけど、かなり視野角が広く感じるのと、Magic LeapやHoloLensに比べても圧倒的に輝度だったり解像度が高いので。本当にそこにある感、実存感がかなりすごいなと思います。
小林:これは片眼で見えてるのでちょっと平面ぽく見えますけど、実際両目で見るとめちゃめちゃ立体的に見えるんですよね。
梶谷:このあと別のシーンに切り替わって、飛行機が銃を撃ってきたりするんですけど。Magic Leapと一番違うなと思うのは焦点距離で。Magic Leapってけっこう物に近づくと消えちゃうんですよね。ここの範囲が見えないんですけど。これはこんなに近づいて見えるくらい。なので、本当にARオブジェクトに近づいてもこのくらいまで見えるので。かなり体験の質は上がっていました。
この左の2枚が、nrealの高解像度をプレゼンテーションするときに使っていたスライドなんですけど。上下それぞれ左の2つが既存のARデバイス。おそらくHoloLensとかMagic Leapなどをベンチマークにしてると思うんですけど。
それと比べて一番右のnrealが、上を見てもらうとかなり発色もいいのと、かなり解像度が高い。下のテキストを見てみても、かなり白の表現がきれいに出ているのと、文字のエッジみたいなところもきれいに出ていたのでだいぶ読みやすい感じになってます。
『電脳コイル』のデンスケを模した仮想ペットも実現できる
小林:みんなも体験したんですけども、けっこう僕nrealのブースで体験したデモが感動的だったのでここについて話したくてですね。ブースのほうでは、主に3つのデモが体験できました。
1つは、これが一番コンテンツとしてはおもしろかったんですけれども。生活空間の中でどうやってnrealを活用するのかという、Future Home in Mixed Realityというもの。
あとは台の上にマーカーが置いてありまして、さまざまな10種類くらいのARコンテンツを見れるようなデモ。それからあと一番右に見えるのが、スタンディングでグラスをパッとかけてすぐ出られるようなもの。そんな、いろんな人にライトに体験してもらうようなデモの3つがありました。
今回、一番左のデモがどういうものだったのかをご紹介したいと思います。nrealのデモのFuture Homeなんですけれども、基本的にこういう下の感じです。家を模したような空間が用意されていて、そこに机とスタンドグラスが置いてます。
ちょっと今回動画が撮れなかったので、イラストを描いてもらったんですけれども、nrealをかけると、空間上にカラーバッドと音符が浮いていて、実際に音符をコントローラーでポチっと押すと、スピーカーから音が出てくるんですね。簡単に音を再生できるよ、とか。
あとはIoT文脈で、このライトの部分なんですけど。その横にカラーパッドが置いてあって、そのカラーパッドで色をピッとするとライトがその色に変わるんですよ。そういうふうに、IoT文脈でもきっちりとnrealは使えるよというようなデモがあったりしました。
あとはコントローラーに猫じゃらしみたいな感じでポインタがついてるんですけども。そのポインタを振ると、どこからともなくバーチャルな猫が現れてポインタの先で遊んでくれるんですね。今回机の上にマーカーが置いてあるので、nrealが机の高さを認識してるんですけれども。それによって机の上にポインタを置くと、猫がピョンと飛んできて机の上に乗ってくるんですよ。
これとか見ると本当に『電脳コイル』のデンスケじゃないですけど、けっこう仮装ペットみたいなこともできるなと感じたりしました。
片目ずつレンズの度数を変えられるARグラスの利点
小林:ほかにも特別なアプリが2つ用意されていて、1つがAR Cinemaなんですけれども。これは100個くらいのタイトルが並んでいて、その中から好きなタイトルの映画をピッと選ぶと巨大なスクリーンが目の前にパッと出てきて、ARなので自由なところに置けるんですよ。
これをテレビサイズにして自分の横に置いてもいいし、ソファの真ん前で巨大スクリーンみたいな感じで映画を流してもいいよね、ということができたりしました。
あとShoppingという、ちょっとシンプルな名前のアプリもあって。これは単純にカタログで家具がいくつか並べられていて、それをピックすると3Dでポンと家具を選んで、色を変えたりサイズを変えることもできて、家の中なんだけれども家具のショッピングができるような感じのものが紹介されていました。
nrealは、けっこう細かいところまで手が届いていて、今回近視の人用にnreal lightにマグネットで取り付け簡単な度入りレンズが用意されていたんですね。けっこうな度数が用意されているのがわかると思うんですけれども、マグネットが付いていて、簡単に取り外しができるんですよ。
もう1つすばらしいのが何かと言うと、片目ずつ度数を変えられるというのがあって。Magic Leapとかって両方ポチって入れなきゃいけないので、両目が違う度数の人はけっこう困るんですけれども。
これだといろんな度数の人でもきちんと自分の度で調整して見られるので、けっこうマス向けのARグラスにきちんとフォーカスしているな、というのがこういう細かいところで見受けられる印象を受けました。
これはちょっと宣伝なんですけれども、今回このnrealに感動しまくりまして、飛行機の中でブログを書いたので。もしよければこちらもご覧いただければと思います。
ARグラスはSimple ViewerからSmart Viewerへ
小林:ここからはQualcommの話に移るんですけれども、nrealとQualcommはパートナーシップを結んでいるんです。QualcommのセッションでSimple ViewerからSmart Viewerへという話があったんですね。
何かと言うと、Qualcommが正しいと……要は一番理想的なメガネはスタンドアロンでここのメガネだけなんですけれども。そこに至るまでにどういう経緯をたどればいいかというところで、彼らはSimple ViewerからSmart Viewerというところを提唱しました。
Simple Viewerはスマホにクラウドのチップが入っていて、そこからType-CのケーブルをつないでViewerで描画してあげると。これがnrealの今の形式です。そこからSmart Viewerというふうに、Viewer側にもSnapdragonをインストールして、パフォーマンスとかパワーがより改善されたようなAR体験を実現しましょう、という話をしていました。
けっこう効率がよくて、電池だとか熱効率みたいなところで持ち運びに最適化されているかたちなので、持ち運びができるし1日中使えるバッテリーとしても使えて、強力なストレージやメモリが付いています。
一方で、Viewerはリアルタイム性とか即時的な計算を行うことができて、ここはメガネが常にカメラで前を向いているので、常にオンにしておくことによっていろんな情報を得て、それに対してなにか描画してあげるような感じで役割分担をしてあげることが大事だよね、という話をしました。
なぜQualcommを紹介したかと言うと、nrealを激推ししてるんですね。AWEにもQualcommブースがあって、その中にnrealのブースがあったんですけれども。3分の1以上がnrealが占有していたりだとか。あとnrealのメインセッションでは、QualcommのAR/VRのリーダーが登壇してnrealをめっちゃ後押しするようなことがあったりしました。
そういうことも考えると、nreal lightの後続モデルでは今後、nreal light自体にSnapdragonが組み込まれて発売されるようなかたちが濃厚なのかなと。これはちょっと個人的な予想も入ってるんですけど、そういうことを感じましたね。
じゃあ次は梶谷からVarjoの説明を。
世界初の、現実と非現実の境目をなくすデバイス
梶谷:VarjoのXR-1というデバイスが発表されていまして、これは最終的にAWEの全体のAwardを取ったもので、AWEの中でたぶん一番話題になったものなんですけど。もともと人の目レベルの解像度のVRヘッドマウントディスプレイを作っているフィンランドの会社で、彼らが新しく発表したMRデバイスです。
体験したジャーナリストいわく、「世界で初めて、なにが現実でなにがバーチャルかがわからなくなるデバイス」と評されています。自分も実際に体験して、まさにまったく同じ感想を持ちました。
体験も、デモでは3セットくらいあったんですけど。まず最初に、これはカメラが外についているので現実世界の映像が撮れていて、カメラ越しに現実世界を見るんですけど。普通そういうビデオシースルー型って、解像度や遅延の問題で、今ビデオを見ていることがわかると思うんですけど。
これをかけて、目の前に人がいて動いてたりとか、自分が目の前で手を振ってもほぼ遅延をまったく感じないので、これがビデオかというのは言われなきゃわからないくらいんじゃないかな。
そこから目の前に車のARオブジェクトが出現するんですけど。ビデオシースルー型なので、透過してないわけですよね。HoloLensとかMagic Leapとかと違って。人の目レベルの解像度なのでかなり本当にそこにある感が強い。
そこから車の外の現実世界が、全体がベネチアに切り替わっていくんですけど、そのときの切り替わりへの違和感があんまりなくて。一瞬どこまでが現実でどこまでがバーチャルかがわからなくなるような。そういう……けっこう狂ったデバイスでした。
彼らがやってることも狂っていて、これはVOLVOとやってるやつなんですけど。何かと言うと、実際にこのヘッドマウントディスプレイを付けてVOLVOの車を運転してるんですよ。
小林:VRじゃないということですね。
梶谷:VRじゃない。車を運転してて……これもう1回最初から。
(動画を流しながら説明)
まず最初に見えているのが、これはビデオシースルーで現実世界がそのまま見えています。まったく遅延もしないし、解像度もかなり高い。これは途中でワイヤーフレーム化して、ここらへんから車だけがARオブジェクトに切り替わるんですけど。ぜんぜん違和感がない。かつ外の車窓はまったく遅延せず高解像度で見えているので、世界で唯一車を運転しながら使えるMRデバイスというふうに言われていました。
体験としては、個人的には一番驚きました。nrealは、Magic Leapでできることが5万円でスタイリッシュに得られるというので、ビジネス的な観点で一番興奮したんですけど。純粋な体験という意味ではこれが一番感動しましたね。
NokiaのARグラスチームを吸収したHoloLensの本物感
小林:これは僕できなかったんですけど、2人は同じものをやりました?
斉藤翔太氏(以下、斉藤):これやばかったです。
大島佑斗氏(以下、大島):めっちゃおもしろかったです。
斉藤:体験ブースで、外から見ると何が起きてるかと言うと、そこに椅子がポツンと置いてあって。その椅子に人が座ってるだけなんですよ。でも、実際自分がやると、自分がVOLVOの運転席に座っているんですね。
本当にそのベネチアの世界もだし、切り替わっていくのもリアルだしっていうので。最後に小ネタですごくきれいだなと思ったのは、デモのお兄さんが最後終わるときに「このままじゃ出られないと思うから、VOLVOのドア開けてあげるよ」ってドアが開くんですよ。
そうすると完全に僕、本当にそこのドアからこうやって(笑)。(実際に車のドアから出るジェスチャー)あの感じで出るみたいにはもう境がつかなくなってるような体験でしたね。あれは本当すごかった。
大島:みんな感動してずっといるから、ぜんぜん列が進まないっていう。
梶谷:2時間くらい?(笑)。
斉藤:ぜんぜん余談なんですけれど、初日にカジさんは体験の予約をしていて。僕らそれを指定するのを忘れて、2人でヒーヒー言いながら2時間待っている先に(梶谷氏が)スッと入ってきて僕らよりも先に体験して帰った。
梶谷:自分と小林は、2年前にわざわざフィンランドにVarjoを見に行ったことがあったくらい。
大島:2年前に行ったんですか?
梶谷:そうそう。VRヘッドセットを作ってるときに。もともと知り合いだったので入れてもらって。
大島:あれはすごいクリエイティブでしたね。
梶谷:彼らの本物感が強いのは、もともとNokiaを買収してNokiaのARグラスチームを吸収するかたちで、HoloLensを作っているんですと。Varjoのチームは元NokiaのARデバイスを作っていたチームが立ち上げてるんですよ。なので本当に腕を持った人たちがやっているスタートアップで、AR/VR界隈ではかなり注目株です。
『名探偵コナン』のメガネが現実に
小林:あと気になったガジェットとしてFocalsというのがありまして。実はこれ、今かけていて。一応電源は切ってますよ? 電源は切ってるんですけど、一応かけてます。これはFocalsというほぼ普通のメガネと変わらない形状のものなんですけれども。今回ちょっとTwitterでつぶやいたときに「コナン君のメガネだ!」というふうに話題になったんですけれども。そういうメガネです。
1日中かけていても気にならない重量、これはまじでそうなんですけど。66グラムくらいで。右目にこういうふうな像が見えるんですけど、網膜投影することによって情報を描画します。網膜投影なので、視力とか周りの明るさに寄らず情報を見られるのと、もう1つ自分以外の人には描画内容が見えないというメリットがあります。
これは高いか安いかというのには個人差があるんですけど、僕としては599ドルはめちゃめちゃ安いなと思って、即買いしたという感じですね。Alexaを呼び出したり、メッセージの簡単な送信のようなことがこの中でできて、スタンプを押すのもできますし、ボイスメッセージでポンと返すこともできます。
ここにあるんですけど、指輪型のLoopというコントローラーがありまして、これを縦横押し込みみたいな感じでやると中の情報を変えられるかたちになっています。
購入のフローとしては、今回AWEのブースの中に持ち運び可能な計測器みたいなものを持ってきていて、そこの中で計測をしてもらって、下のように最終的に3Dモデルで顔を作って、そこで自分に合うかたちのメガネを作ってもらいます。
なんでこんなに精細にやるかと言うと、先ほどもちょっと申し上げたんですけど、網膜投影なので、目の中にぴったり入らないと物が見えないんですよ。なので僕のこのメガネをほかの人がかけてもちゃんとは見えないんですね。一人ひとりにきちんと計測したメガネを送るということをやっていて。オンラインだと買えないんです。本来であれば、トロントかニューヨークじゃないと買えないメガネなんですけれども。
計測もきちんとしていて、一応カチューシャみたいなものを作っていて。それを頭に付けることで、センサーを増やしてモデル化をけっこう精度高くやっていて。そのうえで最後に微調整をして、自分に合ったメガネを渡してもらうようにしています。
現実のコミュニケーションを阻害しない使い勝手の良さ
小林:ここからは個人的な感想ですが、アメリカでFocalsを付けながら生活したときの感想としては、基本的には日常の中で着け続けることは苦にならないかなと思ってます。Googleグラスとかありましたけれども、街中で歩いていても変に見られない。
表示されている情報自体がけっこう少ないので、そんなに日常生活を妨げないです。個人的には、メガネ版のApple Watchみたいな位置付けがけっこうしっくりくるかなと思って。通知とか時間とか天気予報みたいなことが表示できたりとか。あと、アメリカだとUberが使えたので、Uberの機能とかAlexaの機能もけっこう便利です。
個人的なベスト機能としては、Google Slidesとの連携がありまして。何かと言うと、Google Slidesにつなげると、ここにスクリプト、つまり台本を見ながらこっち側でスライドをめくれるんですよ。要は、スライドの内容を覚えていなくても、ここの台本を読みながら発表ができるので。これかなり便利なんですよ。
あと指輪型コントローラーというのがあって、今までのメガネって、ここらへんにタッチがあって、持ち上げなきゃいけなかったんですけれども。これがなくなって、基本的にポッケの中に手を入れたり、手を下ろしている状態でもコントロールができるのはすばらしいなと思いました。
最後に、網膜投影で向こうから情報を摂取しているのが見えないので、現実のコミュニケーションを阻害せずに話しているんだけれども、実は次のスケジュールを見ているようなこともできるというのがメリットとしてありました。あとはBoseですね。
ARは「音」から普及が始まっていく
梶谷:音のARが可能性があるよ、という話がセッション内でもけっこう言われていて。さっきポロっと話に出た、ForbesでAR/VRの記事を一番書いているライターで、『Metaverse』という本を書いているCharlie Finkという人がいるんですけど。「サウンドは究極的なAR体験への重要な足がかりになるだろう」と言っていて。
というのが、いきなりみんながARデバイスに乗り換えていくのは、まだ若干ハードルが高いんですけど。それが音から入るのはありだろうと。まずAirPodsだったりイヤホンだったり、サウンドデバイスというものは誰でも持っているのと、プリミティブな情報の提示、今の天気だったり乗り換え情報だったりというのはぜんぜん音で十分だよねと。
そういう意味で、音からARの普及が始まっていくだろうと彼は断言していて。自分も音から普及が始まるというのはかなりあるかなと思っています。その意味でBose ARは要チェックだと思ってて。自分も実際にBose ARを買って、現地でいろいろ使ってみたんですけど。日本で使えないからね。
すごくおもしろいのが、これ自体にGPSと3軸のセンサーが入っていて。自分がどこにいてどのお店を見ているかがわかるんですよね。これを2回くらい押すと、お店の情報をYelpから引っ張ってきて音で流してくれるんですよ。かつSpatial Soundで立体的な体験もできます。けっこう使った感じはかなり心地よいし、情報を得るという意味ではぜんぜん十分だなと。
彼らはSDKを提供しているので、サードパーティアプリもかなりの数が出ていて。まだぜんぜん黎明期かなと思ったんですけど、セッション内でも20、30くらいのアプリが紹介されていて、実際これは欧米だとかなり売れているみたいで、2019年中に100万台を出荷予定という感じです。
最後に余談なんですけど、nrealもBose ARもサングラスにしているのがすごくうまいなと思って。西海岸へ行って改めて思ったのが、ほぼみんなサングラスかけてるんですよね。メガネをかけていない人がメガネをわざわざかけるのって、習慣を変えなきゃいけないのでちょっとハードル高いんですけど。
ふだん使っているサングラスを別のちょっと高いデジタルなものに切り替えるというのは意外とハードルが低いなと自分自身が思ったので、サングラスから入るのはかなりいいなと思いましたね。nrealみたいに輝度の低さというか、輝度をより高く感じさせることもできるので、サングラス入りはかなりいいなと。それは所感として思いましたね。
斉藤:それこそSnapのSpectaclesもサングラス入りですしね。わりとグラス系はサングラス多いですよね。