頑張らない英語学習法

西澤ロイ氏(以下、ロイ):今回なめ子さんは取材もあって、続いたのかなという側面もあったりするのかなと思ったり勝手にしているんですけども、やっぱり自分が好きな分野のものだったり、それをいかに英語と繋げてやるか。それは僕は非常に大事だと思っているんですよね。

辛酸なめ子氏(以下、辛酸):あっ、そうなんですね。がんばらないというとどういうふうなんですか? 普通に人と交流するとかそういう感じのものですか?

ロイ:そうですね。まずは、沢山やったら上達すると思っている人が非常に多いと思うんですね。量と質に分けた時に、量をこなせば上達するという方が多いんですけど、僕は量をやっても上がらなかった人なんですよ。もう壁にぶつかってそこから抜け出せなかったんです。その壁を超えられたのが言語学を学んで、その質を高めるみたいなところで、英語の理解の仕方をちょっと変えたりとか、捉え方が違ったりとか。

辛酸:そうなんですね。

ロイ:根本的な理解のところをちょっと見直したとか、ちょっとアプローチが違うんですけど。

辛酸:言語学を私もちょっと学んでみたいですね。

ロイ:ただ、言語学というふうに入ってしまうと、それはそれでマニアックなので、あまりお勧めはしづらかったりするので、もしよかったら僕の本を本を読んでくださいっていう感じにはなるんですけども。

辛酸:あとは私も言語学とは話がちょっとずれるんですけども、最近見ておもしろかった本が、仏教の経典を日本語訳と英語訳を並べた本を人からもらって、それがすごく波動が高い言葉で、例えば「この身には実態がない」とか。あと「愛欲は煩悩の王」とか。愛欲というのはlustっていうふうに言うんですね。それは初めて知ったんですけど。

ロイ:lustは欲望的な言葉で、愛欲もたぶん含まれると思いますけども、実体=entityとかですか?

辛酸:entity。

ロイ:ではなかったですか。

辛酸:あとは「Lust is like a demon.」とかいうことを書いてましたね。

ロイ:(笑)。ぜひ、そういうスピリチュアル英語調みたいな、そういうのを今度またぜひ挑戦していただきたいです(笑)。

辛酸:はい。

英語を学んで気づいた「コミュニケーション力」の大切さ

ロイ:今回この『なめ単』で書かれているように、いろんな体験をされてTOEIC200点アップされて、やる前とこれをやった後で、何か変わったとか、英語に対する捉え方がどう変わったのかな、というのもちょっとお聞きしたいんですけど。

辛酸:そうですね。英語に対する捉え方は、多少読めるようにはなったと思うんですけど、やっぱり言葉を喋る時に出てこないというのが残っていて、本当にコミュニケーション力とか、そういうものは重要なんだなというところにいってしまって、だからそういう性格的な問題もあるのかなという、そういう壁を感じてますね。

ロイ:いやあ、僕も留学した時に、本当にその壁にぶつかったんですよ。

辛酸:はい。

ロイ:英語の問題じゃなくて、俺、コミュニケーションとれないんだみたいな(笑)。

辛酸:うん。

ロイ:そういうのを突きつけられて、ホームスティした時に、ホストファミリーと一緒にボードゲームやらないかって誘われた時があって。その時に「はい!」って一緒に楽しめばよかったんですけど、当時の僕は英語に興味があり過ぎて、ゲームの時にどんな言葉を使うのかに非常に興味があったので「いや僕、見てます」って横で見てたんですよ。

辛酸:はい。

ロイ:だから、コミュニケーション的にはダメダメだったんですよね(笑)。

辛酸:へぇ。

ロイ:そういうところも英語って学べるから、いいのかなと思っているんですけど、そうやって何か英語ができてないと思っていたら、英語じゃないところに問題があったというのってけっこうあると思うんですよ。例えば、英語が続かないとしたら、そもそも他のことも続かなかったりとか。

辛酸:そうですね。

英語学校で求められた「More emotional!」

ロイ:例えば、英語で恥ずかしがって口を開けないとしたら、別に日本語であっても人前で喋れないとか。だから英語の問題じゃなくて、英語をやっていることで、非常に自己啓発的な学びというか。もうちょっと違うところの学びというんですかね。そういうところも一杯あったりするのかなと僕は思っていて。

辛酸:はい。

ロイ:なめ子さんも、この本の中でそういったことをチラチラ書いていらっしゃると思うんですけど、そういう英語をやっていく上での、自己啓発的な学びって、例えばどんなことがあったと思いますか?

辛酸:そうですね。最初に駅前留学に通ってた時は、先生にしょっちゅう「More emotional!」とか言われてたんですよ。「もっと感情を出せって!」って。それで、そのクラスでプレゼントをもらった時に、どういうリアクションするかみたいなこともやって。

ロイ:プレゼントをもらい。

辛酸:「Wow!」とか叫んで。

ロイ:「Wow!」はい。

辛酸:そして「I love it!」と叫ぶとか。

ロイ:「I love it!」

辛酸:その場で開けて。

ロイ:ビリビリって破るとか。

辛酸:そうですね。そういうところから、やっぱりぜんぜん違うなというのを感じたりとか。

ロイ:僕もできないですね。

辛酸:だからやはり自分の殻を破らないと、英語は上達しないということはわかりましたけど、あとは日本人として日本語がすごいなというのを、前の対象の文章を読んでも感じますね。日本語の表現というか、漢字とかひらがなとかいろんなものを使って、すごく深いというか。

ロイ:だから訳せないことも一杯ありますよね。

辛酸:そうなんですね。はい。

ロイ:僕、昔、衝撃を受けたのは、『吾輩は猫である』夏目漱石のあの名作のタイトルは英語で知ってます?『I am a cat.』っていうんですよ。

上村潤氏(以下、上村):そのままですね。

ロイ:そのままだし、味気なさ過ぎじゃないですか。

辛酸:そうですね。「吾輩」とかはあまり無さそうですもんね。表現が。

ロイ:だから、仮に僕がふざけて絵本で「僕は猫だニャン」とかいうのを出しても、英語版のタイトルを『I am a cat.』にできちゃうんですよ。

辛酸:そうですね。

ロイ:それでいいのかなと僕は思うんです。

上村:確かに。

辛酸:そうか。あとは英語がなかなか入ってこないのは、やっぱり脳のメモリーがすごく日本語に多く使われ過ぎているからというか、カタカナとかひらがなとか漢字とかも一杯ある上に、パソコンでもローマ字入力とカナ入力両方やったりとか、もうこれ以上覚えられないということなのかもしれないですね。

ロイ:なるほど、なるほど。でも確かに英語ってすごくシンプルなんですよね。子供でも本当はわかるようなものなのに、理論というか知識を一杯身につけようとしているので、ちょっと手放したほうがいいかもしれないですよね。

辛酸:そうですね。

日本語ができるだけでも十分すごい?

上村:いやあ、まだまだお話を沢山聞いていきたいところではありますが、あっという間にお時間が近づいてまいりました。

辛酸:早いですね。

ロイ:ちょっと、なめ子さんの今後の目標というか夢というか、ちょっとその辺をうかがいたいなと。

辛酸:そうですね。コミュニケーションの問題にも通じるんですけど、外国人の友達が、ぜんぜんいないことに気付いたので、そういう人をつくっていきたいですね。

ロイ:なるほど。あとはセレブのインタビューとか。

辛酸:そうですね。セレブのインタビューも、この前やっと取材に同行して、ただ「Do you like meat?」(肉は好きですか?)しか聞けなかったので。

(一同笑)

辛酸:それで「好きです」というふうな答えだったんですけど、もっと増やしたいですね。話せることを。

ロイ:本当に、なめ子さんは一杯質問されたいことはあると思うので、それをぜひ英語でやっていただきたいですよね。

辛酸:ぜひ西澤さんの本を読んで、ちょっと言語学からやり直そうと思います。

上村:というわけで、最後にリスナーの方にメッセージを何かお願いします。

辛酸:はい。もし英語のコンプレックスがあって悩んで方がいらっしゃっても、日本語ができているだけでも十分すごいと思うので、自信を失わないで気楽に勉強されてください。

上村:はい。というわけで、本日ゲストにお迎えしましたのは、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんに来ていただきました。どうもありがとうございました。

辛酸:ありがとうございました。

ロイ:ありがとうございました。

(一同拍手)

上村:はい。というわけで以上「西澤ロイの頑張らない英語」お送りしましたのはナビゲーター上村潤と。

ロイ:西澤ロイでした。Thanks for a lot for listening. See you on August 8th. Bye Bye!

上村:Bye Bye!