「女性の社会進出は増えた、でも同一労働ではない」英国人経営者が指摘する、男女の給料格差問題

山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:デービット・アトキンソンさん #3/4

自民党のトーク番組「CafeSta」内で公開されている、山本一太参議院議員による「山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta」シリーズ。今回のゲストはイギリス人経営者のデービット・アトキンソン氏です。26年間、日本で経営し続けているアトキンソン氏が「客観的に見た日本」について語ります。

「日本の会議は長くて非効率」は男性を中心とした理屈

デービッド・アトキンソン氏(以下、アトキンソン):経済を見るとですね、手先が器用だとか技術あるんだっていうのは、それは潜在能力を自慢してるだけで、ぜんぜん実現できてない。実績がないじゃん、発揮してないじゃない、と。観光戦略もそうですし、この本もそうです。

山本一太氏(以下、山本):すごいおもしろいです。まあ観光戦略はね、一応は源頼朝の時代に発見されたと言われている1,000年の歴史を持つ草津温泉の旅館の息子なんで。

今日ね、最後にちょっと一番大事なところ。つまり人口が増えない時代の日本の戦略、これアトキンソンさんが特に『新所得倍増論』でも強調しているのは、生産性を上げなきゃいけないこと。そのために1つは、まず日本の経営者もっとちゃんとやらせなきゃいけない。

政府がどこまで民間にそういうプレッシャーをかけられるのかわかんないけど、「とにかく各経営者に時価総額を上げろ」と言うということが大事。それから、日本の生産性を上げるための一人ひとりの女性。女性の力を活用していないといけない。

とにかく男女の給料の格差が、ヨーロッパに比べると全然高いと、ここの2つについてですねぜひ語ってもらいたい。

アトキンソン:まず女性からいきましょう。生産性が悪いっていうことを言うとですね、それはまあ会議が長いとか、印鑑が多いとか。あとは稟議が遅いとか、こういうことを言われます。

実際にはですね、さっき申し上げたように1990年までは日本は世界第10の生産性、今は30位。ということは、理屈上は海外の会議が短くなったのか、印鑑の数が減ったのか。それとも日本の会議がドーンと伸びていて印鑑の数がガンガン増えていった。そうじゃないとこの差の拡大の説明にはならないんですね。

冒頭の話にもありました、ただ単に情緒的な特徴を言ってるだけで、因果関係はほとんどなんにもない話だけなんですよね。なおかつ、あれは男性を中心とした理屈なんですよね。

ただ実際問題として、この国内と海外の生産性のギャップの要因分析をやってみると、実は半分くらいは女性の活用の仕方で説明がつきます。それはどういうことかと言いますとですね、全世界で主に第3次産業が発達することによって、女性の仕事の参加率がどんどん上がっていってます。

第3次だから、別に農業とか工場みたいに男性の要するに筋肉の違いは必要ない。頭の仕事じゃないですか。そうしますと、不利だった女性が有利にになる部分もあるんです。不利な部分がなくなっていくんですね。

それによって海外では参加率が、サービス産業が増えれば増えるほど女性の参加率がどんどん上がってきます。

山本:なるほど。

女性の社会進出は増えているのに、同一労働になっていない

アトキンソン:同時に男性有利の部分はなくなっている。だから、男性の収入に対する女性の収入が、60パーセントだった20年前のところからですね、今80パーセントまで上がってます。

山本:それはヨーロッパ?

アトキンソン:それはヨーロッパもアメリカもほとんど同じです。

山本:だいたい男女の給与差が80パーセント。女性が80パーセント。

アトキンソン:80パーセントです。これは同一労働・同一賃金ではなくて、絶対の収入なんですね。そうしますと、同一労働の割合が上がってきているということなんです。

日本はどうなってるかと言うとですね、30年前と今現在で見ると、52パーセントだった男性の収入に対する女性の収入が、55パーセントにしか上がってないんです。だけど女性の参加率はどんどん上がっています。

そうすると海外の場合、参加率が増える。男性と女性のギャップがどんどん縮小します。日本の場合ですと、参加はしますけど、同一労働はさせない。そうするとですね、皮肉なことに、参加すればするほど海外の生産性のギャップが広がっていくんです。

山本:その女性の参加率が増えてるのに、給料の格差が縮まらない。これは、具体的にはどうしたらいいですかね。例えば、給料の多いマネージメントポジションみたいなところに女性が少ないってことですか。つまり、腕相撲ではないわけじゃないですか。

アトキンソン:そうです。

山本:腕相撲をやるわけじゃなくて、女性の能力もすごく高くて、それでも賃金の差があるっていうのは、高収入のポストに女性が就いてないっていうことなんですか?

アトキンソン:高収入もありますし、そもそも普通の収入もないですから。結局は、例えば事務仕事をしている人は、アメリカではかつては30パーセントの女性が事務仕事だった。でも今は10パーセント。

日本はほとんど変わらない、25パーセントのまま。ああいうのは全部機械化されてるにも関わらず、未だに。

山本:ITでやればいいのにって。

アトキンソン:ITでやればいいのに、そういうのはぜんぜん変わってない。銀行の支店を見れば一番よくわかるんですけども。コンビニでもできることを、未だに大学、もしくは短期大学のものすごい優秀な日本人女性がコンビニのバイトができるようなことでそのままでやってますよ。

ここは完全な無駄。要するに同一労働をさせてない。それはマネジメント層もそうなんですけど。マネジメント層が少ないですから、それで解決できるっていったら解決できませんけども、こっちからもうずーっと下までは、もうぜんぜん同一労働をさせてないんですよね。

日本の生産性が上がらないのは、経営者の目標設定が低すぎるから

山本:女性をある意味でいうと、ノーマルにちゃんと男性と同じようなポジションで働いてもらえば、それだけでまず日本人の生産性は上がるわけですね。

アトキンソン:上がりますよ。ただ、「女性がそういうことやれば、男性だって減るだけじゃないの?」という人が出ます。じゃあなんで海外の生産性は日本より高いの?

マイナス思考の人はね、必ずそうやって足を引っ張ります。でも、それは事実じゃないので、それはもうやればいいんです。

さっきおっしゃったように、なにが問題かというと、日本人女性は、例えば今の銀行の支店に並んでいるものすごい優秀な人が、コンビニのバイトができるようなことをさせられちゃっているんですよ。

じゃあ、自分たちから変えることができるかっていうと、変えられませんよ。それはもうすべて経営者の問題なんです。経営者の場合は、なぜそういう人たちをより活用する動きにならないのか。それはプレッシャーがないからです。株だとかどうでもいいじゃないのとかですね、日本的経営だから株じゃない、利益じゃないと。

山本:別に時価総額なんか増やさなくたって、責任をとらなくて済む、と。

アトキンソン:そう。

山本:そこにプレッシャーをかける、と。

アトキンソン:そこにプレッシャーをかけて。「国の借金が大変だし」「あなたたちは大丈夫かもしれない、だけども子供が貧困してる」「格差社会の緩和策を打つために政府としては所得税が上がってこないと、かわいそうな人に回すものがない」と。

そうするとですね、能力のある人たちはどんどん上を目指していかないといけないのに、その人たちは「まあ、隣の会社は3パーセントの利益だったけど、うちは3.4パーセントだったんだからマシだろ」って言ってるだけでですね。

これが一番ポイントなんですけど。日本の株っていうのは、大きく下がったバブルの崩壊の1990年から今まではですね、1.67倍しか上がってないんです。世界は5.2倍なんです。アメリカは7.7倍なんです。

1.67倍しか上げてない。なぜそこまで成長させなくても良かったのか。今までずーっとGDPが横ばいで、それはなぜ問題にならなかったのか。それが日本的経営っていうんだったら、誰が得してるんですか。経営者が得してると思いますよ。

やるべきことをやってないから。そういうのはですね、やはりさっきの息子さんとお父さんがこうやってレースをしてるのと一緒で、上の大企業を中心にもっと潜在能力があるのにそれを発揮してないままで「隣がどうなの」っていうですね。

だからノーベル賞と一緒なんです。「イギリスより多いじゃない、良いじゃないか、そのぐらいで」って言うですね、やはり設定してる目標が低すぎるんです。

日本の生産性=日経平均

山本:逆に言うとね、アトキンソンさんは日本の企業9割以上中小企業だから、まあイギリスもそうかもしれないけど、その例えば一部の日本の企業は生産性が高かったりするわけですよね。

トヨタとかも含めて、日本を代表するような企業はがんばっている。しかし、そのほかの企業は中堅も含めて努力が足りない。でも、それぞれの経営者がある意味、追い詰められて「いや時価総額を上げないと、これはいけないんだ」となったら、十分そういうことができるポテンシャルはあるということですね。

アトキンソン:ありますよ。

山本:日本の経営者にはそういうポテンシャルもあると、いうことですか?

アトキンソン:安倍政権の第3の矢の問題点ていうのはですね、やろうとしてることは全部正しいんですよ。GDPを増やそうとか、それで社外取締役制度入れるとか。

問題は、それを実現する経営者を動かせる秘訣をまだ見つけてないですよね。簡単に言えば、その企業が頑張らなきゃいけない。大企業というのは、数では少ないんですけどもGDPを占める率は非常に大きい。

山本:そうですよね。

アトキンソン:会社の利益、そしていろんな……例えば賃金を上げるとかですね。生産性を上げないままで賃金を上げる人は誰もいませんよ。生産性を上げた結果、賃金を上げなきゃいけないってことが事実なんです。

そうするとですね、そっからやっぱり所得税が回ってくるんですよね。これは昔で言うと、どういうことなん、これ年貢なんですよ。昔幕府の時代で言えば年貢なんですよ。

そうすると、株式上はなんなのか。あなたたちはここまでは出せって言う。昔だったら、「幕府が米を出せって言ってんだけども、今年は不作だったからダメだ」と言えばいい。そうすると、検地が始まるじゃないですか。このくらいの畑を与えてるんだから、この田んぼからこのぐらい出せという。

今の時代で言う検地はなんなのか。日経平均なんですよ。与えている国民、要するに国が教育した国民をあなた達に預けたんだ、このぐらいの生産性しか出してもらえないのっていうことで。それを象徴しているのが、日経平均の低さなんですよ。

そういうことをやれば、「いや別に利益を出さなくていいじゃないの」とかって言われますけれども、「それで失業者がいっぱい増えるんじゃないの」とかって。人が足りないから今迎えようってこと言ってるのに、失業者が多少出たからって言ってですね、欲しがってる人はいっぱいいます。

別に恐れることはなにもない。そういうところでですね。利益を出していくことによって、国の借金だとか、福祉の問題とか全部解決ができます。今、生産性を上げない理由は、私はないと思います。

山本:なるほど。

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