ボーリングレーン・フレームワークとは?

大野木達也氏:次ですね、3点目が、オンボーディングの強化というところです。

最初のほうに、マイチャットのオンボーディングであったり、タスクのオンボーディングみたいなところをお話ししましたが、こちらも同じ本の中で訴求されている部分ではありますが、より広い観点でボーリングレーン・フレームワークというものがあります。

まず、プロダクトとして最適なステップとしてストレートラインを定義して、その横にコミュニケーションバンパーと、プロダクトバンパーを用意します。このレーンの真ん中がうまく走れない場合に、横のバンパーを整備してきちんとレーンに戻してあげることで、オンボーディングの成功の確度を上げていきましょう、という考え方です。

コミュニケーションバンパーは、ユーザーのオンボーディングやメールの配信、あとはプッシュ通知などでどうコミュニケーションを取るかの設計や、説明するための説明を画像や動画を作ってわかりやすくするといった施策を行います。

プロダクトバンパーは、プロダクトの内部で行うオンボーディングなので、ウェルカムメッセージを出してあげるとか、プロダクトの新機能アナウンスとか、初めて使う機能にプロダクトのツアーを出してあげるといった施策を行います。

あとは、「どういうことができていれば使いこなしたと言えますよ」というところをわかりやすくするために、ステップバイステップのプログレスバーを作っていくとか、やれたことをチェックしていって、全部こなせていたら「一通り使いこなせるようになりましたね」というような仕組みを入れていくということですね。

また、オンボーディングで初めてその機能を見た時や初めてサービスにアクセスした時に、ツールチップなどで「ここのアイコンがあるのはこういう機能ですよ」といったことを教えてあげるところも、プロダクトバンパーの施策といえます。

エンプティステートというのは、例えばメッセージを見ようとして、そこにメッセージが入っていない場合に、「メッセージを投稿しましょう」みたいなメッセージが書かれていて、そのためのCall To Actionのボタンが置かれているということ。なにもわからない状態ではなく、使い方を訴求して活用を進めていくことで、よりきちんとオンボーディングを成り立たせていくことを目指すというものです。

コミュニケーションバンパーに関して、私たちは「より精緻なフォローアップができるようにしていく」というところを重視してきました。「Chatwork」はDAUでも100万以上いるので、どういうユーザーが使っているかわからない場合、全体に同じような案内をしなければいけません。

このあたりは、ある程度ユーザーのことを把握して、価値あるフォローをできるようにしていくことも重要であると考えていて、できる限りのことから進めている状況になっています。

プロダクトバンパーのほうは、先ほどお話ししたように、実際のプロダクト側に機能を作っていくというところもあるのですが、さらには、ガイドの活用などで定着していくようなソリューションの導入を進めており、そこで、より活用度を上げていくような体制を作ってきた状況です。

具体的には、「Pendo」というソリューション、下記にあるようないろいろなツールチップであったり、ヘルプセンターであったりを導入しました。

このコンテンツというのは、そのサービス上で組み換えたり、新しく作成したりもできますし、ユーザーのデータも計測できるので、それによってあまりコンバージョンが良くないものは、改善をしていくことが容易にできます。

これ自体で開発自体を最低限のものにして、ビジネス側でオペレーションを回すことで、ずっと改善をし続けられる仕組みを整備してきたというところは、1つ大きな進展だったかなと考えています。

“有料化のための軸と訴求したいことがズレていた”のが大きな課題だった

最後は、より多く活用していただくためのルールチェンジの話です。

2021年の初めに私たちが持っていた大きな課題は、グループチャットの制限が7であるということでした。有料化していただくための軸として置いていたのですが、より活用する方向ではなくグループチャットを7の範囲で使い続けようという、それ自体が(ユーザーに)利用してもらうことに対して制限をかけている、という矛盾がありました。

また、中小企業の生産性の効率化に向かっていきたいにもかかわらず、無料プランでは、個人的な機能しか提供しておらず、組織としての活用の仕組みを試していただく状況ではありませんでした。

無料の時点では管理機能などを使っていただけないので、それを使うメリットがぜんぜん訴求できていませんでした。

1番目のところでもお伝えしたのですが、そういった経緯があるので、サービスの提供価値は、より使っていただき、その使い心地をより広げていくことで有料化いただくということをやっていきたいはずが、お客さまに対して、「この範囲で使えばいいか」という意味で利用性の軸を制限するとか、管理機能は使ったことがないからその価値を得られないということがあり、有料化していただくための軸と、私たちの訴求したいことというのがズレていたというのが大きな課題でした。

そのために、開発はかなり大きいものだったのですが、この2つの施策を準備してきました。

1つ目は、フリープランにおけるユーザー管理機能の提供です。これは、2022年3月にリリースして、すでにユーザーが増えている状況になっているかなと考えています。

2つ目が、ちょうど昨日(※登壇当時)リリースしたところではありますが、グループチャットの利用上限を撤廃し、閲覧期限の設定に軸を切り替えました。

より多く活用してもらうためのルールチェンジ

各々簡単に説明します。フリープランの新規登録ユーザーには、管理者権限を付与していくことをもうやりますといったところで、管理者権限を使って社員やアルバイトの方を組織の中に招待して管理できる機能の提供を始めました。こちらは、無料でも100人までのユーザーを扱えます。もう1点は、ストレージが組織単位で使ってもらえるものになったというところが変更点となっています。

2点目が、昨日(※登壇当時)リリースした部分ですね。グループチャットの利用上限の撤廃です。1つは、1ユーザー累計7つと設定していた制限をなくしていったというところがあります。

あとは、変わったポイントでいくと、グループチャットの中で見られていたメッセージを過去40日以内に制限するというところと、グループで5,000件まで見られるようにするところ。あとは、チーム機能といった機能も利用可能になったところと、検索の部分も、検索結果が最大200件になっている状況です。

といったところで、今お話ししたように、ちょうど昨日(※登壇当時)リリースして、私たちの課題であった、ユーザーにより使っていただくためにどうしていくかといった土台の部分のズレを、ある程度変更することができました。

これからは、管理機能であったり、ユーザーに対して組織でどう利用してもらうかという点であったりで、より訴求していくことを考えたいと思いますし、コミュニケーションの基盤として「Chatwork」をより活用してもらうにはどうしたらいいか、というところで、さまざまな改善を考えていきたいので、引き続きご期待いただけるとうれしいです。

プロダクト戦略のこれから

といったところで、最後に簡単にですが、「Chatworkのプロダクト戦略のこれから」についてもお話しできればと思っています。

私たちは、すでにIRでも中長期の方針を示しています。まずは、中期の2024年末までに中小企業No.1のビジネスチャットになっていくと挙げています。中小企業の中でのビジネスチャットのシェアを30パーセント取る。全社の売上も100億円まで到達させるといったところを目標として置いてやっています。

2021年に関して言うと、CAGR(年平均成長率)40パーセントを目指していたので、そこはクリアできたかなというところで、これからまた2年は、このあたりもきちんと実現できるように進めていきたいなと考えている次第です。

それと併せて、ユーザーの輪が広がってきた中では、ビジネスの核となるプラットフォームにきちんと展開していくということが長期での目標になっています。

今お伝えしたような中期の方針がある中で、中小企業No.1ビジネスチャットに対するプロダクトとしてのビジョンも、整理をして開発を進めています。

中期のプロダクトビジョンというかたちで「誰もが簡単に活用できるチャットサービスを通して、業務プロセスの無駄をなくし、中小企業の生産性を劇的に向上させる」ということを掲げていますここは、現CEOの山本(山本正喜氏)とも、いろいろアイデアを出してフィードバックをもらって、議論を重ねた上で決定しました。

それに対して、具体案は載せていませんが、戦略的な大テーマとして、プロダクトイニシアチブを定義しています。先ほどの事業全体の中のテーマをカバーできるように、10から12ぐらい項目を作って、これから考える施策はどれに当たるものなのかをひもづけられるようにしてきました。

プロダクトビジョンとプロダクトイニシアチブ

最初に、私がID基盤の領域を担当していたという話をしましたが、ビジネスチャットだけではなく、その周辺にあるいろいろなサービスを実現していくためのIDの1つがChatworkであり、コミュニケーションを取るためのビジネスチャットがハブになっていくかたちで、Chatworkの中により周辺的なサービスもコミュニケーションとして融合することを求めて、いろいろこれからやっていきたいと考えています。

ビジネスチャットと連携する価値のあるものはどういうサービスであるかということは、これから考え進めていく部分にはなりますが、まず、ストレージといった部分は、先ほどお話ししたようにChatworkストレージテクノロジーズを子会社化することで実現しています。助成金であったり、電話代行というかたちでクラウドソーシングに近いサービスも、提供しています。

こういったところで、よりビジネスを効率化するためのサービス、プロダクト、その周辺的なサポート全般を、私たちができるようになっていくことを目指して、事業を成長させていきたいと考えている状況です。

というところで、私の発表は以上とさせていただければと思います。

最後におさらいを載せていますが、1年でどう成長したのかという点では、登録IDは500万ユーザーを超えて、課金IDも60万ユーザーに届きそうといったところで、ARRも順調に成長することができました。

どういうことをやってきたのかという観点では、ここは、主に地道な改善ですね。組織・プロダクト両面です。オンボーディングの強化であったり、今後のPLG推進に向けての土台作りといったところで、組織機能の提供であったり、有料化いただくための軸を変更していくことをやってきました。

これからとしては、このPLGを意識した改善を行いながら、ユーザー自体の状況、業種・業態などに応じて、使いやすいビジネスチャットを追求して、周辺サービスも許可していくといったところで、より効率的な環境を提供できればと考えています。

私からの発表は以上としたいと思います。ご清聴ありがとうございました。