Chatwork社・プロダクトマネージャー大野木達也氏

大野木達也氏:Chatwork株式会社の大野木と申します。よろしくお願いいたします。本日は、「Chatwork Product Day 2022」にお越しいただき、ありがとうございます。

私からは、プロダクトマネージャーとして、この1年Chatworkがどういうかたちで成長してくることができたのかをお話しできればと考えています。よろしくお願いいたします。

まずは簡単に自己紹介いたします。もともとは、フリーランスでモバイルのユーザーインターフェイスの開発や、Webディレクションをやっていました。その後、コンタクトセンターの事業会社でチャットボット事業を立ち上げて、一定立ち上がった後にメルカリという会社に移りました。

最初は、カスタマーサポート部でプロダクトを連携するチームや、カスタマーエクスペリエンスプログラムという、顧客の声をプロダクトに届けて改善をしていく仕組みを作り、運営するチームの立ち上げをやりました。

その後にプロダクトマネージャーとしてマーケットの監視やサービス管理領域のプロダクトのプロダクトオーナーを担当しました。

その後、2021年4月にChatworkに入社し、その中ではPM組織やプロダクト戦略の運営を担うProduct Operationsというチームの立ち上げであったり、共通ID基盤領域の中長期のロードマップ策定やフェーズごとのスコーピング等をPMとして担当してきています。

2022年1月からは、プロダクトマネジメント部のマネージャーというかたちでプロダクトマネジメント全体を見る役割を担っています。

Chatwork社が掲げる、ミッションとビジョン

本日はChatworkのイベントということで、私たちの事業自体はご存じだと思いますが、ビジネスチャットのサービスを提供している会社です。

現状の導入社数も36.5万社(※1)を突破して、国内の利用者数ではNo.1(※2)といったかたちで、それなりに大きな規模でサービスをさせていただいていると思っております。

※1 2022年6月末時点
※2 Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2022年5月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む47サービスをChatwork株式会社にて選定。

その中で、電話やメールから、より効率的なチャットというところを目指してきたのですが、さらには、これをビジネスコミュニケーションの核として据えられるかたちを実現して、ビジネス自体のプラットフォームといった位置付けに持っていけるように、そういったところを目指したいという思いで事業をやっています。

ミッションには、「働くをもっと楽しく、創造的に」を、ビジョンとしては「すべての人に、一歩先の働き方を」を挙げています。

先ほどお話ししたように、今、ビジネスチャットというソリューションを提供はしているのですが、事業としてはより先を見据えて、働くこと自体をより改善していくであったり、ビジネスチャットにとどまるわけではなく、それより広い範囲で働き方に貢献できるようなことをしていきたいと、いろいろとサービス展開も模索している状況です。

本日の内容では、まず現在展開している主要プロダクトであるビジネスチャットがこの1年、どういうかたちで成長してきたのかというところをお話しして、そのためにプロダクトグロースとしてどういうことをやってきたのかをお話しできればと思います。

その上で、Chatworkの今後のプロダクト戦略をどのように考えているのかについても少し触れさせていただければと思っているので、よろしくお願いいたします。

年間経常収益が1年間で15億円弱向上

まずは、Chatworkがこの1年でどう成長してきたのかというところなんですけども。これが、2021年6月時点でのKPIのハイライトになっています。こちらはIRにも記載しているものです。

ちょうど私は2021年の同じ時期に、PMカンファレンス(「プロダクトマネージャーカンファレンス」)というイベントに登壇して、その時にこのKPIのハイライトを出しました。当時は、登録のID数が439万ですね、課金ユーザーが50万人弱で、ARR(年間経常収益)も25.8億円、DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)が100万人にちょっと届かないぐらいという状況でした。

そこから1年経って、登録ID数も500万を超えて、さらに伸び続けているという状況になっています。課金IDも60万に届きそうといったところで、順調に成長できているかなと考えています。(※3)

※3 すべて2022年6月末時点

ARRも全体としては14.7億円で、だいたい15億円弱向上させられたというところで、事業成長としてはかなり良いかたちでやってこられているのかなと考えています。

解約率が0.4パーセントで、0.1上がっているようには見えますが、プランの統合などがあった中で、課金IDのほうは、むしろ解約率が下がっている状況で、私たちとしてはそのあたりをポジティブに捉えてやっています。DAUも無事に100万を超えるところまで来ている状況になっています。

といったところで、先ほどもお伝えしたように、ARRは15億円弱の増加を成し遂げたので、2021年は大きな飛躍になったかなとは考えています。

(スライドを示して)こちらの数値には、2021年に子会社化したChatworkストレージテクノロジーズの売上等も含まれているので、ちょっと多く見えている部分があります。私たちChatworkのビジネスチャットとしてはアカウント事業分というかたちで、単体だとこのような状況になっています。

2021年時点の26億円弱から、37億円ぐらいまでリフトをさせることができたので、プラス43.1パーセントという数値を出すことができています。このあたりを実現していくために、私たちがどういうことに取り組んできたのかということを、次にお話しできればと思っています。

プロダクトグロースのためにやったこと1 GoogleとAppleの認証の仕組みを導入

といったところで、「Chatworkはこのプロダクトグロースのために何をやってきたのか」についてお話しします。

大きくは、地道な体験改善のためのアップデートが1つあるかなと思っています。2点目として、PLG(Product-Led Growth)に向け組織としてもかなり大きくアップデートをかけてきたというところがあるので、このあたりも少しお話しできればと思っています。

あとはやはり、新規登録や、継続して使ってもらう定着の部分をより強めていかなければならないので、オンボーディングの部分もきちんと強化していくことにも取り組んできました。

さらには、より多く活用してもらうために、2022年に大きなルールチェンジを2つ行いました。このあたりは順次お話をしていければと思っています。

まず1つ目ですね。これは体験改善と新規登録の部分に寄与したかなと思いますが、GoogleとAppleの認証の仕組みを導入をしました。

これまではメールアドレスとパスワードを使って新規登録をして、そこからアカウントのIDとパスワードでログインしていくというのが主でしたが、GoogleとAppleの認証を導入によって、新規登録の時点でメールアドレスと名前とパスワードの入力が不要になり、登録のためのステップを削減することができました。

この流れで登録することで、ログインもパスワードを入れることなくAppleでサインイン、もしくはGoogleでログインというボタンを押すことでログインできるようになりました。ユーザーにとってもかなり簡単なステップで使えるようになったというところで、1つ大きな提供ができたと考えています。

プロダクトグロースのためにやったこと2 モバイルのプッシュ通知の改善

あとは、モバイルのプッシュ通知でも本文を表示できるようにしました。これは、新規登録を増やすというよりは、リテンションという、使い続けてもらうため、よりサービスにアクセスしてもらうための意味合いが強いのですが、スマートフォンであったりスマートウォッチで、アプリを開かなくてもメッセージの内容が確認できるようになったので、その視点での使い勝手を向上できたかなと考えています。

プロダクトグロースのためにやったこと3 コンタクト管理の改修

次ですね。ここは、1ページにまとめているんですが、先ほどお話ししたように、私たちは2024年末までに、できる限りいろいろな方に使っていただきたいというところで、ユーザー数をグロースさせることを目標に置いています。

その中で、招待するためのリンクをコピーして友人に送るとか、(ユーザーを)招待をするための導線が、これまでだとけっこうバラバラに点在していて、わかりやすい導線にできていなかった状況でした。

いったん、基本的な招待をするための導線を、「コンタクト管理」に統合していきましょうと、(スライドを示して)段階的ですが、ここに入れられているような内容を改善してきました。

地味な部分かもしれませんが、こういったタブの表記の仕方も、より伝わりやすいように「招待してつながる」であったり、「利用中の知り合いを探す」みたいなかたちで、中小企業のユーザーさまがよりわかりやすい言い方にするといったところも気を配りました。

あとは、管理者としてユーザーを追加する設定を(スライドを示して)このあたりに移していったりすることで、「とりあえずここに来れば、使う人を増やすことができますよ」ということをユーザーにわかりやすくしていきました。

(次回へつづく)