2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
The Real Reason Peppers are Spicy(全1記事)
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つまり、唐辛子の木が辛くなったのは私たちのような哺乳類がその木の実を食べないように進化したのだと思ったのです。なんという冗談でしょう!
しかし野生の唐辛子の木を慎重に研究すると、少なくともそれ以外の理由があることがわかりました。唐辛子が辛い本当の理由は、もっと小さな危険、例えば虫やカビなどから身を守るためだと思われます。
唐辛子を辛くさせる主な成分はカプサイシンです。カプサイシンは人間の神経にある特別な熱を感じ取る受容体と結びつくため、辛い唐辛子を食べると口が燃えるように感じるのです。それに辛い食べ物を食べるときは、生の唐辛子を食べたときに感じる痛みを感じたいがために食べるのではありません。
ほとんどの他の哺乳類も、あの痛みを感じるのは好きではありません。1980年代の科学者たちは、あの辛さは痛みを増幅させるために進化したと考えたのです。その説は「直接抑止仮説」として知られています。
そしてその仮説がテストされたとき、その説が正しいように思われました。植物は通常実を結ぶことによって動物がそれを食べるように促し、それを排出して糞に含まれるタネをばらまくようにしているのです。
しかし動物の中でもタネをばらまくのが上手なものとそうでないものがいます。唐辛子の木に関しては、哺乳類動物の内臓はそのタネの働きをなくしてしまうのに対し、鳥類はそうではありません。ですから理想では、唐辛子の木はその実を私たちのような動物にではなく、鳥類に食べてもらいたいと思っているのです。
鳥の体温を感じる神経は、カプサイシンには敏感ではないので、哺乳類から実を守るためのちょうど良い科学的な防御だと思われます。いくつかの研究所と現地調査は抑止力をつけるために、辛さが進化したアイデアを支持しました。なぜなら、げっ歯類や他の哺乳類は辛い唐辛子を好んで食べることがないように見受けられたからです。
しかし実際はいつもそうではなく、そのために研究者の中には直接抑止仮説の信憑性を疑う人が出てきたのです。例えば、人間はどんどん辛味が増したとしてもそれに対する耐性を持つことができるので、辛さにより人間が辛い唐辛子を食べなくなることはありません。
明らかなことですが、私たちは痛みが好きなのです! または食べられるということを見せつけたいのです! 「特別辛いのにしてください!」なんて注文することがあるでしょう。そして、それが本格派のタイ料理レストランだとしたら後悔するのです。
そして実は人間以外にも辛いものが好きな動物もいるのです。1990年の論文では、研究者が2二週間に渡り、4匹のネズミに辛い食べ物を、5匹のネズミには普通の食べ物を与えました。その後、辛くない食べ物と辛い食べ物を選べるようにしたところ、4匹中3匹が引き続き辛い食べ物を食べ続け、5匹のうちの1匹は辛い物を食べていなかったにもかかわらず、選べるようになると辛い方を選んだのです。
この研究は小規模ですし、約30年前のものですが、それでも哺乳類の中には少しの辛さであれば食べることができ、辛い唐辛子に囲まれていれば、それに慣れて食べることができるようになれるかもしれないことがわかったのです。
しかし直接抑止仮説に大打撃を与えることになったのは、唐辛子の辛さの自然変異の研究でした。野生の集団の中では、その種類の辛さはさまざまです。なぜならカプサイシンを生み出すには植物にも犠牲が伴うからです。
ですから味をなくしてもいいのであれば、カプサイシンを作ることはないでしょう。科学者たちが野生の唐辛子の木をボリビアなどで調査しました。そこでは辛くない唐辛子と辛い唐辛子が両方自生していますが、辛いものはおろか、哺乳類動物は辛くない唐辛子も好んで食べませんでした。それに、唐辛子の木はより多くの草食性哺乳類動物に囲まれているからといって、より辛味を帯びるというわけでもありません。
ですから、辛くない植物にとっても、哺乳類は大きな問題なのではないようです。辛さはその土地の天気に関係しているようです。降雨量の多い場所の唐辛子は辛さが強くなるようです。科学者たちは野生の植物の90%以上にカビ害のしるしが見られることを発見しました。2000年代後半、科学者たちはその辛味成分はカビから実を守るためであり、哺乳類から守るためではないのではないかと考え始めました。
ある真菌はとくに野生の唐辛子に害を与えることで知られています。研究者たちはそれこそがボリビアの唐辛子の木の実とタネの飛散にダメージを与えるたった一つの理由であるということに気がつきました。昆虫が唐辛子の実に穴を開けると、菌に感染する極小の傷がつきます。きっと昆虫が真菌に足場を与えるからでしょう。
しかしカプサイシンはそれが育つのを止めます。辛い唐辛子と辛くない唐辛子が同じ木に出来たとき、辛い物の方が感染する確率が低くなります。そして研究者たちは一定範囲内に傷が多ければ多いほど、その唐辛子の辛味が増すことを発見しました。きっと傷の中で育つ真菌をより防御する必要があるからでしょう。
カプサイシンは立派な防虫剤でもあります。これらすべてを考慮すると、辛味は防虫作用があり、真菌を殺すために進化してきたと言えるかもしれません。もしそうであるなら、唐辛子が熟すとさらに辛味が増す理由も筋が通ります。ほとんどの植物の実は、未熟の時には美味しくない化合物が含まれています。
そのため、そのタネが拡散される準備ができる前に小動物にその実を食べられてしまうのを防ぐことができると考えられます。一度その実が熟成すると、それらの化合物はほとんどなくなり、タネを拡散してくれる動物たちが食べてくれるようになるのです。
唐辛子はその真逆で、成熟するほど辛味が増すのです。そしてもしその辛味が防カビの役目をするのであれば、筋が通ります。植物がカビを許してはいけません。なぜなら真菌は唐辛子がどれだけ大きくても小さくても攻撃することができるからです。
そして成熟した実はその植物が投資した証拠ですから、そのタネが拡散される準備ができた時にその実がダメになることは、植物にとって最悪です。ですから時間をかけて辛味を増やしていくことは、虫や真菌が住み着くのを防ぐために進化した結果でしょう。
研究者たちはもし、哺乳類もそれによりその実を食べたくないと思うようなら、きっとそれは良い副作用なのだろうと考えています。ですから、今度あなたが四川料理やヴィンダルー(インド発祥のカレー)などの美味しい料理を食べることがありましたら、燃えるような辛さは人間を対象としているのではないということを覚えておいてください。その辛味は唐辛子の農薬の味なのです。
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