名司会者が教え子たちへ卒業スピーチ

オプラ・ウィンフリー氏:みなさんやりましたね! ありがとう、ありがとう。ウォリス・アネンバーグ学長、ありがとう。学部長にも感謝です。保護者のみなさん、学部のみなさん、友人のみなさん、そして卒業生。

(会場歓声)

おはようございます。ここで特別な感謝の意を伝えようと思います。学部長さんが私を招いてくださったことを感謝しています。私のかわいい娘たちはここでジャーナリズムを学んでおり、今日、修士を取得しました。

私はスピーチの有無に関わらずここに来ていたことでしょう。なぜなら、ある若い女性に特別な感謝の意を伝えたかったからです。出会ったのは、リーダーシップアカデミーの生徒を募集していた最初の年でした。聡明かつ寛大で、エネルギーある優しい心を持った女性を探していました。彼女はまさに大事なものを持っていました。なにがなんでも前に進む意志です。

彼女が面接室に入ってきたときのことを今でも覚えています。南アフリカでのこと、彼女は部屋に入るやいなや、尊敬する先生へのポエムを読みました。そして彼女が部屋を去る時、私はもう「この子だ」と思っていたのです。

南アフリカかからはるばるやってきタンド・ドロマ、あなたを誇りに思っています。彼女の叔母さんはこの卒業式に参加するために30時間かけてやってきました。本当にありがとうございます。

真実のニュースの監視者となれ

今日はみなさんにいい話と悪い話を用意しました。コミュニケーションする力と意志を使い、人生を築こうとしている人たちのための話です。まずは悪い話をしましょう。私はいつも悪い話からはっきりさせていくので。

今、私たちを取り巻くすべてのもの、とくにインターネットとソーシャルメディアは私たちの信頼を侵食しています。それは制度の混乱でもあります。

欲望がうずまき、間違った情報をあふれさせ、注意力は散漫になり、偽物のサイトからの間違ったストーリーが、メジャーなメディア上に駆け巡る。スマートフォンを食い入るように見つめると、そういった悪い流れに足を踏み入れてしまっているのです。

では、ここでいい話をしましょう。ここにいる多くの親御さんが、今夜のディナーではみなさんをいいお店に連れて行ってくれるでしょう。

(会場笑)

それよりマシないい話ができます。悪い話をしましたが、いい話というのは、これには解決策があるということです。それはあなた方のことなのです。あなたたちが新たな門番になり、真実を追求する志の高い戦士になり、知性と洞察力と事実で己を武装し、まやかしを撃つ必要となるからです。

真実のニュースを誹謗する者たちを監視する位置にあなたたちはいます。彼らをチェックするのはあなたたちです。

(会場拍手)

なぜなら、あなたたちには真実のシナリオで押し返す力があるからです。記録を正せるのです。学部長もおっしゃったように、ストーリーを伝えたいと渇望する人たちに、真実の声を託す能力があります。私がメディアで長くやっているから確信していることです。ストーリーを語る人たちの個性を認識することができれば、自分自身の個性にも近づけます。

バイアスに直面することもあります、信頼を築くことも、直感に磨きをかけることも、共感を呼ぶこともできます。与えられた才能を使うのです。それがここにいる理由です。世の闇を照らすために行動するのです。

世間のヒステリーを克服するためには

私も自覚していることですが、今この瞬間はあなたのものです。あなたたちが本当に立ち上がるためのものです。

もし仮にどこにも行けなくても、スターバックスで順番待ちであろうが、パーティに行けなかろうが、どこだろうとです。悲惨な出来事や嫌なことを世間は語りたがります。世間はヒステリーを見ようとしているのです。ヒステリックになり悪化していくのです。

長年の経験で私が学んだことは、そこに自分を合わせ、抵抗しないことを選択すべきではなく、むしろそれが何かを見抜いて乗り越えていくべきなのです。これがヒステリーを克服する方法です。

(会場歓声)

またそれは、中傷や憎しみ、邪な思いを持つ連帯を克服する方法でもあります。人生の向上のために、奨励し、勇気づけるために今この瞬間を使うのです。

私の敬愛するマヤ・アンジェロウ(黒人女性作家)から言葉を借りますが「月や太陽のように、潮の満ち引きとともに、希望は高く芽吹く」のように、あなた自身も高みへと登っていきます。あなたたちがすべきなのは、勉強した知恵を使って、縦横無尽にチャレンジしていくことなのです。何かを見つけたら声を上げ、事実を明らかにすべきです。

真実の事例をつくるため、決断を毎日しなければなりません。真実に対して、少しお話ししましょう。真実は解放させ、罪の判決を下します。浄化もします。今までもこれからも、真実は後に続く者に対する盾となるのです。欲望と絶望への盾でもあります。

真実とは他を救う尊いものなのです。USCアネンバーグのみなさん、伝え、書き、主張し、声を上げる。そうなるべきなのです。あなたたちが真実となるのです。

(会場歓声)

皮肉は信じる力を閉ざす

私たちがなぜ今日ここにいるかの本当の意味についてお話ししましょう。(卒業式が終わってから)1時間半もするとカタパルトから発射されるかのごとく、このスピーチが世間の目に触れることになるでしょう。25年、『オプラ・ウィンフリー・ショー』の司会をしてきましたが、放送回数は4,561回ですね。

トークのやり方はわかっているのです。でも少し恐れていました。なぜなら卒業式は大変だからです。何を伝えていいのか考えるのも大変です。聞いたこともある内容かもしれません。そうしたことは親や先生、もしかしたらSiriからすでに教わったことかもしれませんから。

(会場笑)

新しい教訓などはありません。古いものを何度も聞くようなかんじでしょうから。新たなテーマがいくつかがあります。リストは長いので、1つ選んでください。リストを紹介します。

気候変動、制度的な人種差別、経済的不平等、メディアバイアス、ホームレスの雇用機会、依存症患者への対処、夢を追う人の保護、刑務所制度の改革、LGBTQコミュニティ、社会保障ネットワーク、そして改ざんは撤廃すべきといったことです。

改ざんは撤廃すべきですね。でもすべてを直すことはできません。では、どうするか。もっとも危険な敵との戦いを宣言すべきです。その敵とは「皮肉」です。皮肉というものに取り憑かれてしまうと、しっかり考えられなくなり共感力を狭めたりします。遅かれ早かれ、皮肉は信じる力を閉ざします。

「どうでもいい」などと皮肉を言う時、それはまさに社会で衝突を引き起こす時なのです。そうなってしまうのは簡単です。不安というものはメディアで24時間いつも映し出されているからです。みんな不安を感じています。

しかし、そういう時こそが、私たちが希望を持つ権利のために立ち上がるべき時なのです。持ちうるすべての知恵や勇気で立ち上がるのです。

(会場拍手)

前進も後退も、すべてが遺産となる

重要なのは、何のために立ち上がるか。この問いは、一生あなたに付きまといます。そこでこんなやり方があります。発言に誇りを持つのです。何かを言う時も、そのままに。現場に出て働き、自らの汗を流してしっかり働くのです。

歴史は紡がれているという理解が、力を引き出すでしょう。毎日書いて進む。何をする、しないということもあなたの一部になります。たった一つのことではなく、すべてが遺産となるのです。

2007年に学校を開いたときのことをいまだに覚えています。マヤ・アンジェロウのテーブルに座っていました。彼女は南アフリカの(オプラ氏のアカデミーの)オープニングには来れなかったのですが。

私は言いました。「オプラ・ウィンフリー・リーダーシップアカデミーは私の最高の遺産になるでしょうね」。彼女はクッキーを焼いていた手を止め、こちらを振り向き「何が遺産になるかなんてわからない」。私は「え、どうしたの?」。そして「学校をオープンして……」「女の子たちの将来が……」と続けます。

しかし、彼女は「何が遺産になるかなんて本当にわからない。遺産はあなたが触れたすべてなのだから」。この言葉は、私を変えました。

(会場拍手)

ライフル所持者が学校に侵入するのを一人で防ぐのは不可能です。あなたがいつか生む娘に、あなたの母や祖母が戦って得た権利を確保できることは言い切れません。貧困する4,000万人を救うのも、あなた一人よりも多くの力が必要です。

しかし、やってみようとも思わないのであれば、何になるのでしょうか。大きな山を動かしたり、打つ手がない状況を打破するため、力を結集すべきです。

私にとって、もっとも深い満足や最大の見返りはまさにそういうところから来ます。なんでもいいから問題を選んで、それに対して何かしてください。傷ついている人にとって、その何かがすべてである場合もあります。

これは言いたくないのですが、というのも、前のスピーチの噂がようやくおさまってきたところなので(注:第75回ゴールデン・グローブ賞の受賞スピーチが反響を呼び、政界進出が噂された)。

そうですね、つまりは投票しましょうということです。投票しましょう!

(会場歓声)

あなたの思いを代表する人にしっかり注意を払ってください。あなたがちゃんとしないと、信念と政策が調和しません。政策の中身を決めるのはあなたなのです。うまくいっていないなら世論調査となります。ありがとうミシェル・オバマ。その権利のために人は命をかけます。私はいつもこのことを思います。彼らの犠牲を無駄にしないようにしましょう。