カオナビのチーム数の変遷

小松史明氏(以下、小松):座談会に向けたプロローグという立ち位置で、カオナビの中でチームがどう組織に馴染んでいったかについて話そうと思います。豆知識のつもりで聞いてください。今日は1人で出ようと思ったのですが、直前に尾張部さんを捕まえて出てもらいました。よろしくお願いします。

尾張部佑亮氏(以下、尾張部):お願いします。

小松:まずチーム数の変遷から紐解きます。タレントマネジメントシステム「カオナビ」のサービスが動き始めたのは2012年からなので、約10年です。(スライドを示して)こうやって見ると、最初はチーム開発はしていませんでしたが2019年くらいからチームが増えてきましたね。

尾張部さんから見て少し懐かしいかもしれませんが、なかなかユニークな名前のチームがあって。(これは)別に動物縛りのルールがあったわけではないんですよね。

尾張部:最初にできたのが「ふくろう」とか「ぺんぎん」かな。それから動物縛りのような雰囲気を感じ取って今に至っているので、いまだにルールにはなっていません。

小松:そうですね。チーム名を付けることも、チームビルディングの1つとしてすごく大事だと思っています。ちゃんと思いを込めて動物の名前を選んだのに、途中から実在するかわからない動物もいるんです。しまいには「いちご」とか。

2020年あたりからチーム数がスケールしていったので、「どうすればチーム開発をもっとうまくできるんだろう」ということに向き合うのは、ここから始まったと思っています。

カオナビの“スクラム黎明期”

小松:チーム数とは別に、当時あったことを振り返りながら紐解いていきます。最初、カオナビは外注で開発して内製はしていませんでしたが、2017年頃から徐々に組織化されていったのが1つ目のポイントかと。この時はまだチームというより専門性を持っている部署、というか塊ですね。グループがウォーターフォールに近い感じで開発をしていたのがこの時期でした。

僕や尾張部さんが入ったのがもう少し後の2019年で、その時は開発のスピードと向き合う時期でもありました。職能ベースの塊だといいこともあったけれど、デメリットも見えてきた。当時を思い出すと、部分最適とか、社内受託に近い感じになってたことがありました。

そこから2020年にかけて、ボトムアップで少しずつやっていくより、組織のかたちやチーム開発に「えいや」と切り替えたような記憶があって、それがチーム開発がベースになった時期なのかなと。僕はこれを勝手に“スクラム黎明期”と呼んでいます。

思い返してみると、僕が2019年の4月に入社して初めて入ったのが、先ほどの「ぺんぎん」チームでした。もうスクラム開発をやっていましたが、どちらかというと試行錯誤しながら「これでいいのかなとか」「少しやってみよう」みたいな感じでやっていたので。実はこの時からカオナビのスクラムに向き合い始めていたんですよね。

尾張部:僕も同じ時期の「ふくろう」チームで初めてスクラムを経験したので、懐かしい気持ちで聞いていました。

小松:その後、2020年にいろいろありましたが、コロナ(の影響)はけっこう大きくて、我々もその時にリモートワークに切り替えました。チーム開発がベースになって、「これから試行錯誤するぞ」という時にリモートでやらないといけなくなったのが、個人的には衝撃でした。あまり知見も経験もなかったので、それさえもやってみようという感じでしたね。

2020年から2021年にかけてラベルを付けるなら、チーム開発をいろいろ実験したり、試行錯誤したり、横展開したり、新しいことを始めたりやめたり。そういうことが活発な時期だったと思っています。

尾張部:確かに2020年からスクラムをやって1年経って、なんとなく慣れてきた時にフルリモートになったので。「フルリモート(になって)イベントどうよ(うまくいってる?)」みたいになって、すごく話した気がします。

小松:2022年は座談会に出てくるメンバーたちがジョインしてくれた年です。この話は後で触れようと思っていますが、また新しい文化や考え方、新しい取り組みがカオナビの開発組織の中に入って、今はいい動きができている。こうやって俯瞰すると、ひと口にチーム開発と言っても、カオナビの中だけでも歴史があるんだなと思いますね。

チーム開発が馴染むための取り組み

小松:本題ですが、何をやってチーム開発がだんだん馴染んでいったのか。誰か1人が何かをしたというより、当時のみんなが協力して試行錯誤した。けっこうインプットしたと思います。

というのも、経験がなかったので、まずは「守破離」の「守」ではないですが、インプットして知るみたいな。(スライドに)本の画像を貼ろうしたものの多すぎてやめましたが、たくさん読みました。この時、僕と尾張部さんは同じ本を読んで、わからないなりに「今の現場で起きているのってこうじゃない」とか、あれこれ話したのを覚えています。

尾張部:そうですね。最初の頃は、本を読んではすぐそのまま現場に適用しようとして、「うまくいかねぇ」みたいな話をしていた気がします。

小松:本だとスルッといくのに現実はそうではないとか、いろいろありましたね。そういうことがあったから、僕はCSM(Certified Scrum Master)スクラムマスターの研修、尾張部さんはCSD(Certified Scrum Developer)のスクラムデベロッパーの研修に行って、またインプットして試したり。

ほかに、RSGT(Reginal Scrum Gathering Tokyo)(に参加したり)。この10分(間)は僕らの話ではないですが、、思い返すと、外の世界を知るという意味でも外部カンファレンスに行くことは大事だった。そういったことをやった上で、やっと『スクラムガイド』をちゃんと読み始めるという。

尾張部:最初は意味がつかめなかったよね。

小松:やってみるとわかる。そうだったのかみたいなみたいなね。これは実験的にやったことや実行してみたことでパッと思いついたものですが、今いる方はあまり知らないかもしれません。『カイゼン・ジャーニー』の著者の新井さんをお呼びして、ワークショップをやったり、チーム名(を変えること)もそうだし、「デリゲーションポーカー」をやってみたり。プロジェクトを立ち上げる時は、「インセプションデッキ」を作って向き合ってみようとか。

すごく戦略的に取り入れたものもあるけど、中には藁にも縋る思いでやったものもある気がするんだよね。

尾張部:そうですね。「ドラッカー風エクササイズ」とかね。最初は、僕は「これはやるものだ」という気持ちでやってました。

小松:でも、ドラッカー風エクササイズ1つ取っても、「どうすればチームのメンバーがより対話しやすい状況になるか」とか、「相互理解が進むだろうから1つやってみるか」という感じでやったのが懐かしいですね。

尾張部:懐かしいです。

放っておいても組織にチーム開発は馴染まない

小松:まとめるわけではないですが、「これかな」と思っているのが、放っておいてもチーム開発は組織に馴染まない。今振り返ると、(当時は)試行錯誤や実験、観察をすごく頻繁にやっていたと思うんですよね。

やろうとしても1人ではできないので、やはり仲間が大事。自分の場合は尾張部さん。もちろん他にもいるけれど、壁打ちして、自分の思いこみを話してみて、フィードバックをもらうみたいな。

「こんなにがんばっているのに」と思う瞬間もあるけれど、やはり根気が大事だと思ったんです。絶対にチーム開発やチームは1日では変わらない。「心・技・体」ではないですが、この3つは大事な関係性だと思って、最後にスライドに入れてみました。

尾張部:確かに。「試行錯誤・仲間・根気」。何かを彷彿とさせる色で(笑)。

小松:この後メインコンテンツの座談会をお送りしますが、「そういう歴史を辿った組織の中に今年入社したメンバーが語るチーム開発座談会」という見方をしてもらうとおもしろいと思います。これでプロローグを終わります。

尾張部:新しい仲間の後は、座談会を楽しませてもらうということで(笑)。

小松:そうですね(笑)。尾張部さん、ありがとうございました。

尾張部:ありがとうございました。