2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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中央大学で開催された「グローバル・アントレプレナーシップ・ キックオフ・シンポジウム」。文部科学副大臣の今枝宗一郎氏、東京都副知事の宮坂学氏、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長の伊藤羊一氏による、「 アントレ教育の未来」についてのセッションをお届けします。本記事では、スタートアップ創出が国の重要課題になっている背景や、グローバルに挑戦することの価値を語りました。
国山ハセン氏(以下、国山):伊藤さん、ありがとうございました。大変熱いメッセージの数々がありました。それでは、ここからはお三方に再度ご登壇いただきます。このQ&Aセッションでは、講演内容を今一度深堀りさせていただいて、そのあとはみなさん自身のキャリアを踏まえて、個人としてのアントレプレナーシップに対する思いや、学生のみなさんに期待することをうかがえればと思います。
まず今枝さん、先ほどもありましたが、このアントレ教育に関しては、大学にどんなことを期待しますか?
今枝宗一郎氏(以下、今枝):まず、先ほど宮坂副知事と(伊藤)羊一さんにお話しいただいたように、学生のみなさんには、こういったところへの参加や、夢を持つこと(を期待しますね)。「夢を持つって、くせーな」「40歳の親父が何言ってんだよ」と、みんな思うかもしれませんが、僕は今でも夢を進行中です。
15歳で、「国会議員として世の中をよくする。特に社会保障を安心できるものにしたい」と。「そのためには成長していかないといけないし、人口減少でもみんなが活き活きして活躍できれば、生産性も上がるし付加価値も上がるはずだ」と思いながら、それに類するような政策を作るために、現場をやっています。そして今は政策を作っていますので、どんどん変わりつつあります。
今では、スタートアップも国の一番の重要課題になってきて、夢が1つ叶えられましたし、さらにまだ進行中です。そういったことを、まずは大学全体で応援してほしいなと思います。
今枝:また、よい事例として、例えば僕の出身大学の名古屋大学(の学生)も、昔は大きな自動車メーカーに入るばかりでした。でも15年経って目覚めてくれて、最近ようやくスタートアップに(入っています)。今、名古屋大学を中心としたプラットフォームでは、実は学生たちに「ビジネスプランコンテスト」をやっています。
昔、『マネーの虎』という深夜番組があったんです。アラサーくらいの人なら知っていると思いますが、「『ビジネスプランコンテスト』の上位入賞者にはお金をバーンと出します。協賛企業から起業支援もします」みたいなこともやっています。ですので、実践していく人たちが動き出すのに、大学としてもぜひサポートしてほしいし、学生さんたちもチャレンジしてほしいなと思います。
その第一歩目、第二歩目として、先ほど宮坂さんや羊一さんにお話しいただいたことに、ぜひチャレンジしていただけるとうれしいなと思います。
国山:伊藤さんもうなずかれていますが、いかがですか?。
伊藤羊一氏(以下、伊藤):結局、「(アントレプレナーシップは)新しい考え方だけど、みんな身につけたほうがいいよね」ということです。だから、それはやるしかないわけですよね。やってどうなるかはわからないかもしれないけど、「行けばわかるさ」みたいなところがある。
今枝さんは「40歳の親父が」と言っていたけど、そうしたら、僕と宮坂さんはどうなっちゃうんだろうという話です(笑)。僕らも、いつでも夢を持っていますよ。
国山:そうですよね。宮坂さん、まさに先ほどのお話にあったように、決して起業する人を増やしたいというわけではなくて、みなさんに必要なマインドセットだと思います。その上で、スタートアップ施策への思い、「なぜ必要なのか」を今一度うかがってもよろしいですか?
宮坂学氏(以下、宮坂):行政としての実利的な話で言うと……(東京は)やっぱりたくさんの人が生活している街じゃないですか。質の高い雇用をたくさん作る、給料が高くて安定している仕事を作るのって、僕はすごく大事だと思うんですよ。
この街でたくさんの雇用、それも、給料がしっかりもらえて、保険もあってといった、質の高い雇用を作ろうと思うと、やっぱりスタートアップが大事なんですよ。イグジット、つまりIPOしたり、M&Aされたりする会社に限らなくてもぜんぜんいいと思うんです。IPOしない会社、例えば新しくレストランチェーンを作るとかでもいいんです。
でも、世の中では新しい会社ができないと、新しい雇用は生まれないですよね。僕がやっている、デジタルで行政を変える仕事も、たぶん30年前はなかった仕事です。そういった意味で、新しいアントレプレナーの人がビジネスの中に生まれて、会社を作ることによって、新しい雇用が生まれる。これを連綿と繰り返していくことが、僕はすごく大事だと思います。
国山:そうですよね。加えて、「SusHi Tech Tokyo」のお話もありましたが、「グローバルに」というところもポイントになると思います。その上で、日本、東京都のポテンシャルを、どのようにお考えですか?
宮坂:これは必然だと思うんですよね。先日、「Viva Technology」という、フランスで開催されているEU最大のスタートアップイベントに行ってきました。当然、EUのスタートアップはたくさんいたんですが、アフリカのスタートアップがすごくいたんですよ。
フランスも少子化だと言っていて、少子化対策がうまくいっている話も聞いたことがあります。でも、アフリカのスタートアップを隣で見てしまうと、「世界は少子化してないじゃん」と思うんですよね。
伊藤:それはそうだ(笑)。
宮坂:世界はぜんぜん少子化していないし、若いし、世代として「Generation Z」が一番多いんですよ。もちろん、100年くらいすると減るとは思うんですが。この小さな国の中で見ていると、人口が減って少子化で大変でも、地球規模で見ると少子化なんてぜんぜんしていないですよね。
これは東京も同じです。僕は山口県という、西の端の出身なんですけど、ここはたぶんかなり前から少子化しています。でも、東京は人口が伸びているんですよね。だから、山口県だけで仕事を見ていると、「人が減って大変だ」になりますが、日本地図で見れば東京は(人口が)増えています。地球儀で見れば、地球は超成長している惑星なんですよね。
そういう意味で、課題先進国という話をしますが、地球全体で見ると、機会の塊みたいな惑星なので、新しい可能性を求めるのであれば(世界に行ったほうがいいと思います)。
宮坂:僕の世代は、東京に出て行くことが成功だったんですよ。僕はいつか東京に行きたいなと思っていたんですけど、これからの時代は東京じゃなくて。みなさんの世代は、絶対に世界に行ったほうがいいと思います。なぜならば、課題を解決するのもいいけど、機会を作るほうがビジネスは圧倒的に伸びるからです。だからぜひ、機会に溢れる世界に行ってほしいなと思っています。
伊藤:グローバルということで、ちょっとお話ししたいんですけど、中央大学さんと同じように、僕らもグローバル化を目指して、「学部をグローバルにしよう!」といろんなことをやっています。
この間は、インドネシアに行ってきました。ボストン大学主催の「Case Competition(ケース・コンペティション」があったんですよ。レバノン、インドネシア、ドイツ、アメリカ、メキシコ、日本の大学生がケースコンペみたいなものをやったんですよね。それはそれで、すごく刺激的な世界でした。うちの学部の学生アジア代表として臨みましたが、最終的にぜんぜん賞が取れなかったんです。
どの国の学生も、エネルギーでした。でも逆に言うと、エネルギーはあるし優秀なんだけど、「日本の大学生だって、このくらいやろうと思えばできるよ」という感じのレベル感だったんです。でも、賞は取れなかった。発表内容のレベルが低いという話ではなくて、場に飲まれてしまったんですね。世界でライバルたちと渡り合う経験がないから、「うわ~」って、ちょっとキョドっちゃったということですね。
伊藤:一方でレバノンはどうかというと、経済的にめちゃめちゃ苦しんでいます。アメリカはアメリカで、いいところもあるけど、苦しんでいる。インドとかも、国内にしかマーケットがないとかで、いいところはあるけど苦しんでいる。だからみんな、海外に出れる人は外に行ってしまう。
ASEANもすごく伸びているけど、イグジットの先がない。だから、国によってイケてるところもあるけど、イケてないところもあるんです。それは日本も同じなんですよ。日本も自信を持って海外に行って、「俺たちはこういう『おもてなし』がすごい」「俺たちはこういうところにチャンスがあるんだ」「こういうディープテックの技術があるんだ」と言ったら、「Japanすごいね」となるわけですよね。
足りないところもあるけど、イケてるところもあるというのがグローバルに行くとわかるので、日本の人たちも、ガンガン海外に行ってほしいなと(思います)。日本人はパスポート所有率が20パーセントくらいしかないそうなんです。めちゃめちゃ雑に言うと、「みんな大丈夫だから行こうよ」と、最近思いますね(笑)。
国山:まずは行動しないとわからないですからね。今枝さん、今のお二人のお話を聞いて、いかがですか?
今枝:2つのことについて、お伝えしたいと思います。1つ目は基礎編の話で、2つ目は実践編の話です。
1つ目の基礎編の話は、「そんなこと言ったって、いろいろ大学とかで忙しいし、彼女も作りたいし」とか、「行動して何になるんだ」と思っていると思うんですよね。でも、行動すると新しい気づきがあります。「自分ではぜんぜんできないな。イケてないな。何もできないな」と思っていても、意外と大人も、たいしてできていません。
伊藤:そうだよね。
今枝:だからみなさん、ぜんぜんできます。やってみないと、感覚として本当にわからないんですよ。僕も高校時代にいろいろ動き始めて、大学時代に事業を作ったりしましたが、日本では挑戦しても死なないので大丈夫です。「死なないから、死ぬほどやってみな」というのが、お伝えしたいことの基礎編です。
実践編では、先ほどお二人がグローバルの話をだいたいされたので、違った視点でお話しします。実は今、国からのお願いとして、スタートアップを推進する上で、「起業して『これはイケてるからやってみよう』と思った時から、世界を考えてほしい」というのがあります。
これは、市場が大きくなるからです。「人口減少は世界では逆である」という話もそうですが、同時に世界から資金を集められるようになってほしいという思いがあります。
先ほど上場や出口(戦略)の話がありましたが、さらに大きくしていく時に、日本のスタートアップに対する投資資金は、それだけではどうしても少ないです。やっぱり世界から資金を集められるようになってほしいというのが、僕らの思いとしてあります。
今枝:そのために、世界で通用するような事業やビジネスモデル、理工系だったら研究のシーズをうまく活かすといったように、できれば考えてほしいなと思います。でも、それをするにも、世界で何が求められているかがわからないとできないと思います。だからやっぱり、行動してほしい。
日本にもグローバルな人がいます。先ほどお話があった「SusHi Tech TOKYO」に行けばいろいろな人がいるので、そういう人とも話をしてほしいと思います。また、海外留学ができれば、そういう人に出会えます。自分の今考えていることで、本当に成功するのかどうかを考える上でも、ぜひ、世界に目を向けてもらえたらうれしいなと思っています。
こういうのは毎年複利で成長していくので、1年やらなかったら、その分損しています。すでに高校からやっている人たちもたくさんいるので、みなさん、すでに4年くらい損していますからね。それもやる気になる1つの要因にしてもらえたらうれしいです。
伊藤:まさにそうですね。大人は「日本で結果を出してから海外に」と言うけど、学生の方とか、起業するなら、いきなり世界というのもいいと思います。今枝さんがおっしゃったように、世界を念頭に置いてやったほうがいいと思うんですよね。
実際にいろんなスタートアップに聞いてみたんですよ。「海外に行きたいって言ってたじゃん。なんで行かないの?」と聞いたら、ベンチャーキャピタルから資金調達を受けたりすると、「まずは国内で結果を出せ」といったことが、わりとプレッシャーとしてあるみたいなんですよね。
ただ一方で、学生の時はそういうプレッシャーがあまりないでしょうから、最初から世界を目指したらいいんじゃないかなと思いますね。
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