2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:渡部恒雄さん(笹川平和財団安全保障事業グループ上席研究員)、六人部生馬さん(株式会社マチマチ代表)(2018.2.21)(全4記事)
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渡部恒雄氏(以下、渡部):つまり、アメリカの大統領って、外から見るほど独善的には動けないっていうことなんですよ。
山本一太氏(以下、山本):なるほど、なるほど。
渡部:そうなると……、Twitterは簡単ですよ。だから、Twitterを見てると、みんな怖いと思うかもしれないけど、Twitterは言うだけですからね。やるとなると大変なので。実は過去のパターンを見てても、トランプ自身は、最後はアドバイザーの言うことは聞くんですよね。
山本:なるほど。
渡部:(そのアドバイザーのことを)気に入っていればですよ。そういう意味で、あんまり危ないという方向に考えすぎないほうがいいけど、「大丈夫ですよ」、「やりませんよ」とは言えない。なぜならば、そんなことを思われたら、圧力にならないからです。
山本:それはそうだ。渡部さん言うとおり、そこがちょっと微妙なところで。「やらない」って言ったら、もうすでに北朝鮮はなにも反応しないからね。
さっき言ったアメリカに届くICBM(intercontinental ballistic missile)を持つことは、アメリカはたぶん許さない。それが本当に起こりそうな時は、やっぱりやると思うんですよ。そこですよね?
渡部:そこですね。
山本:北は核放棄しない。普通、どう考えてもしない。憲法みたいなところで、「核大国になる」って書いちゃってるし、リビアやイラクの例を見てる。これはもうすべての人が言いますけど、金正恩はやめるつもりはない。そうすると、またこのままチキンゲームが続いてね。この平昌五輪の後、当然米韓軍事合同演習をやるでしょう。これはどういう展開になってくるのかという。
渡部さんが言うように、私も軍事行動の可能性は低いと思ってるんです。ただ、決定的に違うじゃない。これはどういうふうになっていくんだろうか? これもなかなか難しいけど。
渡部:これも答えはなくて。
山本:はい。
渡部:ただ、例えばもし軍事行動がないとする。100パーセントないとは絶対言い切れない。例えば、多少のリスクがあっても、ブラッディ・ノーズというのはどういうことかというと、とにかく一撃で、限定的にということですね。そこで相手の反撃能力をなくせるなら、100パーセントやると思うんです。
ただ、私がやらない可能性が高いと思っているのは、100パーセントとは言い切れないから。100パーセントじゃないと何が起こるかというと、それはソウルあるいは日本に相当の被害がくると。
山本:日本ですよね。うんうん。
渡部:こうなった時に、同盟国としてのアメリカの信頼がなくなるじゃないですか。そこはやっぱりアメリカとしても考えなくちゃならなくて。そういうことを考えると、次のプランは何かというと、圧力を圧倒的にかけ続けながら……。圧力は何かと言ったら、制裁ですよ。
山本:なるほど。
渡部:経済制裁がかなり効いてるのは間違いないので、そうすると北朝鮮もどこかで。しかも、中国も今かなり、北朝鮮に厳しいから、どこかで糸口ないかなと思ってるところで話をせざるをえない。それが、譲るために譲ったのではダメなんです。そしたら、いいように北朝鮮は「待ってました」とばかりに、また先延ばしして、気がつくと、「はいはい、アメリカに届く核持ちました」となるけど、今はたぶん北朝鮮はちょっと怖い。
山本:うん、なるほどね。
渡部:直接やったら、軍事攻撃が来るかもしれない。だから今、抑えてるでしょ。自分たちでは「もう完成してる」って言っちゃってる。でも、本当は完成してないんですね。
山本:そうですよね。まあ、やっぱり再突入実験をちゃんとやらないかぎりは、精度というか、角度を上げられないわけですよね。
渡部:上げられない。
山本:そこでちょっとお聞きしたいのは、この間、平昌オリンピックやってて、今日も平昌のことを言及したんですけど。今、日本選手がけっこうがんばってるから。それはともかく、「今の文在寅大統領の立場をどう見てるか?」をお聞きしたいんだけど。
渡部:はい。
山本:私から見ると、どう考えても金正恩委員長の外交攻勢に絡め取られてるように見えるわけですよ。今週の『Newsweek』かなんかで、何人かの人が書いてたのが、「前半戦は文在寅の勝利である」と。「なぜなら、もしかすると文在寅は、初めて朝鮮半島の運命について、韓国の主導権を取り戻しつつある」みたいなことが書いてあったんだけど、私は到底そういうふうには思えないんですよね。
確かに北の参加を実現した。それで平昌オリンピックが始まっちゃうとなんとなく盛り上がるから、というのもあって、なんかこう安定してるかのように見えるし。まあ、例のアイスホッケーチームの話も合同チームができて、日本とけっこう、1点入れたらあれだけ入っちゃうわけだから。
そこらへん、どう見てますか? この平昌オリンピックの流れで、勝者は今のところ北朝鮮なのか、それとも韓国なのか。『Newsweek』の記事だと、アメリカと日本の存在感が薄くなってると。レセプションに遅れたりしたのは、もちろん全部作戦だと思うんですけど。そこは、外交問題をずっとやってきた渡部さんはどう見てます?
渡部:実は私もその記事を読んだんですけど、ちょっと違和感があって。
山本:うんうん。
渡部:それはその一瞬を切り取ればそういうふうにも見えますけど、結果的に韓国の世論がものすごく北朝鮮寄りになったかというと、そうでもないんですよね。むしろ文在寅政権がやっていることに、反発も強まってるんですよね。
山本:若者中心にね。
渡部:ええ、そうなんですよ。それと、北朝鮮が今回のことで、少なくとも韓国に対して相当妥協するようなことを見せてるかというと、これは見せてないんですよね。
山本:一切ね。
渡部:ええ。つまり、最後は韓国にとっても同じだと思うんです。北朝鮮が核開発をとりあえず凍結して、最終的には削減していくような合意がなくちゃダメで。じゃあ、どういう合意かというと、モデルになるのは、かつて枠組み合意と言われている、六者協議で合意したような、なにかしらの核開発をやらない代わりに見返りをもらうというもの。
あれは今、実はイランがやってますよね。イランの場合は核実験までやってないから、だいぶ前の段階ですけど。でも、そういうような合意はどこかですると。
すると、どんないいことが北朝鮮にあるかというと、見返りがあるわけですよ。経済協力とか、エネルギー協力とか。たぶん今はそういうものしか考えられないんで。そこにいくようなことを北朝鮮と韓国で話してるか? 話してないですよね。
渡部:韓国もいくら自分の国の同じ民族の話でも、軍事力はかなりアメリカに頼ってるところがあって。これは日本も同じですけどね。でも、それゆえにアメリカのイニシアティブがあって、北朝鮮もアメリカと話したいと思ってるわけでしょ。
ということは、実は韓国がそんなにイニシアティブを取ってるとは言えないし。だからって、悪いことじゃないですよ。むしろ、韓国にとっての本当の勝利は何かといったら、日本とかアメリカとか、同盟国や友好国と枠組みをつくって、中国もちゃんと枠組みに入れて、北朝鮮に圧力をかけて、北朝鮮がある程度妥協するようなところに引きずり込むことだと思うんですよ。
それが軍事力で圧力であろうと、実はソフトでもいいんですけど、ただ、このまま文在寅大統領がやってることをやっても、北朝鮮が譲るとは思えないわけですよ。
山本:そうですね。外から見たら、もう明らかに翻弄されてるとしか見えないし、平昌オリンピックを平壌オリンピックって言う人もいるぐらいでね。そこで、渡部さんにもう1つお聞きしたいのは、中国ですよね。これは誰が見ても中国が鍵を握っている。もちろんロシアも、例えば中国がね、石油を制限するみたいなことになったら、ある程度は肩代わりできるかもしれないけど、それはもうはっきり命脈は中国が握っている。
山本:今日(登場した)、中川コージさんという気鋭の専門家(がいて)。安全保障とか経済のことを知ってる人はいても、本当に中国の現状を知っている数少ない貴重な人物なんです。彼にも今度、中国のマインドセットを聞いてみようと思うんですけど、(中国は)北朝鮮ともあんまりうまくいってないという感じで。
渡部:はい、いってないみたいですね。
山本:どうなんですかね? 中国はいったい何を求めてるのかね、っていうところですよね。一部、なんとなくアメリカと中国が相談して、「金正恩の首をすげ替えるのが一番いい」という話があったり。ほら結局、金正男(まさお)さん。
渡部:はい、金正男(ジョンナム)。
山本:正男(ジョンナム)、いつも「正男(まさお)さん」って言ってるんだけど。
渡部:はい(笑)。日本語読みはそれです。正男(まさお)です。
山本:秘書がまさおっていって、「絶対そう言わないでくれ」って怒られてるんだけど。
(一同笑)
山本:金正男氏が亡くなった原因も、張成沢が首をすげ替えようとしたっていうことが分かったじゃないですか。
渡部:はいはいはい。
山本:中国は何をもっとも望んでるんですかね?
渡部:中国がまず望んでることは、大きなトラブルを起こしてほしくないということ。だから、混乱を望まないということが、一番大きいんだと思います。その次は何かというと、今の1件があったので、北朝鮮の今のレジームが残ったことが一番いいとは、もう思ってないと思うんですよね。今厳しいでしょ? 中国は。
山本:うん、厳しい。
渡部:厳しいけど、例えば、朝鮮半島が暴発みたいになって、統一朝鮮ができて、しかもそこが韓国主導になってアメリカの同盟国になると。これはイヤですよね。地続きで、米軍が中国国境と対峙してしまうみたいな。
山本:それはそうだ。まず、必ず米軍が来るって思いますよね。
渡部:思いますよね。そうなってくると、そうならないようにするのが彼らの目標であって。逆に言えば、そうならないで、かつ混乱がなければ、ある程度は北朝鮮が核を持たない方向で合意してもいいわけですよ。
山本:なるほど。
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