2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:渡部恒雄さん(笹川平和財団安全保障事業グループ上席研究員)、六人部生馬さん(株式会社マチマチ代表)(2018.2.21)(全4記事)
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山本一太氏(以下、山本):ここからは、渡部恒雄さんをお招きしたいと思います。渡部さんって、『サンデープロジェクト』でコメンテーターやってた頃から、けっこうシャープな人だなと思ってたんですけども。
最近もいろんな勉強会で会うんですけど、「直滑降ストリーム」に誘うという発想がなかなかなくて、こないだ話をしたら、「いいですよ」と。今日も、相当忙しい中で来てもらいました。
みなさん、あちこちテレビとかでもよく拝見されてると思いますが、なんて言うのかな、日米関係も詳しいし、アメリカの政治事情も詳しいし、外交・安全保障全般にくわしい渡部恒雄さんです。どうぞ、拍手で。
(一同拍手)
山本:どうぞ。
渡部恒雄氏(以下、渡部):失礼します。
山本:すいません、渡部さん。
渡部:あー、どうも。
山本:Twitterの写真がすげー写真になっちゃって。
渡部:あ、そうなんですか?
山本:見ないで。もう見ないで(笑)。
渡部:見ません、はい(笑)。
山本:ということなんですけども、渡部恒雄っていえば、とくに外交・安全保障を中心にすごく政策通なんですけど、音楽好きなんですよね?
渡部:そう。
山本:もっと早く知りたかったわ。
渡部:「直滑降ストリーム」に出るのをOKしたつもりじゃなくて、一太さんのバンドに参加するのをOKしたんだよ、本当は(笑)。
山本:そうでしたか(笑)。やっぱりねぇ。今日は一応、外交評論家として、安全保障評論家として呼んだので、よろしいでしょうか?
渡部:はい、けっこうです。
山本:渡部さんは、『朝生』から含めて、本当にいろんなテレビ番組でもご一緒して、議論をしてきたんですけど、やっぱり最初に聞きたいのは、ここのところずっと話題になっている、アメリカの軍事行動の可能性。もちろんこれは低いとは思うんですが。
渡部:北朝鮮ですね?
山本:はい、北朝鮮に対する(軍事行動)。やはりビクター・チャの話は、けっこう私も気になってて。みなさんもご存知だと思うんですけども、『Washington Post』がすっぱ抜いた、ブッシュ政権時代の東アジア部長で国務省のビクター・チャね。
渡部:はい。
山本:ビクター・チャが、アメリカの韓国大使に決まっていたのが、内定を取り消されたと。その理由が、ブラッディ・ノーズという、ちょっとバーンとぶっ叩いて鼻血出して怯えさせようという(作戦)。限定的な標的を決めてアメリカが攻撃しようという作戦がしっかりあって、それに抗議して辞めたというようなニュースになって。
ここらへんのところで、今、ワシントンの友達が「軍事行動の可能性は、けっこう何割かあるんじゃないか」と言い始めて。これも渡部さんのほうがずっと事情通なのでお聞きしたかったんですけど。
ちょっと周りの人から聞くと、イラク戦争の時の戦車部隊の英雄と言われるマクマスター大統領補佐官と、ポンペオCIA長官。この2人がいっちゃってると。それをマティスさんが止めてるみたいな構図があると聞いてるんですけど、渡部さんはこれをどう見てますか?
渡部:はい。まずビクター・チャは、ブッシュ時代のNSC(United States National Security Council)でした。
山本:NSCでしたか。そうですか、そうですか。
渡部:国家安全保障会議のアジア部長。
山本:国務省じゃなくて、NSCですね。
渡部:NSCは、上級部長と普通の部長がいて、あの時の上級部長はマイケル・グリーン。やはり今、ジョージタウンで教えています。
山本:あー、そうでしたね。有名な。日本語が上手な。
渡部:彼がやってて。彼と仲のいいビクター・チャが、アジアディレクターをやっているんです。日本語にすると、日本朝鮮部長と言ってるんですけど。私ももちろんその頃からの友達ですから。
山本:ビクター・チャをご存知ですもんね。
渡部:はいはいはい。今回の話は、ビクター・チャは、実は『Washington Post』にも、ちゃんと自分の論説を出していて。
山本:見た。読んだ。
渡部:それで、「ブラッディ・ノーズという鼻血作戦のような、限定的ではあるけれども先制攻撃というのは、選択肢としても入れるべきではない」ということを言っていて。これは今の全体のポリシーからすると、合わないんですよね。
山本:なるほど。
渡部:それはなぜかというと、「軍事行動する」と言ってるわけじゃないけど、すべての可能性・オプションをテーブルに出して圧力をかける。ですから、ポジションとは違うので。まあ、(アメリカの)政権内部だけの内定じゃなくて、韓国大使ですから、韓国からも内定してたんですね。
山本:アグレマン。
渡部:はい、アグレマン。
山本:了解を取ってたんだね。
渡部:アグレマンを取ってたんです。ところが、それが取消になっちゃったということなんですが、私がちょっと不自然だと思ったのは、普通そういう時って気を付けて、あんまり論説とか書かないんです。
山本:書かないですよね。
渡部:だから、意外に確信犯なのかなと。
山本:あー、なるほどね。
渡部:これはわからないですよ。私も別に彼としゃべってないし。ただ、もともと、このトランプ政権で働くことは、どうもあまり良しとはしてない雰囲気がありました。
山本:ビクター・チャがね。
渡部:チャだけじゃないですけど、要するにブッシュ政権で働いた本流の保守派は、みんな、「トランプ政権ってちょっとイヤだな」って思っていて。トランプが選挙中にもうすでに、マイケル・グリーンや心ある共和党の人たちは、「トランプにはアドバイスもしないし、大統領になっても政権に入らない」ってサインをして。だからマイケル・グリーンとかは入れないんですよ。
ところが、ビクター・チャはサインをしてなかったんで、数少ない良識派として入れるはずだったんです。ただ、彼は韓国系アメリカ人ですよ。
山本:そうですよね。
渡部:奥さんは韓国の人なんですよ。
山本:あ、そうなの。
渡部:当然、親戚がいっぱい韓国にいるので。限定的とはいえ、韓国のとくにソウルに相当の犠牲が出るものを、納得はできないんだろうなと。これは私はすごく同情的に思っていて、彼が韓国系の血がなければもうちょっと楽だったのにと思っています。本当のところはわかんないですけどね。
山本:渡部さんは、やっぱりそういう人脈もあるし、外交政策をいろいろ研究されてきたので。ビクター・チャが内定取り消しになったことが、即アメリカの軍事行動が迫ってるとは思わないけど。
それでもなんとなく平仄を合わせるみたいに、例えばポンペオ長官が「数ヶ月」って言って。たしかジュネーブの軍縮会議かなんかの軍縮大使も「数ヶ月」と言い、もう非常に緊迫してるみたいな空気をかもしだしてますよね。
そうすると、たまたまビクター・チャのこういう話があって、真相は誰にもわからないけど、なんとなくワシントンで軍事行動の可能性が高まってるような雰囲気があるのはどう見てます?
渡部:これはまず意図的にやってるんでしょう。
山本:意図的にやってる。
渡部:軍事のオプションもあると思わなければ北朝鮮は本気にしないし、もっと本気にしないと困る国は中国ですよね。
山本:うんうん、なるほど。
渡部:中国がやはり本気にして圧力をかけてくれないと、それは北朝鮮も動かないので。動かなければ、結局このままズルズルいけば、北朝鮮がまた核の実験を再開したり、最終的にこの後何回か核実験をしたら、アメリカに届くICBM(intercontinental ballistic missile)と、大気圏に再突入する核兵器を持ってしまうので。
山本:ええ、ええ。
渡部:これは最後の圧力のかけ時なので。私はよく、微妙なんですけど、「ないよ」と言っちゃったら、圧力にもなんにもならないじゃないですか。
山本:そうですね。
渡部:だから、そういうことなんだと思います。まったくないかと言ってしまうと、なくはないと。今、いろんな人がワシントンで関心を持ってますけど、可能性として五分五分だとよく言いますよね。それはたぶん誰にもわからないです。トランプ政権が決めてるから、決まってないような気がします。あえて決めていないような気がします。
山本:なるほど。
渡部:それはいいことでもあり。つまり、圧力をかけることではいいことでもあり、そう不安がる部分では悪いことでもあり。ただ、無茶なことはしないだろうというのは、先ほど一太さんおっしゃられた話で、政権の中でマクマスターとかポンペオはちょっと強硬にいく。それから、マティスとティラーソンはちょっと落ち着いてる感じが見られます。
これはわりと役割分担もあるし、トランプがその中で1番信頼していて言うことを聞くのは誰か? マティスでしょ。
山本:そうですね。
渡部:マティスは国防長官なので、軍事命令をする人なんです。もしトランプが軍事行動を決めたとします。その時に、もしマティスが「それはダメです。イヤです」と言ったら何をするかというと、どうしても通したければ、マティスをクビにして。
山本:解任するしかないよね。
渡部:そして、新しい人を連れてくると。それには議会の承認もいります。
山本:あー、なるほど。
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