2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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先生がおっしゃったようにブラックボックスでなかなか情報が出てこないと思うんですよね。大勢の人をすごく粛清してますよね。これはなんなんですか?
礒﨑敦仁氏(以下、礒﨑):いやいや、金日成時代、金正日時代も粛清はしていたんですが、それをオープンにしているかしていないかの差はあると思います。
山本:むしろ情報をオープンにしてるんであって、金正日政権のときも同じくらいの人を粛清していたってことですか。
礒﨑:同じぐらいではないです。しかし人々が飢え死にしているときに、農業大臣に責任を取らせて公開処刑をするとか。そういったことをやっていたわけですよね。
確かに極端なかたちで自分のおじさんですとか、参謀長を急に粛清したのは確かですけども、少しこれも2013年12月以降この3年間落ち着いてきているかなっていうのが1つと。
我々とは違うんですが、北朝鮮なりにオープンにできるものはオープンにしていこうというのは、金正恩委員長の戦略だと思われます。
金正日委員長は、そもそも演説すらしなかったわけですよね。人の前で肉声をほとんど出すことなく17年間を終えてしまった。しかし彼(金正恩)は日本のテレビ局をたくさん呼んで目の前に出てきて、ということを好む側面があるのかと思いますね。夫人を出してみたり。
山本:なるほど。日本の内閣情報調査室か知りませんが、たぶん日本の研究者含めて、今一番注目してるのが、いったい誰が金正恩委員長の周りで影響力を行使しているのか。この若者(金正恩)がね。だって若いでしょ?
礒﨑:32才ですね。
山本:32才でしょ。この人がこれだけの瀬戸際政策を立案し、なおかつほとんど先ほど言った怪物という言い方は良くなかったですが、海千山千のいろいろな人たちを相手に、おじさんまで(粛清)やっちゃったわけだから。
今度本当に1人で判断してるのか、っていうところをみると、誰かいるんじゃないかってことですね。例えば、金正恩委員長が視察するときの映像とかを分析してみると、誰と一緒にいるんだろう?
こないだニューズウイークかなにかで見たのは、科学者をすごく重用しているんじゃないかとかね。あるいは利発そうな妹さんいますよ。そこらへんのところは研究者として第一人者として、どんなふうにご覧になってます?
礒﨑:これが金正日国防長官のときの経験なんですけども、表舞台に出ては労働新聞を毎日見て、日本ですとラヂオプレスさんとか、ものすごくがんばってらっしゃるんですけども。
しかし労働新聞とか、公式のメディアに出てこない人たちもいることは事実。それはどうしてわかったかって言うと、金正日時代は料理人の藤本健二さん。あの人の持ってきた写真、あの人の持ってきた証言で、おぼろげながら誰がまわりにいるとか、調整役にいるとかわかってきたわけですね。
そこらへんがわからないことは事実なんですが。システムとしてでき上がっている体制ですので、最後の決断は金正恩委員長がやってないとおかしいですね。突然人が粛清されてしまって、しかも突然誰か起用されてっていうスピード感がある一方で。
労働新聞、北朝鮮の新聞を毎日見ていても不自然さがないんですよ。朝鮮人民軍の声明は今まで通り朝鮮人民軍らしい声明ですし。北朝鮮外務省報道官談話は今までと同じような論調でくる。
ですから中でなにか起こっているとか、誰か突出した権力を金正恩委員長以外に持っているという証左は全くみられない。だから最終的な決定は金正恩委員長がしていると。ただまわりの側近で誰がそれをささやいているのか? っていうのは我々知りたいところですね。
山本:なるほどね。先生はどう思われています。例えばほらけっこうグッドルッキングというか、容姿もかわいらしくて利発そうな妹さんがいますよね。
礒﨑:金与正(キム・ヨジョン)さん。
山本:金与正さん。あの人が広報宣伝で、すごく力を持ってるって人がいたり。外国のメディアなんかでは、特にロケットを担当している科学者をものすごく寵愛している。みたいなんですけど、先生はどう見られていますか。
礒﨑:まあ近くにいる人物が力を持つということで、科学者が力を持っているんではなくて、金正恩委員長がたくさん科学者を重宝していると。科学者と一緒に撮った写真が労働新聞に載ることによって、今の時代は科学者が重要な時代なんだとわかるわけですね。
北朝鮮の研究者、北朝鮮の一般の人たちもみんな、労働新聞を読むことが義務化されていますので。あれを見ることによって今誰に勢力があるのかってわかるわけですね。
山本:そうすると金正恩委員長になってから、おそらく金日成体制の16年を合わせた何倍ものミサイルを飛ばし、国連の非難声明のプレスも19回って、たぶんワールドレコードみたいな話で。いろんなことやってるんですけど、(ミサイル発射などの行動が)国内向けでもあるという、見方もよくありますけど。
礒﨑:残念なことに、そもそもどこの国も日本でもそうだと思います。そういう側面があるということで、支持率をとるためにやってる。今なんでもあるわけで。
基本的に国内向けですね。そういう自分の金正恩委員長、確かに私、権力を掌握していると考えています。しかし権力とは権威も必要ですよね。まだ若手というふうに見られてしまって、外交の実績もまだないわけですから。
今回、核を実験してミサイルもバンバン打ち上げることによって、北朝鮮の論調を見ていると、これによってアメリカは攻めてこない。アメリカに一歩たりとも、指1本ふれさせないと。こういう論調になるわけですよ。
よくやった、金正恩委員長はアメリカを蹴散らしたんだと。こういう論調になるわけですね。基本的には国内向け。説明の仕方として、ミサイルを打ち上げたときに、打ち上げたタイミングは日米首脳会談だったとか。
打ち上げたタイミングで、北京で国際会議があったっていうと、それに結びついてニュースって報道されやすいんですが。これはあくまでも2次的な問題ですね。基本的には国内だけ。
山本:なるほどね。あともう1つ聞きたかったのが、北朝鮮の今の状況はある意味、経済的にはそんなには余力がないはずなのに、こんなにミサイルと核にお金を突っ込めるっていうのはすごい不思議な気がして。
もちろん中国がほとんど命脈を握っているというか、たぶん石油や石炭の輸入国にもなってるし。相当北朝鮮の経済を支えていると言っても、ここまで集中しているとはいえ、ここまでよくお金が使えるな、というのと。
武貞(秀士)先生はよく北朝鮮へ行きますが、平壌ではある種の市場メカニズムが働いていると言う人がけっこういるじゃないですか。
地方の方でも実はマーケットができていて、みんながけっこうしたたかにやっているという。そこは第一人者としてどのように見ておられますか?
礒﨑:第一人者ではないですけども。それはその通りで、90年代から人々が食べ物に困ったと、配給制がまともに機能しなくなった時点で、人間が穴をかいくぐってというか、なんとかできることをやっていく。
それによって脱北者の移動は禁止されているけど、脱北者が増えていたのが90年代ですね。そこから自分でなんとか自分の生活をやっていかなくてはいけないんだ。という思いは今も続いているということなんでしょうね。
山本:なるほど。ちょっと時間が来ちゃったんで、まだいっぱい聞きたいことがあって、頭ん中を整理しないままで議論になっちゃったんですけど、ぜひまた先生来ていただきたいですね。
礒﨑:生意気にいろいろ申し上げましたけども。
山本:いえいえすごく面白かった。ほんとに何も言わなくても私の直感で、北朝鮮のことよくわかっているって雰囲気でわかりました。
礒﨑:わからないことをわからないと申し上げたいと思いますけど。
山本:研究者って感じですよ、先生。
礒﨑:恐縮でございます。
山本:山ほど聞きたいことあったんですけれども、次のコーナーが始まっちゃうってことで、ぜひまた先生に来ていただきたいと思うんですが。
先生が読んでいるという山ほどの論文が、北朝鮮から出てくる情報、とくに金正恩の発言とか。そこらへんから見えてくる人物像とか、あるいはそこらへんから類推されるお父さんと違う性格とか。
礒﨑:それ専門ですね。
山本:そこを最初からすればよかったなと思ってちょっと後悔しているんですが、ぜひ先生来てください。この度はは急に電話して驚かせて申し訳ありませんでした。
礒﨑:驚きました。光栄でありましたけど、驚きました。
山本:私もずっとこの本を読んでからお話がしたかったんで。
礒﨑:ありがとうございます。
山本:有料のみなさんもよく知ってるなという感じなので、ぜひまた来ていただいて。コメント好評でしたから。ちょっと今言った金正恩の発言とかもうちょっと体系的に。出てきている情報の分析みたいのとかできればと思うんで。ありがとうございました。あっという間の時間でした。
礒﨑:失礼いたしました。
山本:ありがとうございました。
(会場拍手)
山本:みなさんどうでしたでしょうか? (視聴者メッセージをみて)「また来てねー」とか「ありがとうございました」とかね、書いてありますけど。
先ほどの本見ていただくとわかるんですけど、礒﨑先生の論文、書いたものをいくつか見たんですが、本当に本物の研究者だなっていう感じがあって。
礒﨑先生の少年時代を聞くだけであと30分くらいいったのかと思うんですどね。武貞先生とまた違った、非常に味のある方でした。はい。礒﨑先生、何年生まれですか?
礒﨑:(19)75年です。
山本:(19)75年。昭和50年。昭和50年てことは、私より17才下ですね。私より17才↓ということが今わかりました。ということでまた、朝鮮半島問題がいろいろ佳境をどんどん迎えてくると思いますし。
先生、参議院自民党朝鮮半島問題戦略研究会にもぜひ来ていただきたいと思うんでよろしくお願いします。ありがとうございます。ということで礒﨑先生でした。
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