2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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山本一太氏(以下、山本):そこでですね、聞きたいことが山ほどあるんですけど、これからのシナリオを考えていくうえで、いろいろな人たちが、「金正恩の思うつぼ説」みたいなこと言ってて。
さっき言ったように本当に戦略家なのか。それとも、もうちょっと不安定な人なのか。っていうことを判断するのは早計だと。先生がおっしゃっているんですけどね。
普通に考えれば、オバマ(前アメリカ)政権の「戦略的忍耐」。それ失敗ですよね。だってこの間どんどん核実験やって、どんどんミサイル技術も向上しているわけじゃないですか。
それでみんながよく言われているように「核のオプション捨てるはずがねえ」と。このままいくと、先生はどんなシナリオになるとお考えなのか。
例えば、アメリカにとって最大の悪夢は、アメリカ本土に届くICBM(大陸弾道弾ミサイル)を開発されることですよね。でも、いろいろな人が言うのは「ノドンには核弾頭載せられるかもしんないけど、ICBMにはまだ無理だろう」と。
なにしろ、大気圏に出てから再突入するときに、核弾頭を保護するための熱から(防ぐ)技術がまだないんじゃないか? とか言われてますが、そこらへんのところは先生はどうみてますか?
礒﨑敦仁氏(以下、礒﨑):どうしてもですね、まあ金正日国防長官と違うのが、2013年に金正恩委員長自ら言ってるのは「自分たちは中東諸国の教訓があるから、核を放棄できないんだ。持つんだ」。
つまりリビアがつぶれてしまったってのが、金正日国防委員長が死去した同じ年にあったので。リビアは核を持ってなかったからNATOにやられてしまったんだというのが彼らの論理なわけですよね。
ですから、手放しづらいっていうのが、6か国協議を動かしていた金正日時代とは違うのかなということですね。でもそれをですね、もう持ってしまったものは仕方ないとは申し上げられませんよ。
これはなんとかしないといけないという焦りは、もちろん韓国も日本も持たなくてはいけないですけども、問題は核を持っている国って世界にいろんなところあってですね。
そこがきちんと暴発をしないように。本当に使わせないようにどうするかっていうところにかかっていると思いますよね。ほんとはそれを破棄すれば、それに越したことはないですけど。
それはかなり遠くの大きな目標になっているかなという気はいたします。
それは我々が一番警戒しなくてはならないのは、「核開発はさすがに止められない」と。ある程度、6か国協議をやって核の凍結。日本と韓国は完全に射程内に入っているわけじゃないですか。ノドンも全部日本全土。
ソウルは非武装地帯から数十キロしか離れてませんよね。アメリカはね「いやいや、ノドンミサイルはいいだろう」と。「核は持ってもいいだろう」「核弾頭あってもいいだろう」「だけど、アメリカ本土に届くミサイルだけはやめろよ」みたいな。そういう流れになっていくんじゃないかと思うんですけど。どうですか?
礒﨑:おっしゃる通りですね。今までアメリカはやっぱり北朝鮮に関心なかったんだ。ってそういう印象だったんです。
昨年になって突然、トランプ大統領もオバマ戦略責任体制を批判しつつ、北朝鮮が核実験、ミサイル実験続けましたから、突然アメリカが北朝鮮に関心を持ちだした。
優先度を上げ始めたという印象ですよね。これどうにかしないと(思った)。といっても、先制攻撃が事実上難しいという判断にいたっているようですので、戦争はどうしても避けたい。
そうなってくると、すべてのオプションがテーブルの上にのっていると言っても、攻撃もできない。しかもオバマ(前)大統領みたいに無視もできない。そうすると対話交渉エンゲージメントによってやらざるを得ない。
ってことになるんですよね。そこでおっしゃる通りなんです。おっしゃる通り日本は、そもそも射程範囲に入っていたわけですから、それに対する懸念を伝え続ける。
しかしここで韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の「親和や対話によって北朝鮮問題に絡んでいこう」という政権が出てきた。しかも今申し上げた通り、トランプ大統領も選択肢が狭まってきている。
ここでキッシンジャー(元アメリカ合衆国国務長官)とかを外交の指南役に据えているところをみますと、今すぐには難しいです。任期中、来年・再来年となっていくにつれ、どうしても日米韓の足並みがそろわずに、対話に行ってしまうのではないか。これはおそらく自民党や日本にとっては懸念次項なのかもしれませんけど。
山本:米朝の対話っていうのは、日本にとってももちろん良くないんですけども、特に親北というか、いわゆる進歩系と言われている文在寅政権にとっては悪夢ですよね。
彼らは「朝鮮半島の問題は自分たちで解決する」っていうのを聞けば聞くほど心配なのは、やっぱり文在寅(の存在)。韓国もよくご存じの先生にお聞きしたいんですけど。
私が周りに言ってるのは「最初から融和路線に決まっているじゃないか」。どう考えても韓国で右と左っていうのは北朝鮮問題で、専門家の先生に言うのは釈迦に説法ですけど、分かれているんであって。
そんな進歩系と言われている人たちはもともと民族主義者なんだから「そんなんもんできれば大国入らないでくれ」って言うわけじゃないですか。
で保守系の人たちは「アメリカと結んでオレたちはとにかく国土を守るんだ」みたいな人たちであって。だからどう考えたって、金大中(元)大統領のときに、小渕(元)総理との間で、ハネムーンというか、すごくいい関係だったけど。
金大中だって進歩派って北にいってるし。盧武鉉(ノムヒョン)さんはひどい感じだったけど。北にいってるし。そういう流れから言うと、最初から親北っていうか変えれないでしょう。
礒﨑:親北っていうのはレッテルの貼りすぎだと思いますけど。
山本:融和。
礒﨑:対話によって物事を解決するって、制裁によって物事を解決できるんであれば、制裁とか強硬路線とか国際政治だと、これが現実主義的で、対話とか融和っていうのは理想主義的に(一般的に)思うんですけど。
実は北朝鮮問題っていうのは、逆ではないかなと思う。それは自民党とか山本先生とかと、私ではかなり意見の違うところだと思うんです。せっかくお招きいただいたんですが。
私、制裁で北朝鮮を変えることができるんであれば、例えば我が国の喫緊の問題である拉致問題も、小泉(元)総理が5人を奪還してから蓮池薫さんはじめ、5人を奪還してから今年15年ですよ。
15年間どなたも被害者の方が帰ってこられなかったっていう現実を直視したときに、対話って本来すべき相手ではないかもしれないですけど、理不尽でも、もっと交渉して何とかして取り戻すっていう方がよかったのではないかって議論をもっとしたほうがいいんでないかと思いますね。
山本:なるほどなるほどね。いずれにしろ「圧力のないところに対話はない」という立場で。日米は、とくにアメリカはそうですし、日本も同じですけども。
対話のための対話もしょうがない。そこで対話を引き出すための圧力。カギを握るのは先生が2年おられた中国だと思うんですよね。
でまあ米中首脳対談以来、中国が北朝鮮にけっこう厳しいことを言い始めてる。ただ常に言ってるのは「軍事行動はやめてほしい」「これは話し合いなんだ」っていうふうに言ってるんですけど。
中国はどこまで本気なんでしょうか? あのなんとなく環球時報(かんきゅうじほう)のコメントとか、北朝鮮の新聞とか珍しく(報じられてるように)。
この人(金正恩)が中国を名指して、戦略家なのか不安定なのか、まだよくわかんないけど、右にいったり左にいったりしていている人ですけど。かなり厳しく中国を名指しで言い、中国も「核実験やったら石油止めちゃうぞ」みたいなことを言っている。こういう中でちょっとギクシャクしているようにみえますが、中国の本音はどんな感じなんでしょうか?
礒﨑:あれが本音だったと思います。本音がようやく表舞台に出てきたっていうのがこの中朝関係だと思いますね。非常に苦々しく思っているし、やはり中国とかアメリカもそうだと思います。
非常に大国意識で。朝鮮半島は(中国にとって)小国ですからね。上から目線で見ている。いくら同盟関係だといっても対等ではないわけですよ。ぜんぜん自分の言うことを聞いてくれない。顔に泥を塗りやがる。って目で北朝鮮を長い目でみてきたわけで。
習近平政権になってから、それが表に出てきた感じですね。しかし中国はアメリカ、日米韓に歩調を合わせている。
合わせ始めたようにみえるんですけど、それは中国の国益に基づいて、中国の習近平政権自身の判断に基づいてやっていると見るべきで、完全に日本みたいに制裁を思いっきりかけよう、貿易をゼロにしようと。
そういうところまではいきづらいのではないかと思いますね。
山本:なるほどね。
まあよく言われていることですけど、中国はともかく北朝鮮が混乱するのを一番嫌がってると。バッファ、緩衝地帯もなくなってしまうし、そこでたぶん避難民とかガバーッと流入してくるということなんだと思うんですけどね。先生の言う、「対話を通じてやるしかない」って。
礒﨑:やむを得ずです。
山本:やむを得ず対話をやるというのはわかるんですけど、そこがだからみんなが言ってる、「金正恩の思うつぼ説」になってってしまう気がするんですけどね。
そこで北朝鮮は新たな脅威だと。総理も言い、私が予算委員長なんですけど予算委員会参で議院予算委員会で、「核弾頭はわからないけど、サリンは積める」と言ったと。
さっきね、先生とお話しする前にちょっと言及した、2003年の今から14年くらい前の本でこの大シミュレーションの中でもうすでに生物兵器とか、サリンとかのシミュレーションがあって。
それから10何年か経っているから変わっているかもしれませんけども、核兵器よりも生物兵器、炭素菌やったら300万人亡くなるだろうっていう、一応シミュレーションになっていたりしてるわけなんで。
そこらへんの脅威についてどうお考えになってますか? ミサイル技術の進歩もあるし、もちろん生物化学兵器をいっぱい持ってると考えて。
礒﨑:それはどこの国家でもありうることだと思いますけど。北朝鮮はなにしろ意思疎通が我々できていないと。これ韓国も日本もアメリカも意思疎通ができていないと。
なにしろ意思疎通してそういうことは止めなさいと。使わせないと。今持っているものを放棄するっていうのは、すぐには難しいかもしれないですが、それを究極の目標としながら、使わせない。
そのために我々と交渉していれば、こんないいことがありますよ。ってことを少しづつ示していく必要があると思いますね。
懸念すべき事項は、もう懸念すべき事項。それは政治家のみなさんからすればとんでもないことだと、非難されるのはよくわかります。
山本:先生がアメリカに行かれて、ワシントンの様子なんかを見てこられたと思うんですけど。最大のポイントは本当にアメリカが実際にはなかなか軍事行動はできにくいと思います。
だって韓国と日本に大規模な被害が出ることは間違いないことで。ここらへんはワシントンの議論はどうなんですかね? って言うのはね、一部にはやっぱりやるんじゃないかって言う人もいて。
特に軍事関係者中心に、(航空母艦の)カールビンソンだけじゃなくてロナルドレーガンまで行ってるし、ある意味でいうと最大のプレッシャーかけてるわけですよね。原子力潜水艦が行き、なんか知らないけどアフガニスタンの国境で大型爆風爆弾を爆発させたりとかですね。こういうふうにアメリカにプレッシャーをかけている。
今まで私が聞いた中で、すぐにアメリカ軍事行動しない、最も説得力のある理由は、在韓米軍含めてとにかく韓国には10万人のアメリカ人がいると。日本にも10万人以上のアメリカ人がいると。
実際にやるときはこの人たちを非難させてからだという説があるんですが、この間ちょっと話した軍事関係者が「いやわからない」と。むしろ数時間前に伝えるんじゃないかと。
だからこそ北朝鮮に対して奇襲になるんじゃないかと。いう説があるんですがいかがでしょうかね。
礒﨑:まあいろんな説があろうかと思いますけど、すべての人を非難させるというのは難しいぐらいの人数がいるわけですし、言うまでもないんですが、民主主義国家ってすばらしいと。
しかし民主主義国家なりの脆弱性ってのはあるわけですよね。1人いなくなっただけで大変なことだ。っていう。政治がひっくり返ってしまうわけですよ。これアメリカも同じで。
当然軍人1人が死んだだけでですね、そういうかたちで亡くなっただけで大変な騒ぎになってしまうんですね。それはなんとしても避けないと思ったときに、やはり現実性は相当に低いと言わざるをえないわけですね。
山本:なるほどね。
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