「皇潤」は食べ物
渡辺:そうだ、それから、これです。渡辺:皇潤は、これ宣伝してますから、ご存じの方多いと思います。テレビでよく宣伝してますよね。
ひろゆき:有名なんですか? 僕テレビ見ないから全然知らないんですけど。
渡辺:そうですか。
ひろゆき:CMでやってるんですか?
渡辺:これは俳優の(故)三國連太郎さんと八千草薫さんがずっと宣伝してて、ファンの人が結構買ってるっていう。
ひろゆき:何なんですか、これ。
渡辺:これはヒアルロン酸です。これはこういう錠剤になってるんです。
ひろゆき:薬ですか?
渡辺:これも食品ですよ。
ひろゆき:こういう形をした食べ物だ!
渡辺:一応食べ物なんですよ、これ。でも薬に見えちゃうでしょ? そこが消費者を騙すテクニックになるわけです。こんな形をしてると、薬なんじゃないか、何か効果があるんじゃないかって普通に思っちゃうでしょ。三國連太郎さんとか八千草薫さんっていう大物俳優が「良い」って言うと、皆さんも良いんじゃないかって思っちゃうわけですよ。
ひろゆき:じゃ、効果は証明されてない。
渡辺:ないです、当然。
ひろゆき:じゃ、これは基本的に、こういう形してるけど、「ヨーグレット」とかと一緒で、単においしい食べ物ですよっていうことなんですね。
渡辺:美味しくもないでしょうね。
ひろゆき:美味しくもないんですか。
渡辺:こんなの食べてもおいしくない。しかも、これ十錠ありますけど、一錠で800円するんです。これ(一箱)で8,000円ですから。
ひろゆき:そんなするんですか。
渡辺:するんです。
ひろゆき:すごい食べ物ですね。
渡辺:これが何と500万箱売れてるっていうのは信じられないんですけど、本当かどうかはわからないんですが、メーカーはそう言ってます。
「飲むヒアルロン酸」なのに、含有量は書かれていない
ひろゆき:何かもっといいもの食えばいいじゃないですか。渡辺:って思うでしょ。だから、そこら辺が騙されてるんじゃないの、っていうふうに。しかも、これは「週刊金曜日」の読者から投書があったんです。「三國連太郎さんのファンで、私も皇潤を食べてるんです」というわけ。だけども、含有量が書いていないっていうわけですよ、ヒアルロン酸の。
ひろゆき:確かにそうですね。
渡辺:「食べるヒアルロン酸」ってものすごく宣伝しておきながら、含有量が書いていないのは、おかしいでしょ。
ひろゆき:どれぐらい入ってるかわかんないと、どれだけ食えばいいのかもわからないですからね。
渡辺:ただ一応、1日の摂取目安量みたいなのはあるんですけど。それでエバーライフに電話をかけて聞いたんです、「どのぐらい入ってるんですか」って。そしたら「企業秘密で教えられない」って言われました。
ひろゆき:すげえ。
渡辺:でしょ。
ひろゆき:じゃあ、すごい微量に入ってるとかっていう可能性もあるわけ。
渡辺:恐らくそうなんだと思います。あんまり入っていないんだと思う。だから言えない。
ヒアルロン酸がそのまま吸収されることはない
渡辺:それから、これヒアルロン酸っていうのは非常に大きい分子なんです。1gで6Lくらいの水を吸収するって言われてて、皮膚なんかにたくさん入っている。だから、若うちは皮膚がみずみずしいっていうのはヒアルロン酸が多いから。だんだん加齢とともにヒアルロン酸が減って、かさかさしてくるって言われてるんですけど。ひろゆき:それ食ったらどうなるんですか?
渡辺:食っても分解されちゃうんですよね、消化酵素で。分子がでかいですから、そのまま吸収されないんです。
ひろゆき:牛の肉食っても牛になるわけじゃないみたいなもんで、分解して普通のアミノ酸のレベルになっちゃうから。
渡辺:そう。かなり分解されちゃうんで、ヒアルロン酸の効果はないんですよ。
ひろゆき:じゃ、肌に刷り込めばいいんですか、その錠剤を。
渡辺:いや錠剤刷り込めないでしょ。
ひろゆき:そうですね。
渡辺:これは「飲むヒアルロン酸」だから。なので、効果っていうのはほとんどわからないと思うんですよね。臨床試験も、もちろんやってませんし。
ひろゆき:でも、8,000円の物が500万個。
渡辺:メーカーが言うには500万売れてるっていう話ですよね。
ひろゆき:40億円?
渡辺:すごいお金ですよね。
ひろゆき: あれ400? 40? 僕数字よくわかんないんですけど。まあいいや(笑)。(※編集部注・実際の計算結果は400億円)
渡辺:これ飲んでプラセボ効果か、膝の動きがよくなったっていう人も多少はいるのかもしれないけども、吸収されないわけですから、分解されちゃうんですから、ほとんどは無駄になっているんじゃないかな、と私は思うんですよね。でも、それでもテレビでばんばん宣伝して、すごく売れてる。一種の催眠術みたいなもんですよね。
大スポンサーの悪口は書けないマスメディア
ひろゆき:いいですね、「週刊金曜日」の周りにいるだけで儲かる商売がいろいろ見つかりそう。要するに、「これの廉価版です、6,800円」と言ったら200万個売れるかもしれないじゃないですか?北村:買ったほうがいいですとか。
ひろゆき:ええ。「買ってはいい薬」と書いて。
北村:そらそうだ。
渡辺:そういう発想(笑)。それは儲かるけど。
ひろゆき:いや、だってほら、金儲けってそういうことじゃないですか、馬鹿をいかに騙すかで、こんなに騙されてる人がいますよってことじゃないですか。
渡辺:つまり、企業っていうのは利益を上げるのが目的だから、その利益を上げるためにいろんな商品を開発するのね。だけれども、放っておくと、ひろゆきさんみたいな人が金儲けのために、おかしな商品をばんばん出してくわけよ。それを放っておくと、おかしな商品ばっかりになっちゃうから、やっぱり『買ってはいけない』でそれにブレーキをかけなくちゃいけない、ということなんです。
そのために一生懸命、十数年もブレーキをかけるために、「こういう商品がよくない」とかっていうことをずっと延々と続けているということです。だって、お金を払って物を買うっていうことは、お金っていうのは結構得るの大変でしょ。
一生懸命労働して、汗水たらしてその対価としてお金を得るわけですよね。だから、物を買うっていうことは労働の対価として物を買うっていうことと同じなんです。その労働が全く無駄になってしまうということですよね。
ひろゆき:むしろ体に悪かったりしますから。
渡辺:そう。それはすごく不合理で、理不尽でしょ。だから、そういう不合理とかそういうものをやはり見過ごせないと。そういう不合理をできるだけ……まあ、なくならないと思いますよ。やっぱり企業はどうしても金儲けしようと思うから。
だから、おかしい商品はなくならないと思うけども、放っておけばそういう商品が溢れちゃって、結局、被害を受けるのは消費者になるわけだから、そういう被害をできるだけ減らそうと、ブレーキをかけようというのが『買っていけない』をずっと書いている理由なわけです。
ひろゆき:本来はマスメディアがちゃんとやるべきなんですよね。
渡辺:マスメディアは出来ないですよ。さっきも言ったように、大手新聞は洗剤メーカーが大スポンサーですから。それから、テレビも自動車と洗剤メーカーが大スポンサーですから。だから、そういうことは出来ないんですよ。
ひろゆき:そうすると、スポンサーのいない「週刊金曜日」だからできる。
渡辺:だから、できてるわけなんです。
北村:新聞にしても、テレビはもっとなんですけど……。例えば、新聞を売って得るお金と広告と、大ざっぱにいうと半々です。広告が入らなければ終わりだから。
例えば花王なんていうのはものすごい大スポンサーですから、花王の商品の悪口を書いて広告が何億か引きあげられちゃう。そういうことを考えたら、(悪口の)記事は書かない。そういうことは新聞・テレビだけじゃなくて、大手の版元の週刊誌も同じです。だから、どこもできないんですよ。
ひろゆき:じゃあ、ニコニコ動画が花王の悪口を言わなくなったら刺してください。