PM育成は国家事業としてやるべきこと

橋本将功氏(以下、橋本):みなさんこんにちは。パダライスウェアCEOの橋本です。

中島大輔氏(以下、中島氏):中島です。

古長谷莉花氏(以下、古長谷):古長谷です。

橋本:「だれプロラジオ(「誰も教えてくれないプロマネのコツラジオ」)」の第40回は?

古長谷:プロマネの育て方、です。

橋本:前回、前々回とプロマネの採用やプロマネのなり方みたいな話をしてきたんですが、やはりプロマネは必要なので、僕個人的には国家事業としてやるべきだと思っているんですよ。

中島:ああ、そうですね。

日本のPM不足には就職氷河期が密接に関係している

橋本:プロジェクトマネージャーが足りていないという話をずっとしているじゃないですか。これには就職氷河期問題と、IT業界の成長がすごく密接に絡んでいます。

中島:ふうん。

橋本:僕自身が就職氷河期を経験しているのですが、要するに就職氷河期時代は採用がメチャメチャ絞られていたんです。

僕は一応いいとこの大学を出たんですが、100社受けても1社も受からない友だちがいたり、有名大学出身の友だちが当時入れた会社が成果報酬型の飛び込み営業みたいな、就職氷河期時代以外では考えられない採用状況だったんですよ。

それもあって、今40歳から40代の半ばぐらいの人たちって、キャリアがズタズタになっている人がすごく多いんです。

ズタズタになっているとはどういうことかというと、単純な作業をもう20年やっていますとか、派遣で部分的な業務だけをずっと任されていて、昇進もしなければ全体を管理する仕事も任せてもらえないまま20年が経ちました、という就職氷河期世代が1,000万人ぐらいいて、要するに日本人全体の12分の1を占めているんですよ。

今はこんなに(逆三角形に)なっていますが、労働者人口ピラミッドで考えた時に、(就職氷河期世代は)中堅なんですよね。だから本来はこの人たちが、足りないと言われている案件を回す人になっていないといけなかったんですよ。

企業には若い人はいるし、定年直近の人たちもたくさんいるんだけど、採用を絞ることでこの人たち(就職氷河期世代)がいないから、育成もやってこなかったんですよ。なので、プロジェクトマネージャーをできる人がいない比率が日本はメチャクチャ高い。

中島:ああ、そうなのですね。

橋本:国的にね。

中島:うん、うん。

橋本:政府が毎年思い付いたようにIT戦略とかやっていますが、ああいうことじゃなくて、本当に10年後20年後の日本がどうなっていないといけないのか。ちょっと想像しただけでわかると思うんですけど、ITを駆使していないと、いわゆる先進国のポジションって絶対に築けないでしょう。今の時点ですでにそうなっていないといけなかった。

中島:うん、そうです。

橋本:そういうことなので、プロジェクトマネージャーの育成はメチャクチャ一生懸命やらないといけない。

中島:そうですよね。

シニア的な人を呼んで一緒に案件をやることが大事

橋本:とはいえ、やらなきゃいけないとは言っても、国も大企業もそうなっていないので、じゃあどこから手をつければいいかというところなのですが。

とにかく今はそのフォーマットがないんですよね。「これをやればプロジェクトマネージャーとして認められます」みたいなスキルセットがなくて。まぁ、うちでは作っていますけど。

中島:うん、そうですね。

橋本:(スキルセット)がないので、それをきちんと身に付けている人を自分の会社に絶対に呼ぶこと。

中島:うん、そうですね。

橋本:役職がついて一般論しかやらない人がけっこういるので、そういう人を招聘しちゃうと現場とのハレーションがまた起きちゃうんですけど。

スキルが低い人や経験がない人は、こういうシチュエーションの時にどうしたらいいのかがわからないことがすごく多くて、それがプロジェクトマネジメントを覚える時にいつも課題になるので、実際にプロジェクト回すことができて知見も備わっている人を呼んできて、実案件を一緒にやってもらう、シニア的な人がアドバイスやサポートすることで成長していくというのを、組織として作っていくことがやはりすごく大事。

最近はコンサルサービスや相談サービスもよくあるので、そういうのを使ってできるだけやってみる。今、そういう人の奪い合いになっているので。

中島:そうですよね。

橋本:早く調達することかなと思いますね。

徒弟制度を取り入れてシニアと組んで勉強をする

橋本:あとはどうしても四半期とか年単位の決算で3年後がわからないとか、5年後がわからないという会社は正直多いと思うんですよ。

それじゃいけないっていうのはわかっているんだけど、じゃあ1日の中でどれだけ3年後や5年後のことを考える時間が使えるのかという話ではあるじゃないですか。

だけど、プロジェクトマネージャーは5年とか10年とか、一人前になるのに時間かかるので、そのつもりで育てていかないと、5年後10年後も同じことで困っているはず。なので、仕事の渡し方など、必ずシニアとセットにして勉強できる体制を作る。僕はこれをバディシステムと呼んでいます。

自衛隊とかはね、バディで組ませるんですよ。そうすることでお互いがお互い面倒見るので、メンタル的なところもカバーできるし、やり遂げる力になる。

中島:なるほど。ジェダイもそうですね。

橋本:ああ、そうなんだ。

中島:ジェダイもそうです。パダワンという弟子のシステムがあって、マスターと弟子が。

橋本:ああ、そうかそうか。そうですね。じゃあジェダイ・システム。

中島:ジェダイシステム。

橋本:(笑)。ジェダイもたぶん日本の徒弟制度を参考にしているんだと思うので。

中島:そうです、そうです。

橋本:私たち日本人にとってもすごく親しみやすい師弟制度を入れる。シニアの手が足りないこともよくあるので、その時は弟子に助けてもらうという特別な関係で進むんじゃないかなと思います。

案件とPMのレベルのマッチングに気をつける

橋本:あとは、研修もやらないよりはいいけれど、それをやったからといってプロジェクトマネジメントができるようになるとは思わないことですね。即成は基本的にないと思ったほうがいいと思います。

資格や座学はやらないよりはいいけれど、知識の幅としてだけ考えておく。それでプロジェクトができると思っていると、痛い目に遭いますよと。

前回の話にも出ましたが、会社側としてアサインする上でやはり気をつけないといけないのは、案件とやる人のレベルのマッチング。

中島:ああ。

橋本:これは絶対見ておかないと、本当に有望な芽を摘むことになるので、そこは気をつけたほうがいいです。

1つの目安になるのが、1から10までをやったことがあるかどうか。案件サイズは関係なくて、1から10までやったことがあるかどうかを1つの指標とする。あともう1つの目安は、50人月までのプロジェクトを回したことがあるかどうか。

中島:50人月。そこが指標なのですね。

橋本:人や会社によって変わるけれど、1,000万円まで、3,000万円まで、5,000万円までで、5,000万円超えると何億円ではあまり関係ない。

中島:ああ、そこを超えちゃうと。

橋本:うん。だから、この刻みできちんと仕事を渡していくことですね。

中島:なるほど。

橋本:1,000万円いったから、次はいきなり5,000万円やれと言うと、ハードルが高すぎて潰れるケースが多いです。扱う仕事の変数がぜんぜん違うんですよ。だからそのあたりを意識して会社はアサインを決めたほうがいいです。

PMの育て方のまとめ

橋本:では、プロマネの育て方のまとめですね。1つ、ジェダイ・システムを導入しましょう。ジェダイ・システムはどういうことかというと、師弟関係です。シニアとジュニアを組ませて、案件を通じて成長していくストーリーにするとすごくいいでしょう。

中島:うん、そうですね。

橋本:もう1つは、案件サイズですね、レベル感とアサインされるPMのレベル感が離れないようにしましょう。その刻みは1,000万円まで、3,000万円まで、5,000万円まで、5,000万円以上で、ぜんぜんプロジェクトの難しさが違うので、ストレスで人を潰さないようにすることが大事です。

橋本:ということで、だれプロラジオの第40回。

古長谷:プロマネの育て方、でした。

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橋本:お願いします。

中島:それではまた次の動画でお会いしましょう。ご視聴ありがとうございました。

橋本:ありがとうございました。