2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小林雅氏(以下、小林):大人の会話になってますけど、大丈夫っすかね? 暗いような感じの話になってますけど、盛り上げていきましょう。では、赤い服の方。
質問者:はい、東京大学の○○です。趙さんにひとつ質問なんですけど。先ほどちょっと話で出たと思うんですけど、趙さんは難民が好きということなんですけど、どうして難民が好きなんですか。
根源的な、あれですか。難民が好きだって上に、難民が好きなのは何々だ。っていうのが、もっと根源的なことがあるのか。もう単純に難民が好きだっていうことなのか。
ちょっとそこが僕はわからないので教えていただきたいです。
趙正美氏(以下、趙):たぶん一番単純な話で、予測しない時に自分難民だったっていうところから始まっていて。私が当時持ってる難民のイメージって、ベトナムとかから汚れたTシャツとか着て小舟をこいでくるようなイメージしかなかった。
だから、自分みたいな、都市に住んでて……なんか、中流階級の人がそういう目に遭うっていうイメージがなかったんですね。
それは単純に私の知識が不足していただけの話で、明日にでもここにいる全員が難民になる可能性があるんですよ。
今この瞬間でも難民になる可能性は全然あって、例えば北朝鮮がバーンとミサイル打ってきたら、みんなそれで被災して他の国に逃げなくちゃいけない状況になる。
日本は海に囲まれているからなかなか考えにくいんですが、そういうことが起きうると。
そんな理不尽なことがあるのかなって。自分が頑張っているとか、勉強しているとか、稼いでいるとか1ミリも関係なくて。
暴力的なことで、自分の全く制御できない状況で、そういう身分になってしまうって可能性がある。
ごめんなさい、お答えが遠かったんですけど、好きっていうのは、基本、興味がある。その人たちに関心があって。私個人の願いは、難民が一人もいなくなることなんです。
私の願いとは裏腹に難民は増えていて、シリアとか周りの国に逃げている人とかが。純粋に興味がある。
趙:私、競艇がすごい好きなんですけど……。
小林:競艇っていうと、ボートのほうの?
趙:そうそう、レースのほうの競艇(笑)。
小林:普通、競艇っていうと、違う感じの……。
趙:そうそう、トリーティー(協定)のほうじゃなく、ボートレースの競艇が好きなんですけど、たぶん競艇が好きなのと同じぐらいのレベルで難民が好きです。
ヒューマン・ライツ・ウォッチじゃなかったら、船舶振興会に勤めたい(笑)。そういう根源的な純粋な好きです。
小林:どんどんいきましょう。オレンジの人の隣、いきましょうか。いいですね。オレンジの服着てると、目立っていいですね。
質問者:同志社大学の○○と申します。加藤さんにご質問なんですけど、僕、先日リクルートの本を読んで、加藤さんの話とかもうかがったんですけど。
けっこう、すごいことをしてる人って、大学時代からすごいことをしてるイメージがある中で、起業とかっていうイメージではないんですけど、なぜ成功できたのかな? みたいなことが聞きたいです。
加藤史子氏(以下、加藤):ありがとうございます。たぶん、読んでくださったの『リクルート 挑戦する遺伝子』っていう日経新聞の本ですね。ありがとうございます。
どうぞお掛けください。先月くらいに出た本なんですけど、どんなふうな本になったのか怖くてまだ読めてないんです。
小林:質問からすると、すごいこと書かれてるみたいな感じですけど。
加藤:そんなことはないと思うんですけど、私は全然すごい人では……。
SFCって学生時代から起業する人がそれなりに多いんですけど、全然そんなことはなくて。
会社に入ってからも、常に課題感は持ってました。たとえば自分がやりたいこと、こういうことに適性があるから、新しい価値を作りたいとか、それで社会に役に立つとかは考えていたんですけど、起業したいとか、一角(ひとかど)の人にはなりたいとはあんまり思っていなくて。
なのでリクルートに入ってもすぐ辞めて起業してやろうというふうには思ったことはほとんどなくてですね。
どちらかというと何か社会に価値を提供するために、この会社にいると、この会社のリソース、人的なものだったりとか、会社のもしかして看板とかブランド的なものだったりとか、あるいは資金みたいなものだったりをどう活用できるかということを、けっこう常に考えてたんですね。
だから、自分自身がすごく目立つとか、飛び出るとか、起業する以外にもですね、組織に属しながらも、常に社会にどうしたら価値を提供すればいいかっていうことは、考えていれば絶対実現できると思いますし。
あと、若ければできるってものではないというふうに思います。男の人にはわかりにくいかもしれないんですけど、女の人って大学卒業ぐらいの時は、男子学生と同じように……自分はこれから社会に出て、価値ある何かサービスや仕事に携わるんだっていうふうに野心に燃えてるんですけど、28になると「私、このままでいいんだっけ?」って気持ちになるんですよ。
で、いったんそれでどんどん夢が小さくなってく気持ちになったんですね。私の場合。何か社会に価値提供したいとか思ってたのに、28ぐらいの時は、その時は結婚してたけど、結婚したいなとか、子どもがほしいなとか。なんかすごく夢がちっちゃくなったような気になっちゃって。
でも気持ちを持ち続けていれば何度でもやり直しがきくというか、何度でもチャンスは訪れるので。
必ずしも若い時にスタートアップで成功しなくても、なんか企業に入って悶々とした気持ちが長かったとしても、最終的にはどうしたいというのを忘れずに持ち続けていれば、必ずそれを発揮できるチャンスは来るし、それが世に出る機会はあるだろうなっていうふうに思っています。抽象的ですね(笑)。
琴坂将広氏(以下、琴坂):聞きながら思ったんですけど、僕も大学時代の話なんですけど、こう3つ会社立てたのってすごいなって思われるかもしれないけど、実際やってることってすごい地道で泥作業で、みんなでもできることをただ必死でやってたっていうイメージなんですよ。
で、マッキンゼーに入って最初はもう、すごいExcelの地味なことを、ものすごいスピードで頑張ってやったから、いつの間にか3000億円の事業のグランドデザインを描くようになったんです。
最初は、地道に動いているかどうかが大事で。ずっとやってさえいればそれがいつのまにか上がっていくんじゃないかなというイメージはあります。
だからその、起業したとか事業を作るとか、100億円! とか、(周囲がやっていても)蹴落とされないで。圧倒されないで、自分ができることを地道にやっていくことが大事だと思いますね。
小林:たぶんですね、学生の方で、ここにいる方でもコンプレックスを持ってる方っていると思うんですよ。例えば学生で起業してるとか留学してますとか、働いてますとか、ゴロゴロいるんですよね。それと比べて、私ってなんでダメなんだろうって思ったりするじゃないですか。
思う人っているじゃないですか。思う人っているよね? いますよね? でもさ、プロ野球選手とか見てくださいよ。なんか甲子園で華々しく活躍して、3年でクビになりますとかさ、ザラにいるじゃないですか。
だからですね、その時に活躍してたからといって、必ずしも将来活躍するとは限らないと。残念ながら、それが人生そのものだったりするんで。
そこは結局、環境によって左右される。つまりプロ野球で、高校では豪速球だったんだけど、世の中もっと豪速球投げる人とかいてね、それだったら全く目立たず終わったとか。左利きで打ったんだけど、そのチームに入ったら左利きしかいなくてみんなすごかったみたいな。
出番がまわってこなくて腐って終わったとかですね、そういうの多いんですよね。社会人になってもそういうのは必ずあって、絶対自分が陽の目が当たらない場面って必ずあるんですよ。
まあ僕自身もなんか、陽の目が当たったかというと、初めに自分が入った会社においてはそんなこともなかった気がするんですけれども、そうするとですね、なんか自分で悶々としてきて、自分でいろいろ探すようになるんですけれども、そのときに、悶々としたものをぶつけるのは重要だと思うんですよね。なんかやると。
直感に従って転職するとか、やるのは、若いうちはいいと思うんですよね。子どもとかできてくるとですね、そんなこといってもね、食っていけないとかいう選択肢があって、なかなか難しいとは思うんですけど。
若いうちはとにかくそういうふうに、私は必ず輝ける場所があると思ってですね、行動し続けるっていうのがいいのかなと思うんですね。
加藤:その意見ってすごく大事ですね。そのあと、諦めるというか、すっぱいブドウが一番良くないなと思うんです。大人になるとそういうことが上手になるんですよ。
「すっぱいブドウ」ってイソップ童話であったんですけど、背の高いところにブドウがあって、その実を取りたいんだけど、自分にはちょっと手が届かなさそうだっていうことで、あのブドウはすっぱいに違いないと思い込む。
そうすると、楽に生きられるかもしれないけれど、もうそれは行動をやめちゃうことになるので「あのすっぱいブドウ、やっぱり取りたいな。今は無理だけど」と悶々として、転職とか、環境を変えてみるとかピボットとか「もがく」ということが大事だなと思いますね。
趙:それすごいわかりますね。なんか私、すごい会社入ってる時、基本的にはやっぱ腐ってた。難民があまりに遠いから。
だけど、たぶん結果的にやりたいほうに動けたので、そこの全然やりたくないことを一生懸命やったからなんじゃないかなって思ってるところがすごくあって。
一生フェアで、諦めずに、その場その場でちゃんと努力を重ねられた人は最終的に何かを成し遂げられてて、まさに「あのブドウは酸っぱいからいらぬ!」って諦めた人はそこにたどり着かないのかなって、ちょっと思いますね。
なぜなら、腐るの簡単だから。みんな腐りたいし。
小林:あといろいろたぶんね「人生よりよく幸せに生きよう」って宗教チックなやつなんだけど。ハーバード大学の先生が書いているやつとか僕最近、いろいろ読み込んだんだけど、人生いろいろ考えるようになってるから(笑)。いいこと書いてあって、より良い人生、どうしたらいいかを考えることが大事だと言っていて。
オリンピックの選手とかが、オリンピックで金メダルを取って幸せというかというとそうでもない、みたいな。1ヵ月はいいらしいんだけど、燃え尽きちゃって、どうするの? 結局より良い幸せを探していくのが重要だと言ってるのと、日々つまらならなったらどうするの?
それでいいこと、書いてあったのが、週に1回ボランティアをやるとか、なんかそういう、趙さんじゃないですけども。自分のほっとできることをやっていることが、プラスに作用するとか。
なるほどそうなのか! 俺もそうしよう! というような感じで、思いましたけど。
琴坂:絶えず意識しているのは大事ですよね。哲学的なことばっかになっちゃうけど、学者なんで。すいません。いつか死ぬっていうのは意識していて、やっぱり死ぬんですね。
それまでの時間をどう使うかの権利がある。権利があるっていうのは、現代の我々にしかない。それを考え続けるというのは重要かなと。
小林:大丈夫ですかね。こんな哲学的なことで。
全員:(笑)。
琴坂:しーん。みたいな。申し訳ない。
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