2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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小杉俊哉氏:よろしくお願いします。先ほどは「リーダーとマネージャーの違い」について、みなさん、いろいろお答えいただきました。
リーダーシップについてはみなさん、それぞれが語るべきものを持ってるんですね。もちろん経営者の人はそうですし、マネージャーの人もそうですし、担当(一般社員)の方でも、例えば学生時代にサークルの代表をやってたり、高校時代、部活の部長をやってたりとかね。そういう経験から、みんな「リーダーとはこうあるべきものだ」というものを持っているんですね。
なので、その人なりの「これがリーダーだ」という考えがあると同じ土俵で話ができないので、1回整理する必要があるんじゃないか? ということで『リーダーシップ3.0』という本を書かせてもらいました。
では「リーダーシップには唯一不変の定義があるか?」というと、そうではなくて。いろんなリーダーシップの型があるということに、歴史を遡ると気づいたんです。そこで「じゃあ今の御社の環境では、どんなリーダーシップが求められていると思いますか?」というのが、問いになるわけですよね。
組織が置かれている環境によって、チームメンバーによって、リーダーシップというのも変わりうるんじゃないか? ということなんです。
そこで歴史を遡ると、私が「バージョン1.0」と言っている「原型」がありまして、これは中央集権的なリーダーのあり方です。
これは王侯貴族、荘園領主、藩主ですね。産業界に持ち込まれたのが1900年代。20世紀の初頭です。後で詳しくお話ししたいと思うんですが、これがやがて分化して「誰か人にやらせる」という「1.1」になり、その後に「1.5」という調整型が代表的なタイプになります。
これ、実は日本型のリーダーシップだったんですよ。家父長的な、運命共同体の船長的なリーダーシップがアジアだけでなく、欧米企業のお手本になりました。そして「そんなことやってたら会社が潰れちゃうだろう!」って出てきたのが、変革のリーダーで、1990年代です。20世紀最高の経営者にも選ばれたGEのジャック・ウェルチはその代表です。
じゃあ今はどうか? というと、私だけじゃなくて多くの研究者たちが「支援者型」というリーダーのあり方が、一般的には一番フィットするんじゃないか? と言われるようになりました。こんなことを本に示しました。
さて。「強いリーダー」である、1.0の権力者、あるいは2.0の変革者。これはカリスマ性が必要で、誰もができるわけではないんです。ですから日本でも、オーナー系の創業経営者が率いているような組織は、こういったタイプが今でも多いんですが、いわゆるビジネスパーソンが社内の役職が上がっていって責任者になっていった時に、果たしてそんなカリスマ性をみんなが持てるのか? ということなんです。そことのギャップに苦しむ方が多いんですね。
だったらもっと楽にリーダーシップを発揮できるというのが「支援する側に回る」ということじゃないでしょうか? ということで「3.0」のタイプ提示させてもらいました。さて、では「1.5の日本的経営・調整型リーダー」と「3.0の支援型リーダー」というのはどういう違いがあるか? というと、まず共通項は、共同体意識・コミュニティ意識、
理念・ビジョンを共有する、価値観を共有するという点です。一方、決定的に違うのが、まず、好むと好まざるとにかかわらず、自律した個人の存在が大前提なのが、今の時代背景、人材と組織の関係性ということです。
ですから左側の「1.5」では、いったん入った会社に一生お世話になるという前提で、組織と個人は上下関係にあったんです。ところが今や、必ずしもそれが一生続くとは限らない。むしろ転職するのが、ごく一般的になっており、会社を選ぶのも個人の意思、会社を辞めるのも個人の意思、そして会社にとどまるのも個人の意思、というのが好むと好まざるとに関わらず前提なっている。それが右側の「3.0」の背景です。
という中で、組織側としては「いかに優秀な人に入社してもらうか?」だけでなく「いかにして居てもらうか?」が大きな課題となります。経営者や管理者はどれだけ人にやる気を持ってもらって、居てもらうかという、そこのリテンション(保持)が非常に重要な役割となります。上司と部下の立場は逆転するかもしれないし、辞めてお客さんになるかもしれないので、威張り散らしてる人は、その後に足元をすくわれる。こんなことが背景としてあるんじゃないかと思います。
そうすると、いかに一人ひとりと信頼を築いて、ポテンシャルを引き出すか? ですね。人材市場は巨大産業になっていて、「3.0」から「1.5」に戻ることはもうないのではないでしょうか。
先ほどお話ししたのが、この上下関係から横の関係。つまり対等の関係です。対等の関係ということは大人同士なので、双方の努力が必要ですよね。ですから左側の時代には「釣った魚に餌はやらない」「ほっといても勝手に(会社に)居る」と考えていたんです。その代わり“すねかじり社員”とか“ぶら下がり社員”とかがたくさん出ても面倒を見てあげていたわけですけれども、今はそういう余裕がないんです。
大人同士の関係である右側の組織は、人材が魅力を感じる仕事・キャリア・職場を提供し続けることが必要で。逆に個人は「入ったら会社がどうにかしてくれる」のではなくて、組織ニーズに見合うような「雇用能力:エンプロイアビリティ」を高めるための自己投資をし続ける必要があるということです。
若い世代ほど危機感を感じて自分で資格を取ったり、MBAを働きながら取ったり。あるいは副業とか、パラレルキャリアとか、そんなことを志向するようになってきてるのは、上の世代を見ていて危機感を感じているからではないしょうか。
つまり「大人同士である」ということです。大人同士であるということは、会社・上司にとってどういうことか? というと「部下や社員を子ども扱いしない」ということです。
子ども扱いというのは、真実をなるべく教えないってことですよね。(吸収合併、リストラなど)会社にとっても個人にとっても重要なことですよね。これが、子ども扱いです。
大人扱いというのは「真実を語る」「情報共有をする」ということで、それが信頼関係につながると思います。もちろん、例えば合併の話があって、デューデリジェンスの途中では共有できないこともありますよ。でも、できる範囲でなるべく早く情報共有することが、信頼関係を作っていくということになるんじゃないかということです。
最初の質問にありました「マネージャーとリーダーの違い」ですね。(スライドを指して)これはウォーレン・ベニスさんとジョン・コッターさんという、リーダーシップの両巨頭が定義をまとめたものです。
マネージャーというのは「組織上の役割をちゃんとやる」ということです。それに対してリーダーというのは、変えたり始めたり(「革新する。開発する」)、「人に注目」「信頼を築く」「長期的展望」「何故、何をを」「自分のオリジナル」「現状への挑戦」「自分自身という個人」です。
ですから、みなさんもチャットでコメントしていたように「マネージャーはHow」、そして「リーダーはWhyやWhat」ですね。自分の役割や上からの指示に従って動くのではなくて「これはなぜやっているのか?」と「なにをやるべきか?」から考えるわけですよ。ですから「今までやってきたことを変えよう」とか「新しいことを始めよう」となるわけです。
「個人の名前で周囲に影響を与えて、なにかを始める・変えるのがリーダーだ」という定義ですね。なので「役職は関係ない」ということになるわけです。これを一言で言うと、先ほどお話ししたように「Howが課題」なのがマネージャーということですね。これがピーター・ドラッカーの定義です。そして、正しいこと、というのは「場合によっては変わりうる」ということです。
なぜそんな区別が重要か? というと、なにかを変える時・始める時にはリーダーシップが必要だからです。「そんなの考えたことがないよ」「どっちだっていいじゃないか」という人は、(スライドを指して)この赤く書いてあるところですが。
変えたり始めたりする時に「マネジメント」してしまう。だからうまくいかない。この一文だけで、なぜ企業内でなかなかイノベーションが起こらないか? 新しい事業が成功しないのか? ということを説明できちゃうんじゃないかなと思うぐらい、重要なポイントだと思います。
2つめの段落。「有能なトップは、80パーセントは個人の名前で動かしている」。社長とかCEO業は20パーセントしかやってない、ということです。そして逆に、組織の一番下の担当者でも20パーセントはリーダーとしての仕事に充てている必要があるんですね。自分のやらなければいけない仕事をやるのをマネジメントというわけですが、マネジメントを80パーセントやり、リーダーシップを少なくとも20パーセントは発揮していないと、組織は機能しない。こういう指摘です。
そうするとこの中間層は、役職にもよりますけど半々ぐらい。50パーセント・50パーセントぐらいやっている必要があるということです。そしてリーダーシップ「4.0」というのはなにかというと。
「3.0」までの話は、組織を率いる側の人の話をしているんですけれども。「4.0」というのは、すべての構成員、一人ひとりがみな自律、自己実現に向けてリーダーシップを発揮する必要があるということです。そういった次元の話を「4.0」と表現しているということです。ここまで簡単ですけれども、お話しさせていただきました。ありがとうございます。
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