株式会社らしさラボ 代表取締役 伊庭正康氏の『研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル』では、業績の悩み、効率の悩み、マネジメントの悩み、コミュニケーションの悩み、モチベーションの悩みなど、仕事の悩みを解決できるビジネスメソッドを紹介しているチャンネルです。今回は、職場で“できる人”に見られる、「心の知能指数」を高めるポイントをお伝えします。
「頭がいい人」が絶対にしない行動7選
伊庭正康氏:頭がいい人は何が違うんでしょうか? 学歴やテストの点がいいんでしょうか? そんなこと社会ではまったく関係ありません。じゃあ頭がいい人は何ができるんでしょうね。それが今日のテーマです。
「頭がいい人」が絶対にしない、すぐにやめるべき行動7選を紹介していきます。まず、こんな人に見てほしいんです。自分はできない、頭が悪いんじゃないかと人知れず思っている人。そして、どうせなら職場で“できる人”に見られたいなと思っている人って多いですよね。
今日はそんな人に7つの行動を紹介します。この7個さえやっていただければ「あー、この人ってちゃんとしているし、頭もいいし、仕事もできる人なのね」と思ってもらいやすい行動を紹介します。ぜひお持ち帰りください。
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さあ、ではいきましょう。今日はこんな話をします。頭がいいというのは、学歴とまったく関係ないと言いましたよね。どこの会社に勤めているのかも、まったく関係ありません。
つまりこういうこと。ドン! IQよりもEQ。はい。このEQという言葉を聞かれたことがある方もいらっしゃるでしょうね。EI、つまり感情的知性を指数化したもの。難しいですよね。難しく考えないでください。心の知能指数とも言われます。
ダニエル・ゴールマンさんという方が提唱して、一気に世界に広がった考え方です。そしてこの心の知能指数には、実は4つの能力があるんだというお話なんです。
つまりこういうこと。今日は7個の心の知能指数を高めていく話をします。これが高まれば社会的に成功しやすいとも言われています。つまり頭がいい人がやってることなんですよ。それを今から紹介していきます。
自分を過大評価していないか?
ではいきましょう。まず1つ目、ドン! 頭がいい人が絶対にしないことは、自慢話です。だから自慢はもうやめておきましょう。自慢は封印です。
どういうことかというと、心の知能指数には4つの力があると言いましたよね。その1つ目はこの自己認識。セルフ・アウェアネスと言います。これができている人はなんと世の中にたった10〜15パーセントしかいないと言われています。
これは、ターシャ・ユーリックさんという心理学者が研究したんですね。これもまた有名な話です。ということは、「自分もちょっとやばいかもね」と思っておくのが自然ですよね。はい。私も常に思っています。
だからこそです。「つもりの自分」と「本当の自分」の差を絶えず意識しておくってことなんですね。頭が悪い人は、これが完全に離れているまま「自分はすごい」と思っちゃっています。ですから、過大評価しがちなんです。
「俺ってすごいよね」という人、よくいますよね。「俺はこんなことできて、あんなことできて……」。いますよね。あれね、自己認識できていないんですよ。だから頭が良くないように見えちゃいます。
でも頭がいい人はいつも、つもりの自分と本当の自分との差を意識しているので、「とてもじゃないけどそれは言えないな」となるわけですよね。ここが大事なんですよ。
ですからまず、我々はふだんから振り返りの習慣を持っておきましょう。私も持っています。
良かったこともあるけれども、改善すべきことも当然ありますよね。うまくいったことであってもですよ? この改善すべきところもちゃんと着目しておくことは大事じゃないかなと思っています。
これがつもりの自分と、本当の自分との差を埋めていくものになります。まず、ここを絶えず意識しておきましょう。
「卑屈」な人は損しやすい
2つ目、これも大事です。ドン! 卑屈になってはいけないんですよ。「え~? 卑屈はダメなんですか?」ダメなんですよ。謙虚はOKですよ。謙虚ではなく卑屈になると「この人はダメ」と思われやすいんですね。損しやすいんです。

そうですよね。謙虚な人は損はしませんけど、卑屈な人ってなんか損しがちですよね。それはなぜか? これも先ほどの、心の知能指数の自己認識の問題なんです。先ほどは過大評価するから自慢すると言っていましたよね。今度は過小評価しがちなんですよ。つもりの自分と本当の自分との差に気づいていない。自分を低く見すぎ。
これって、意外と誰もがやっています。年齢や経験に引っ張られることが多いらしいです。どうですか? 「もうこの年齢だから」と思うことはないですか? 「私はこの学歴だから」「私はこの会社だから」とか。いろいろなネガティブな要素を、あたかも既成事実のように言ってしまうことってありますよね。この場合、卑屈になっちゃいます。
ただ、頭のいい人はやらないんですね。「もうこの年齢ですから」「私の能力では」と言わないんです。
謙虚と卑屈の違いとは
じゃあ、どうすればいいんでしょうね。これは謙虚と卑屈の違いを知るといいでしょうね。謙虚は他人を見下さないんですね。自己肯定したままです。卑屈は自分を見下す、自己否定することなんですね。これダメ。自己否定がダメ。
だとすれば、自分にはこんな可能性があるということをぜひいろいろと書いてみることもおすすめします。もちろん頭の中でもいいですよ。「あぁ、自分にはこんな可能性がある」「これはできないけれども、こんなことはたくさんできる」。
できないことがあってもOKです。もちろんできないことなんて誰にでもあります。でも、これができるからいいじゃんと思えるかどうかですよね。これがポイントになっています。卑屈にはならない。これが2つ目です。
「発散していい愚痴」と「言わないほうがいい愚痴」
では3つ目。ドン! 気をつけていきましょう。「愚痴らない」です。ちょっと待ってよと。「愚痴ったほうがすっきりするじゃん」と思われる方もいらっしゃると思いますが、そのとおりです。発散していい愚痴と言わないほうがいい愚痴にわかれるということなんです。
「聞いてよ。こんな上司がいてさぁ」。これは別にかまわないです。「ちょっと聞いてよ」ぐらいは心の発散です。でも、「いやぁ、納得できない方法を押しつけられていてさ、もうやりたくないんだけど、ずっと我慢してやっているんだよね」。これはダメなんですね。
なんでダメかというと、解消できるからですよね。「え、解消できないよ」と思われたら、それは自己認識の問題です。解消できますという話なんです。
ラクして楽しそうに結果を出す人の考え方
じゃあどうやって解消するかというと、相手に変わってもらおうとするわけじゃないんですよ。自分が変えていけるかという感覚なんですね。相手に変わってもらおうと思ったら変わりません。そりゃそうです。こちらがどう変えていけるかという発想だから変えられるって話なんですね。
だから自己認識の高い人は、納得できないやり方で「これ、結果が出るにはちょっと違うんじゃないか?」と思ったら、まずは自分なりに工夫することを考えるんです。当然、調整もしますが、自分の強みや考えをどうそこに盛り込むかを考えるんですね。
なんでそれができるかというと、自分の強みをわかっているからなんです。これは自己認識なんですよ。「自分はこういう工夫ができる。自分の強みのこういう活かし方ができる」と考えているということなんですね。
ですから、この人たちはラクに、楽しそうに結果を出しています。こういう人が賢そうなのは、自己認識できているからです。まず、自分なりの方法を考える習慣を持ってください。どんなルーチンワークでもけっこうです。愚痴らずに自分なりの方法で、工夫してみてください。
嫌なことを言われた時の「受け流す」コツ
では4つ目。まだまだいきます。これはだんだんとレベルが本質にぐっと迫っていきます。
4つ目。ドン! 頭のいい人がやらないことは、感情的にならない。これは自己管理能力ですね。セルフマネジメントと言います。心の知能指数における、感情的知性の要素です。
頭がいい人は衝動的な行動や感情的な反応を抑えられると言います。つまりキレないということです。子どもの時から「怒っちゃ負け」と言われましたね。意味がわかりませんでした。怒り返したかったですよ。でも、怒っちゃ負け。
だから私は、気がつけば怒らないですね。ここについては比較的できているほうかな? と自分では思っています。ストレスに直面しても比較的に冷静でいられます。「どういうこと?」と思われたと思いますが、嫌なことを言われても意外と受け流せます。ちょっと言い返したくなりますよね。でも、言ったら負けなんですよね。
「理不尽か、それとも理屈が通ってるか」の2つに分ける
どういうことかというと、実は受け流せるかどうかのやり方がありましてね。嫌なことを言われたら「理不尽か、それとも理屈が通ってるか」の2つに分けます。「いや、あんたはこうでこうだからさぁ」と理不尽なことを言われた場合。「あれ、ちょっと理不尽だなぁ」と思ったら、相手を憐れむ感覚を持てるかどうかです。
これ、私だけ(がやっているのでは)なくて実はこういう相手を憐れむというやり方があるんですね。「あぁ、なんだか気の毒だなぁ。こういう捉え方しかできないんだなぁ」。この感覚を持てるかが大事ですね。
でも理屈が通っている場合はもうしっかりと受け止めます。これが大事なんですね。理屈が通っていると言われているのに「かわいそうだなぁ」と相手を憐れんでいる場合じゃないですもんね。そうすると自分がかわいそうになってしまいます。
じゃあ嫌なことを言われた場合、どうすればそれを受け流せるのかという話ですよね。「すぐに反応しない」これです。怒っちゃ負け。言っちゃ負けなんですよ。なので、事実を抜き出しながら考えるんです。
「この人は今、どんなことを言ってるのかな。これは感情ね。はい、これは意見ね。はい、感情。意見。事実はどこにあるのかな。確認してよろしいですか。具体的にどんなことがありましたか。あぁ、そうでしたか」。具体的な事実は大したことなかったりするわけですよね。
ということをちょっと分けながら聞くと比較的、冷静でいられます。すぐに反応しないというのをぜひやってください。
「我慢できる人のほうが頭がいい」という実験結果も
はい。ではいきましょう。5つ目、ドン! 頭がいい人がしない行動は、「必要な我慢ができない」。これはめちゃくちゃおもしろい実験の話をします。子育てにも使えます。自己管理能力なんですけども、満足を先延ばしできる能力というのがあるんですよ。
満足を先延ばしできる能力があるか。あなたはどうですか? おいしいものがあったら今すぐパクっといっちゃいたいですか? 我慢してとっておけますか? これをディレイ・グラフィティケーションと言うそうです。覚えなくていいです。先延ばしできる能力でけっこうです。
おもしろい実験があるんですよ。スタンフォード大学のマシュマロテストって聞いたことがある方もいるかもしれません。
1972年の調査で、まず、平均年齢が4歳半の子どもたちを集めます。そして子どもたちの目の前にマシュマロを置いて「食べてはダメですよ」と言います。そして、大人たちは外に出ます。
すると、子どもたちはマシュマロを食べたくて食べたくて仕方がない。ある子どもはパクっといっちゃう。ある子どもはもう足をぶるぶる震わせながら我慢している。この2つのグループにわかれたそうです。
パクッといっちゃう派と我慢する派。この子たちが大人になった時、どういう差が生まれているかを(調べた)長期間にわたる実験なんです。あなたはどちらですか。パクッですか? 我慢できますか? もしあなたにお子さんがいらっしゃるならば、どちらですか? もう今からこれ、知っておいてください。先に答えを言いますね。我慢できる人のほうが頭がいいんですね。
「先を見据える力」を身につける
どうなったのかというと、1972年に実験があって、その16年後の1988年に親にインタビューを採ったところ、親の評価は我慢できた子どもに対してのほうが高かった。さらにその2年後の1990年に(同じ子どもたちに)学力テストを受けてもらいました。すると、我慢できた子のほうが学力が高かった。
そしてさらに年月を重ねた2011年。もう、この子たちは大人になりました。中年と言われる世代になり、何が起こったか。脳のチェックをしました。すると、前頭前皮質という複雑な事柄をきちんと統合しながら調整できる力(を持つ脳の部位)が、我慢できた子のほうが活性化していたんですよ。
つまり複雑なことがあってもすぐに反応するんじゃなくて、「こうしてこうして、こうすればいいよね」と、ちゃんと統合しながら処理ができているんですよね。頭がいいですよね。社会や人間関係って複雑ですから、問題解決も複雑です。それができるって話なんです。
じゃあどうすればいいのか。「いやぁ、私、パクっといっちゃうほうです。お菓子もすぐに食べちゃいます。お腹がぷよぷよになってきました。それでも食べちゃいます」という人。はい、これは昔の私です。パクパクいってましたけどもね。これね、先を見据える力と言われてます。
今、パクッといかなければどうなるのかを見据えて、「あ、そっちのほうがいい」という選択をする習慣ですよね。もう私はパクパクいってましたのでよくわかります。先を見据える習慣でお願いします。
「配慮のない厳しい言葉を浴びせる人は頭が悪い」
さあ、では(次に)いきましょう。ここからめちゃくちゃ大事なことを言いますよ。もう、人生を揺るがす話をします。
6個目。ドン! うーん。これ怖いですよ。「配慮のない厳しい言葉を浴びせる人は頭が悪い」。これです。頭のいい人は絶対に配慮のない、厳しい言葉は言いませんという話なんですね。

これは心の知能指数の3つ目の力で、ソーシャル・アウェアネス、社会的認識というものになります。これは他者の感情に気づける力です。偏見も持ちません。ミスに対してもそんなに責め立てません。
どういうことでしょう? 例えば伊庭くんという後輩が不注意でミスをしました。誰もが注意すれば大丈夫なケアレスミスで、それで「ちょっとありえないでしょ」となった。
その時に上司がみんなの前で「おいおい、伊庭さんよ。ありえないよ。不注意にも程があるよ」と叱責をした。すると、伊庭さんは当然落ち込む。「わあ、こんなことしてかっこ悪いな。この会社は辛いな。上司、やだなぁ」と思うんでしょうね。
それを見ている周りの高橋さん、池田さん、山本さんは「そんな言い方をしなくてもいいのにね。なんて嫌な職場」と思うかもしれないですよね。つまり、自分がやっている行動が周囲にどう捉えられるかという影響が見えているか見えていないかなんですよ。
ですから、伊庭くんを叱りたい、わからせたいとしか考えていない人は厳しい言葉になるかもしれません。それが正しいかもしれませんが、周囲から見たら正しい選択じゃないって一目瞭然ですよ。なんで厳しく言っちゃうんでしょうね。簡単です。心の知能指数が低いからなんです。
だったらどうすればいいか。「ちょっと伊庭よ。何しとんだ君は」と思いたくなる時ってあるじゃないですか。その時は伊庭くんの話を聞いてあげてください。「何があったんだ」。これは出来事。「その時どう思ったんだ」。これは思いや考え。このあたりを1対1でちゃんと聞く時間を作ってください。これが頭のいい大人のやり方です。
頭がいい人は「コミュニケーション」を避けない
さあ、では最後に7個目いっちゃいましょう。もうこれでも人生相当変わりますよね。ドン! 私はこう考えてます。
頭がいい人は絶対にコミュニケーションを避けません。世の中の問題のすべてはコミュニケーションさえ取れば解決しやすくなると思っています。すべてが解決するかはわかりませんが、相当な確率で解決するんではないでしょうか。
例えば職場の上司やお客さま、家族や友だちとの関係。(関係性が悪くなった時に)コミュニケーションを避けていませんかって話なんですよね。だから頭のいい人は絶対にコミュニケーションを避けないんですよ。見ていきましょう。
関係管理という心の知能指数の4つ目の力になります。これは人生を変えますよね。いきましょう。
例えば、「あぁ、あの人はこう言っているから私がやるしかない」。これはバツです。あと「あの人にはとてもそんなことを言えない」。バツです。コミュニケーションを避けたらバツなんです。コミュニケーションを絶対に避けない。これが、ポイントになります。
複雑な利害が絡んでいても、調整は必ずできると考えます。もちろん相手の立場もあるでしょう。それも理解した上で立場ではなく、利害で処理をしようと考えます。立場もわかった上で「今、我々が目指したい方向ってこうですよね」というふうに利害を一致させるんですね。こういったコミュニケーションを取れるかどうかってけっこう重要ですよね。
冷静に「利害」に着目して対話する
社会ではこの利害を一致させるために、(課題の)抽象度を高める。細かなところで見たら一致はしないんですけれども、もう少し漠然と捉えると目指すところは一緒ですよね。
私は政治のことを語りませんが、右派と左派がありますよね。よく言われるのは、右派も左派も目指すのは国民のため(になる政治)ですよね。なので、どこかで必ず利害が一致するんです。
なのでぜひ、「今、我々が目指すところはどこなんでしょうね」と冷静に利害に着目して対話をしてみてください。それだけでも大事です。そのためには、相手が目指す方向をちゃんと聞く。これですよね。コミュニケーションを絶対に避けない。そして利害を調整することをプログラムとしてご自身の心に焼き付けておいてください。
では、まとめていきましょう。今日お話ししたことはこんなことでした。まず、IQとEQと言いました。頭がいい人というのは、心の知能指数=EIの高さが大事ですよ。このEIの高さを示すものがEQですよという話をしました。
そして、これには4つの力があると言いました。もうその力の名前、4つポッポッポッと言ってきます。
1つ目、自己認識。自分のことがわかっている。2つ目、自己管理。自分のことをコントロールできる。3つ目、社会的認識。周囲への影響がわかる。周囲の心がわかる。そして4つ目、関係管理。コミュニケーションを避けることなくきちんと利害を調整できるというようなお話でございました。
さあ、今日やらないでくださいねって話をしたと同時に、こうしてくださいねって話をしました。それさえちょっと意識しておくだけで違いが出てくるんじゃないでしょうか。「あの人すごいな」と思われやすくなる。私はそう考えています。