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AUTHOR'S TALK #11「SNS時代を生きる私たちの夢の叶え方」(全8記事)

大切なのは予測不能な「ゲリラ感」 個人の時間を奪い合う時代にゆうこすが選ばれるワケ

“まったく新しい読書体験”の創造の一環として、著者と語る読書会「BOOK LAB AUTHORS TALK」第11回が開催されました。”ゆうこす”こと菅本裕子さんとWebメディア「kakeru」編集長の三川夏代さんを迎え、夢をかなえるためのSNS活用法を語ります。世の中に大量の情報があふれ、ユーザーをひきつけるコンテンツを作ることが難しくなっている現代、インフルエンサーはどんな工夫をしているのか。そのカギは、脱・予定調和とユーザーとの関係づくりにありました。

企業とインフルエンサーは対等な立場であるべき

三川夏代氏(以下、三川):インフルエンサーってメディアなんですよね。テレビ局とかとまったく一緒で、本人に権限があるはずなのに、今はそれがなかなか言える人がいないっていうのがすごくもったいないなと思います。

最所あさみ氏(以下、最所):確かに、もう下請けじゃなくて、対等なパートナーとして、企画段階から一緒にやりましょうという感じの付き合い方のほうが。

三川:健全かなって。

最所:「三方良し」みたいな感じですかね。なるほど。1回お仕事を依頼したあとに、「この人、これからもずっとお願いしたいな」という人の特徴とかポイントはあったりするんですか?

菅本裕子氏(以下、菅本):それ、すごい脳裏に刻みますよね(笑)。

一同:(笑)。

最所:こっちのほうが言いやすい(笑)。

三川:やっぱりちゃんと意見をしてくださる方ですね。

最所:へぇ~。もうなんでもYESじゃなくて?

三川:YESでもぜんぜんいいんですけど、納得してないYESを言っちゃう方はこっちも不完全燃焼だし、おそらくインフルエンサー側も不完全燃焼だし、「次はどう依頼したらいいのかな」って思っちゃうんですよ。

じゃなくて、1回依頼したあとに、「もうちょっと、こういう依頼の仕方だとやりやすいです」って言ってくださると、インフルエンサーの方もちゃんと次のことを期待してるんだって思えるので、信頼関係というか、対等な立場でいられるなってすごく思います。

最所:なるほど。あと、私がすごく気になってるのが、ライブ配信のライブコマース。私、小売が専門なので、すごく画期的なかたちだなと思っていて。でも、あれですごい成功してる人って、本当にゆうこすさんぐらいしか……。

三川:そうですよね。

最所:他にいるのかっていうところと、あれ自体はけっこう成長していくんじゃないかなと思ってるんですけど、そこって代理店さんから見てどうかなと思ってるんですけど。

三川:私たちもすごく注目していて、今、例えばライブショップさんとかたくさんあると思うんですけど、そういうアプリがどんどん増えてくるかなというふうに思います。

ただそこで難しいのは、ライブでは見れるけれども、実際に手に取れないというところで、なかなか即決できない女の子もたくさんいると思うんですよね。そこをどう課題解決していくかっていうところかなって思いますね。

ライブ配信を始めたのは商品の良さを伝えるため

菅本:私はもともとライブでものを販売し始めたのが1年半前になるんですけど。

最所:超先進的ですね。

菅本:その時はライブコマースみたいな、今みたいなアプリはなくて、ツイキャスで語って、「よかったらBASE飛んでください」って。今もそのやり方でやってるんですけど。

最所:へぇ~。

菅本:というかたちでやっていて。それはネットショッピングで、ECで買う女の子たちが不安だからっていう意味で、ライブ配信を始めたんですね。

最所:なるほど、着てる姿とかが見えたほうが買いやすい?

菅本:そうなんです。だって、なんかマネキンがこうやって着てても、「細かいラメの部分が見たいんだ」とか「揺れる感じが見たいんだ」って、あるじゃないですか。

最所:あ~、なるほど。

菅本:なので、私は菅本裕子の番組というよりかは、それを伝える人みたいな。1年半前、韓国にバイヤーとして行ってて、それで最初は始めたんですよ。その服のよさを伝えるためにやってたんですけど。今はまた違う用途になってるからびっくりしました。

三川:違う用途?

菅本:なんか、最近は「ライブコマースをやる!」っていうのが、すごい……(笑)。

最所:なるほど。

菅本:なんか「ライブコマースやるから」って、もののよさを伝えるというより、まずはライブコマースするために……。

最所:目的と手段が。

菅本:ライブコマースするのが目的みたいな。だけど中国がもともと、ものづくりに対して、あんまり信頼度がないから(笑)。だから、信頼がおけるインフルエンサーとかが動画で細かく説明してるから買いたくなった、ってやつですよね?

最所:そうなんですねー!

三川:そうです、そうです。

菅本:なので、ものの良さを伝えるためにライブコマースをやってたのに、なんか日本は「ライブコマースをやりたい」っていうのが先行してる気がして。

ここにライブコマースの人がいたら、本当に土下座したいんですけど(笑)。

一同:(笑)。

最所:商材によってライブコマースが適してるかどうかも違うし、伝え方も、ただライブコマースをしたら売れるとかじゃないっていうことですよね。

菅本:もちろんですよね。

三川:今やってるのは基本はアパレルですよね?

菅本:そうです、アパレルとかコスメとかをやってるんですけど。なんかものをぺって伝えて、あとはもう違うことをするとかは、「それは売り上げ伸びないよね」と思っちゃいますね。

一同:(笑)。

ユーザーを巻き込みながらコミュニケーションしていく

最所:ライブコマースは始めたときから売れてたんですか?

菅本:やっぱり、今のほうが数的には売れてますね。

最所:へぇ~。今見に来る子たちって、そもそも買い物をしたくて見ているんですか?

菅本:そうですね、私があらかじめInstagramとかTwitterとかで商品の告知をしていて、だけど一歩踏み出せないとか、どうなんだろうとか、実際使ってるところ・着てるところを見たいっていう方が来て、私が背中を押してあげるっていう、そういう感じです。

最所:じゃあ、最後のダメ押しみたいな感じなんですね?

菅本:そうです。最後のダメ押しです(笑)。

三川:でもリアルタイムで「今何品入りました」とか、「あと何品しかないです」とかって、リアルタイムで言われるとすごい買いたくなりますよね。

菅本:ジャパネットたかたの。

最所:ははは(笑)。

菅本:それの、みんなのコメントが見れて、コミュニケーションが取れて、「買ってくれてありがとう」って言えるバージョンっていう感じですね。

最所:ゆうこすさんだからできたのか、それとも再現性があるというか、他にもこれからライブコマースで売れる人が出てくるのかどうなのかなっていうのは思っていて。これからどういうふうに盛り上がっていくんだろうなっていうのとか。

三川:インフルエンサーの中でも、顔出ししてない方たくさんいらっしゃると思うんです。とくにインスタグラマーの方々って。

最所:確かに、そうです。

三川:ただ、今インスタライブとかも、フェイスエフェクトをつけられるし、どんどんECも、アパレル・コスメだけじゃなくて、自分の作品とか、すごく広がっていく気がしますね。

最所:あと、その場で売るだけじゃなくて、ゆうこすさんの場合、化粧品の開発とかもすごいLINE LIVEでやってるじゃないですか。こないだも拝見してて、パッケージのデザインとか、めちゃくちゃやりとりしながら、「どう思う?」みたいなやりとりとか、すごいなと思っていて。

あれもけっこう、途中でユーザーを巻き込んでいくから。あれ、コメントを拾ってもらったりした人とか絶対買うじゃないですか。そういう形式とかも今後増えていくのかなっていうのを思っていて。できあがったものをその場で売るだけじゃなくて、一緒に作っていこうみたいな。

あれをやる上で気をつけてることとかってありますか? コメントの拾い方とか。どのくらい意見を聞くか、みたいなところってあると思うんですよね、ものづくりって。

ものを売るよりも、ユーザーと同じ空間を共有したい

菅本:ものを売るっていう時に、日本はもうけっこう、全部信頼おけるし、どんな食べ物でも、だいたいなんかの医薬品でも変なのはないじゃないですか。

なので、その商品のよさとか、もちろんそれも語るんですけど、急にバーンと売っても、「他にもいいの売ってるし」ってなっちゃうので。ってなったら、ゆうこすファンしか買ってくれないじゃないですか。なので私はストーリーから売ってます。そのストーリーも、巻き込むというか。

なので、どちらかというと、「ものを売ります」よりも、そっちのほうを大事にしてますね。なので、大事にしてることは、一緒に作ってる感覚になれるような、そういう空間を作ってます。

例えば、今youangeっていうブランド作ってるんですけど、来年に向けて「youange会議」とかして、みんなが会議にいるような感覚で。いつもはカメラを私の前に置くけど、カメラワークをちょっと打ち合わせみたいに、スタッフさんの手がちょっと入るような……。

最所:すごーい!

菅本:「その向こうにあなたがいるよ」みたいなカメラワークにしたりとか(笑)。

三川:すごーい。

最所:こだわってる!

菅本:ちょっとおもしろいかなぁと思って。

最所:うんうんうん。

菅本:私もいる、みたいな。

三川:すごいなぁ。

最所:へぇ~、なるほどな~。すごい。すごいおもしろいですね。そういう「共創マーケティング」みたいなのって、けっこう5年くらい前からもう言われてたことだと思うんですけど……。

菅本:何ですか? 「きょうそうマーケティング」って。

三川:ゆうこすさんがやってらっしゃるように、一緒に作っていく。

菅本:あー! そういう共創。

最所:ユーザーと共に創る、ユーザーと一緒に作っていくみたいな。

でもそれが出始めの頃って、アイデアをもらっても、それをどう精査していくかみたいなところでみんな詰まって、なかなか「ユーザーと作りました」みたいなやつが、なんか結果「ダサいよね」みたいなのになって、ちょっと下火になったタイミングがあったと思うんですけど。

ライブ配信みたいなのが当たり前にできるようになったことで、すごい自然にできるようになったんだなぁというのは思いますね。

三川:そうですよね。昔はおそらくリアルイベントとかを開かないと、消費者と企業の接点が持てなかったんですけど、今はライブ配信っていうすばらしい場所があるから。

最所:ハードルがぜんぜん違いますよね。

三川:違いますよね。

菅本:楽しいですね。

最所:ははは(笑)。

菅本:楽しいです。ただやっぱり一番気をつけてるのは、飽きられないように、ずっとしゃべってます。

「この先どうなるの!?」が人をひきつける

最所:ライブ配信でずっとしゃべってますよね。それがすごくて。

菅本:「今、切りたくない」と思わせないといけないので。スマホは私とかが高校生の頃に来たんですけど、もう人間の時間軸が超変わってると思うんですよね。「スマホのおかげ」か「スマホのせい」なのか、わかんないですけど(笑)。私はもう、映画見るのも苦痛になったし。

最近も、「CASH」でしたっけ? メルカリみたいに、ものもピャッて売れるし、ピッてなんか見れるし、ピピピッてできるのに、ハッシュタグで全部できるのに、そこで1時間の生配信見るのって、けっこう重いんですよ。

そこで「ずっと見ちゃう」ってするために、例えば「ゆうこすと一杯!」とかやってるんですけど、なんかゲリラ感というか、「この先どうなりますの!?」みたいなことを定期的にしていく配信は大事かなと思います(笑)。

最所:なるほど。先が気になっちゃうとか、あとあれですよね、一呼吸あんまり置きすぎちゃいけないっていうことですよね。「ここでCM!」みたいになっちゃうというか。「いいや、ホームボタン押しちゃえ」みたいな。

菅本:私は「まったり」な空気とか、予定調和な感じとかはあんまりないようにしています。

最所:へぇ~。

菅本:電話かけてみたりとか。

最所:えっ、電話かけてみたり?

菅本:最近忙しくてあんまりやれてないんですけど、先月ぐらいもやってましたね、なんか。ファンの方、何人かの人に。

最所:すごい(笑)。

菅本:ファンと電話をする用の携帯があって、そこで電話をするみたいなのをちょっとやって。私の場合なんですけど、予定調和じゃないことっていうのを意識してます。でもそれのおかげで、LINEさんいわく、私の(配信)を見ている人の、1人ひとりの滞在時間が長いみたいで。

最所・三川:へぇ~。

菅本:滞在時間を長くするのを意識してます。

三川:1時間の時間を奪うって、けっこう……。

最所:いやぁ~、すごいことですよね。

菅本:私だったら絶対無理だなと思って。絶対見ないから。

(会場笑)

菅本:私もそう思うから、がんばってます(笑)。

最所:なるほどなぁ~。ライブ配信のお話とか、自分でやらないからおもしろいですね。

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