2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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斎藤祐馬氏(以下、斎藤):私もいろんなベンチャーさんとか大企業さんを見て、新しいことをやる方法は端的に3つあると。
1個が、まずベンチャー企業の方って始めたときなにもないんですね。お金もないし、人もいない。だけど、プレゼンテーション資料だけは作れるんですよね。
これで思いっきりビジョンを語って、今はなにもないけど大きくのっていく。まず「こんな話があるよ」という話をスタートするんですね。
2つ目が、そのビジョンでお金とか人とかいろんなものを集める。リソースを集めるのが2つ目。
3つ目が、ほかのものでもいいんですけど、それがなくなるまでの間に、言ってた大きな話と実体の乖離を埋める。
この3ステップが、大企業でもベンチャーでも、新しいことをやっていく方法だなと思います。
これはJカーブと言うんですけどね。なにかを始めるときにいきなりこうはいけないので、潜っていくタイミングが必要です。大きく潜れば潜れほど、大きなものにいける可能性がある。
ここを生き残るためには、それこそコミュ力というか、大きなビジョン、より大きな共感を得ないと潜り続けられないんです。
そういう意味では、すべてがビジョンとパッションなんですね。これはFacebookでもなんでも、どんなベンチャーの社長でも、ビジョンとパッション。
ビジョンというのは登るべき山を大きく示せる人で、パッションはエンジンなんですね。この2つがあると間違っていてもいつかは上がれる。
福岡元啓氏(以下、福岡):僕なんかは、毎週何人も見ていくと、気をつけないとすぐ斜に構えちゃうんですよ。
というのは、やっぱり番組の企画書となってくると、最初は風呂敷が広いんです。「こんなにいっぱい取材できますよ」「こんなに大丈夫ですよ」となったときに、風呂敷なのかそうじゃないのかというのをすごく精査しますね。「この人の言ってること大丈夫かな?」と。
とくにテレビ業界って山師みたいな人が多いんですよ(笑)。もう「いけますよー」みたいに。昔の業界人ってそんな感じじゃないですか。そういうのって本当に信じられないので。
「実際はどうなのかな?」というのを精査するために、そういうところはすごくコミュニケーションを取りますね。
自分が信頼できるディレクターだったりすると、もう「この人は嘘つかないな」とわかっているので、「この人の風呂敷はここまでの風呂敷だから絶対大丈夫だ」とか。
「この人はこのぐらいのこと言ってるけど、たぶんこれぐらいなんだろうな」というのがだんだんわかってくるんですね(笑)。それってやっぱり時間がいるので、わからないですけどね。
どうやったらその風呂敷が見破れるのかというのは、やっぱり最後はちょっと動物的な勘だったりするんですよ。結局「これに賭けてみようかな?」ということもありますし。そうするとやっぱり、「野生力」を磨かなきゃいけないのかなと思って。
最終的にはいろんな理論じゃなくて、サッカーの日本代表もそうだったみたいですけど、「野生」がないと勝てないという。巨人の原(辰徳)元監督も、「鬼にならないと勝負にならない」と言っているというような(笑)。スポーツの世界でもそうなんですけど。やっぱり最後は動物的勘を磨かないと、なかなか難しいところはあるかもしれない。
斎藤:本質をちゃんと作ってる人って何が違うんですか?
福岡:簡単に言うと、僕みたいなのは本質ないですよ。なんでかというと、プロデューサーで、いろいろやってはいますけど、現場に出て、今はカメラを回してない。昔は僕も僭越ながら番組を作ってたんですけれども(笑)。
経営者とか、そういう方というのは、ハリボテの方が多いといえば多いです。やっぱり人間は、汗をかいてる人に共感を得るんですよ。
毎日毎日畑耕してたりとか(笑)。スポーツ選手だったら毎日毎日筋トレしてたりとか、やっぱりそういうところに本質を感じちゃうんですよね。
ただ、それは映像的なものかもしれなくて。じゃあ本当は、経営者ってどういうものかなって、それは僕のほうこそ知りたいんですけど。
経営者の本質ってどういうふうになってるのかというところで。やっぱり旗の振り方とかリーダーシップなんですけれども。それって番組的にいうと、すごく映像化しずらいんですよ(笑)。
だから、映像化ということを考えちゃうと、やっぱりそういう全体を包んでいる人というのは、よく言うんですけど、「画になりにくい」という。そうすると、その人の本質をどうわからせるのか難しいとなるんですね。
ただ、『情熱大陸』は基本的には企業の社長とか経営者はやらないですよ。ただ、今はアーティストとかいろんな人でも、自分の会社を持ってたりするじゃないですか。そういう人は別に構わないんですけれども。
そうなったときに、「どういうふうに本質を見せようかな?」と思ったときに、映像化をどうしても考えちゃうので、その人の脳の中をどうやって見せようかなと考えちゃう。
なので前、ガンホーのゲームクリエイターの森下(一喜)さんを『情熱大陸』で密着したときには、彼が全体をどうこうしてるところも見たかったんですけど。
「じゃあ、ゲームを作ってください。ゲームを作る過程で、森下さんのいろんな指示とかこだわりを見ていくと、ゲームクリエイターのトップの内容がよくわかるようになるので」と言って、演出を考えて撮ったんですけど。
そうやってやらないと、実際に裸になったときに、その人が現場に立ったときに、「この人がどういうふうにできるのかな?」というのが本質なのかもしれないです。
「ゲームクリエイターという領域は、のほほんとしてるだけじゃないよ」「ちゃんと現場でゲームが作れるよというところ見せてよ」と言ったときに、「見せますよ!」とできるかどうかでしょうね。
斎藤:私のほうでベンチャーの社長って、マインド面3つとビジネス面3つ、いい社長かどうかを見極めるポイントがあるなと思っています。
1つ目のマインドで言うと、往々にして、自分の人生でなにか強い体験をしてる。挫折でもいいし、すごく幸せだったことでもなんでもいいですけど、すごく強い体験がある。
ここから「世の中こうしよう」、さっきで言うビジョン、1つのストーリーなんですよ。共感できるストーリーをちゃんと持っていること。
2つ目が腹括り感。というのは、往々にしてお金儲けで考えてる企業家の人って2、3年で片つけようとするんですよ。
例えばアメリカの会社が儲かってる。日本に戻ってきて2、3年やります。「5年、10年やる気合があるのかな?」って感じで聞くと、「だいたい2、3年かな?」という。だいたいお金儲けベースにするとそういう感じです。5年、10年は本気で人生変えないとできないですよね。これが腹括りのリトマス紙なんですよ。
この口で言うストーリーと背中に見せる腹括り感、この2つをフックに周りをうまく気持ちよく巻き込む力。これが3つ目です。
この3つがある人は、ベンチャーでも大企業でも、どこの世界でもなにか作っていくし。人を巻き込んで大きく変えていく人かなというのが今までの経験で思ってることですね。
福岡:まあルーツみたいなところですよね。『情熱大陸』の番組でもほぼ必ず入るんですけど。クロニクルパートというか、「この人はこんな人だったんですよ」というパートが番組の半ばぐらいに入る構成が多いんです。これは決して決めてるわけじゃないんですけれどもね(笑)。
どうしてもそのほうが見やすいなと思ったときに、この人がこういう生まれで、こういうことをやって、こういう転機があって、今はどうですというのが納得してもらいやすいので。
やっぱりおっしゃるように、そういう意味では多い共通点というのは、挫折的なものが非常に多いですね、過去を紐解くと。
それから、もしかしてこんなにトントン拍子で成功してるのは「すごく裕福だったからなんじゃないの?」と想像してしまう方もいます。でもそうではなくて、普通の方だけど腹括って借金してやってますという方もいる。
ついこの間、新潟の『自遊人』の編集長の岩佐(十良)さんがやってる宿に行ってきたんですね。宿を始められる以前に『情熱大陸』に出ていただいたことがあって。(2009年11月29日放送)。
それで話をおうかがいしたときに、「岩佐さんはすごいボンボンで金持ちだから、こんな『自遊人』というような雑誌を出せて。それで今や新潟に宿まで作って好き勝手やってるんじゃないの?」と周囲から言われたことがあるとおっしゃっていて……。
でも本当は違っていて、宿を建てる為に無茶苦茶借金をして17年くらい払い続けなくてはいけなくてそれはそれは大変だそうです。
しかも、実は銀行からお金がなかなか借りれなくて、ようやく借りられて工事を始めたら、工事中に銀行から「今日中に何千万円払ってくれないと無理ですよ」と言われたと。現場の業者がとってんかってんやってるところで(笑)。
普通に聞いてたら、大工さんとかも「こいつもしかしてお金払えなくなるんじゃねえの? やべえんじゃねえの? もうやーめた」と言われかねないような状況だったらしいんですが。
岩佐さんは現地、新潟でだいぶ信頼関係が築けていたので業者さんを巻き込む事ができたと。信頼を貰っていたので、大工さんたちも黙って仕事をしてくれた。 最後、お金が借りられる段取りがついたので、その人たちに払えたと。
本当にトントン拍子でやっているようでいて、「首吊りそうになりましたよ」と岩佐さんも言ってましたからね、そういう人がやっぱり多いのかなと思いました。
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