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【手放すTALK LIVE#41】「識学 vs 手放す経営 〜管理型マネジメントと、管理しないマネジメント 対照的なマネジメント論を学ぼう〜」 ゲスト: 識学 代表取締役社長 安藤広大さん(全5記事)

優秀な人材は「決めごと」があったほうが成長する 識学社長が解説する、効果的なチームビルディング術

管理しない組織や上司がいない会社、給料を自分たちで決める会社など、ユニークな進化型組織を調査する「手放す経営ラボラトリー」。同ラボが主催するイベント「手放すTALK LIVE」に、最新刊『とにかく仕組み化』を含む著書3部作が117万部を超えた株式会社識学の安藤広大社長がゲスト出演。社会システムデザイナーで「手放す経営」を実践する武井浩三氏を相手に、スポーツチームと識学の相性や、両者の組織論を語り合いました。

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福岡ソフトバンクホークスの小久保監督も識学受講者

武井浩三氏(以下、武井):識学のグループにバスケットのスポーツチーム(B.LEAGUE 福島ファイヤーボンズ)があるじゃないですか。スポーツチームに識学を入れるケースもあるんですか?

安藤広大氏(以下、安藤):あります。

武井:どうですか?

安藤:バスケはあまりうまくいっていないので、なんとも言えないところがあるんですけど。実は福岡ソフトバンクホークスの小久保(裕紀)監督が識学受講者で、識学が大好きなんですよ。2軍の2年間は識学をたっぷり試したと。

「今年は1軍の運営も識学でガッツリ行く」とおっしゃっていたので、来年もし(ソフトバンクが)優勝したら(小久保監督に)「何かいろいろしゃべってください」と言ってあるんで、ぜひ見ていただけたらと思いますね。

武井:へえ。

安藤:スポーツチームは組織統制できないと絶対に勝てないので。

坂東孝浩氏(以下、坂東):識学の考え方自体スポーツに例えるイメージがあるので、スポーツとは相性がいい気がします。

安藤:めちゃめちゃいいと思います。

坂東:そうですよね。勝利や優勝とか目標がすごく明確じゃないですか。

安藤:そうですね。

優秀な人材が「自由」よりも「決めごとの中」で輝く理由

安藤:ラグビー日本代表の例がわかりやすくて。2015年にエディー・ジョーンズ監督のもと南アフリカに勝つまでは、日本代表は各チームの優秀な選手が集まってわりと自由を与えられていたんですよね。

自由にやりたいラグビーを残す感じだったんですけど、エディ・ジョーンズの4年間は、エディがやりたいラグビーをした。エディが求める数値まで成長するようにと徹底的に型にはめることで勝てたわけなんです。

坂東:そうですね。

安藤:ラグビー界では世界各国がそうなっていますね。

坂東:試合中のフィールドでは、けっこう主体性を発揮しているように見えますけど、前提としては型にはめていたり、練習の時はすごく合理的にやっていたりするという感じなんですか?

安藤:実はめちゃくちゃ決めごとがあるんです。

坂東:そうなんですね。

安藤:僕らが(早稲田大学)4年生の時に監督が清宮(克幸)監督に替わったんですけど。それまではどっちかと言うと「それぞれの発想を合わせていこう」という考え方だったんです。でも清宮監督が来られてから変わった。

ラグビーは1回タックルされてグチャッとなるじゃないですか。それを1次攻撃と言うんですが、次に2次攻撃、3次攻撃……、5次攻撃ぐらいまで誰がどこに入って、どこに出すかが決まっていましたからね。

坂東:グチャも含めてですか?

安藤:グチャに誰が入って、次に誰がどこに立つかまで決まっていました。

坂東:マジすか! へえ!

安藤:そこまでやると、選手は1人でも迷わなくなる。どこへのパスをチョイスするかはもちろん相手を見て判断するんですが、決まっているんですよ。

坂東:おもしろい。

武井:おもしろい。いいっすね(笑)。

安藤:決めごとが増えた時は違和感もあったんですが、でも決めごとができてチームが急激に強くなった経験が僕にはあって。僕も理想論で言ったら、あまり決めごとがないほうがいいと思っています。

でも決めたことを遂行するために頭を使ったほうが、選手は迷わなくて済む。頭を使う領域を限定してあげたほうが一人ひとり成長できることを、あの1年間で学んだ。それがけっこう大きかったと思うんですよね。

「識学」の考え方を作った人

武井:ちなみに識学のおおもとは、もともと別のビジネスパートナーさんが考えたんですか?

安藤:そうです。別に作った人がいまして。それこそ武井さんのような本当に変わった人で(笑)、見た目も髭を生やしていて……。

坂東:(笑)。

安藤:探求者ですよ。十数年くらい個人事業主として、仙人みたいに1人でずっと研究していていたような人です。

武井:へえ。

安藤:たまたまその人を紹介されて会わせてもらって、めちゃくちゃ怪しいですよね。

武井:(笑)。

安藤:めちゃくちゃ怪しいけど、なんかピンときたんです。

坂東:ピンときたんですね。

安藤:はい。当時僕も前の会社を辞めることが決まっていて。その時に個人的にちょっとお金を払って教えてもらったのがきっかけです。「これは今までの常識とはまったく違うな。でも正しいな」と思ったんですよね。

武井:なるほど。

坂東:今チャットでも質問が来ていますが、事前にもらった質問の中で「社長の幸せとは? お互いの社長の幸せとは何かが聞きたい」というのが来ています。

安藤:社長としての幸せは識学を広めるために会社をやっているので、識学が広まっているという実感が一番ですかね。個人としての喜びは、また別にたくさんあると思うんですけど、社長としてはそこが一番です。

あとはけっこうお客さまと会う機会があるので、僕が担当した方たちから感謝してもらえた時はすごくうれしいですね。

坂東:なるほどね。武井さんはどうですか?

武井:社長の幸せ?

坂東:うんうん。社長の幸せ。

武井:社長という人格を僕は持っていないんでね。

安藤:(笑)。そんな感じ(笑)。

坂東:ほかの会社でも社長をやっているでしょう(笑)。

武井:ダイアモンドメディアの時も社長という役職がなかったんで、まず社長と呼ばれると気持ちが悪い感覚があるんですよね。

安藤:うーん、なるほどね。

武井:「いや俺、武井だし」みたいな。

安藤:(笑)。

「社長の作りたい会社が正しい会社」

武井:安藤さんが識学をラグビーで例えたのと同じように、俺は組織はアートだと思っていて。どっちかというとアスリートじゃなくてアーティスト。だから「最短で」というのを「すげぇな」と思う一方で、俺はもともとミュージシャンだし、自分で曲を作るのが好きだったんで、その感覚では「迷いたい」んですよね。

(一同笑)

安藤:なるほどね。迷いたいし迷わせたいわけですね。

武井:探究したいんですよね。

安藤:おお。

武井:そもそも最短で物ごとにたどり着くことを求めていない。

坂東:なるほど。

安藤:おもしろい。

武井:もっともっと深く知りたいんですよね。自分の言葉ですべてを語れるようになりたい。本当は迷いたくて迷っているわけじゃなくて、結果迷っちゃう感じですけど、でもそれが喜びなんです(笑)。

安藤:なるほど。

坂東:迷うことがぜんぜんダメじゃないどころか、喜びなんですね。

武井:俺は真理の探究がすごく好きで。

安藤:なるほどね。

武井:哲学のような感覚もあるし。

安藤:僕らは迷うことはあまり良しとしていなくて、ただ間違うことは良しとしているんです。

武井:うんうん。

安藤:だから僕らは実行と修正なんです。だから「迷いたい」と言われたら、それは「どうぞどうぞ」という感じです。

(一同笑)

坂東:もしこういう社長がいたら、もう「どうぞ」ですね。

安藤:先ほどのピラミッドの話だと、社長は最終責任者です。つまり「どういう会社にしたいか」は社長が決めること。僕らは常に「実行しなければ正解に近づかない」と言っているので、社長が「探究し続けたい」「その時間をもっと楽しみたい」「その時間に価値を置きたい」と言うのであれば、それはもう「社長、そのとおりやってください」と言うしかないですね。

坂東:(笑)。

安藤:社長の作りたい会社が正しい会社だと思うので。

坂東:本当ですよね。最短で行くことを良しとしたいという考え方と、最短で行くことが必ずしも喜びじゃないという考え方は、はっきり違いますよね。

安藤:そうですね。

武井:旅のようなもので、目的地に着くことよりも旅路が。そもそもどこに向かっているんだっけという。

(一同笑)

安藤:「目的地を忘れちゃった。でもなんか楽しいな」と。

武井:「今のここが目的地なんじゃないか」という世界観になっていく。

(一同笑)

武井:今ここ(笑)。

坂東:今ここを味わおうという(笑)。

安藤:完全に価値観問題になってきていますね。

武井:そうそう。

武井氏と安藤氏による“場外乱闘”

武井:ティール組織は「エボリューショナリーパーパス(組織の存在目的)」がしょっちゅう変わるじゃないですか。実際フレデリック・ラルーが調べた25社のうち、半分くらいは言葉がコロコロ変わっていて、残りの半分がそもそも理念が言語化されていなかったんですよね。

俺もダイアモンドメディア時代、12年間理念を明文化しない、わけのわからないポリシーでやっていた。今、俺らは何を大切にするのか。理念を明文化しなくても中心メンバーたちの価値観は成長していくし、できることが広がっていく。これがまさに1つの成長だと思うんです。

俺らがeumo(ユーモ)で言っているのは縦軸の成長軸。「人間的成長」と言われたりしますが、俺らは「認識の拡大」と呼んでいて。これが(アブラハム・)マズローの言う成人発達段階だと思うんです。どっちかというとそっちに興味があるんですよね。

もちろん能力的な成長はあったほうがいいし、それがないと人間的成長も起こらない。両方の要因が相まっているので何とも言えないですけど。でも最近どんどんAIでできることが増えてきているから、人類はもっと右脳的なほうにシフトをしていっていいんじゃないかなと。

安藤:なるほど。

武井:あと僕は貨幣論を研究しているんですね。今、デジタル地域通貨(腐るお金)として、循環するお金をデジタルで作っているんですけど、貨幣経済に最適化し過ぎていいのかと。資本主義自体がサステナブルじゃないことはトマ・ピケティによって証明されていますし。

無限成長を求める資本主義とは、貨幣経済の上に乗っかっているわけです。そもそも、これこそ識学かもしれないですけど「お金とは何か」という認識なんですよね。この認識がズレているんじゃないかと、今俺は人類に言っているんです(笑)。

(一同笑)

安藤:テーマがちょっと戦えない領域に入ってきましたよ(笑)。

(一同笑)

武井:確かに(笑)。場外乱闘みたいな。

安藤:いきなり場外乱闘に持ち込まれた(笑)。

武井:得意な泥沼のほうで。

安藤:そうそうそう。

坂東:無理やり(笑)。

安藤:いきなり引きずり込まれた(笑)。

武井:そんなことを言うと生きていけなくなっちゃうんですけど、でも10年前は資本主義に疑問を持つことなんかなかったし。

安藤:まあね。

武井:やはり時代も変わっていく。今はその狭間の中でいろいろなものが併走している状態だと思う。

安藤:そうですよね。人間が作った仕組みですからね。

武井:そうそう。1つのルールですよね。

安藤:ひょっとしたら資本主義は自然な状態ではないかもしれないですね。僕らが識学で言っていることは「集団で動いていこう」と。組織統制なので軍隊もすべて一緒の仕組みなわけで、より自然に近いと思うんですけど。貨幣の話をしたらアカンわ。

(一同笑)

武井:思うつぼ(笑)。

安藤:よく考えたら、そこを探しても意味がない。

(一同笑)

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