2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
【手放すTALK LIVE#41】「識学 vs 手放す経営 〜管理型マネジメントと、管理しないマネジメント 対照的なマネジメント論を学ぼう〜」 ゲスト: 識学 代表取締役社長 安藤広大さん(全5記事)
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坂東孝浩氏(以下、坂東):みなさん、こんばんは。『手放すTALK LIVE』に、ようこそお越しいただきました。今日は識学の社長である安藤さんをお迎えして、武井浩三さんと一緒にお送りしていきます。
サムネイルがけっこう過激だったんですけども(笑)。あれはネタということで、よく安藤さんがOKしてくれたなと、懐の広さに感動しています。
安藤広大氏(以下、安藤):いやいや(笑)。
坂東:まずは私、進行の坂東がトークライブの概要を説明して、本編に入っていきたいと思います。『手放すTALK LIVE』は、常識や固定観念を手放すことをテーマに、ゲストを招いてお送りするトークイベントで、オンラインやリアルで開催しています。
手放す経営ラボラトリーは、新しい組織とか経営スタイルを研究するラボラトリーです。ティール組織やホラクラシー、自律分散型の経営といったものをひっくるめて「進化型組織」と言っていますが、これを研究していて、リサーチ数はおそらく日本一じゃないかなと思います。
僕らは「コミュニティカンパニー」という言い方をしていますが、コミュニティと会社が融合したような組織作りを模索しています。今コミュニティは2,600人ぐらいで、そのうち会費制のラボ研究員と会員が260人ぐらいいます。
活動としては、今日のようなトークイベント・トークライブもありますし。『DXO(ディクソー)』という経営をアップデートするプログラムを作りまして、これを無料で公開しています。これまで11,000部ぐらい配っていて、いつからでも手に取ったらこれをスタートできるというかたちですね。
それから武井浩三さんがナビゲーターをする「手放す自分じぶんラボラトリー」という経営塾を行っていたり、マネジメントスクールをやっていたり。それから経営者向けの内面をひもとくYouTubeコンテンツをやったりしながら、「世界がごきげんにめざめる」という目的で活動してます。
今日のお二人のスピーカーをご紹介します。1人目が安藤広大さん、識学の代表取締役社長です。
安藤:よろしくお願いします。
坂東:よろしくお願いします。ちなみに安藤さんは今オフィスに1人でいらっしゃる?
安藤:そうですね。ホワイト企業なのでもうみんな帰りました(笑)。
坂東:(笑)。遅くに来ていただいてありがとうございます。(安藤さんは)識学というマネジメント論を展開されていて、3年11ヶ月というすごいスピード感で上場されています。ここに画像がありますが、著書3部作が合計で100万部を突破されていて、すごいですね。
安藤:今は117万部ですかね。
坂東:うわ、すごいですね……僕も読ませてもらいました。
安藤:ありがとうございます。
坂東:本当におもしろいです。このあたりの話も今日、お聞きできるかなと思います。
坂東:そして武井浩三さんですね。社会システムデザイナーということで、何者かがわからない感じですけれども。ダイヤモンドメディアを創業されたのは何歳の時ですか?
武井浩三氏(以下、武井):ダイヤモンドメディアの創業は23歳ですね。その前に22歳で1回起業して、倒産をしてます。
坂東:倒産しているんですね(笑)。で、ダイヤモンドメディアという会社を創業されて、12年間、新しい組織の作り方・新しい経営スタイルを模索された。いわゆる自律分散型組織の走りのようなかたちでやられてきた方で、本も何冊か書かれているんですけども。『管理なしで組織を育てる』というところが、識学と真逆の方向性なんですけども(笑)。
武井:あと部数もぜんぜん違いますね(笑)。
(一同笑)
坂東:波に乗れていない感じですか(笑)。
武井:全部で2万部ぐらいかな……(笑)。
(一同笑)
坂東:というところですが、2019年から手放す経営ラボラトリーに関わってくれていまして、今は取締役として僕と一緒に経営をやってくれています。
今日はこれから、お二人にそれぞれのマネジメント論について話していただくんですが、今日は(視聴者の)みなさんにぜひ投票をしてもらいたいと思っていまして。
武井:おもしろい(笑)。
坂東:これも安藤さんにOKいただいて、大変ありがたく思っているんですけれども。「『識学』と『手放す経営』どちらがよさそう?」という、また定義が難しい質問ですけれども。これについてQRコードから投票してみてください。今すぐできますし、聞いてる間に投票した答えを変えることもできます。
最初は「手放す経営いいな」と思って押して、話聞いて「なんだ、識学のほうがいいじゃん」みたいな感じで、変えてもらってもいいと思うんですけども(笑)。こういったことをやりつつ進めていきたいと思います。
まず武井さんのほうから手放す経営やDXOについてお話をいただきたいと思いますが。
武井:ではいきましょうか。すでにリアルタイムで300人以上が見てらっしゃいますね。
坂東:あ、もうさっそく投票してくれている人がいるみたいです(笑)。
武井:本当? 早いな(笑)。SNSをやりながらオンラインでできるっていう、この現代っ子っぷり。
安藤:すごいですね、317名。
武井:以前、安藤さんは嘉村賢州さんと「ティール組織と識学の違い」というセミナーをされていますが、そもそもティールや進化型組織という名前を聞いたことがない方もいるかもしれないので、そこからちょっとお話しします。
武井:『ティール組織』という、「指示命令があんまりない組織というのがどうやら最近生まれてきたぞ」って本が、2018年に訳本として日本で出たんですね。それを書いたのがフレデリック・ラルーさんという方で、日本の書籍のあとがき・解説を書かれたのが嘉村賢州さん。そこの嘉村賢州さんのところで、日本の事例として僕のことを取り上げていただいたりしました。
僕が書いた本は(スライド上部の)このへんですけど。
他にも自律分散的な組織について書かれた本がけっこう増えたりしましたね。最近はWeb3の文脈とかで、DAOに発展していったりしていますけど。
まあ組織って、(スライドのように)こんなきれいに分かれるものじゃないですけども。レッド、アンバー、オレンジ、グリーン、ティールというように分けて語られてるのが『Teal』という本ですね。
レッドは腕力的な、力による支配。オレンジは合理的、グリーンは家族的。ティールは生命体的とか、生体系的と呼ばれたりします。1つのやり方としてホラクラシー経営という名前を聞くことがあるかもしれないですが、「役職ではなく、役割で動かすよ」と。そこには「上下関係が基本的にはないよ」という考え方ですね。
武井:ちなみに僕が2007年からどんな経営をしていたかと言うと、(スライドの)こんな感じで。
上司・部下なし、役職・権限はない。でも役割はあるって感じですね。働き方は自分で決める。給与は全部オープンで、チームごとに話し合って決めるとか、社長・役員は毎年選挙。理念もない。経営計画も流動的というか、ないっていうか(笑)。上司がいないから稟議がない。その代わり一人ひとりが意思決定できるように、すべての情報がオープン。もう隅から隅まで透明。
それが嫌だっていう人もいましたし、でも俺はそういう経営をしたいと思ったので「こういうふうにするよ」とやってきました。やってきたと言っても、いろいろ話し合いながらですけどね。
あとは働き方も当時からおもしろかったかな。働く時間・場所・休み、自由。リモートワークも自由。会社としてのルールは1つ、「命令しちゃいけない」。でも命令がないと、人が何で動くかと言うと、共感です。ものは言いようみたいなところはありますけど(笑)。結局会社なので、みんなで一緒に働いているわけですけど。強制力で動かすものではない、というようなことをやっていました。
あと副業とかも自由だったり、会社の枠組みがすごくあやふやでしたね。今はそれをもっとあやふやにして、やっている会社を全部コミュニティ化しちゃっていますね。手放す経営ラボも、eumoもAFRIKA ROSEも。あとイノセントワールドとか、Atlyaとか。コミュニティ同士が混ざり合うみたいな世界観でやっています。
「自然(じねん)経営」と僕は呼んでいましたけど、自然経営研究会というのも一時期やっていましたが、去年閉じました。すごく思想的な話ですけど、自然の摂理に則って会社を営む。なので僕は組織論だけじゃなく、個人の心理的なもの、行動経済学や心理学をいろいろ勉強してみたり、経済がそもそもどういうことなのか。
特に今はお金を研究していて。どうあるべきなのか。組織がいろんなものをぶっ壊してはいけないよね。持続可能ってどういうことなのか。個人が利己的になりすぎて、いろんなものをぶっ壊してもいけなくて。調和の中で自由に楽しくやる、そんな考え方でやっています。これはDXOとかっていうよりは僕の思想的な、すごく抽象度の高いところですけど(笑)。
坂東:確かに(笑)。
武井:でもまあ仏教の考え方というか、経営という言葉自体がそもそも仏教用語なので。経営の「経」は経度・緯度の、タテの糸という意味ですよね。それに則って営む、つまり自然の摂理に則って営むことがそもそも経営だよな、とかね。
そういうことを研究・探求していたので、ダイヤモンドメディアの時は特にそうですけど、僕が何をやっているのかはよく理解されなかったですね。社内だけじゃなく外でも(笑)。特に社外では、当時いろんな方々に説教されました。「そんな適当なこと言うな」みたいな。
でも選択肢として、最近は「武井さん、教えてください」みたいなことが増えて。いろんなところから「武井先生!」とかっていきなり呼ばれるようになったりして、世の中ってそういうもんだなと感じているので(笑)。
自然経営で重要視しているのは「情報の透明性」「力の流動性」「境界の解放性」の大きく3つ。
この3つを徐々に高めていくと、この上で生体系というものが自然と、最適なかたちで生まれてるという。すごくふわっとした話ですけど(笑)。こういうのを仕組みとして整えていく。
自律分散型経営を目指そうとして、本当に何もしない、ほったらかしにしてしまう経営者さんもいるかもしれないですけど。これは坂東さんとかともよく話しますけど、人のことは管理しないけど、意外と仕組みはめっちゃ管理するんですよね。
自律分散型経営でいろんな相談もきますけど、僕が最初にやるのは、管理会計を導入すること。そこからやるんですよね(笑)。意外と現実的と思われるんですけど、それが見えないと何もできなくなる。何も見えない中で何かやるって、すごく怖いことなので。まずみんなが見えるものを作って、それをWikipediaのようにみんなで「どうやって編集する?」という感じで語り合っていく。
マネジメント論をいろいろ見ていく中で、俺も識学の本を読ませてもらっています。僕は「期待の合意」という言葉を使っていますけど、求めるものとアウトプットがずれるみたいなことが組織の中で一番の問題なので。それを整えていくところに関しては、僕はまったく同じ意見というか。そんなスタンスでやっていますね。
それをある程度整えたら、あとは「はいどうぞ」みたいな感じでやるというところかな。
武井:こんな説明で坂東さん足りますか? あ、DXOの話をしたほうがいいかな。
坂東:そうですね。ちなみに「DXO」と書くんですけど、DX(デジタルトランスフォーメーション)にオーガニゼーション、組織ですね。それを掛け合わせてDXOという言い方をします。
安藤:それは普通に世の中にある言葉なんですか?
坂東:いや、作りました。
武井:(スライドを見ながら)DXO、「Digital Transformation Organization」とか「Design × Organization」、もしくは「Decentralized Transformation Organization」。自律分散的な営みって、意図的に作ろうとしてもなかなか生まれるものじゃなくて、ある程度環境が整ってくると自然とそういう振る舞いが増えてくるという感じなんですけど。
だから、例えば識学さんみたいにコンサルティングカリキュラムとかに落とし込むのが、なんか難しいなと昔から思っていて。というか個人的には、そういうのあんまり……自然経営とかっていう言葉も使っていたぐらいなので(笑)。自然なのに、作りにいくっていうこと自体が矛盾するのかなとかね、いろいろ悩んでたりしたんですけど。
でも坂東さんと乾(真人)さんと出会って、「それを楽しみながらワークショップみたいなかたちでプロセスデザインしていくのはできるかもね」と言って、いろいろ話し合って作ったのがこのDXOです。
特に僕が作りたい世界観をどういう方法で伝えたらいいのかなと考えた時に、僕が作りたい世界は「DXOはとりあえず無料で配る世界だな」みたいな感じで(笑)、作ったテキストを無料で配るということをずっとしています。最初、坂東さんはめちゃくちゃ反対していましたけれども(笑)。
坂東:はい、大反対でした。
武井:でも僕の行動・価値観自体が、僕が生きていきたい世界というね。この方法論自体が体現の1つかなと思っています。13回のワークショップで「作る」「売る」「回す」「支える」「経営」の5つの機能に分けながら、それを「言葉を作る」「形を作る」「数字を作る」「場のデザイン」、そして「流れのデザイン」の大きく5ステップで。
そうすると(スライドの)手放す経営ラボの、こんな感じですよって。雰囲気的にはお祭りみたいなね。こんなノリでやらせていただいています。以上でいいですか? 説明、雑かな。大丈夫かな(笑)。
坂東:ありがとうございます。
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