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【手放すTALK LIVE#41】「識学 vs 手放す経営 〜管理型マネジメントと、管理しないマネジメント 対照的なマネジメント論を学ぼう〜」 ゲスト: 識学 代表取締役社長 安藤広大さん(全5記事)

自社の目的と自分の人生の目的のズレは「しんどさ」につながる 識学社長が語る、ズレていても「やっていて良かった」と思える時

管理しない組織や上司がいない会社、給料を自分たちで決める会社など、ユニークな進化型組織を調査する「手放す経営ラボラトリー」。同ラボが主催するイベント「手放すTALK LIVE」に、最新刊『とにかく仕組み化』を含む著書3部作が117万部を超えた株式会社識学の安藤広大社長がゲスト出演。社会システムデザイナーで「手放す経営」を実践する武井浩三氏を相手に、経営者になった動機を語りました。

前回の記事はこちら

「絶対に経営者はやらんとこう」と思っていた安藤氏

坂東孝浩氏(以下、坂東):最短でゴールに向かっていく、達成していくことが、1つのピラミッド組織の考え方だと思うんですけど、どこまで行ったらゴールというのはあるんですか? 目標を達成するゴールはあると思うんですが、成長し続けることが前提ですか?

安藤広大氏(以下、安藤):そうですね。たぶん一生達成できないんだと思うんですね。または理念が変わるかですよね。僕らの理念は「どういうかたちで社会から評価を受けるか」だと定義しているので。

社会から求められなくなったら理念は変えなきゃいけない。もしくは全世界に識学を広げきったら終了なんですけど、現役のうちにどこまでできるか。目標達成はなかなか難しいんじゃないかなと思います。

坂東:経営されていて葛藤することや正直悩むこともあると思うんですが、安藤さんはどんなことを思っているんですか。

安藤:悩むことはたくさんありますけど、僕が経営者として一番恵まれているなと思うのは、本当にやりたいことから経営が始まっていること。

坂東:ああ。

安藤:理念を無理やり作ったとか、儲けるためにやりたいことを探したわけじゃない。心から識学を世の中に広げたいというのがある。むしろ僕の親父はラーメン屋で失敗していまして。

坂東:(笑)。

安藤:お父さんのおじいさんも会社を潰しているんですよ。

坂東:ほう。

安藤:だからもう「絶対に経営者はやらんとこう」と思ったんですよね。

坂東:そうなんですね。

武井浩三氏(以下、武井):へえ。

安藤:絶対にやりたくなかったんですけど、出会っちゃった。だからスタートしてからの葛藤はあまりないですね。天命として仕事をさせてもらえているのはすごく感じます。

ただ会社も大きくなってきて、部下のどっちの意見でいくのかで悩むことはありますし、もちろん伝え方でも悩むことはありますけど、とにかく「僕が持ち続けないで決めていくこと」は大事にしていますね。僕で止まっちゃわないように。

武井:なるほど。すごい。そうか、俺は「最初から持たない」というスタンスかもしれない。ノーノーノーって。

(一同笑)

安藤:でも悩みたいでしょ(笑)。

武井:そうそう(笑)。

安藤:そう考えたら、一部は持つ感じですよ。

武井:そうですね。

自分の人生の目的とズレていると「どこかでしんどくなる」

坂東:安藤さん的には社長の役割は「決める」ことですか?

安藤:それはそう。

坂東:僕は経営者にとって「やりたいかどうか」がすごく大事じゃないかと思っていて。仮に識学に入っても、「そんなにやりたくないけど儲けたいから」「会社を大きくしたいから」だとなかなか難しいんじゃないかと。そこらへんはどうですか?

安藤:やりたいというのは何をですか?

坂東:安藤さんのように、心からやりたいことを経営としてやっている経営者ばかりではないじゃないですか。

安藤:まあね。100パーセント無理とは言わないですけど、自分の人生の目的とのズレが生じている場合は、どこかでしんどくなるだろうなと思います。ただ、世の中から評価されている事業であれば、ある一定のところまで会社を伸ばし続けることは可能だと思います。あとから「それをやっていて良かった」と思える瞬間がやってくる人もいると思いますし。

坂東:なるほど。

武井:社長じゃない「人間、安藤広大」が出ている気がしますね(笑)。

(一同笑)

安藤:そうですか(笑)?

坂東:「やりたくて始めたんだ」というところは感情的な部分が入ってくるじゃないですか。そこと接続した時にパワーがフルになる。

安藤:それは間違いないと思いますね。

坂東:社長として完璧なマシンのように「どんなビジネスでもどんな商品でもやれちゃうよ」とはちょっと違う。

安藤:そこの部分だけは超感情的ですね。

坂東:そこの部分だけは。

安藤:要は組織マネジメントでは感情を入れないということです。

坂東:なるほど!

安藤:でも、そこに対する思いだけは感情的ですよ。

坂東:つまり、何のためにこれをやるのかということですね。

安藤:そうです。「何のために生きているか」という話なんで。

坂東:まさにこれはソースですね。

「マネジメントに感情を入れない」ことへの共感

武井:でもマネジメントに感情を入れないのは、実は俺もまったく同意なんですよね。

坂東:確かにね! そうだよね。

武井:俺はダイアモンドメディアの時も「モチベーションは扱わない」とめちゃくちゃ言っていました。

安藤:ほう、そうなんですか!

武井:そうなんですよ。モチベーションは一人ひとりの持ち物で、「他人がどうこうするものではない」という前提があって。ただそれが仕組みの中で邪魔する場合もあるので、邪魔するものは仕組みの中から退けていこうと。

安藤:ああ、なるほどね。そこは近いと思いますね。

武井:だから「モチベーションが上がらないんですよね」と言われても「へえ」でおしまいで。

安藤:(笑)。そこのアプローチだけ聞いているとまったく一緒ですね。

武井:誰も同情はしないから、はた目から「めっちゃドライな組織」と見られた時もありましたね。「モチベーションが上がらない」と言ったら、「じゃあ、やめたらいいんじゃないすかね」という。

安藤:(笑)。

武井:給料もオープンだったから「こいつの転職先をみんなで探そう」と言って、みんなで普通に転職先を探したりして、そういうのはすごく良かったですね。もちろん情報をオープンにすると、コミュニケーションコストが上がるんですけど、人が辞める時に会社に隠れて就活しなくていいし、みんなで探せるし、メンタルヘルス的にはすごく良くて。

安藤:へえ、なるほどね。

武井:なんだったら途中から人材紹介免許も取って。

安藤:(笑)。

武井:辞める人をマネタイズしていったんですよ。

安藤:おもしろいね(笑)。

武井:だから「もう本当に無理しなくていいから、うちの会社には人を送る仕組みもあるから、キツイとなったら別に副業してもいいし、そっちが良かったら全部移ってもいいし。とにかく無理しないで」と言って。辞める人をみんなでマネタイズしていくすごい仕組みを作りましたね。あれはめちゃくちゃ良かった。

安藤:(笑)。でもある意味ピラミッド組織より厳しい環境なのかもしれないですね。

武井:そうです。自然(じねん)環境に近いんでごまかせないし。

安藤:そうですね。

徹底的に合理化する理由

武井:給料も全員がオープンなんで、説明がつかない給与だと「これは何ですか?」と一人ひとりに説明責任がついてくる。

安藤:確かに。

武井:使った経費も全部オープンだから「誰々さん、経費が多くないですか?」と当時者同士でチェックして、それに対する説明があってとだいぶ厳しいは厳しいですね。

安藤:より高度というか、厳しいですよね。ピラミッドにいる人間が高度じゃないというわけではないけど。

武井:属人的な自助作用。

安藤:ちょっと個人事業主の集合体に似ているところがありますね。

武井:そういう要素も。

安藤:成立しなくはない。でもだいぶコストはかかると思いますね。難易度は高い。

坂東:(武井さんは)その運用コストをコストと思っていないですよね(笑)。

安藤:そういうことですよね。そこの時間帯を楽しむ、それ自体が作品ということですね。

坂東:そうですね。あとは武井さんは徹底的に合理化するところはする。数値的なところもそうですが、お金の管理も1円単位でめちゃくちゃ細かいし「合理化するところはやりまくろうよ」といつも言っています。さっき「識学を勉強したほうがいいよ」と言っていたのは、そこもありますよね。

武井:そうそう。残りの部分をめちゃくちゃ人間的に使うというか(笑)。迷う時間に充てる。

(一同笑)

武井:ダイアモンドメディアはかなり先進的なことをやっていましたからね。サイボウズのkintone(キントーン)とマネーフォワードのAPI連携を日本で最初にやったのは俺らでしたからね。

安藤:へえ。

武井:ボタン1つで毎月の請求書の発行が全部自動でドワーッと飛んで、入金の消し込み管理も全部自動化されるのを作りました。

安藤:なるほど。

武井:とにかく人間にしかできないところを考える。

安藤:そこは僕らもあまり変わらないですけどね。

就職する際に一番大事にすべきポイント

坂東:安藤さんは「社長として何のためにやるか、何のために生きるかがすごく大事だ」と言っていましたけど、社員の場合はどうでしょうか? 同じように社員もやっている仕事と自分の生きる目的がくっついたほうが、パワーが出るんじゃないですか?

安藤:結果的にね。

坂東:結果的に(笑)。

安藤:それを作れる立場にはいないから。だから理念への賛同ができるかどうかが、入社する時に一番大事にしなきゃいけないポイントだと思います。

坂東:とても大事にしているんですね。

安藤:それは大事にしないといけないと思います。そこだけがほかの会社と違うポイントだと思うので。武井さんの会社は別として、どの会社に行っても自分以外の人から評価を受けなければならないし、自分以外の人のルールに合わせなければいけない。この仕組みは変わらないので。

それぞれの会社で必ず違うのは企業理念だと思います。だから理念の共感は絶対条件だと思っていて。ただ僕と同じくらい人生の目的と合致する可能性はかなり低いかなと。そこまで求めようと思ったら、自分で独立してやるしかないと思います。

坂東:そうですね。理念の共感は会社の中でもずっとやっていくんですか?

安藤:すべての意思決定は理念の達成のために行われているので。

坂東:なるほど。

安藤:特別に何かをやることはないですね。よく理念勉強会をやる会社もあるけど、あれはあまり必要ないと思います。

識学と自律分散型の違い

坂東:なるほど。武井さんも理念は作らないという。

武井:理念はここにある(胸をたたく)。

(一同笑)

安藤:それはそれでいいんじゃないですか(笑)。

武井:言葉にした途端に、言葉が独り歩きしちゃったりとか。

安藤:ああ、なるほどね。

武井:認識をそろえると解釈の違いが出る。当時は「俺らの理念は俺らがやっていることだよね。仕事で俺らは語り合おう」という感じで(笑)、やっていましたね。

安藤:なるほどね。

武井:安藤さんが言ったみたいに「お客さんを大切にする」と言ったって、一人ひとり対応が違って、明らかに理不尽なお客さんに詰められることもある。でも怖いから「お客さんのために」とそれを飲み込もうとするケースもあると思うんです。それは本当にお客さんのためなのか。

自己犠牲になっていないか。会社で仕事をしているとこういう場面には出くわすわけで、その時にどういう判断を取るかが「この組織はこうだよね」という軸になってくる。たぶんこれが安藤さんの場合だと、トップの判断基準に近いところだと思うんですけど。

安藤:そうですね。トップ、もしくはその責任を取れる立場の人が判断する感じですね。

武井:俺らの自律分散型組織は責任も分散しているという考え方なんで。

安藤:そうですよね。

武井:だからみんなでそこも話し合う。俺に会社のクレームが上がってきたことも、ほとんどなかったですね。2回くらい、ヤクザともめた時だけは俺が出ましたけどね。

(一同笑)

武井:マジできつかった(笑)。

安藤:そんなことがあるんすね。

武井:あるんすよ(笑)。法が通じないんでね。ルールが通じない人たちはやばかった(笑)。

坂東:不動産業界だから。

武井:そう。マジでやばかった。

安藤:ああ、なるほど。

武井氏の始めるマネジメントスクール

坂東:あっと言う間に1時間半が経とうとしているんですけれども。

武井:今日たぶん、過去最多のコメント数じゃないですかね。

坂東:コメントもめちゃくちゃ盛り上がって。

武井:量がやばいですよ(笑)。

坂東:ぜんぜん取り上げられなかったけど、おもしろかったですね。告知してクロージングをしていきたいと思いますが、アンケートを受けつけていますので、スピーカーのメッセージとともにみなさんのメッセージを聞かせてください。

それから寄付もありがたく受けつけています。武井さんが経営するeumoはPayPalでも大丈夫です。武井さんのマネジメントスクールは1月から1期が始まるので、興味がある方は参加してみてください。武井さん、よかったらマネジメントスクールがどんなものか説明してください。

武井:「Ascension of Management Theory」と言います。最近「アセンション」という言葉が好きで、実は自分がもはや「ビジネスパーソンじゃない」ということに気づいて、はや5年くらい経つんですけれども。

安藤:(笑)。

武井:人類1万4千年の歴史をひも解いていったら、今の世界がなぜこういう仕組みになっているのかが全部わかったという話です。今日の話でもあったような「資本主義とはそもそも何なのか」という定義やお金とは何か。お金は今日本円でいくら存在しているのか。誰が発行しているのか。どうやって発行しているのか。

僕らはなぜお金を使っているのか。そんなこと大学でも社会でも基本的には習わないじゃないですか。そういうのが全部わかっちゃうんです。そこをひも解くと、世界の見え方がちょっと変わる。今まで見えなかったものが見えてきます。

今日ちょっと話をした「人間的成長」「認識の拡大」で、自分があると思っていなかったものが見える。情報のスコトーマ(認識の盲点)と言うんですけど、人間は基本的に見たいものしか見えない。だから見えるものが広がった時に「あれ? 世界はもうちょっとこうなのかな」「あれ? こういうのもありなのかな?」と自分の中の選択肢が広がっていくんです。

僕は経営者とは社会的にも影響力がある立場だと思うので、そういう方々が選択肢を広げて経営を扱っていくと、マジで社会が良くなる、世界が良くなると思っているんですね。「もっと突進力を高めたい。スピードを上げたい」という方は安藤さんに学んでいただいて。

安藤:(笑)。

武井:そのエネルギーを、今までとは違うところに広げたい人がいたら、これは絶対におもしろいと思います。

人生の豊かさを増やすスクール

武井:スクールのためにゼロから180枚のスライドを作り直しました。

坂東:すごいな。

武井:資料作りが大嫌いな俺がゼロから作り直しました。貨幣論、資本主義の歴史、近代の歴史、けっこう歴史の真実も語られるし、お金の真実も語るし、その上でマネジメントをどう扱うのか。

今日も言ったように、俺にとってのマネジメントはパラダイム(見方)がちょっと違うので、その見方での人事考課制度や評価とは何なのか。給与とは何か、労働とは何かという内容です。売上が上がるかどうかはわかりませんけれども。

坂東:上がらないんだ(笑)。

武井:上がるかもしれないけれども、むしろ人生の豊かさは間違いなく増やすことができるという自信はある。

坂東:なるほど。

武井:だからお金に余裕のある方はぜひお願いします(笑)。

坂東:けっこうハードよね。ぜんぜん緩くないスクール。

武井:そう。MBAみたいな感じで、1ヶ月半の超短期集中型のかなりマッチョなマネジメントスクールです。講座開始の前にも課題図書とレポートがあるし、毎回の講座ごとにレポートも書くし、バディメンバーに対するコメントフィードバックも必要だし、最後に卒論も書くという、かなりアスリート的な(笑)。

坂東:アスリート的なのね(笑)。

武井:中身アーティスト的なのに。

坂東:はいはい。

武井:そこは俺じゃなくて、手放す経営ラボの取締役のかなみん(岡田佳奈美氏)が校長先生としてやってくれます。かなみん校長とタケちゃん教授というコンビでやらせていただいております。

坂東:ここは君臨していますね。

武井:めちゃくちゃおもしろいです。まだいつ募集開始するかは決まっていないんですけど。

安藤:(笑)。

坂東:日程は決まっているでしょ。

武井:日程は決まった。

坂東:ランディングページができたんで、ここから募集できますよ。

武井:もうできたんだ! 知らなかった。すみません。ちょっと宣伝が長くなっちゃいましたけど。

識学 or 手放す経営の投票結果

坂東:(識学と手放す経営で)どちらが良さそうかと投票をしてもらっていたんですが……。

安藤:手放す経営52パーセント。

武井:これは僕らのコミュニティでやっていますんで(笑)。ホームとアウェイというね。

坂東:話をしている時にも見ていたんですけど、ちょこちょこ(投票が)動くんですよ。

安藤:へえ。

坂東:これはおもしろかったなと思って。僕らの仲間が多いのはあるとは思うんですけど。でも途中にチャットに「これは、バーサス(vs)という話じゃないですね」というコメントがあって、本当にそうだなと思いました。

やはり真ん中に「合理化、仕組み化、数値化」。これはどちらにも共通していて、あとはどういう在り方でどこを目指したいのか。それによって変わってくるだけの話で、どこの会社でも識学の仕組みづくりは、絶対に勉強したほうがいいと思いますし、僕は本を読んですごく勉強になりました。

あとはもともと経営者が持っているソース、思いや何のためにというところも、今日は安藤さんからお聞きできたので、すごくシンパシーを感じたというか。

武井:安藤さんの愛をめっちゃ感じましたね。

坂東:愛を感じた(笑)。

(一同笑)

坂東:愛が漏れちゃった。本当は漏れちゃいけないのに(笑)。

武井:すごく良かった。

坂東:安藤さんからも一言いただいて終わりにしたいと思います。

安藤:今日はありがとうございました。アウェイの地に乗り込むのはなかなかドキドキしたんですけど、非常に楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

坂東:ありがとうございました。何かここでご案内したいことはあります?

安藤:識学にご興味を持っていただけたら、毎日のようにいろいろなセミナーをやっていますので、ホームページから申し込んでいただければと思います。またもうちょっと知りたい方には無料セミナーもたくさんやっていて、僕も月に2~3本はやっています。よろしくお願いします。

坂東:わかりました。それでは「手放すTALK LIVE」、これにて終了とさせていただきます。今日は本当にありがとうございました。

安藤・武井:ありがとうございました。

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