2025.01.29
目標を立てず“未来をコントロール”せよ―― 誰もが使える思考プロセス「エフェクチュエーション」最前線
フジテレビ記者会見(2025/01/27)(全1記事)
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上野陽一氏(以下、上野):本日は多くのメディアのみなさまにお集まりいただき、ありがとうございます。今回はプライバシーに配慮しながら、オープンな形式で記者会見を実施させていただきます。
本日の出席者をご紹介いたします。フジ・メディア・ホールディングス、フジテレビジョン代表取締役会長の嘉納修治です。フジテレビジョン代表取締役社長の港浩一です。フジテレビジョン取締役副会長の遠藤龍之介です。フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長の金光修です。そして進行は私、広報局の上野が担当いたします。よろしくお願いいたします。
会見に先立ちまして、嘉納よりご報告申し上げます。
嘉納修治氏(以下、嘉納):嘉納でございます。まずは社として、人権に対する意識の不足から十分なケアができなかった当事者の女性に対し、心からお詫びを申し上げたいと思います。
一連の報道によりまして、視聴者のみなさま方、広告主、広告会社のみなさま方、株主のみなさま方、メディアのみなさま方、そして出演者のみなさま方、制作会社のみなさま方、取材先、ロケ先でご協力いただいているみなさま方に、多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
この事態を招きました責任は、私ども経営者にあると思っております。従いまして、私は本日付けでフジテレビジョン並びにフジ・メディア・ホールディングスの代表取締役会長を辞任することといたしました。
また、フジテレビジョンの代表取締役社長並びにフジ・メディア・ホールディングスの取締役である港浩一も辞任することといたしました。いろいろとみなさま方には大変ご心配、ご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。
港浩一氏(以下、港):港です。この度はこのような事態を招いた責任を痛感しており、株式会社フジテレビジョンの代表取締役社長と、株式会社フジ・メディア・ホールディングスの取締役を辞任いたしました。私も第三者委員会の調査対象となっております。全面的に協力して、真実の解明と再発の防止、企業風土の刷新に向けて尽力していきたいと考えております。
あらためまして、今回の一連の報道により視聴者のみなさま並びにすべての取引先のみなさまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと、申し訳ございませんでした。
港:まず、先日の会見につきまして、一部のメディアに限定し、かつテレビカメラを入れないかたちで行うという判断は、テレビ局としての透明性や説明責任を欠くものでした。
これまでカメラを向けて疑惑を要求してきた弊社が、カメラから逃げたと言われても仕方のないことでした。メディアの信頼性を揺るがしたことを痛感しております。視聴者、国民のみなさまに多大なご迷惑をおかけしました。あらためてお詫びいたします。申し訳ございませんでした。
そして本件に関してです。女性から報告を受けた後の対応について、「誰にも知られずに仕事に復帰したい」という女性の意思を最大限尊重するとともに、心身のケアを第一に、医師の指導に基づき体調の回復とプライバシーの保護を最優先にしてまいりました。
当時は私自身も、とにかく本人のために絶対に情報を漏洩させてはいけないという強い思いのもと、限られたメンバーで情報を管理しながら女性の体調の回復を待っていました。しかしながら、本件は人権侵害が行われた可能性のある事案であります。
それに対して、弊社において社内での必要な報告や連携が適切に行われなかったこと、中居(正広)氏に対して適切な検証を行わずに番組出演を継続してしまったこと、そして本件の背景にあると考えられるタレントや関係者との関係のあり方等について検証できていなかったことなど、今振り返れば対応に至らない点があったと痛感しております。
そうした責任は私にあります。すなわち私自身が人権への認識が不足していたことで、会社全体のガバナンスを十分に機能させることができなかった。このことについて心からお詫び申し上げます。
結果的に女性は長い療養期間を要することとなり、希望されていた仕事への復帰が叶わない状況になってしまいました。弊社に対するさまざまな思いが積み重なっていたであろうこと、その気持ちを汲み取りきれておりませんでした。
弊社のこれまでの対応が、彼女にとって深い失望を抱かせてしまったのだと思います。申し訳ありませんでした。願わくばご本人にお会いして、直接お詫びしたいと考えています。
そして弊社とお取引いただいている企業や広告会社のみなさまの信頼を失い、大変なご迷惑をおかけしています。フジ・メディア・ホールディングス傘下の各社、フジサンケイグループ各社、そしてFNS系列各社においてもCM出稿の影響が広がっていることを憂慮しています。グループ各社、系列各社は弊社とは独立した企業であります。どうかその点をご配慮いただけますようお願い申し上げます。
あらためまして、今回は人権コンプライアンスについての対応を誤り、女性への会社としての対応が至らず、放送業界の信用失墜にもつながりかねない事態を招いてしまったことについて、深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
港:それでは、明日付けで代表取締役社長に就任することになりました、清水賢治をご紹介申し上げたいと思います。
清水賢治氏(以下、清水):清水賢治でございます。明日付けで代表取締役社長に就任いたします。はじめに、今回報道されている事案において、女性への配慮が欠けた対応をしたことに対し深くお詫び申し上げます。
また、フジテレビが視聴者のみなさま、広告主のみなさま、広告会社、ご出演者、制作会社、系列局、グループ各社をはじめとする多くのみなさま方の信頼を失っている現状を重く受け止めています。本当に申し訳ございません。
今回の事案は、信頼の重みとそれを失うことの深刻さをあらためて私たちに突きつけています。今、問われている人権とは、誰もが生まれながらに持っている、人々が幸せを追求する最も基本的な権利です。これを侵害する行為は決して許されません。この考えに基づき、逸脱する行為への厳正な対処、再発防止策の徹底を決意を持って進めてまいります。
フジテレビには、視聴者に喜んでいただけるコンテンツを届けたい、広告主のみなさまのお役に立ちたいという、熱意を持ったすばらしい仲間がいっぱいいます。この仲間たちと共に課題を乗り越え、新たな未来を築いてまいります。信頼回復なくしてフジテレビに未来はありません。この覚悟を胸に全力で取り組む所存です。ゼロからスタートです。
この厳しい状況においても、叱責の中に温かいご心配をしてくださる視聴者のみなさま、広告主や広告会社のみなさま、ご出演者、制作会社のみなさまをはじめ多くの方々に深く感謝申し上げます。今後の再生に向けてご指導とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。私からは以上です。
上野:新社長となります清水は、この会見に同席させていただきます。よろしくお願いいたします。では、登壇者はここから着座にてご説明させていただきます。
上野:続きまして、金光よりご説明申し上げます。
金光修氏(以下、金光):金光でございます。フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビは(2024年1月)23日に臨時取締役会を開き、本件に関して第三者委員会の設置を決議いたしました。本日は、この経緯や背景についてあらためてお伝えいたします。
まず、なぜ社内調査ではなく第三者委員会を設置する判断に至ったのか、その理由についてご説明いたします。今回の件は週刊誌報道をきっかけとしていますが、これを調査するにあたって、社内調査のような当事者によるヒアリングのみでは身内による甘い評価に陥る可能性があり、客観的な事実を把握することには限界があると判断いたしました。
従いまして、事実関係を明らかにするために客観性と独立性が担保された調査が必要だと考えました。当社としましては初めての対応ではありましたが、担当部署から日弁連ガイドラインに関する専門的な説明を受け、自らも内容をよく理解した上で、利害関係を持たない弁護士で構成された第三者委員会の設置を決定いたしました。このかたちが最も信頼性と透明性を確保できると考えたわけでございます。
次に、(2024年1月)17日の会見におけるフジテレビ役員の発言についてご説明いたします。この時点でフジテレビとしましては、第三者委員会の設置を視野に入れつつも最終的な決定に至っておらず、会見で担当役員が「第三者の弁護士を中心とした調査委員会です」と、曖昧な発言をいたしました。
この発言により甘い調査を疑われる事態となり、調査への姿勢に疑問を生じさせたことにつきましては、この席でお詫び申し上げます。
金光:17日の会見後、フジ・メディア・ホールディングスとしては事態を重く受け止め、信頼回復を最優先課題とし、迅速な対応が必要だと判断いたしました。同時に弁護士側からも、第三者委員会の設置にフジ・メディア・ホールディングスの主体的関与が必要との提案を受け、フジテレビと協議の上、23日両社の臨時取締役会で設置を決議し、調査を正式に委嘱いたしました。
この第三者委員会は、日本弁護士連合会が策定した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠しており、利害関係を持たない弁護士のみで構成されております。本調査委員からは、調査報告の提出期限を3月末を目途としているとの説明を受けております。報告が提出され次第、速やかに公表いたします。
フジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスとしては信頼回復に向け、第三者委員会の設置に加えできる限りの対策を講じ、透明性のある対応を進めてまいります。私からは以上でございます。
上野:ここで少しお時間を頂戴しまして、現在までに弊社が把握している概要をご報告申し上げたいと思います。
これは昨年末からの一部報道を受けまして、関係する社員や中居氏からの聞き取りなど社内で調査をしてまいりましたが、その範囲のものとなります。なお、プライバシー保護の観点から、お伝えできることは制限がございます。また、第三者委員会に調査を委嘱しておりますので、ここで説明させていただく事実関係についても、第三者委員会によりあらためて調査を受けることになります。
まず前回会見でもご説明させていただいたとおり、発端となった中居氏と女性との事案については2023年6月に起きたと認識しております。後ほど、その後の女性への対応や中居氏への対応についてご説明させていただきます。
また昨年末に一部報道で、中居氏と女性との件について弊社社員、ここでは社員Aとしますが、この事案に関わっていると報じられました。この件につきましては、当社としては現時点でも、社員Aが問題の食事会そのものに関与はしていないと判断しております。
上野:これからご説明させていただくポイントは主に3点です。1点目は事案を把握してからの女性への対応。2点目は同じく中居氏への対応。3点目は事案が発生した食事会への社員Aの関与があったかどうかです。それでは順にご報告いたします。
1点目は女性からの報告を受けた後の社内の対応についてです。2023年6月にある社員が女性と話をし、事案を認識するに至りました。女性からうかがった内容から、弊社は当事者2人の極めてセンシティブな領域の問題と認識しました。
まずは何よりも女性の体調面の状況把握と回復が第一と考え、医師の判断を仰ぎながら専門医とも連携し、以降、その専門医の指導に基づき対応していくこととなりました。一方で女性からはとにかく事案を公にせず、他社に知られずに仕事に復帰したいという強い意向がありました。
女性の意思を尊重し、情報が漏れることのないように極めて機密性の高い事案として情報管理を行いました。事案の性質から関部社員、役員、最終的には社長まで報告されましたが、社内では数名のみが知る状況でした。なお、社長への報告は2023年8月でした。
そうした状況のもと、女性に対しては自然なかたちでの仕事への復帰を願い、医師と連携しつつ、声掛け、電話、チャットでのやり取りを通して体調の確認などを行い、心身の回復を見守ってまいりました。直接的なコミュニケーションが難しい時期もありましたが、医師の指導を仰ぎながら時期に応じて適宜連絡をし、医師による面談も続きました。
上野:2点目は中居氏への対応です。本件は人権侵害が行われた可能性のある事案でありながら、事案が一部社員で認識された後、適切に社内で共有されず、中居氏に関しても正式に調査が行われませんでした。
この判断の理由は、もし正式な調査に着手することで新たに多くの人間が知ることになると、結果、女性のケアに悪影響があるのではないかと危惧したためです。仮に調査を受けた中から女性に連絡が行くようなことがあれば、さらに傷つけてしまうのではないかという考えもありました。
そうした事情で、直ちに積極的に聞き取りを行うことはありませんでした。女性とは医師を通じたコミュニケーションしかできず、繊細なことを確認しにくい時期もあり、状況が安定するまで待とうという考えでした。
その一方で2023年7月に中居氏から弊社社員に連絡があり、中居氏が女性とは異なる認識を持っていることを把握しました。2人だけの場の出来事であり、当事者以外が介入しづらい難しい問題と捉え、その後当事者間で示談の動きが進んでいくとの情報が加わったことも、調査を躊躇する一因になりました。
また、中居氏の番組出演の継続についても申し上げます。こちらも本来中居氏への調査をもとに適切に判断されるべきでした。中居氏の出演番組『まつもtoなかい』は2023年4月に始まったばかりの番組でしたが、開始から間もなく唐突に終了することで憶測を呼ぶことを恐れ、当初、番組を中止するような大きな動きを作ることを控えたいという考えがありました。
一方で2024年1月に出演者である松本人志氏が芸能活動休止を発表し、番組出演を休止することになりました。例えば、この松本氏の件を理由として番組を終了する機会があった可能性がございます。そうした状況にもかかわらず、『だれかtoなかい』と変更となり番組出演は継続されました。
また、その間社内での情報共有も限定されていたことから、他の単発番組への出演が続いておりました。この点、判断が適切だったのかどうか、第三者委員会の調査に委ねる領域のことと考えております。
本来は当社グループが2023年11月に策定したグループ人権方針に基づき、女性へのケアとは別に中居氏に対する調査を行った上で、番組出演の是非について判断する必要があったと考えられます。
本事案に関わっていたものの人権への意識の不足やガバナンスの問題については、第三者委員会に委ねることになります。
上野:3点目は、事案が発生した食事会への社員Aによる関与があったかどうかです。2024年7月に女性と面談した際に、さまざまな話題の中で社員Aに対する嫌悪感を示したことがありました。しかし、面談した社員らは、社員Aが中居氏と女性の関係に対して何か問題のあるような関わりがあるとは認識しませんでした。よって社員Aに対する事実確認までは行いませんでした。
その後、昨年末の報道の段階で、社員Aが中居氏と女性の件に直接の関与があったかのような指摘を受け、社員Aの存在が取り沙汰されることになりました。報道によれば、女性は中居氏から社員Aを含む会食に誘われたが、他の参加者は直前にキャンセルし中居氏と2人きりになり、そこで意に沿わない行為を受けたとされています。
報道を受け、社内では特命担当役員のもと、コンプライアンス推進室を含む社員10名程度が、弁護士の助言を受けながら事実関係などを調べることとなりました。なお、女性への聞き取りはできておりません。この際の調査結果の資料も、今後の第三者委員会に提出させていただく意向です。
調査メンバーは記事を確認後、社員Aに聞き取りを複数回行いました。社員Aは当日の食事会そのものの存在を把握しておらず、つまり会の設定はしておらず、従ってキャンセルしたこともないと話しました。また、社員AはスマートフォンのショートメッセージやLINE等の履歴も提出しました。
当該食事会が行われたとされる日の前後のやり取りを確認しましたが、社員Aと中居氏あるいは女性とのやり取りにおいて、当該食事会への社員Aの関与をうかがわせる内容のものは確認できませんでした。
上野:一方、報道後中居氏に対しても複数回の聞き取りを行いましたが、中居氏は社員Aは当該食事会に関わっていないと話しました。これらを受けて弊社は2023年12月27日ホームページに、社員Aの関与を否定する旨のコメントを出しました。
一方で2024年1月の一部報道によると、当該食事会の前の5月に社員Aが中居氏宅で行われたバーベキューに女性を誘い、接待要員のように扱って参加したとされています。これについては社員Aの聞き取りの結果、社員Aが女性に声をかけて中居氏の所有するマンションでバーベキューに参加したことが確認されました。参加者は中居氏を含む10人ほどだったとのことです。
中居氏も弊社の聞き取りでバーベキューの存在を認めていますが、女性とどんなやり取りをしたのかは現時点では詳細を確認できておりません。従って報道にあるように、問題の食事会がこのバーベキューの延長線上にあるとまでは評価するに至っておりません。
また2024年1月の一部報道では、社員Aが2021年冬に中居氏や芸能関係者、弊社社員、当該女性らと都内のホテルで懇親会を行ったとされています。これについては参加した社員Aや別の社員からの聞き取りの結果、懇親会があったことは確認しております。ただし、記事にあるような目的であったとの証言は得ておりません。
この懇親会をはじめ、その他のことも合わせて第三者委員会の調査に委ねたいと思います。少々長くなりましたが、現在の件についてご説明させていただきました。
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