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佐藤舞氏インタビュー(全3記事)

適応障害→ニート→起業して1年で年収1,000万円を達成できたわけ “統計のお姉さん”サトマイ氏が語る、予想外の成功をつかめたポイント

本企画、「キャリアをピボットした人の哲学」では、インタビュイーにこれまでの人生を折れ線グラフで振り返っていただき、その人の仕事観や人生観を深掘りしていきます。

今回は、『あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方』著者で、“統計のお姉さん”サトマイこと佐藤舞氏に、今までの人生を振り返っていただきました。本記事では、同氏が起業後すぐに「大きな仕事」を獲得できた秘訣や、予想外の成功をつかめたポイントを語ります。

適応障害発症→退職→ニート期間を経て起業

——前回、パチンコ店から物流業界へ転職した後、適応障害となったことがきっかけで、以前からの夢だった起業をするために退職を決意されたとうかがいました。この時、どんなことで起業するかなどの計画は立てられていたんですか?

佐藤舞氏(以下、佐藤):何かで起業しようとは思っていましたが、「何で」とはまったく決めていなくて、とりあえず会社を辞めた後に決めようと思ったんですよ。

というのは、適応障害で心療内科に通っていた時だったので、その精神状態と脳みそで論理的に自分の起業のプランを立てられるとは思えなくて。なのでいったん辞めて、ちょっと時間とか精神的な余裕が出てきた時に、何で起業するかは考えようと思って、とりあえず逃げた感じですね。

データ分析で起業するまでにも、けっこう紆余曲折ありました。1年間ニートをしながら「何で起業しようかな」って考えた時に、もともと私、文章を書くのが得意で好きだったことを思い出したんです。

会社員を辞める直前に、昼休みに会社のパソコンでネットサーフィンしていたら、Yahoo! JAPANで、主に海外のビジネス書を翻訳して出版している会社の「ダイレクト出版」の広告が流れてきたんです。「紙とペンだけで、世界中どこでも働けるようになる」といううたい文句を見て「これは」と思ってクリックしました。

それはコピーライティングのビジネス書の広告だったんですね。私はその時、コピーライターという職種があることさえ知らなくて、「もしかしたら私のための仕事なのかもしれない」と思ったんです(笑)。

そこで最初はコピーライターになろうと思って、コピーライティングのビジネス書を読んだり、ライティングの養成講座で勉強しました。

コピーライターから「データ分析」の仕事に切り替えたら、すぐ仕事を獲得

佐藤:私は当時、コピーライターってそんなにみんな知らないだろうと思っていたんですけど、ビジネス系のコミュニティに入ったら、コピーライター志望の人がたくさんいて、しかもみんなぜんぜん稼げていないと(笑)。

私もまったく実績はないし、いちからコピーライティングの勉強を始めている段階で、仕事が取れるとは思えなくて、結果としてはすぐ辞めることになりました。

というのも、その(コピーライティングの勉強をした)後、実家の近くにある商工会議所に「コピーライターを始めたんですけど、どういうふうにお客さんを取っていけばいいですかね」という創業相談をしに行きました。

そこで、商工会議所に登録している、起業の支援をする外部の先生とお話しする機会があって。私が今までどういうことをやってきたのかとか、大学で何を学んできたのかというお話をしたら「佐藤さん、たぶんコピーライターじゃなくてデータ分析のほうがいいよ」と言われたんです。

そこでガラッとデータ分析の仕事に変えて営業するようになったら、意外とそっちのほうがうまくいって、すぐ仕事が取れました。

たった1年で年収1,000万円を達成できたわけ

——起業して1年でどのぐらい成果を上げられたんですか?

佐藤:2017年の6月に個人事業主でデータ分析業を開業して、最初の7ヶ月間で480万円ぐらいの売上が立ちました。2年目の2018年は、もう年収1,000万円超えましたね。

——たった1年で年収1,000万円までいったということですが、ここまで成果を上げられた秘訣はありますか? 事前に準備されていたことや戦略をおうかがいしたいです。

佐藤:商工会議所でお世話になった先生が、いろいろな社長さんを紹介してくれたんです。もちろん最初は私の信頼残高がまったくない状態なので、いきなりは紹介してもらえなかったんですけど。

商工会議所で月に1回先生とお話しする時間を設けさせてもらって、先生に出された課題を毎回やって提出するというのをだいたい半年間ぐらい真面目に繰り返していたら、先生も「こいつ、けっこうできるかもしれない」と思ってくれるようになって。

信頼残高が高まっていった段階で「今度こういう社長さん紹介するけど、ちょっと会ってみない?」ってつないでくれました。そこでお仕事をいただいて、そこからはもう紹介、紹介です。


最初に「大きな仕事」をしたほうが後が楽

——紹介してもらえるように信頼残高を積み上げていったんですね。仕事を受ける時に心がけていることはなんですか?

佐藤:特に駆け出しの頃って、「小さい仕事を積み重ねていって、売上も顧客の規模も徐々に大きくしていこう」って思う人が多いと思います。私もずっとそう思ってたんですけど。

ある日、データ分析者を探している社長さんと知り合って、その方に「佐藤さん、あなたの考えは間違ってます」とフィードバックをいただきました。「最初に小さい仕事をやってその後大きい仕事ができるはずはなくて。最初から大きい仕事をやっちゃったほうが、後が楽だよ」って言われたんですよ。

よく考えたら確かにそうなんですよね。最初に大きい仕事をやって実績を作って、「ここの会社でこういう納品物を作りました」という実績を作ったら、後の営業が絶対楽だなって私も思いました。なので、もちろん小さい仕事もやりましたけど、わりと大手の企業さんの調査や分析、市場調査のお仕事をけっこう最初から取っていましたね。

自分で営業するよりも「紹介」で仕事をもらう

——その大手の企業さんの案件を取れたのはなぜですか?

佐藤:それも私がダイレクトに営業をしたって、どこの誰かも知らない人に仕事をお願いするとは思えないので。商工会議所で出会った先生にビジネス系のセミナーに連れて行ってもらったりしていました。

そこで名刺交換させてもらった人の中に、大手製菓メーカーの新規事業開発の責任者の人がいて。「そういえばうちで今度こういう新規事業をやろうと思っていて、ちょうどその調査ができる人を探してたんだよね」という話になり、けっこうとんとん拍子にいったんですよね。

自分で営業するのは信頼残高を積み重ねるのがけっこう大変だと思うので、すでにコネクションがある人と仲良くなって、その人に紹介してもらったほうがたぶん楽かなと思います。

経営者としての重圧やプレッシャーへの対処法

——なるほど。大きな仕事を取るためにそういった工夫をされていたんですね。起業されてからの働き方について少しおうかがいしたいんですけれども。経営者になったことで働き方の変化があったのでしょうか?

佐藤:そうですね。この時は寝不足が重なっていたのと、わりとハードワークをしてたので、シンプルに健康を害していましたね。働き方自体は、プレッシャーはやっぱり増えましたよね。

会社員として働いている時は、上司に言われたことをやればいいとか、お客さんに言われたことをクレームのないようにやればいいという感じで、こなす仕事がほとんどだったんですけど。

やっぱり起業してからは、ある程度お客さんの成果にコミットすることが大事ですし、もし自分が何かミスをしたら、次の仕事がもらえなくなる不安だったり。先が見えないというところで、働き方の変化と言うよりは責任の重さでけっこう大変でしたね。

——経営者の方はそういった重圧やストレスを抱える方が多いと思いますが、どんなふうに対処されていましたか?

佐藤:このあたりから、睡眠・食事・運動といった健康面を気にするようになりました。やっぱり体づくりはすごくメンタルに影響してると思っています。経営者の方だけじゃなくても、ビジネスパーソンの方、特に女性の場合は、筋トレとプロテインは飲んだほうがいいと思っています。

私はPMSで生理前とかにメンタルの浮き沈みが激しくなったりするんですけど、うつっぽくなるのも意外とタンパク質不足が原因だったりするんですよ。タンパク質や水分が足りているかどうかでけっこうダイレクトにメンタルに影響するので、筋トレしてタンパク質を取ることで、わりとメンタルは安定的に保てるようになりましたね。

心療内科に通院されながら、リハビリにTikTokを始める

——グラフでは、32歳の頃に心療内科に通院されながら、リハビリにTikTokを始められたとあります。その効果はありましたか?

佐藤:はい、そうですね。このリハビリにTikTokを始めたのも、私は一人社長でずっとやっているんですけど、基本的にチームで仕事をしていて、今も週5でほぼ毎日、会社のメンバーとミーティングをしています。

私が「1ヶ月か2ヶ月ぐらい仕事を休みたい」と言った時も、メンバーとちょっとコンタクトは取っていたんですよ。そのメンバーの1人が、「TikTokを教えてくれる先生が講座を開くから参加してみない?」って誘ってくれて。

私も特にやることもなくて暇だし、「リハビリがてらTikTokでもやってみるか」と簡単な気持ちで始めたら、けっこうおもしろくて、メンタルのトレーニングにもなるというか。

TikTokってコメントでいろいろ言われるんですけど、それを受け流す練習を一緒に始めたら、精神的に凪の状態を作るのがうまくなってきたんです。そういう効果もありつつ、TikTokを始めて3ヶ月ぐらいで1万フォロワーになって。「配信ってけっこうおもしろいな」と思いました。それからYouTubeもやってみるかという感じでYouTubeを始めた流れですね。

予想外の成功をつかめたポイント

——なるほど。SNSでメンタルをやられてしまう人も多いと思いますが、そこを逆手にとってメンタルを強化するために使ったというのはおもしろいですね。

佐藤さんは、ご自身のキャリアを振り返った時に、予想外の成功をつかめたポイントはありますか?

佐藤:そうですね、私は会社員経験が約4年間あるんですけど、組織の中では、なんなら人間関係が一番(大事)なんじゃないかなって思っています。

ただ私は、そんなに人間関係を育むのが上手じゃなかったり、立ち回りがうまくないとか、根回しが下手だっていうアイデンティティを持ってしまっていたんです。なので組織に属さずに、自分1人で戦っていこうって思ってやっていました。

でも最初はガッツでいけたんですけど、やっぱりぐっと大きくなるタイミングとか、大きな仕事を取れるタイミングって、絶対に人が関わっています。

それこそ私であれば、商工会議所でお世話になった先生が紹介してくれたから大きな仕事ができたり、TikTokやYouTubeにしても、一緒に仕事をしてるメンバーが「TikTokとかYouTubeをやってみない?」と声をかけてくれたから、うまくいったり、予想外の成功を手に入れられました。

もちろん自己分析をするのは大切なんですけど、それでもけっこう見逃しているポイントがあるので。会社員も起業される方もフリーランスの方も、人とのご縁は閉ざさないようにしたほうが、自分が想像していないご縁がつながって、思ってもない成功を手にできる気がしますね。

——人間関係に苦手意識があったとしても、関係を築いていくことで新たなチャンスにつながることもあるのですね。ありがとうございます。

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