2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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森正弥氏:森正弥です。「生成AIの衝撃 アジャイルガバナンスの必要性と3ディメンジョンモデルによる進化」と題して、話題提供をできればと思います。
今ちょっと気づいたんですけど、ストリーミング用のカメラがありますね?私は普通にこう歩きながら話すんですけど(笑)。そうすると、ナチュラルにフレームアウトしていく感じになるので、どうしようかなとちょっと思っています。
生成AI、「ChatGPT」の衝撃はすごいですよね。「自分のコーディングやプログラミング、あるいは趣味でのいろんなデザインとか、クリエイティブな仕事とか作業でもう使っているよ」という方は手を挙げていただいてもよろしいですか?
(会場挙手)
ほとんど全員の方。2022年の「Stable Diffusion」「Midjourney」の衝撃が冷めやらぬ中、11月にChatGPTが来て、この1年間で凄まじく生成AIのトレンドが進んでいますよね。私も今は企業コンサルティングに従事していますが、さまざまな企業からご相談をいただいています。
2023年3月、4月の時点で、メジャーなところだけでも100社を超える企業からご相談をいただいていて、こんなトレンドは今までなかったんですよね。さらに今の11月の時点で、各社さんといろいろ意見交換をすると、なんていうんですかね。「いや、その事例はもううちでやっていますよ」「RAGとか、うちはもう普通に組んでいます」みたいな話を、どの会社さんもされるんですね。
今までテクノロジーの活動というか活用をしていなかった企業さんもみんなです。「もう普通にやっていますよ?」みたいなことをけっこう話される。これは世界的な現象なのか? という話ですが、実は日本だけで起きている現象です。
後ほど述べますが、デロイトグループグローバルには社員が32万人いて、私は各国のAI活用に関する情報連携みたいなこともやっています。
その中にはUSとかヨーロッパとか、あるいはアジアパシフィックとか、いろいろあります。日本の活用状況の話をすると、「日本は生成AIの活用がとんでもなく進んでいるな」とみんなすごく驚くんですね。事例の話をすると、「そんな企業の事例があるのか!?」と。なんかもう、生成AIに関しては日本がNo.1みたいな感じになっているんですよ。
ちょっとこれとは別で、AIに関する企業における活用度調査みたいなサーベイをずっとしていて、グローバルで3,000社ほどの企業にサーベイをしています。2021年までの調査で、2022年のレポートで、日本はAIの活用度という面で世界の平均からすごくビハインドしていると、ずっと出ていたんですね。
活用量もそうだし成果もそうだし、各国の平均からすごくビハインドしていた。ですが、2022年から節目がすごく変わって、日本の活用度が一気に進むようになってきて、世界平均をすごく超えるようになってきたんですよ。サーベイをいろいろ分析していくと、製造業におけるIoT方面でのエッジAIの活用を中心に、けっこう躍進が見られました。
生成AIの活用は今日本で凄まじく進んでいるので、2024年度のサーベイだと、もう日本がトップに躍り出るのではないか。AIのサーベイとか、DXのサーベイとか、さまざまなサーベイがあって基本的に日本の順位は毎年調査する度に落ちている。
IMFが出している「世界デジタル競争力ランキング」というものがあるのですが、順調に毎年日本のランキングが下がっているんですね。人材のレベルでいくと、調査している63ヶ国中62位というのが2022年の結果だったんですよ。日本は凄まじい下がり方をしているんですが、AIに関しては2022年から節目が一気に逆転して今はすごく浮上し始めています。もしかしたらこの生成AIの活用によって、日本は復活するのかもしれないという期待をちょっと持っています。
というところで本日は、「生成AIの衝撃」というお話ができればと思っています。さらに言うと、アジャイルにつながるところで、「日本だけでね」というところもけっこうあったりするんですけど、生成AIは本当にトレンドが凄まじく速いスピードで進行している。
ただ、2022年11月にChatGPTが出て、この11月でほとんどの大企業がみんな導入している。そんなことって今までありました? かつ、活用事例もどんどん発見しているんですよね。それだけじゃなくて、「ベクトルサーチをこういうふうに入れたけど、うまく動かなかった」みたいな課題をどんどん見つけている。「RAGの仕組みでやっているけれど、RAGの仕組みはこういう限界がある」みたいな課題が、日本の伝統的な企業からもどんどん上がってきています。
それを受けてさまざまな進化もあって、展開がすごく早い。メタバースのトレンドもメチャクチャブームになって展開が早かったんですが、それよりも早いんですよね。
そうすると、日々情報をアップデートしながらマネジメントをしていく。あるいは取り入れていく。あるいは方針を決めていくみたいな、アジャイルなガバナンスが必要になってくるというところがあります。
そこがむしろアジャイル的でないと、この生成AIの活用の波をうまく活かしていけないんじゃないかという話があり、それが本日ちょっとお伝えしたいことです。こんなふうに続くんですけど、みなさんこんなので大丈夫ですかね? あ、大丈夫ですか!? 今大丈夫というサインが出たので、じゃあそれでいきたいと思います(笑)。
すみません、これは自己紹介のスライドです。森正弥と申します。デロイト トーマツグループでグループ横断のAIプロフェッショナルたちを束ねた組織である、Deloitte AI Instituteという組織のリードをしています。加えて、AIに関してはいくつか公職もあります。
日本ディープラーニング協会ですね。こちらは東大の松尾先生が理事長をされている、日本におけるディープラーニングの産業振興を目指した団体ですが、そちらの顧問を長くやっていたり。あるいは東北大学でデータやAIに関する人材育成の特任教授をしています。
今申し上げたDeloitte AI Instituteですが、デロイト トーマツグループにはさまざまなビジネスがあります。私はコンサルティングですが、コンサルティングだけではなく、監査法人、監査業務ですね。監査業務、アシュアランス業務、税務、法務、あとはフィナンシャルアドバイザリ、リスクアドバイザリ。そしてコンサルティングみたいな感じで、それぞれのビジネスラインがあります。
AIプロフェッショナルもそれぞれのビジネスにいます。それらを束ねると国内では500名います。グローバルでは6,000名いて、それらのAIプロフェッショナルのメンバーたちを束ねて、AIの戦略的な活用、そしてガバナンスをテーマにして企業の役に立つ、社会の役に立つというところでの研究活動をやっています。
AIの活用というのは、ある種アクセルですよね。もうこのアクセルをガンガン踏んでいきたい。ですが、アクセルだけだとドライブはできないわけで、ガバナンスというブレーキが必要である。アクセルとブレーキがあればドリフトができるよねという話ですね。非常に重要な両輪であるというところで、この2大テーマを掲げながらやっています。
冒頭でお伝えしたとおり、100社を超える企業さまからお問い合わせがあるぐらい、この生成AIのインパクトはすごく強いわけですが、この100社のご相談の内容を分析していくと、日本企業における4つの活用の方向性が見えてきます。それを解説したものが「YouTube」の動画とか「note」の記事とかにあります。
もしもご興味がございましたら、ちょっと見ていただけたらなと思います。動画は一般向けの解説なので、たぶんみなさまの期待値を満たさないかもしれませんが、倍速でやると3.5分で見られますので(笑)。そんな感じで見ていただければと思います。
(スライドを示して)こちらはちょっとデロイト トーマツの支援内容みたいな感じで書いています。これは支援内容でもありますが、実際100社を超える企業さまのご相談を分類していくと4つになるという話で、それがこの4種類です。
1つ目は全社導入ですね。もうこれは「うちの会社は4月ぐらいにやっちゃったな」みたいな会社さんもけっこうあったり、あるいは今まさに着手中みたいな話もあったりするかもしれません。全社あるいはある部門で、ChatGPTに代表されるような生成AIを導入して、社員の方や従業員の方の生産性を上げていくという話ですね。この1番はほとんどの会社でやられている。
私はデロイト トーマツのビジネスの関係でいろいろな地域に行って講演もすることがあるのですが、昨日はちょっと長野に行ってきました。長野のさまざまな地場の企業さまも、現場ではみんなChatGPTを普通に使っているみたいな話をしていて、ここらへんはもう多くの企業でもそうですよね。オフィシャル・アンオフィシャルあるかもしれませんが、そうですよねという話です。
多くの企業は2番目にいっている。単にChatGPTや生成AIに質問して答えてもらう、「文章を書いて」と言って書いてもらうというようなインタラクションではなくて、業務システムのハブになるようにモジュールとして組み込んでいくみたいな活用ですね。
例えば数多あるサイロされている業務システムを全部1つにまとめていくみたいなことをやったり、あるいはRPAと組み合わせることで今までできなかった自動化を実現していくみたいなことをやっていたりする。実は少なくない企業が2番目に着手し始めています。一部の企業は3番目までいっている。
3番目というのは何か。(スライドに)「顧客対応進化」と書いていますが、これは単なるチャットボットではないと(いうことです)。こんなに表現力豊かな生成AI、大規模言語モデルがあるのであれば、これに音声認識、音声合成、そしてメタバースで培われたアバターの技術を組み合わせて、顧客対応をするAIコンシェルジュ、AIアバターを作ってしまおうという話ですね。
これは実は日本の生保さんとか損保さん(SOMPOホールディングス)とか、自動車会社の販売ディーラーさんとかで、今PoCとかが着実に進んでいて、この3番目に入っている。裏側は要するに、生成AIが言語の処理をやっていてみたいなことですね。
4番目は独自のLLMを作っていこうと。GPT-3.5とか、GPT-4に匹敵するようなLLMを国産で、日本語のものとして作っていこうとか、あるいは業界独自の知識を投入したものを作っていこうという話ですね。これも実は少なくない企業が着手し始めている。この4種類の段階があるわけです。この4番目も含めて、日本企業は進み方がすごく大きいよなと、ちょっと感じているところです。
今、3番目の顧客対応進化というものについてお話ししました。デロイトグループは、NVIDIAさんとの間にグローバルでアライアンスが存在しています。NVIDIAさんの最新技術を使ってソリューションを構築して、ビジネスディベロップメントをしています。
その中でNVIDIAさんのLLMである「NeMo」を組んで、音声認識、音声合成の「Riva」を組み合わせて、アバターの技術である「Omniverse ACE」を統合したこのAIコンシェルジュを作っています。こちらは、今某ファーストフードチェーン店で全米展開をやっていたり、実は日本でも私が責任者でいくつかの案件をやっていたりします。
(次回へつづく)
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