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Rettyにおける定量/定性データを活用した意思決定事例(全1記事)

ヘビーユーザーの継続理由を明らかにするには? Rettyのデータ分析に基づく意思決定とそのプロセス

いろいろな立場の人がユーザーを理解するために実践している取り組みを共有する場を目指すイベント「Insight Tokyo」。第1回目は「UXリサーチ×データ分析」というテーマで、各社のUXデザイナーやデータアナリストが登壇しました。Rettyのデータアナリスト平野雅也氏は、実際に取り組んだ事例をもとに、定量/定性データを活用した意思決定プロセスを共有しました。

Retty分析チームの意思決定支援

平野雅也氏:「Rettyにおける定量/定性データを活用した意思決定事例」ということで、Rettyの平野が発表します。よろしくお願いします。最初にまず自分の紹介とサービス、チームの紹介をしてから本題に入れればと思っています。

まず自己紹介です。改めましてRettyの平野と申します。現在のRettyではデータ分析チームのマネージャーをやっていて、データまわりでいろいろとやっています。今日は時間がないのでサクサクいきますね。こちらに貼ってあるリンクなんですけど、チームの活動の取り組みとかが載っているのでぜひよかったら見てください。

次にサービス紹介です。現在Rettyでは実名グルメサービス「Retty」を展開していて、現在月間4,000万ビューを突破している状況です。

次にチームの紹介です。分析チームは意思決定を最大化することが目的のチームで、主に意思決定支援と分析基盤の開発と運用、あとはデータの民主化を主にやっています。今年に入ってからはUXリサーチもすることになり、組織を浸透させる動きも担っています。

ヘビーユーザーの継続理由を明らかにする

本題に入ります。本日お伝えしたいことは、定量/定性データを組み合わせた分析のやり方とその所感になります。

最初にやり方についてです。今回のやり方をお伝えする上で実際に取り組んだ事例を紹介します。その事例は、とある指標のグロースミッションにおける意思決定事例をもとにしており、実際の分析過程に入る前に、この事例の課題背景を説明できればと思います。

この事例では前提として、ある目標指標の最大化が目的となります。課題背景の1つ目は、目標指標の最大化を3つに要素分解したときに、課題は継続を増やすの場所にありそうだなと、定量調査から発見しました。

もう1つの背景は、現状ヘビーに利用してくださっているユーザーさんがどういった理由で継続しているのかがわからなくて、その結果ターゲットや提供価値の方向性が見えてないといった状態でした。

そのため、今回紹介する事例では、「ヘビーユーザーの継続理由を明らかにする」というリサーチを行うことで、ターゲットユーザーと提供価値の方向性を決めることを目的にしました。ざっくりとしたやり方としては定量であたりをつけて、定性で深掘るかたちで攻めました。

どうして定量分析だけに留めないのか。定性データも活用する必要があるのかについても言及しておきたいと思います。結論としては、行動の裏にあるインサイトを把握する必要があると思うからです。

ここで言うインサイトを知るには、サービス内の行動ログとか集計データを眺めていてもわからないと思っていて、もっとユーザーさん自身の生の声や表情、状況、あとはその人の歴史的背景を知る必要があると思っています。そういった理由から定性データも活用するに至りました。

我々はずっと定量データを主に使っていた分析チームなんですけど、UXリサーチの経験が浅かったので、専門家の協力がほしいなと思っているところでした。そんなとき、ちょうどいいタイミングで今回の登壇者の1人である、みほぞのさんにご協力いただけることになって今回の調査にスムーズに取りかかれました。組織に専門家が不在のときに外部の専門家に協力を得るのは非常におすすめです。

ユーザーのニーズを機能的価値に変換し、アンケートによって定量化する

ここからプロセスの紹介になります。サクサクいきたいと思います。調査のプロセスはこちらの通りです。それでは1つずつ紹介したいと思います。

始めに定量調査で、仮説検証のための価値仮説を構築しました。構築の流れを説明します。まずプロジェクトメンバーでヘビーユーザーが求めるニーズについてブレストしました。

次に、ブレストで出たニーズを一覧化して、ニーズを価値仮説-具体というものに変換しました。これはニーズを「〇〇できる価値」と、語尾を変換して粒度を機能的価値になるような大きさに揃えたものです。機能的価値にする理由としては、後にアンケートをやるんですけど、そこの質問項目に使うからです。

その次に、その具体を抽象に変換しました。最後に自分らが扱いやすい名称にするために端的なラベルづけをしました。これを価値カテゴリと呼んでいます。これは最後にアウトプットするユーザーセグメントの単位にもなります。

これで価値仮説が完成されました。ここでの表のことを価値仮説表と呼んでいます。

次のプロセスは、先ほど作成した価値仮説をアンケートによって定量化しました。手順としては、アンケートのための質問項目を先ほど作った価値仮説-具体から作成して、それをサービス内に配信というかたちです。その結果を集計して求める価値ごとに現状ボリュームを把握しました。これによってニーズごとにユーザーをセグメンテーションできました。

ここまでの定量調査によってどういったニーズをもつセグメントが存在するかの現状把握ができたと思います。しかし、この段階ではまだセグメントの確からしさだったり、ヘビーまで成長した理由の解像度が低いことから戦略を決める上ではまだ確信度が低いので、さらに調査を進めました。

定性調査により、特定のセグメントをターゲットにする

ここから定性調査に入ります。定性調査の目的は定量で把握できたセグメント外のユーザー層の発見と、フェーズごとの求める価値の変遷把握になります。最初はインタビューで定性データを取得しました。ここで取得したいデータは、新たなセグメントとなる軸とフェーズことの求める価値の変遷になります。

インタビュー自体はざっくりですがこのような設計です。

ここでTipsがあるんですけど、事前にインタビュー前にユーザーさんの定量データを確認しておくとインタビュー時に深掘りポイントを見つけられるので非常におすすめです。

続いて、インタビューで取得した定性データを活用して分析しました。まずはインタビュー議事録から具体的なエピソードを抜粋して、それを洞察することによりユーザーの求める価値を抽出します。これをユーザーさんのフェーズことに抽出して、価値カテゴリでラベルづけをします。ここで仮説では出なかった新たな価値カテゴリが存在するかも分析します。その上で改めて価値カテゴリのアップデートをします。

その次に、価値の変遷が似ているユーザーごとにグルーピングをしました。例えばAさん、Bさんではライト、ミドル、ヘビーのときに求める価値が同じだよねということでグルーピングを行うような感じです。ここまでの定性リサーチによって、求める価値を軸としたユーザーのセグメントを行えました。

そして最後に意思決定になります。最後はセグメント間のボリュームの大きさと、グロースができそうかの観点でターゲットを決めます。要はライト層の単位の大きさが一定以上あって、施策によってヘビーまでグロースができそうかイメージできたセグメントをターゲットにした感じです。このセグメント自体が価値からできているので、ターゲットが決まった時点で提供価値の方向性が決まります。

ボリュームの求め方に関しても紹介しておきますと、今回のインタビューデータから構築したセグメントの相対量数に全体のユーザー数を乗じることで算出しています。これをライト、ヘビーのそれぞれ出しています。

以上で今回の目的に対する調査は終わりなんですが、最後におまけの調査も紹介します。

先ほどまでのやり方だとターゲットを決めるという目的に対してにはいいと思うんですけど、すごく抽象度が高いアウトプットになるので先につなげるのが難しいです。なのでKA法とKJ法といったリサーチ手法を活用することで、施策に紐づけやすい粒度でまとめられて、かつ価値の依存関係の中でどこに課題がありそうかを整理するときにも使えそうなまとめ方もここで行いました。

以上で事例紹介を終わります。最後にまとめとして所感や学びをお伝えして終わりにしたいと思います。

インサイトを知ると本質的な打ち手につなげやすい

1つ目なんですけど、今まで定量ばかりを活用したメリットとして大きかったのは自分では思いつかない仮説が見つかったことかなと思っています。定量だけだと相関はわかるんですけど、そもそもの変数の洗い出しを行ってくれないので、今回定性を活用することでその変数出しに非常に寄与できたなという実感が得られたのは非常によかったです。

もう1つはサービス内の行動データとかはユーザーさんのアクションまでは見えるんですけど、その源泉の理解は難しくて今回の定性でインサイトレベルの理解につなげることがわかったので非常にそれもよかったなと思いました。

というのも最後の3つ目なんですけど、インサイトを知ると本質的な打ち手につなげやすいからかなと思ったからです、と。例えばある機能の利用インサイトがわかることで機能利用の促進だけでなくてインサイトを満たす打ち手を見つける流れにもなるので、非常に筋がよくなったかなと思っています。

簡単ですがまとめは以上で、発表を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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