2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:なるほど。ビルさんが10代だった頃からだいぶ時間も流れたわけですよね。振り返ってみて、他の成功を収めた起業家の方々や若い世代に関して、起業家の世代ごとの違いはあるように思われますか? 世代の共通項はあると思うのですが、たとえば次世代のほうが優れている、頭がいい、たくましい、といったような傾向はありますか?
ビル・ゲイツ氏(以下、ビル):例えば、マーク・ザッカーバーグは素晴らしいと思いますよ。彼とは親しくてね。若手世代には感心しています。私のような古い世代の人がどんな失敗をしたかとか、どのようにやりくりしていけばいいのか、質問されることも多くてね……。
私の世代はもっと白紙に近い状態だったといいますかね。どんな会議に行っても、自分と同世代の人ばかりでした。年上の人たちはいませんでしたね。仕事で一緒になったアナリストやベンチャーキャピタルの人たちも、みな一緒に歳を取っていきましたよ。その当時は20代や30代の人たちが動かしている産業でしたけれども、今では年齢もバラバラですね。たとえばマークも32歳くらいかと思いますが、もっと若い人はいますからね。莫大な成功を収めた会社を持っている、という観点から見ればおそらく彼が一番若いでしょうけれども。
今の世代の人たちは優しい人が多いかもしれません。それに対してスティーブ(スティーブ・ジョブズ氏)はある意味非常識でしたし、僕も別のベクトルで非常識だったと思いますね。
司会:優しいというのはひとつの傾向なのでしょうか?
ビル:いや、特徴を見出すのは難しいですね。いろんな性格の人がいますから。
何人か会いたいなと思っている人もいましてね。まだその機会が回ってきていませんけれども。例えばテンセントの人たちですね。彼らとはまだお話する機会がなくてね、ジャック・マーとは会えましたが。
人と会っているとき、たいてい皆さんきちんと対応されますよね。だからエンジニアリングの会議はぜひ見てみたい。「これはうまく機能してないから間に合わない」だとか、「重すぎるから始めから作りなおさないか」ですとか、そういうやり取りが起きているところに入って、みなさんどうやって問題に取り組むのか見てみたいですね。どんな企業であれ、当初の想定を修正しないといけない場面に直面するわけですから。企業内であれ、外とのやりとりの中であれね。
マイクロソフトが何かに成功するたび、「これ以上マイクロソフトは成功できないだろう」とよく言われたものです。その意見に一理あるということもわかっていましたから、そう言われるのが嫌でね。私はワングやディジタル・イクイップメントといった企業に……皆さんご存知かどうかわかりませんけれど、憧れていました。今ではとっくになくなってしまった会社ですがね。どちらもとてもいい会社だったのですが、彼らの運営が立ち行かなくなる様子を目の当たりにできたのは、ある意味よかったと思っています。あれだけ素晴らしい技術と人材を持っていながら、市場の流れが変わった時に対応できなかった、状況をきちんと把握できなかった。優秀なリソースを持っていたにも関わらず、変化に対応できなかったわけです。
司会:おっしゃられた起業家たちには共通点がたくさんあるように思います。
それと、ビルさんは大学時代とても反抗的な学生だったらしいと読んだことがありまして。「履修していない」授業にしか出なかったそうですね。それと、生活も36時間ずっと仕事をして10時間寝る、起きてまた仕事を続ける、という具合だったそうで。起業家が成功するために、こうしたことは必要なのでしょうか?
ビル:先ほども言いました通りスティーブと私は非常識だったと思います、各々のベクトルでね。私は彼ほどLSDもやりませんでしたし。
(会場笑)
とにかく非常識だったと思いますし、誰もがそうある必要はないですよ。スティーブがもし他人に対して優しかったとしたら、あれだけのところまで行けたか……という議論をする方がいらっしゃいますけれども、きっと変わらず素晴らしいことを成し遂げたと思いますよ。彼は本当に優秀な人でしたから。
自分について振り返ってみると、他人に厳しかった時期もありましたね。きっと自分に対しても厳しかったからだと思いますけれども。でもそれは当然、マネジメントの場面では抑える必要があると思います。
ハーバードについてはですね……私は大学に入る前、「数学のできるやつ」と認識されていましてね。ところがハーバードに行きましたら、クラスの80人中全員が「数学が一番できるのは自分だ」と思っているわけですよ。つまり79人はイカサマだということですよね(笑)。
(会場笑)
私は結局クラスで2番になりましてね。トップだった人は今ニューヨークで弁護士として活躍しています。とにかく、授業に出なかったことについては、自分は他の80人とは違うと考えたかったのだと思います。
イーロン・マスク氏(以下、イーロン):僕はとにかくコンピュータが好きでして。会社を作ることになるなんて思ってもいませんでした。起業家になりたい、お金を稼ぎたいということよりも、「あったらいいな」と思うことに対して、何か自分のできることはないかという視点で考えてみるといいと思います。
そうしたら次は、そのアイデアを形にするために仲間を探す。そして改善し続ける、といった具合ですね。何か役に立つものが作れたなら、自然とお金はついてきますよ。経済はこういう仕組みで動いているわけですから。つまり有益なサービス、他とは違うサービスには見返りがくるわけです。
本当に好きなものを作っていて、きっと他の人にも好きになってもらえるという確信があるなら、努力のために時間を割くのはそう難しくないはずです。うまくいかなかったとしても後悔しませんし。その調子で進んでいけばいいわけですよ。
司会:例えばご自分はビル・ゲイツよりも若いし、真似はしたくない、とお思いになったことはないのでしょうか? 何か違いは?
イーロン:ビルと僕の人生はだいぶ方向性が違うと思いますよ。共通点もありますけれどもね、子供の頃などに関しては。ビルが話してらしたことにはほとんど賛成ですね。
ですが、僕が進んできたのは別の方向です。キャリアのほとんどはソフトウェア中心でしたが、やがて「誰も電気自動車や宇宙関連の問題に取り組んでいないな」と思うようになって。それでとりあえずやってみよう、と思ったわけです。投資したお金は戻ってこないだろうけれども、やる意義はあると思いましてね。単純な話です。
それで次にハードをどう作ればいいのか勉強しないといけなくなりましてね。CNC工作機械もカーボンファイバーの配列も見たことありませんでしたし、全くわかっていませんでした。ですが、本を読んだり専門家と話をすれば比較的早く理解できますから。
皆さん自分の学習能力に限界を作ってしまうように思うんですよ、本当はそんなに難しくないことでも。本を読んで、人と話をするだけのことです。
特に本を読むのは大事だと思いますね。話すよりも本を読むほうがデータの転送速度は高いと思いますし。発話の出力スピードがどの程度か考えてみると、せいぜい毎秒数百ビットか、かなり早口で喋っても数千ビットですよね。
読書ならその数倍はありますから。僕が大学で授業に出なかったのはデータの転送速度が遅すぎるからです。「なんで教科書を読んでいるんだろう、子供の読み聞かせじゃあるまいし」なんて思ったものです(笑)。
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