
2025.03.04
「見送り失注」の7割は、2年以に再検討の可能性あり 継続的な接点作りとアポ獲得につながるメールの極意
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天野彬氏(以下、天野):これはリサーチの内容というよりは僕自身の関心なんですけども、こんなふうに世の中が変わっていく中で、とくに2000年代中盤~後半ぐらい、インターネットによって世の中がどう変わるのかを論じる本がたくさん出てました。僕はけっこうこういうのに影響を受けまして。
(スライドを指して)例えば左の『動物化するポストモダン』は、これはちょっと思想っぽいものですが、インターネットでみんなが情報をシェアすることで、サブカルチャー、マンガやアニメ、小説がどんなかたちに変わるだろうかを論じた本ですね。
真ん中のはちょっとビジネス寄りで、インターネットによってどう新しいビジネスが出るかとか 働き方が変わるかとか。真ん中の『ロングテール』はもう少し有名かもしれないですね。
中村朝紗子氏(以下、中村):そうですね。
天野:その左のは僕も尊敬する濱野智史さんという仲良くしてる先輩で、ニコニコ動画みたいなそういう新しい動画サービスでユーザーがどうコミュニケーションしているかを論じています。
あれもおもしろい文化ですよね。本の中でも触れましたけど、ニコニコ動画もタグの文化なんです。作品につけるハッシュタグがおもしろくて。みんなでいろいろつけて自分たちで作品を分類するんです。
それによって新しいジャンルが生まれたりとか、タグをみんなで編集することでその作品の意味合いや価値を自分たちで編集したり、実は非常に先進的なそういうネットの文化のあり方が描かれていて。
今はもうタグといえばハッシュタグですけど、実は日本のタグ文化の源流はけっこうここにあるなと思っています。
あと「タグる」みたいなキーワードもやっぱりそういうところから出てる。みんなで編集しあって、情報を拡散したり広げていくということがインターネットの文化の本質じゃないかと思って。
こういうテイストに僕はすごい影響を受けました。なので、本もマーケティングとかプロモーションとか、会社のカラー上そういうのも大事にしている一方で、こういう視点も大事にしたい。ちょっと引いた視点で世の中がどう変わっているかを描きたいなと。そんな思いがありますね。
中村:本当に変化が速いじゃないですか。どんどん新機能だったり新しいものが出てきて。そういうキャッチアップってどういうふうに、この本は全体を俯瞰で見るときに読むラインナップとして、最新のものについていくためにふだんどういうリサーチをされているんですか?
天野:そもそも仕事自体リサーチなので、そういうチームがいるのでそれで若い人にヒアリングをしたりとか。仕事で女子高生と話せるみたいな。
中村:(笑)。
天野:やっぱりアプリの使い方とか価値観がぜんぜん違うし、おもしろいです。
あとは、それこそ「ウェブ電通報」でも出ているんですが、直接Facebook社のInstagram担当の方々とお話させていただいたり、中の人に話を聞く機会をなるべく作る。そういうイベントにもなるべくでかけるようにしていますね。
中村:若い子たちの声を聞くのって本当に大事ですよね。推測で動かないというか。最近「マジ卍」とかいろいろな新しい言葉も出てきてるじゃないですか。それにハッとして、「世代変わってる!」みたいなことが増えてきて、よりそういう子たちと話せる機会を作らないとまずいなって思うんです。それが大事。
天野:そうですね。そういうのは大事だと思います。
中村:実際にご自身もアプリダウンロードして使ったりするんですか?
天野:なるべくするようにしています。今だと「musical.ly」とかね。短い動画、リップシンクと言われる、音に口を合わせて楽しく動画を撮れるようなアプリがだんだん流行ってきていますよね。
中村:アナ雪とかで、カップルでアナ雪の音楽に合わせてドライブで口パクをするみたいのがちょっと前に流行ったんですけど、それがアプリでできるみたいな。
天野:そうですね。そこの中でももうフォロワーが何十万人いるとか、インフルエンサーっぽい人が出てきていて。MixChannelとVineを足して2で割ったみたいな、そんなアプリってありますよね。
中村:なるほど。
天野:そういうのをなるべく見るようにしたり。
中村:(スマートフォンに)入ってるアプリを見てみたいですね。いったいどんな画面なのか、もしよかったら終わったあと見せてください。
天野:じゃあちょっとまずいのは削除しておきますね。
中村:整理する時間が必要な感じ(笑)。
天野:ちょっと危ないフォルダーとかあるので。
中村:(笑)。
天野:そんな意図を持って僕は本を書きたいなと。誰もが写真でシェアをする時代になにが起こっているのか。今どういう時代なのか。そんな見取り図を書きたいという意図があります。
なので、マーケティング的な視点で読んでいただいてもいいですし、もうちょっと社会学的というか社会論的というか、メディア社会論的な視点でも読んでいただけるようなものに、まぁ、なったかなってないかはみなさんのご判断ですが、したい気持ちはありました。
天野:内容の方に少し入っていくと、この本の中ではキーワードをいくつかあげてて。7つのキーワード、7つの視点ということなんですが、その中でとくに大事なものの1つが「“ググる”から“タグる”へ」という話ですね。
タグはもう盛んに出ている「ハッシュタグ」のタグでもあるし、日本語で「手繰る」という言い方ありますよね。「手繰り寄せる」みたいに。それをかけたかばん語ってやつです。2つの意味合いをかけてる。
中村:「手繰り寄せる」の意味も含まれているんですね。
天野:それも含まれています。
2000年代はGoogleを含めて検索サイトがインターネット上の情報を整理していたわけですけど、今はSNSでみんながいろんなものをシェアして、それをユーザーが自分で拾い集めていくような。そんなふうに情報の検索の仕方が変わってきている。それを示したキャッチフレーズです。
中村:私の感覚では、タグるの一歩前ってなんだろうって思ったら、「@cosme」などの口コミサイトかだなって。購入するときとか、やっぱり失敗したくないし、店舗掲載されているサイトって、けっこう店舗側が言いたいことを言ってたりして、実際行ってると写真とぜんぜん違ったり、そういう失敗ってあると思うんです。
それを避けたいから、口コミを見てからもう1回買うみたいな、自分の中でリスクヘッジしていたものが、最近だとやっぱりタグ。口コミを見るし、使用方法を見るしみたいな。1歩前にもそういう源流があったのかなってこれを見て感じたんですけど。
天野:そうですね。まさに。ほかのユーザーがそこでどういうふうに思ったのかという、レビューが大事な情報源になると。SNSというのはそれをもっと推し進めたということですよね。
しかも、あんまり言うとあれですけど、そういうレビューサイトでも「実際は本当にレビューどおりなのか?」みたいな問題もあったりするじゃないですか。
中村:そうですよね。
天野:その中で、個人がダイレクトに発信している情報に脚光が当たるようになっているというか、みんながそこに信頼性を置くようになっているということはよく思います。
中村:もう情報が多すぎますもんね。最近はさらに流れが変わってきて、タグで見つけたりして。例えば旅に行くときとかも、地名検索してそこを紹介してる人を見つけて、「この景色で写真が撮りたい」って思って場所をインプットしてから、Google検索にかけて問い合わせ先とか住所を見るみたいな、そういう逆の使い方に。事実チェックはGoogleで、その前の興味のあるものと出会うのはタグみたいな。
天野:そうですね。まさに僕が次言おうとしてたことをおっしゃっていただいた感じです。
中村:あ、すみません(笑)。
天野:そうなんです、まさに。使い分けというか、別に全部が移行するわけじゃなくて、いろんな情報の探し方がある中で、今はタグるということに注目するといいんじゃないかって思ってるんです。(スライドを指して)チームでやった調査で、データは1年前のものなのでまた更新したいんですが。
中村:15〜34歳の男女1,600。すごいですね。
天野:1,600サンプルに聞いたものです。SNS、InstagramなりTwitterなり、そういうアプリをなぜ使うのかと聞いたときに、52パーセントが情報閲覧収集であると答えた。これはSNSが情報を探す場として定着したことの表れだと僕は思っています。
天野:(スライドを指して)これはちょっと細かいチャートですが、例えばファッションのトレンドとか芸能人の情報とかいろんな情報のジャンルが表の下に並んでいて。グレーのバーが検索サイト、GoogleとかYahoo!で探した数。青がSNS。TwitterやInstagramで探した数。その合計です。
真ん中の折れ線が、検索サイトを100にしたときにSNS検索がどれぐらいのパワーがあるかを示したものです。ファッションとかはSNSで探すほうが多いんだなとか、芸能人の情報もだんだんSNSでダイレクトに探すようになっているんだなとかいろいろわかるんですけれども。
より大事なのは(スライドを指して)これは10代女性に限定したんですけど、この傾向がより明確に現れる。つまり、ここだとSNS検索のほうが……。
中村:逆転してますね。
天野:そうなんです。逆転している。たぶん今はもっとこの傾向が強まっていると思うんですけど、ここに僕はすごい象徴的なものを見たんですよね。トレンドのサーチがSNSにどんどん変わってきている。こんなところから「“ググる”から“タグる”へ」みたいな着想が生まれて。SNSを通じて、例えばみんなが今なにを着ているのかとか、そういうところが大事になってきている。
中村:コーデとかは確かにそうかもしれないですね。ちょっと前の雑誌が読者モデルのリアルコーデとかモデルのオフコードみたいなのを載せ始めた時の流れと一緒かなと思うんですけど、実際やっぱり着ているものを見たいし、自分に合った体形の人の着たものが見たいというのもありますし。
これ、今どの業界も「Instagramをやろう!」みたいになってますけど、やるべきかどうかの支軸にもなりますね。
天野:そうですね。
中村:天気予報とかだったら、まだまだWebが強かったり。
天野:それはそうですね。Instagramに向くもの・向かないものもやっぱりあると思いますし。向くものはすごい向くけど、ほかのSNSで代替できるかもしれないジャンルもあるし、SNSじゃなくていいものもあるかもしれないし。SNSが重要になってきているからこそ、そういう視点は大事だと思います。
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