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【CafeSta】<エピソードⅡ しーずんⅠ>月曜カフェスタトーク 司会:平将明NM局長 ゲスト:堀 潤さん、川野まみさん、生田よしかつさん、大澤咲希さん(全4記事)

避難所で「SNSで物資を集めてください」 メディアで知らされぬ熊本の被災地の実像

平将明衆議院議員による、月曜カフェスタトーク・エピソードⅡしーずんⅠ。今回のゲストは、熊本県の阿蘇西原新聞、編集長川野まみ氏とジャーナリストの堀潤氏。徐々に風化しつつある熊本地震の被災者の1人として、まだ復興が終わっていない被災地・熊本の「いま」を語ります。

城下町ならではの被害

堀潤氏(以下、堀):あと熊本ってやっぱり城下町で、古い町屋があったり。ただ、その町屋も地震で被害を受けるわけですよ。当初は地域をあげて町屋を復興させよう、と。ただなかなか、息切れして。「もういいんじゃないか?」とかね。

生田よしかつ氏(以下、生田):そうだよなぁ、そうなるよなぁ。

:この古い建物への価値をどの程度共有できるか、というところもあって。でも、1回なくなっちゃったら、その文化って途絶えちゃう。一生懸命守ってきたものだから。

生活とは直結しないけれども守るべき文化に対して、どれくらい投資するかというような観点も、なるほど難しいですね。

平将明氏(以下、平):本当に大規模災害って来ないので、滅多にね。来た人は初めての体験ということがあって。それで今回、川野さんからいろんな問題提起されて、役所を7~8つ呼んでずっとヒアリングしてて思ったのは、やっぱり「時間軸の違い」がそもそもあるんだよ。

:おぉー。

:役所はやっぱり、2年なんですよ。仮設住宅も2年でしょう? だから2年の間で、仮設住宅を提供してる間に、再建できる人は再建してよね、と。僕らみたいにその日その日の商売やってる連中は、もう1日、1日じゃない。

生田:(笑)。うん、1日、1日。

:だから、さっきの旅館だって、「今壊すの?」って話だよね。被災した人も初めて、行政はハナから2年の頭で動いてて、こっちは今日、明日、明後日、って動いてるわけです。

:ズレがあるんですね。

:だからこのギャップをどうやるのかとか。あとこれからやっぱり、いろんな大規模自然災害は想定されてるんだから、いかにスムーズに、この間言われてた罹災証明とかね。

この人は被災者なのかどうなのか、という名簿も作んなきゃいけないわけだよね。それもマイナンバーカードが入ったり、ICチップのとこに生体認証入れられたりするんだから、すぐにその体制が整う、というのは大事だよね。

だってもう、戸惑うばかりだもんね。役所に行っても「いやちょっとそれどうですかね」でまた帰ってきちゃう。

東北の教訓は生かされなかったのか

生田:いや、東北であれだけの震災があったわけじゃない。テストケースって言ったら悪いけど、そういう情報というのはないもんなの?

:それはね、あれだけの災害があったから、かなり進化したのは間違いないんですよ。

生田:そうだよねぇ。

:そうですね。

:例えば2重ローンの問題なんかも、東北のときはまったく手探りだったわけ。でも今、2重ローンは銀行業界が中心となって。建物の価値はもう落ちちゃうわけだよね。だから土地の価格プラス500万くらいの資産のところで、残りは減免と。これ銀行が被るわけですよ。そういう仕組みができたり。

生田:だからそこらへんの仕組みって言うか、その取りまとめみたいなのをどっかがやっとかなきゃダメだね。

:そうなんですよ、川野さんもその2重ローンの減免措置のガイドライン使ったんですけど、地元弁護士さんの有志が集まって。

:手が足りない。

:弁護士さんたちももう、生業を犠牲にしながら被災者のために、って、消耗戦なんですよ。時間もかかるし、行ったり来たりで。

:初めてだしね。

:銀行側のほうは「えっ、そんな制度ありますか? 知りません」とかね。そういうのが出てきたりとか。けっこう苦労されたんですよね。

川野まみ氏(以下、川野):そうですね。

大澤咲希氏(以下、大澤):遠かったですしね、東北と。

「SNSで物資を集めてください!」

:それも、やっぱり査定しなきゃいけないわけじゃない。簡単に査定をしなきゃいけないので、だからそれをもっとオートマチックにね。マクロであっていいじゃない、みたいなぐらいの大ざっぱでやるしかなくて。

生田:そうそう、それくらいでね!

:だから、それは今後の課題だと思いますよ。

:メディアの伝え方にも課題があって。どうしても災害になると、人が亡くなった現場とか大規模な建物倒壊があった現場に集中して、今を生き続ける方々の、そうした一つひとつの課題というのがきちんと伝えきれないまま引き上げて、次の話題行っちゃうんですよね。

だからさっきの東日本大震災の教訓で言うと、熊本地震のときに「まさかこんな問題起こるなんて」と思ったのは……東日本大震災ってやっぱり、長期の避難生活になったじゃないですか。

だから一応、国のほうで、長期滞在可能な施設を持った避難所は、指定避難所として優先的に物資を送りましょう、と。

そうじゃないところは自主避難所扱いにして、優先順位をつけて、選択と集中しますと。なのでみなさん、道路があるとか調理器具がある小学校・中学校に避難してください……って呼びかけだったんだけども、そういうのってあんまりよくわからないじゃないですか。

知らなかったってこともあって熊本でも、お母さんが乳飲み子を抱えて「やっと学校ついた」ってなったら、校長先生から「うちは自主避難所扱いで、物資はもう備蓄がほとんどありません」と。「SNSで物資を集めてください!」って言われて。

大澤:えぇー……。

:もうお母さんたちがSNSで、「すいません誰か粉ミルクを……」って。そのSOSが僕のTwitterに入って来て、「えっ、そんなことが!?」って。確かに良かれと思ってバージョンアップしてるんですけど、ちょっとまだその、周知が(できていない)。でもそういうところはやっぱりメディアががんばんなきゃダメだな、と思いましたよ。

生田:そうだね、メディアだねそこは。

:やってないですね。

補正予算も後回しになっている現状

大澤:1つメディアってとこで質問なんですけど。東日本大震災があったからこそ、逆に震災とかボランティア・復興ってとこも私たちの感覚で……時間が両方経ってしまうと、3.11の衝撃のほうがやっぱり大きかったので。そういうところで「忘れない」ってことだと、復興=東日本大震災ってなってしまうことはないですか?

:その後、水害もあったりとかいろんなことあったけどね。

:北九州の豪雨もあって、今は補正でいくとそっちが優先順位が上になっちゃうね。

大澤:そうですよね、どんどん移り変わって。

:次から次に起きるからね、そうですよね。

:バージョンアップしても実際現場で回してみると、また新しい問題が出てくるんですよ。だから本当は、こういうネット社会の中でさ、ここにアクセスするとこういうことがわかる、という一括のポータルがあったらいいと思うし。

:そうですね。

求められる「災害庁」の存在

:石破さんのグループのこれは赤沢亮正さんという人が防災大臣やってたときに、やっぱり「防災庁」というか「災害庁」みたいに、1つの役所を作るべきじゃないかって。

生田:そうだよね、日本多いんだからさ。

:だから、東日本大震災は広域だったので、復興庁みたいなのを作ったんです。熊本は単県なので、復興庁は法律上対応できないんです。

川野:そうそう。

:あれは東日本のためだけの……。

生田:えぇー! そうなの!?

:それは法律なので。

川野:知ってた、それ。

大澤:あっ、復興庁。

:「復興庁なんとかなんないですかね」みたいな話になるとね。「いや、違うんです」って(笑)。

川野:うん。

生田:はぁー……!

:そういう意味では、もうどこで大規模災害が起きても対応する、「災害庁」みたいなものを新設して、災害担当大臣というのを作って、ワンストップで対応する、というのがあってもいいかもしれない。

大澤:うーん。

生田:そうだよねぇ。

プロパーな災害対応チームの必要性

:だから復興庁というのは、時限なんですよ。時限の省庁なの。だから、期限がきたら解散する省庁ですよね。

:しかも各省庁から出向して、みなさんいらっしゃってるから。

:だから司令塔機能は強い。

生田:なるほどねぇ。

:プロパーな災害対応のチームがあれば。

:そうですよね。だからあれを解散するときに、災害庁に格上げしてやってもいいかもしれないね。災害担当大臣を1人つけてね。

大澤:うん。

:そうですね、うん。噴火もあるし、水害もあるし。

:若林くん!

若林:はい。

:メモしといてよ。

(一同笑)

:いや、これできて欲しいなぁ。

川野:できて欲しい。

生田:川野さん活動してさ、今度縦割りのところに入ってくわけでしょ?

:そうそう。

行政の縦割りに入ることが肝要

生田:行政の縦割りに入っていって、村と県と国と。国に行ったら行ったで国交省があって何々があって……。

平将:そう、「うちじゃないから」って言われる。

生田:「うちはこれやりませんから」って話じゃない。やっぱね、ワンストップのところは絶対必要。日本は多いんだから。

大澤:復興庁、びっくりしたー。

:復興庁格上げ、というのが。

:いいでしょ? だから本当にこれね、一般の人がやるの大変なんですよ。

:そうですねぇ。

生田:でもがんばったねぇ!

:そう、すごいがんばった!(笑)。

川野:でも本当に、メディアの方たちの力もありましたし。

生田:一般社団法人、俺も持ってるけど、平時だって大変だったもん。

(一同笑)

:運営が。

生田:運営。それをね、おやりになってというのは大したことだと思うよ!

川野:いやそれはもう、仲間が一緒にいてくれたから、みんなで一緒にがんばろう、って。立場はみんな一緒なので。あとはやっぱりおっしゃったように、もう2年。「え、まだ?」みたいな。もしくは「え、まだ言ってるの?」という感じに。あるんですよ、温度差がですね。

なのでやっぱり定期的に、被災地の人だったり私たちだったり、被災地から発信するというのが今からは、すごく必要な時期なのかなって思うので、今日も来させていただいたりとか。

:それだって『カフェスタ』でぜひ、って。

生田:よし、熊本行こう!

:行こう!(笑)。

川野:(笑)。

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