2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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堀江敦子氏(以下、堀江):ようやく、さっき言ったストッパーのどちらも、働き方という制度のハード面と、意識というソフトの面とが着目されるようになってきたなと。しかもそれが、その意識に合った制度としてできるようになってきたなと思うんです。
でもこれって、女性だけの問題じゃないんですね。子育てが女性にとってさえもストッパーになっているということが一番の問題なので。
逆に男性は「仕事だけをしなさい」というような一番つらいストッパーがある。それ以外の自分らしく生きるとか、プライベートを充実させるとかそれができないということですごくつらくなっているのかなと思います。
男子学生もこういったインターンをやると、「そういった生き方があるんですね」「生きていいんですね、自由に」みたいなところへ初めてバーンとひらけて(笑)。それが、男性は女性よりも10年遅いなと思います。
西村創一朗氏(以下、西村):そうですよね。
堀江:男性も、人生としてはもったいないなと思います。「人生100年」って言われていますけれども。男性にとってもすごく重要なポイントじゃないかなと思いますね。
白河桃子氏(以下、白河):まさにワンオペ稼ぎからチーム稼ぎへと変わっていくところですよね。だから、そういうところで意識の転換を起こすための労働時間の問題なので。単に「働く時間を短くしなさい」ということではないんですね。
西村:そうですよね。本当に男性の意識改革もすごく必要だなと思います。僕自身もファザーリング・ジャパンというNPOで「男性も子育てを楽しもうよ」ということを必死に言い続けているわけですけれども。
NPOができて10年ぐらい経つんですが、やっぱりまだまだ「大黒柱バイアス」みたいなものがすごくあるなぁと思っていて。「男たるもの、一家の大黒柱として、家族を養えるだけの稼ぎを得るべし」というバイアスが未だに20代でもあるんですよね。
白河:それは学生と話していても感じる、すごく。
西村:感じますよね。
堀江:それがないと結婚できないとかね。
白河:あと、物理的に時間がないというのもあるんだよね。イクボス同盟を立ち上げられた経緯を聞いたら、イクメン1人だけで目覚めても、結局帰れない。
西村:そうなんですよね。
白河:結局は本人がすごくつらくなっちゃう。これは働き方を、上司から変えなきゃダメなんだということでイクボスに取り組まれたという話を聞いて。まさにそうだなと思いますね。
女性の場合は「子育てで帰ります」というのができるようになりましたけど。男性の場合、まだまだそれが受け入れられないのですよね。そこまで変えていきたいですよね。
西村:もうおっしゃるとおりです。
堀江:うちも「育ボスブートキャンプ」で実際に体験をしてもらうんですけれども。いかに自分たちが無駄なことをしてたのかを、5時で帰ることによって初めて実感する。
あとは子育て中の状況を知ることによって、一番忙しい7時から9時までの間にメールをすごく送っていたりとか(笑)。すごく電話をしていたことがわかる。それを自分がされることによって、焦りやつらさを感じたりする。
たった3時間しかいなかったのにもかかわらず、帰ってきたらメールが20件、30件と溜まっている状況を見る。そうすると、例えば子育て中の人が朝これを見た時にどう思うのかを体感していくわけですよね。そうしたら「本当にいいパフォーマンスが出せるのかな?」を感じることができる。
逆に、自分がそういうインプットをすることによって、買い物をしてみたら「スーパーってこんな感じなんだ」「旬のものってこうやって売れていくんだ」と、生活視点から仕事に生かされたり。状況を知ることによってマネジメントがうまくなっていったりする。
ということで、他者を理解する、自分とは違う状況がある。それを理解するだけですごく変わってくるなぁと。
西村:マーケット感覚を養う上でも、そういう体験をするってすごく大事ですよね。
2つのマーケットがあって。1つは「仕事」というマーケット。BtoBの仕事をしているのかBtoCの仕事をしているのかにもよりますけれども。BtoCの仕事をしていればなおさら、個人の生活者が日々どんな生活をしているのかを体感しなければ、マーケット感覚って養われないという観点が1つ。
あと、「家庭」というマーケット。日々生活を一緒にしているはずの奥さんの生活をぜんぜん理解できていないことによって、「手伝おうか」と言っちゃう。マーケットとズレてるという。
つまり、妻のニーズとズレた提案をしちゃうことから解放されるという意味では、男性側を仕事から解放してあげるのはすごく大事だと思うんですよね。
白河:あとは、子育てだけを「聖域」にしないということですよね。結局子育てしている人だけが早く帰れるということになると、すごく不公平感が醸成されるので。
今、労働時間から変えようと思ってるのは、労働時間でギスギスしてしまう職場が多いんですね。独身の人にももちろんライフはあるわけで。独身だからって無制限に仕事に時間を注ぎ込まねばいけないというのは、その人の成長のためにもよくないんじゃないかなと。
私がこの話を男女共同参画会議でして、「独身の男性だってAKBのライブに行きたいかもしれないですよね」と言ったら、後ろのほうで真面目な顔をした官僚の人がピクッとしたので「行きたいのかな?」って思いました(笑)。
(会場笑)
西村:意外と官僚の方もアニオタ、アイドルオタが多いですよね。
西村:ありがとうございます。あっという間に15分になってきたので、まずTwitterでいただいた質問からお聞きします。今日は小学校の教員の方もいらっしゃっていて、「この働き方改革の潮流は、教員にも広がっていくのか?」と。
教員の方も、授業時間も増えてしまった中で、準備の時間含めて実は長時間労働を余儀なくされているところがあります。このあたりは白河先生、いかがですかね?
白河:今ちょうど教員の方たちが立ち上げられた「教員の時間外労働にも上限を」という署名活動がchange.orgで行われています。
安藤(哲也)さんとか私とか小室(淑恵)さんとか、みんな呼びかけ人になっているんですけれども。あれは教師の方から始まった1つの動きで、けっこう署名が集まっているのでぜひみなさんにもご協力いただきたいです。
あともう1つは、8月にイクボスの川島(高之)さんたちとフォーラムをやるんですが、今度は保護者の方の団体で「コヂカラ・ニッポン」という団体があります。
子どもたちと一緒に過ごす現場の先生が長時間労働なのは、保護者から見てもいかがなものか。ということで、保護者の面からの「長時間労働をやめましょう」という動きも、もう立ち上がっています。
私は、働き方改革実現会議で自分のプレゼンをいろいろ持って行きましたけれども、最後のほうではもうだんだんネタも尽きてくるわけですね、10回もやると。最後は教師の長時間労働の話をやろうと思って、さまざまな実例や取り組みを集めて、その資料を出しておいたんですよ。
そうしたら、教師の長時間労働問題をずっとやられている方から、その資料がそのあとの中教審(中央教育審議会)などで取り上げられて。大臣もやる気らしいと聞いたんですね。ですから、会議の委員をやられる方は、とにかく資料を出しておくということですね(笑)。
西村:すばらしいですね。そこはすでに動きが進んでいるということですね。
白河:そうですね。中教審の分科会でちょうど話が出ているところです。
西村:ありがとうございます。では残り15分間で、みなさんもお聞きしたいことがあれば、挙手していただいてどんどんご質問いただければと思います。ぜひ、これ聞いてみたいと思う方、いかがでしょうか? あっ、ではどうぞ。
質問者1:ありがとうございました。会社で人事や労務などの仕事をやっています。特に白河先生への質問だと思うんですが。今の話に関連するかもしれないんですけれども、働き方というところに行政がどれぐらい真剣にコミットしてるのか。そこが今、少しぼんやりしているのかなと思っていて。
というのは、この3月に働き方改革の「現場で労働時間の上限をやりましょう」という話なんですけれども、結局ここってスタート地点で。この後、今お話しいただいているようなことを実現するところまで変えなきゃいけないと思うんですが。
「今のところで行政としてはお終いだよ」となってしまうと、ちょっとこう、社会全体が停滞しちゃうのがすごく怖いなぁと。今後、行政としてどれぐらい真剣に取り組んでいくのか、知見があればお話しいただければと思います。
白河:そうですね、たぶん電通に突っ込んでいった過重労働問題とか、ああいう動きは折りに触れ、今後もあるのではないかと思います。ただやっぱり、ちょっと企業も政府に任せすぎてるというところがあると思っていて。
西村:だいぶ受け身ですよね。
白河:働き方改革に取り組んでいるところは、「人手不足」「イノベーションがない」「いい人材が来ない」など、本当に危機感からやってるんですよね。「『かとく』(過重労働撲滅特別対策班)が来ないようにどうすればいいのか」という対策ではなく。経営課題として本当に取り組んでいるので。
「自分の企業の将来を考えたらなにが必要なんだろうか」というところにぜひ向かい合っていただきたいです。
白河:あともう1つはマスコミも重要ですね。たぶん2年後には、労使で最高100時間以内の何時間を結ぶかというのを、みんな結ばなきゃいけない。そういう法律ができると思っています。
その時はマスコミで特集されるわけですよ。「うちの企業は80時間」となったらやっぱりすごくまずいじゃないですか、学生とかに。今、長時間労働の企業には来ないので。
そういうことも鑑みて、マスコミも、企業も、政府も、みなさんのほうから声を上げていただきたいなと思っています。特にパワハラとかセクハラとか、ぜひもう少し声を上げていただきたいなと。みんなでの取り組みで変わっていくと思うんですよね。
堀江:補足的ですけれども、本当に国は本気なんですね。働き方改革の基本法だけではなくて、男女共同参画のほうにも働き方のものが入っていたり、すべてに働き方が関わってきていたりするので、かなり本気で進めようとしている。
そのときに白河先生さんがおっしゃっていたように、企業の声ってすごく重要なので、ネガティブな発言をしないことがすごく大事です。
ここは日本なので、ネガティブ発言が出ると、「ハレーションが起こるよね」「やっぱりやめようか」みたいになってしまう。「これをやるのが本当に大事なんだ」ということを、しっかりと明確に企業に伝えていくことが重要です。
任せすぎないというのはそういうところで、よかった事例とか、まだ結果は出てないけどやり続けたいというメッセージをどんどん出していくことがすごく重要だと思います。
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