2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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西村創一朗氏(以下、西村):続いてお聞きしたい方、いらっしゃいますか? はい、ぜひお願いします。
質問者2:どうもありがとうございます。私は企業の人事の仕事をしています。学生の採用も担当している関係で質問なんですけれども。
働き方改革ということで学生も非常に注目をしてるんですけれども。ある大学のキャリアセンターの先生が「効率化と言っている間は、それは君たち、働き方改革じゃないから」と言われてですね。
もちろん効率化は必要だと思うんですけれども、企業の中で改革の本丸は、先生方、どういうところにあるとお考えでしょうか。
白河桃子氏(以下、白河):「本当に多様性を望むか」というところですね。申しわけないけど、今までの女性活躍推進っておざなりだったと思うんですよ。本当に女性がほしい企業は本気でやるけど、そうじゃない企業は「制度をつくりました」で終わっていた感じがすごくするんですね。
なので、「本当に多様性がほしいのか」「女性に活躍してほしいのか」というところの本気を見せてほしいなと思っていますね。「効率化しました」「テレワークの制度が入りました」だけだと、「表面上にシステム入れました」だけになってしまうんですよね。
本当にそれを推進したいのかというところで、私は「社長の発言を聞け」と必ず言いますね(笑)。申しわけないんですけど、リクナビ、マイナビを見てるだけじゃダメだよと。社長が本気で発信しているかどうか、時間を使って発信しているかどうかがけっこう重要だよ、という話をしています。
堀江敦子氏(以下、堀江):(スライドを指して)学生の意識についてのスライドを用意したんですけれども。
採用の部分でいうと、少子化の波がすでに起きています。100人採りたいと思ったら何人ぐらい採れるかという採用充足率が、83パーセントなんですね。100人採ろうとしても、83人しか採れないという状況があります。非上場企業だと70パーセントとなる状況です。
その中で学生たちがなにを求めているのかというと、働き方を求めてはいるんですけれども、別に制度をやってほしいと言っているわけではないんです。「自分たちもちゃんと仕事を効率化しなきゃいけないよね」という風土を求めています。制度だけつくっていても、結局は見破られているんですね。
これは3日間で160人に回答してもらったアンケートでは、「5時に退社するために特に必要なことってなんだと思いますか?」というと、1位に「制度」は来ないんですね。1位は「職場の風土」ですね。
そして「日々の仕事の効率化」が次にあって、そのあとに「制度」なんですね。なので、みんなが働き方を意識している会社なのか、そういうことをちゃんと言い合える風土なのかをすごく感じているところがあります。
実は大阪ガスさんで4年間ぐらい、採用の活動や内定辞退防止の活動を一緒にやっていました。そこでは理系の男子もインターンに参加するんですけれども。
京大の理系男子が大阪ガスに入社すると決めたのはなぜかというと、「長期的に働き続けるということを見せてくれた会社は初めてでした」「それまで採用活動って、自分が採点されるというイメージしかなかったけれども、本当に働き続けて、ちゃんとプライベートも含めて、生活ができる会社なんだっていうことがリアルに想像できたから、ロイヤリティが高まりました」と。理系男子がこぞって内定をしていったんです。
男性でさえも、理系でさえも、そういったことを考えているということは、制度だけではなく本気さというところを見ている。社長の話を聞くというところは重要なのかなと思います。
西村:すばらしいですね。今時の学生は賢いわけですよね。「制度だけあっても、どうせ使われてないでしょ?」ということがわかってるわけですよね。
堀江:自分がサステナブルに生きられないんだったら、会社もサステナブルじゃないよねという(笑)。それは世界的にどうなの? というところはすごく見ています、頭がいい子ほど。なので、頭がいい子ほど入ってくる会社になると思いますね。
白河:あと、情報が漏れちゃうから隠せないんですよね。5年ぐらい前に電通のようなことがあって、5年間ぐらいすごく働き方改革に取り組まれた会社が、今年やっと学生がちゃんと選んでくれるようになった。
やっぱり1回ブラックの噂が立ったことの弊害はものすごいですよね。いくら制度をつくっても、中身はバレてしまう。最近の学生はもう絶対にごまかせないと言ってましたね。
西村:ありがとうございます。残り1つか2つ、ご質問を受けられれば思いますが。はい、ではそちらの男性の方お願いします。
質問者3:今日は貴重なお話ありがとうございました。私は100名を超える企業でオープンイノベーションのマーケティングという部分をやっているんですが、まさに役員は全員男性で。女性の意見はたぶんまったく上がってこない。
役員は役員でがんばっていると思うんですが、そこの食い違いみたいな部分が非常に大きいのかなと思っていて。このへんはどの企業でも抱えている課題だと思うので、ぜひなにか知見があれば教えていただければと思います。
白河:やっぱり製薬業界は女性がたくさんいるわりには活躍できないんですね。MRさんって、営業の女性は10年で10分の1になってしまうんです。女性に活躍してほしいというけれども、ぜんぜん食い違っている。
そこで、ある製薬会社さんが女性が活躍するための試みとしてなにをあげたかというと、管理職研修だったんですね。まず管理職の意識を変えろということで、まさに管理職自体の長時間労働を改めよという研修をされたのが非常に印象的でした。
昨日、ドラッカーのマネジメントスクールの先生からも、人をマネジメントする人は、まずセルフマネジメントができないといけないんじゃないかと(笑)。非常に厳しいお言葉をいただいております。
質問者3:どうもありがとうございます。
堀江:補足的なことなんですけれども、2つありまして。1つはもちろん管理職なんですが、管理職と女性社員をかけ合わせるような研修をしています。
部下役と上司役に分かれてもらって、それぞれの状況とか価値観が台本に書いてあるんですね。すごくいい上司といい部下なんですけれども、6分間コミュニケーションしてもらうと、相手が言っていることがぜんぜんわからなかったり、不安だったりして。お互いのやりたいことが実現できないということを体感してもらうんですね。
そういうふうにお互い感じることがどれだけ違うのかを体感してもらいつつ、じゃあどう自分が発信するのか。結局はコミュニケーションの問題で、想像したってわかんないんですよ。
なので、ちゃんと自分の意見を言うこと、そしてちゃんと聞くこと。当たり前のことなんですけど、それをしないで「きっとこうだろう」と思ってやってしまっている。
今までは、それこそ男性だけで単一だったということもあると思うんですけれども。まずは「人とは違うんだ、聞いてみよう」と変えていく。あとは、男性は競争の生き物なので、女性の管理職研修でも、男性の管理職の時と同じように「とりあえずお前が行け」と1人アサインしてゴー! という感じで女性に対してもやってしまうんですよね。
でも女性は、周りにそういった人がいないと不安になってしまうので、必ず人数はある程度設けて、2~3人でちゃんとトップに上げていく。
あとはちゃんと継続的にフォローアップする仕組みをつくる。うちは「メンター制度」というプログラムをつくってるんですけれども。女性にとっていいかたちの女性管理職の育て方というのがやっぱりあるので。そういうところに注目しています。
西村:管理職と女性社員を組み合わせるということですね。
西村:ありがとうございます。まだまだおうかがいしたいところではあるんですが、あっという間に時間になってしまいました。最後にお2人からそれぞれ、メッセージということでお言葉をいただければなと思います。
まずは敦子さんからお願いします。
堀江:私たちがこの白書をつくった経緯というのは、結局、社会問題にしたいということなんです。こういったことが現状としてわからなければ、なにをやったって意味がないですし、女性が活躍できなければ、そのあとの介護や外国人、障害者も活躍することは難しい。
そのために、まずはこれを社会問題として周りが知っておく、ということをしていきたいと思います。なので、拡散してください、配布してください。無料です(笑)。ぜひやっていただきたいと思います。
あと、9月からキャンペーンをやって、取材やコラボをしていきたいと思っています。みなさんのお手元にこの「両立不安白書を私たちは応援します」という、応援メッセージを書けるものがございます。
ここに本日メッセージをいただきまして、うちのスタッフが写真を撮らせていただきまして、Facebook とかにガンガン上げていきたいなと思っています。
いろいろな企業さんと共同していろいろなことをやっていきたいなと思っています。これは女性のためだけではないと思っています。男性も自由に生きていくためには、一緒にやっていくということがすごく必要だと思いますので。
ぜひこれは社会問題にして、「あさイチ」で「両立不安」がテーマで特集されることを目標にしておりますので(笑)。あさイチでイノッチに言ってもらうというところが。
(会場笑)
西村:あさイチ、ピンポイントなんですね(笑)。他の番組は受け付けません、と?
堀江:いえいえ、全部やりたいんですけど(笑)。それをイメージとして持っていただければなと思っています。ぜひ、ご協力いただければと思います。今日はありがとうございました。
西村:ありがとうございます。
(会場拍手)
両立不安白書は昨日リリースされたばかりということもあって、ググってもまだ上に出てこないんですが。Twitterで調べれば白河先生のツイートが出てくるので、そこから飛べますので。
白河:Facebook とかいろんなところに拡散していますので、よろしくお願いします。
西村:では先生、最後にお願いいたします。
白河:はい、ありがとうございました。働き方改革、まさにこれからなんですよね。
働き方改革ということで、表面的な施策だけが進んでいるような感じがしています。ぜひ、一律から多様に、それから量から質に、そして他律から自律に、働き方が進んでいくということを考えて、本質的なところで捉えていただきたいなと思っています。
それから残業上限に関しては、けっこうつらいという若い人の声もあるんです。これは事実なんですけれども。
この間、ライフネットの出口(治明)さんと話して、「若い頃は長時間仕事に取り組んだほうが成長するという意見もあるけど、どうですか?」と聞いたら、「いつもそういうことを言われるけど。『それですごく効率がよくなった、成長したという知見があったら持ってきてください』と必ず講演会で言うんですけど、誰も今まで持ってきてくれた人はいません」と言われて(笑)。
(会場笑)
やっぱり長時間労働って、思考停止しちゃうんですよね。やった気になっちゃって、仕事に溺れると気持ちがいいところがあるじゃないですか。そこは反省しなきゃいけないところなのかなと私自身も思っています。
やった気になって気持ち良いけれども、それが本当は他の人を苦しめていないか? そういったこともぜひ、大きな広い意味で捉えていただきたいなと。ただの残業削減だけでは終わってほしくない、という思いでこの本を書きました。ぜひよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。
西村:ありがとうございました。
(会場拍手)
改めて今日は朝早くからありがとうございました。今お2人におっしゃっていただいたとおり、働き方改革は、本当にこれからかなと思っています。
大事なのは、企業が政府の変革を待っていてはいけないのと同じように、我々働く個人も、企業が働き方改革をしてくれるのを待っているだけじゃダメだと思っています。
やっぱりあらゆる企業も、紐解いていくと、その改革の起点になっていたのは他ならぬ個人なんですよね。なので、みなさん一人ひとりの動きが企業を変えるし、社会を変えると思います。ぜひ『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』を1冊買っていただいてですね、上司の机の上に置いていただくとか……。
(会場笑)
あるいは「両立不安白書」を印刷して置いていただくというところからですね、ぜひ始めていただければなと思います。今日は朝早くからありがとうございました。
白河・堀江:どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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