2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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白河桃子氏(以下、白河):そして、これから女性の意識に訴えかけるにはなにをすればいいのかということを一緒に取り組んでいる堀江敦子さんが、「両立不安」というキーワードで語ってくれますので、よろしくお願いします。
堀江敦子氏(以下、堀江):はい、みなさまおはようございます。スリールで代表をしております堀江と申します。
スリールでは、7年前から仕事と子育ての両立体験プログラムというのをやっております。主に大学生や若手の社員が子育ての家庭へ生き、仕事と子育ての両立をリアルに体験してもらうことで、自分の将来のライフキャリアを描いてもらうことをやっています。
今回、「両立不安白書」ということで資料をつくらせていただきました。
「両立不安」とはスリールの造語です。仕事と子育ての両立について、今、子育てをしていて悩んでいる人の声ってよく聞きますよね。だけれども、そのやっている人ではなくて、それに直面する前の、子育てをする前の時から不安を抱えていて、さらにその不安が原因で仕事を諦めたり、子どもの妊娠・出産を諦めたりする人がとても多い。そのことを社会問題にしていきたいということで白書にしました。
「行政から委託されたんですか?」とけっこう言われるんですけど、自主調査でやりました。お金も全部自分たちで出したんですけれども、フリーダウンロードでやっています。
これをいかに社会問題にしていけるかというところで今回白書にしました。こちらの内容の読み解き方ということをやってきたいと思います。
堀江:15分しかないので、冒頭5分間でスリールの話をさせていただいて、そのあと10分間で両立不安白書についてやっていきたいと思います。
「自分らしいワークライフの実現」というのがスリールのミッションでございます。自分の人生を諦めないで納得した選択ができる人を増やしたい。
別に、仕事と子育ての両立をみんながしなさいということではなくて、自分がやりたいことをちゃんと実現できる人を増やしたい、というところでやっております。
私の自己紹介なんですけれども、こちらはサラッと終わりたいと思います。もともとは楽天という会社で3年半マーケティングリサーチをやっておりまして、そのあと2010年にスリールを立ち上げました。
子どもが大好きで、200人以上の子どもを見てきたというような経験があるんですね。中学生時代からやっておりました。そういうところから、日本って子どもが生まれたり、介護したりというライフステージが変化するだけで生きづらくなるなというのをすごく感じて。
子どもが生まれるだけで働けないのか、介護するだけで生活しづらいのか、というのはおかしいなとすごく思ってですね。もっと自分の先のことを考えて、みんなが生きやすい社会をつくっていける人を増やしたいなという思いから、そういった体験型プログラムを始めています。
今は、内閣府の男女共同参画推進委員という、年間の重点項目を決めて予算を決めるといった行政の委員もやっております。30代前半って私しかいないんですけれども。そういった委員を白河先生と一緒にやらせていただいたり、あとは大学の講師なども行っております。
堀江:ワークライフ・インターンとはどういうものか。
先ほど口頭でお話ししましたが、子育て前の人が共働きのお家に行き、保育園にお迎えに行ったり、一緒にごはんを食べたり、お風呂に入れたり……ということをしていきながら、実際に仕事と子育ての両立ってどんなふうにしていくのかを体験していく。そうすることによって、自分のキャリアを考えていきます。
実は、マネージャーなどにもこういった体験をしてもらっております。そういった管理職の方に子育て体験をしてもらうことで、自分と違う他者がどういった経験をしているのかを考えて行動していく、というプログラムになっています。
過去600人以上の人に体験をしてもらって、企業のなかのコンサルも行っています。
先ほど言ったみたいに、実際にリクルートさんと一緒に「育ボスブートキャンプ」という名前で、マネージャーが子育て体験みたいなことをやっているんですけれども。
マネージャーが忙しい仕事を5時に終わらせて、保育園にお迎えに行って、子どものご飯をつくって、子どもと遊ぶということをする。そのことで、働き方改革、時間効率を上げていく、ダイバーシティマネジメントというところ、両方を同時に活かしていくことをやっています。
このプログラム・講座を実際に体験してもらって、その体験を経た上で、「会社の中でどういった取り組みをしていけば多くの人が生きやすい、働きやすい環境になるのか」ということをマネージャーが言ってくれたり。
学生の場合には、10年後自分が仕事と子育てを両立するときにどんな社会にしていきたいのかを、当事者意識を持ってプレゼンしていくことをプログラムとして行っています。
そういった自主的に動くプログラムと。あとは、自分と違う他者をかけ合わせていくことによって、自主性と他者理解というのをプログラムの中で構築していき、自分らしく動けるような人を育成していくことをやっています。
堀江:学生の場合なんですけれども、実際インターンをすると意識がどう変わるのかというと、「社会に出るのが楽しみだ」という人が87パーセントに上がるんです。
もともと仕事というと「つらそう」「電車でおじさんが疲れてる」「大人になりたくない」みたいな話があるんですけど(笑)。「こんなに楽しく仕事している人がいるんだ」ということがわかっていったりする。
あとは、「仕事と子育ての両立はしたいですか?」と聞くと、だいたいみんな「したい」と答えるんです。しかし「できる自信がありますか?」と聞くと、13パーセントしか「自信がある」と答える人はいないんです。ですが、こういったインターンを経ると、6割の人が「できる」というふうに、自信を持てるんですね。
けっこうハードな聞き方をしているんですね。「制度が整っていない会社でも、自分次第で仕事と子育てを両立する自信がある」と、そこまで言っている人が6割に増えていくというようなかたちで。漠然としたネガティブイメージを持っていた人が、前向きになっていくということがわかっています。
今まで600人以上のインターン生がいて、就職した人も400人以上います。実は、ここの写真には写ってないんですが、男子学生もいます。結婚・出産をしていながら、仕事と子育てを前向きに行動できるようになっていっています。
堀江:要は私たちがやりたいことってなんなのかということなんですけれども。
自分たちが自分らしく生きていきたいと思った時に、やっぱりいろいろなストッパーがあるわけですね。ストッパーというのは、ハード面で言うと、制度、働き方の問題や、育児サポートとか、いろいろな仕組みとしてできない環境というところ。
そして、ソフト面で言うと、意識の問題というのはやっぱりあると思うんですね。「自分がしなきゃいけない」「こうしなきゃいけない」「誰かに迷惑かけちゃいけない」「先が見えなくて不安」とか、そういったソフトの面からストッパーがかかって、できないと思ってしまっている人がとても多い。
私たちはもちろんハード面もやっていくんですけど、どちらかというと、もうハード面はある程度整ってきていると思っているんですね。そこから「自分でやっていくんだ」という意識に変わっていく人を増やしていくために、この意識のストッパーを外していくことを特に行っています。
若手やマネージャーに向けてそういう取り組みをやっていて、自分らしいワークライフの実現していく。「スリール」はフランス語で「笑顔」という意味なんです。
どんな人生を選択してもいいんだけれども、自分がやりたいことを諦めるのではなくて、自分でやれるように努力したり、いろいろ交渉したりしながらやっていくと、他責ではなくて自分で進んでいける人が増えてくるんじゃないかと思っています。
その上で、仕事と子育ての両立では、まだまだこのストッパーが強いと思います。「両立ってできないんじゃないか」「つらいんじゃないか」みたいな。そういったところの意識を改革していくことによって、より自分らしく生きられる人が増えるんじゃないかなと。そこの部分を注力して行っています。
それで、企業のなかでも、若手など子育て中の人を結びつけて、お互いを理解するような取り組みをして、会社の風土を変えていくということを行っていったり。対象が先ほどから学生とか社会人とかマネージャーとかいろいろあったと思うんですけれども、そういった企業のなかで変えていくということを社会人とマネージャー向けにやっています。
また、意識を変えていくというのは大学生の時から、就職する前からやっていったほうがいいんじゃないかということで、自主事業としてもやっていますし、大学のプログラムに入れたりしています。
あとは行政に入って、京都府の事業としてこのインターンをやったりもしています。いろいろとプログラムはメディアにも出させていただいています。
堀江:というところで、両立不安白書ができるまでをここからお話していきます。まず経緯としましては、「ゾンビのように現れるモヤモヤ女子」ということなんですけれども(笑)。
私は600人の人生、学生たちに関わっています。年間1,000人以上、たぶんこれまでに10,000人以上の大学生や、若手女子にも会ってるんですけれども、みんな毎回毎回こんなことを言うんですね。
「親が専業主婦なので、両立しているイメージがわきません」「仕事をがんばりたいけど、両立するなら仕事をセーブしながらじゃないとできないかも」「そもそも周りで働きながら育てている人がいないので、ぜんぜん想像できません」「自分は仕事をがんばりたいけど、パートナーがそれを求めてないかもしれないし、会社の人、周りの人にも迷惑かけちゃいけないし、じゃあ自分から諦めたほうがいいのかな。誰にも言ってないけど」。
みんなモヤモヤしてるわけですよ。どんなに7年間やってもですね、ゾンビのように増え続けるわけですよ!
(会場笑)
これをどうにかしないと、もったいないというか。「もう、ちゃんとやりなよ!」みたいな感じで(笑)。そういう思いがすごくあってですね、モヤモヤが止まらないわけですね。
それをどうにかしたいなと思った時、いろいろな調査をしたり、資料を見てみるわけです。やはり60パーセントの大学生が専業主婦になりたいと言っているんですね。
「本当に専業主婦になりたいの?」と聞くと、「いや、違うんですよ。仕事がつらそうだし、大変そうだから」「子育ても大変、そんな両立なんて無理」「仕事したら子どもがかわいそう」みたいな。そういったモヤモヤから、「仕事はがんばりたいんだけど、専業主婦でいいかな」というふうに思ってしまっている。
あとアラサー女子ですね。「両立が大変そう」と答えている人が97パーセントいます。実は「とらばーゆ」が(アンケートを)とってるんですけれども。「97パーセントって、全員じゃん!」ていう感じなんですけれども(笑)。
「仕事と子育ての両立、大変そう」ってみんな思っちゃってるわけですね。でも「私、やりたい」とは思ってるんです。
そういうモヤモヤが続くと、学生は「営業職でめちゃめちゃバリバリ働きたい」と思っていても、「両立するんだったらやっぱり事務職じゃないとダメかな」と思って、やりたいことを諦めてしまう。仕事が楽しくても転職するということがけっこう出てきてしまっています。
「これって漠然としたネガティブイメージから勝手に決めているよね? すごくもったいなくない?」「こんなに労働力もないのに、日本としてもみんなも求めている、自分も求めてるのに、なんでやらないんだろう? これはもったいない」と思いました。
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