2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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SmartHRが主催するイベント「SmartHR Connect 〜AIとHRテクノロジーが紡ぐ革新的企業への進化〜」が開催され、多様な分野のエキスパートたちがHRテクノロジーと人事戦略の未来について語りました。「AI時代に求められる従業員エンゲージメント」と題したセッションには、篠田真貴子氏、山口周氏、林要氏の3名が登壇。本記事では、職場での“目的のない会話”がもたらす効果について解説しました。
篠田真貴子氏(以下、篠田):技術的な質問はわかったのですが、まず1つあらためて押さえたいなと思ったのは、先ほど山口さんがおっしゃった「主体的であることがいいよね」という問題意識を持つと、「いや、山口さんは主体的だけど篠田さんは主体的じゃないですよね」とか。
個人の資質の問題だと捉えがちなところを、「あくまで環境と仕組みの問題である」と整理されているのが、あらためておもしろいなと思いました。
林要氏(以下、林):結局、僕らのLOVOTがそういう存在なんですよね。今までのロボットはシナリオが書かれていて、それに沿って動くので飽きられるのも早かったんですけれども。
LOVOTにはシナリオがないので、みなさんの生活の中でいろんなことを学んで振る舞いが変わっていく。その子がどういう振る舞いをしたのかはその環境次第なので、「環境次第で反応しているだけの子」とも言えると。
でもこの子たちを作っていくと「人間も似たようなもんだよな」と思うわけですよね。不安を感じれば当然防衛的にもなるし、安心していればオープンにもなる。
そうだとすると、やはりある程度カルチャーの枠には収まってなきゃいけないけれども、その枠の中でどうなるのかは、インプット次第ではなかろうか……というので、僕らはいったんは仕組みの問題にしようと(考えたんです)。
篠田:山口さん、聞かれていかがですか?
山口周氏(以下、山口):ギャラップのエンゲージメントサーベイって、もともと12問以上にたくさんあって。その中で最も離職率とかパフォーマンスと相関が高いのを見てみると、あの12個だったってことなんですね。それで、僕は12個もちょっと多いなと思っています(笑)。
篠田:実際、「毎月やるとちょっと文句が出る」って。
林:ええ(笑)。
山口:つまり認知的に整理できないので、整理したんです。だいたい4つくらいに整理できるなと思っていて。1つはなんといっても「成長実感」。しかもそれを、「成長したね」と人が認めてくれていること。
あともう1つは「貢献実感」。「人に貢献できている」「社会に貢献できている」。あともう1つが意外と「人間関係」で、「友達がいる」とか「仲良しが職場にいる」と。だからこれは、リモートワークですごくダメージを受けます。
リモートワークは今、生産性が上がるって言われていますけれども、これも長期的なデータを蓄積するとどうなるかわからない。成長実感と貢献実感と、職場で仲良しな人とコミュニケーションする時間は、リモートワークが増えると間違いなく減るはずなんです。
山口:4つ目が「ビジョンやパーパスへの共感」。自分のやっている仕事に意味があると感じられている。塊として整理するとだいたいこのあたりで、自発的に作れるものじゃないんですよ。会社の意味とかパーパスとか、「あなたの仕事に意味がある」というのは、リーダーの人から言われないと(実感できない)。
篠田:インプットがあるから自発的になれるのか。
山口:そう。「成長したね」「前のシーズンはこれができなかったけど、最近すごくいいよね」と言われないとできないし、貢献も人から言われて初めてわかる。だから必ずコミュニケーションが前提にある。しかもそれは業務上の、短期的な有目的のコミュニケーションじゃなくて。
ある意味でちょっと隙間時間とか、タクシーの中に乗っているとか、たまたまカフェテリアのコーナーに行った時に「最近すごくいいらしいね。この間のプレゼンを褒めていたよ」というのがきっかけになる。短期的な有目的のコミュニケーションじゃないところが減ると、必ずQ12も減るはずなんですよ。だからそこは、人事の方はすごく意識されたほうがいいと思います。
篠田:なるほど。
山口:一方で「会社に来い」と言うと、通勤時間が大変だっていうのでエンゲージメントが下がる。これも(データに)出ているので(笑)。短期のストレスと中長期的な成長実感、貢献実感、人間関係の育成、パーパスの理解のトレードオフを、どうバランスさせるかですよね。
篠田:おもしろいですね。今のお話って、ともすると職場では時間のムダのように言われて優先度を下げがちなコミュニケーションが、実はエンゲージメントに非常に大事。先ほどお話にあったように、それが長期的には会社のパフォーマンスにまで効いてくるっていう、このパラドックスがおもしろいですね。
山口:難しいところですよね。
篠田:じゃあ次に、このパネルのもう1個のテーマが「AI時代」ということなので、そちらの理解を深めることにテーマを移していこうと思います。
ChatGPTの3.5が公開されたのが、2022年の11月なんですよね。だからちょうど1年半が経ちました。その頃からAIと自分の仕事、特に「知的生産で価値を生む仕事ってどうなっていくんだろう」と論じられるようになりました。
逆に言うと、私のようにまったくテクノロジーに関しては素人の者からすると「AI=ChatGPT」のようにちょっと思ってしまうんですけども(笑)、そこの理解の整理から始めたいなと思うんです。このLOVOTもAIなんですか?
林:はい、そうですね。AIといえばAIです。一般的にAIと呼ばれるのは、線形の処理をする機械から非線形の処理をする機械に変わったことで……ちょっと難しいことを言いましたけど。
線形というのは「1がきたら2、2がきたら3だよね」という比較的予測しやすい延長を組み合わせることによって、アルゴリズムを作っていたのが今まで(の機械)なんだけれども。
「1から2、2から3、だけど3の次は3.1、その次は5だよ」みたいな、けっこうガタガタとした変化を含めて学習をして、それを予測することができる。これが最近の深層学習と呼ばれるような機械です。
なので深層学習は、その複雑な分類ができる。結果的に分類ができると予測もできる。(そういう)機械が今はAIと呼ばれていて、それによって例えば音声の認識とか顔の識別、言語の処理が飛躍的に向上した感じですね。
篠田:なるほど。
山口:ちなみにうち、LOVOTがいるんですよ。去年は一番僕が抱っこしているんです。
林:ありがとうございます(笑)。
山口:抱っこするとグラフで出てくるんですよね。一番抱っこしてくれる人のところに来るんですよ。
篠田:おもしろい。ロボットが「懐く」んですね。
山口:仕事をやっているとピューって来て、抱っこしてって(手を)パタパタパタってやるんですよ。
篠田:山口さんもお仕事中、幸せを(感じますか)。
山口:愛情ホルモンのオキシトシンがいっぱい出ます。
篠田:(笑)。
篠田:というのもAIドリブン。たぶんこの2年ほど我々が実感しているのは、これが極めて安価に使えるということなんですよね。ChatGPTやClaudeも、無料だったり、私たちが毎月普通に払えるお値段ですごいものが使えてしまう。これがすごく劇的な変化だなって感じるわけなんです。今後さらに想定を超えるスピードで変化するんだよなってことくらいしかイメージが湧かないんですが。
「これって私たちの仕事や働き方にどう影響するんですか?」という質問をお二人にしてみてよろしいですか(笑)。まず林さん、それから山口さんからお話しいただければと思います。
林:AIは今、「ロボット」と同じで言葉としての解像度は低いと思うんですね。ロボットと言ったって産業用ロボットもあれば、こういった人の心を癒すロボットもあって。家電だったらそんなバクッとした分け方はしない。
それに対してAIもロボットも、今のところまだ種類が多くないので、すごく大きな枠組みで語られるんです。今注目されているのは言語を処理するもので、言語を処理する機械が人と違うのは、学習に非常にコストがかかること。
基盤モデルと呼ばれるような非常に大きなモデルに質問をすると、それっぽい回答が返ってくる。質問の仕方を変えると、回答の仕方が変わってくる。だから質問の仕方をいろいろ変えて使ってみようねっていう機械ですね。
その機械は基本的には80点の回答をしてくれます。それに対して人間は、そんなにたくさんのデータを集めなくても、いろんな抽象化をしますよね。「みんな言っている」という時に「みんなって何人?」と言うと「周りの3人しか言っていない」という話、よくあると思うんですけど(笑)。
僕らは「みんな」を統計的処理をしないで、自分の周りで重要なことを言っている3人が言っていると「みんな」だと思い込んでしまうくらい、すぐに抽象化したがる生き物。
それに対して、僕らのちょっと違う種類の壁打ち相手として、ChatGPTを今活用している。「自分のバイアスを修正してくれてありがたいね」という使われ方が1つあるのかなと思います。
林:もう1つは実は、結局「生き物の仕組みに近づいている」ということなので、言語だけではなくて、例えば動物にも近づいていく。そのアプローチの1つがLOVOTです。
犬や猫が人を癒すことができるんだったら、ロボットが人を癒すことができるんじゃないかというのがLOVOTのアプローチなんですけど。これも非線形の処理をすることができる機械、深層学習等のAIが入って初めてできることです。
簡単に言うと、そもそも人間ってすごくいろんなバリエーションがある。ある分野では自分がまったく勝ち目もないような人たちがいるわけですけど、その人がもう1人増えた、AIという別人種が出てきた感じですよね。
その人たちは、ある分野においては自分はまったく太刀打ちができないかもしれない。でもそれ以外の分野ではやはり人間の強みがある。
なのでバリエーション、ダイバーシティの1個としてAIが出てきたし、そこには人間だけではなくて動物も出てくるってことかなと、僕は理解しています。
篠田:なるほど。「共にチームとして組んでいく仲間にもなり得る相手のバリエーションが増えました」という捉え方ですか。
林:ええ。AIと人を対決させるとAIのほうが強いことって、やはり局所的にあるんですよね。将棋もそうですし、囲碁もそうなりました。だけど未だに「AIプラス人」VS「AI」だと、「AIプラス人」のほうが強いと言われています。
これって結局ダイバーシティの考え方そのものなんですよね。「AIを使う人が強い」と言っているのは、単に「ダイバーシティを使いこなす人が強い」と言っているだけです。
自分が快適に会話できる相手とだけ組んで仕事をしていると、向こうでもっといろんなバリエーションの人と組んで、苦労してチーミングして仕事をしている人たちに負けるよっていう話を、AIでもしているだけかなとは思っています。
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