AIの発達で「1億総ニート」の時代がやってくる?

メンタリストDaiGo氏(以下、DaiGo):というわけで、だいぶ専門的な話も含めていろんな未来が見えてきたと思うんですが。あと10分ぐらいなので、現場の技術的な話はいったん置いておいて。

2030年以降にいろんなAIが出てきて発達すると思うんですけど、みなさんが個人のレベルで「こういう暮らしをしているだろうな」とか「こういう生き方をしているだろうな」みたいなものがあったら、ちょっと教えていただきたいんですけど。じゃあこういうのが一番お得意だと思うので、あおちゃんぺさんからいきましょうか(笑)。

あおちゃんぺ氏(以下、あおちゃんぺ):(笑)。ぜんぜん得意じゃないんですけど、私の素人目線から言うと、『ドラえもん』の、特にドラえもんがいた場所。チューブ状の何かが空にあって、その中を車が通るみたいなことが、未来でできてたらいいなって思いますね。

DaiGo:今人間が想像していてもできてないことっていっぱいあって、普通はそれって科学者が作っていくものだけど、それをAIが作ってくれる時代になるかもしれないという話ですね。

あおちゃんぺ:うんうん。

DaiGo:夢があるな、確かに。いいですね。じゃあどうしますか?

茶圓将裕氏(以下、茶圓):一人ひとり聞いていきましょう。じゃあ木内さん。

木内翔大氏(以下、木内):7年後、6年後だったら、AGI(Artificial General Intelligence:人間のような汎用的な知能を持つ人工知能)に近いものができているだろうなと。そこに行くまでには、おそらくLLMがCPUみたいな進化の過程をたどるんじゃないかなと思います。

省略化してマルチモデル化していって、どんどん性能が上がって、何でも回答してくれる万能のAIになっていく。それがいろんなツールに統合されて、一貫してワークフローでエージェントみたいにいろいろやってくれる。

それこそGMOインターネットグループさんも、2023年に従業員数の10パーセントにあたる600人月相当の業務時間を創出しているということですが。今はサイバーエージェントさんとかも「2026年までに60パーセントの業務をAIにやらせよう」みたいな動きがあるので。

たぶんそういう技術力がある会社は、どんどん仕事はAIにやらせて、人間がビジネスの中では要らなくなってくると。そうするとやはりベーシックインカムみたいな議論になってきてしまうので、僕らはみんな1億総ニートみたいな(状態になりうると思います)。

深津貴之氏が考える、AI時代の理想の暮らし

茶圓:そこはめっちゃ賛成です。僕、いいですか。

木内:はい、どうぞ。

茶圓:6年後、2030年ですよね。攻めた話をすると、さっき話したように、AIが勝手にクラウドワークスで案件を取ったりしてお金を稼ぎだしたら、ベーシックインカム的に何もしなくてよくなると。

普通に仕事をしてたらストレスとかあるじゃないですか。VRだったら自分だけの理想の世界を作れるので、自分の好みの男性・女性といてわちゃわちゃして、サプリで栄養をとってひたすらボケっとしているんじゃないかなって。だからもう、5~6年後までの残りの時間は暇つぶしをしながら生きているみたいな。ちょっと攻めすぎですかね。

あおちゃんぺ:寝ていると筋力とかもなくなって、最終的に筋肉が勝つということになると思うのね。

茶圓:そういうことですね。つまり筋肉ですね。

あおちゃんぺ:結局筋肉(笑)。

DaiGo:一番筋肉を持っていたやつが最後まで生き残るね。

茶圓:筋トレして、VRを着けて終わりみたいな生活になりそうですね。この未来予想は攻めた感じですけど。

DaiGo:じゃあ、さらにディストピアを語ってくれそうな深津さんに、ちょっとお聞きしてもいいですか?(笑)。

深津貴之氏(以下、深津):ディストピアじゃないかもしれないですけど、基本はそういうAIの世界って、どんどんマシンパワーとか性能を含めて指数関数的に上がっていって、すごいモデルが出る。次に100億円でもっとすごいモデルが出る、と。『ドラゴンボール』の上のほうの戦いみたいに、どうにもならない勝負が高速で回転していくと思うんですね。

DaiGo:一般人には見えないみたいな。

茶圓:クリリンとかは蚊帳の外みたいな、そんな世界ですね。

深津:そうそう。「あ、上のほうでなんか光ってる」みたいなのがあって、ボラティリティ(数値やデータのばらつき具合)が高いと言うんですかね。どれが勝つかわからない、どれかに寄りかかってもそれがすぐ消滅しちゃうみたいな。そういう勝負の時、僕個人としては、変動しないものに足場を置くのが好きなんですね。

木内:ボラティリティが低いものですね。

深津:低いものに張りつつ、ボラティリティの高いところで遊ぶみたいな。そういうことを含めて「7年後、どうしようかな?」とか考えると、積立NISAとかがんばりながら、海のそばで暮らしたいですね。

DaiGo:(笑)。ああ、いいですね。

深津:つまり、海が近くにあって朝に泳げるみたいなのは、たぶんAIでリプレイスできない価値の1つ(だということです)。

2030年代には、スマホに代わるデバイスが生まれる

茶圓:VRの真骨頂だと、触覚・聴覚とかいろいろ騙して……。

深津:もう(脳に)刺すぐらいまでいけばね。

茶圓:今は非接触でも脳波を読み取ったりはできるので、(脳に)刺すぐらいになったら。所詮この現実は、五感の刺激で脳の処理がされていると思っています。「『この現実はすべてシミュレーションだ』というシミュレーション仮説もありえる」とイーロン・マスクさんは言っているので、5~6年じゃ厳しいですけど、10年、20年だったら僕も(ありえると思います)。

深津:長期だとあり得る可能性も。

茶圓:そうですね。

木内:「海で朝泳ぐ」ということで言ったら、DaiGoさんみたいなライフスタイルですかね。

茶圓:確かに。よくYouTubeできれいなプールから配信していますものね。

木内:僕は何度DaiGoさんの裸を見たことかと。

DaiGo:(笑)。

茶圓:渡辺さんに聞きますか。

渡辺圭祐氏(以下、渡辺):そうですね。今スマホやデスクトップでやっているものが(置き換わるような)、スマホの次のデバイスが2030年代には出てくるかなと思います。

茶圓:確かに。

渡辺:それがおそらくVRだろうと思っていて、目の動きとか体感で、思ったことや命令を直接キーボードを打たなくても勝手にやってくれる。それがエージェントになっていって、お金も稼げるみたいな未来は来ると思います。自分も将来的には、やはり脳にチップを埋め込まれたりとかで、仮想現実みたいな世界になると思っていますね。

茶圓:実験レベルですけど、けっこう今も、イメージしたら非接触で画像や動画、文字生成はできたりするので。念動力みたいなのはありそうですね。

木内:そうですね。じゃあ本田さん、いきますか。

本田崇人氏(以下、本田):僕は、2030年には仕事を辞められたらいいなと思っています。

茶圓:おお、いいですね。意識が高いか低いかわからない感じで。

本田:僕は今AIを作る側なんですけれど、これはむしろ願望です。「発展しまくって、俺の仕事をなくしてくれ」って思っています。

茶圓:逆に(笑)。

本田:そしたらもう、深津さんのお話に近いんですけど、海辺や山奥にこもって、晴耕雨読の生活がしたいなと思っています。

DaiGo:(笑)。

茶圓:そこにやはりみなさん原点回帰されるんですね。なるほどねえ。

ある壁を乗り越えたら、AIは一気に発展する

木内:本田さんとか渡辺さんが思うに、技術的な発展で言うと、2030年には「ここまで行くんじゃないか」みたいなところはどうなんですか?

本田:10年前にGPTが生まれることを予想していたやつって、誰もいなかったと思うんですよね。

茶圓:確かに。

本田:なので、正直僕にもわからないです。ただ、「こことこことここを越えられたら、一気に発展するんだろうな」というのはあると思います。先ほども言ったんですけど、論理的思考と、普通にエネルギーです。あとは今言おうとしたんだけど、何だったかな。

木内:でも(AGIが実現するには)60年かかるって言われていましたけど、核融合エネルギーができることによって、もうちょっと早く実現するんじゃないかみたいな話もありますしね。

茶圓:鶏卵論ですけど、核融合が先なのか、AGIが先なのかで言うと、どっちなんですかね? 

木内:でもすでに研究って、人間だけでやっている時代じゃないですよね。たぶんLLMとかを使いながら、人間とAIで研究するのはすでに来ている現実なので。

DaiGo:最近、新しい素材が見つかったみたいな話が出ていましたね。

木内:ああ、出てた出てた。そういうシミュレーションもAIは非常に相性がいいので、科学技術が発展していく中で、もしかしたら早くブレイクスルーが来るかもしれないですよね。

本田:今更ながら思い出したんですけど、理論の構築でした。AIが実験的にうまくいくからと言って、どんどんパラメーターが大きくなっているけど、その背景として「どうしてそれで本当に性能が上がるのか」の数学的な証明が必要かなと思っています。

茶圓:なるほど。

DaiGo:「効率がいいAIができる基盤」みたいなものですね。

本田:そうですね。

1日5時間以上の可処分時間があると、人は不幸になる

木内:DaiGoさん的には、2030年の人間に求められるスキルセット、マインドセットみたいなのはあったりするんですか?

DaiGo:結局僕らって、「なんで働いているの?」と言ったら、幸せになるためじゃないですか。幸せになりたいと思うと、僕らは今忙しすぎて時間が足りないと。「時間が足りない」という焦りは、パフォーマンスをめちゃめちゃ落とすし、幸福度もめちゃめちゃ下げるということは、もうわかっているわけなんですよね。だからAIが生まれるんです。

じゃあ例えば今、熊谷(正寿)さんが太っ腹に、「君に100億円あげる」って、100億円を誰かにあげたとしますよね。「働かなくていいや」と言って仕事を辞める人います? たぶん誰も辞めないんですよ。

ビル・ゲイツもそうだし、世の中のいわゆる大富豪の人たちって、もう一生働かなくてもいい人たちですが、死ぬほど働いているじゃないですか。なぜかと言うと、確かに仕事は一定量を超えると不幸になりますが、一定量を下回ると逆に不幸になります。最近僕が読んだ、可処分時間に関するおもしろい研究があって。

可処分時間というのは、何の義務感もなくぼうっとしてもいいし、Netflixを見てもいいし、インスタで美女を探してもいいし、何をしてもいい自由な時間ですね。みなさん、1日にどのくらい可処分時間があったら幸せですか? 

これを聞くと、ほとんどの人は「なるべく多い量が欲しい」と言うんですよ。実際は違うんですね。可処分時間は1日2時間以下になるとめちゃめちゃ不幸になります。

2時間は何もせず自由にできる時間がないと、人は駄目なんですが、5時間を超えると同じくらい不幸になります。「自分の人生を無駄にしている。何のために生きているんだろう?」となります。

茶圓:確かに。土日にダラダラしたら、ちょっと後悔しますものね。わかります。

DaiGo:正月を思い出してもらえればわかりますよ。5時間以上自由な時間があって「ムダにしたな」って思うじゃないですか。だからAIが発達しても、たぶん5時間以上の自由時間が生まれると、人は耐えられないんですよ。

木内:なるほど。

可処分時間を埋めるため、趣味で働くようになる未来

DaiGo:結果どうなるかと言うと、仕事が乗馬と同じになると僕は思うんですよ。乗馬って、昔は移動手段でした。でも今はみなさん、通勤で馬を使う人はいなくて、車とか電車ですよね。昔は通勤手段だった馬は、今どうなったかと言うと、趣味ですよね。

茶圓:確かに。おもしろいね。

DaiGo:だからたぶん仕事が乗馬化して、趣味で仕事をするようになります。

茶圓:みんな「お金は要らんから、働かせてください」となって、ブラック企業がいっぱいできるみたいな。

DaiGo:別に人間はやらなくていいのに、「俺、営業をやっている時、生きているって感じがするんだよね。だからAIを使わないで、人力で営業をやってるんだ」みたいな。ゴルフスクールみたいな感じで、そこらへんに営業のスクールとかができるんですよ。

茶圓:絵画を描くノリでパワポを作るとか、「心を込めて作ろう」みたいなパワポスクールが。

DaiGo:そう。意味はないんだけど、「心を込めて作る体験がいい」とか。そうやってあらゆる仕事が、5時間以上の可処分時間を埋めるために作られるようになって、その仕事を発注する、人の時間を奪ってくれるAIが生まれるんじゃないかなと思っています。

茶圓:なるほどなるほど。

DaiGo:たぶんその頃には(そういった未来が)できているんじゃないかなというのが僕の予想でした。あ、これ、こうやって鳴らすもの(笑)?

茶圓:ようやくゴングが、初めて鳴りました。

DaiGo:はい、満を持してやりましたけど。というわけで、すごく専門的な話から、ドラミちゃんの話まで。いやあ、おもしろかったですね。ここでタイムアップとなるのですが、みなさんありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

(会場拍手)