2024.10.01
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安倍晋三氏(以下、安倍):通常国会が明後日閉会となります。60年ぶりの農協改革、患者本位の医療制度改革、電力に関する事業の自由化。長年日本の成長を阻んできた岩盤のように固い規制を打ちぬくための法案が、いずれも成立いたしました。
行政改革、女性の活躍、教育再生のための法案も成立し、戦後最長、8ヵ月間にわたった通常国会は、まさに戦後以来の大改革を成し遂げる歴史的な国会となりました。
この国会では、平和安全法制も成立いたしました。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。戦後70年守り続けてきた、この不戦の誓いをより確かなものとしていく、そのための強固な基盤を作ることができたと考えています。
我が国を取り巻く安全保障環境は、私たちが望むと望まざるとにかかわらず、厳しさを増しています。北朝鮮は日本の大部分を射程に入れる数百発の弾道ミサイルを保有し、そのミサイルに搭載可能な核兵器の開発も、深刻の度を深めております。
さらに、テロの脅威は世界中に広がっています。いかにして子供たちに平和な日本を引き渡していくか。あらゆる事態に切れ目のない対応ができるよう、しっかりした備えを行なう。万が一日本に危険が及んだときには、日米同盟が完全に機能する。そしてそのことを世界に向かって発信していく。戦争を未然に防止し、地域の平和と安定を確固たるものとする。それが平和安全法制であります。
衆参合わせて200時間を超える審議を通じて、維新の党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革といった野党の皆さんからは、こうした厳しい現実、危機感を共有していただき、具体的な対案が提出されました。
単なる抵抗野党ではなく、責任野党として、現実を直視し、自らの政策や立場を明確にする。国民から負託を受けた国会議員としての極めて誠実な態度に、心から敬意を表したいと思います。
真剣な政策協議の結果、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の野党3党の皆さんには、平和安全法制に賛成していただきました。
前提として、自衛隊出動について、国会承認など、民主的統制を強化することで合意いたしました。民主主義のもと選ばれた政府が、国民の代表が集まる国会のしっかりとした関与のもとで判断をしていく仕組みであります。
私も含めて、日本人の誰一人として、戦争など望んでいない。当然のことであります。世界に誇る民主主義国家の模範であるこの日本において、戦争法案といったレッテル張りを行なうことは、根拠の無い不安を煽ろうするものであり、全く無責任である。そのことを改めて申し上げたいと思います。
もし戦争法案であるならば、世界中から反対の声が寄せられることでありましょう。しかし、この法制については、世界のたくさんの国々から支持する声が寄せられています。先の大戦で戦場となったフィリピンを始め、東南アジアの国々、かつて戦火を交えたアメリカや欧州の国々からも強い支持をいただいています。
これは今回の法制が決して戦争法案などではなく、戦争を抑止する法案であり、世界の平和と安全に貢献する法案であることの証であると考えています。
こうした点について、国民の皆さまの理解がさらに得られるよう、政府として、これからも丁寧に説明する努力を続けていきたいと考えております。
いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜いていく。そのためには、安全保障の基盤を強化すると同時に、平和外交をいっそう力強く進めていくことも重要であります。
さっそく明日から、国連総会に出席するため、ニューヨークに向かいます。欧州に押し寄せるシリア難民の問題をはじめ、世界は常に様々な課題を抱えています。そうした時代にあって、世界の平和と繁栄に貢献する日本の強い意志を表明してまいりたいと考えています。
国連総会は世界中の首脳が集まる絶好の機会でもあります。可能な限り首脳会談を行ないたいとも考えています。秋には3年ぶりに日中韓3ヵ国による首脳会談も実践したい。それから、中国、韓国、ロシアなど近隣諸国との関係改善に、これまで以上に力を入れて参ります。
地球儀を俯瞰する視点で、今後も積極的な外交を展開していく考えであります。
日本に戻れば10月であります。新しい3本の矢によって、少子高齢化という構造的な課題にチャレンジする。「一億総活躍」の時代を作り上げていくための新たなスタートを切りたいと考えています。
心機一転、まずはそのための新しい体制を整えていきたい。帰国次第、内閣改造を行なう考えであります。その際、「一億総活躍社会」作りに腰を据えて取り組むため、新たに担当大臣を設ける考えであります。
アベノミクスはいよいよ第2ステージ。本丸攻めへと移っていきます。国民の皆さまのご支援とご協力を引き続き賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。
私からは以上であります。
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