ネット屋は失敗しても“敗者復活戦”に参加させてもらえる向きがある

山口周氏(以下、山口):あともう1つ、先ほどの“ほにゃらら屋の人がネット事業をやる”というのと、“ネット屋の人がほにゃらら事業に出ていく”というところで思ったのが、ほにゃらら屋の人たちが新規事業をやる時って、基本的に絶対成功させるという前提。もちろんネット屋の人たちもそう思っていると思うんですけど、失敗が許容される度合いが全然違う気がするんです。

ほにゃらら屋の人たちって、基本的に新規事業の担当をやって失敗すると2度と浮上できないという世界で生きています。そこも、ものすごく足を引っ張っている気がするんです。

一方のネット屋、例えばアメリカのAmazonも、上場を数えたら、彼らのニューエンタープライズ、新しいビジネス、新規事業の数は、だいたい80ぐらいアナウンスしてます。でも今続いているのはだいたい3分の1なので、3分の2は失敗してるんですよね。

スマートフォンも一時作っていました。たくさん出してたくさん失敗して。たとえ失敗したとしても、その担当者の人たちがちゃんと敗者復活戦で生き残っていけるのを横から見ていて、これがいわゆるほにゃらら屋とネット屋の大きな違いだなと思っています。

そこって、一方で新しいものをやるとなると、リアルも絡むんだと。どんどんインベストメントもデカくなってくるじゃないですか。ここから先、そこらへんってけっこう難しさが出てくるんじゃないかと思ってるんです。お考えとかありますか?

失敗への恐怖心に打ち勝つには「組織文化をどう作るか」がカギ

守安功氏(以下、守安):さっきのAmazonさんの話を聞いて、やっぱりすごいなと思ったのが、みなさん3割バッターなんです。

山口:なるほど。

守安:3割成功というのは相当打率が高いんですが、昔は3割ぐらいいっていたのが、今は全然いかない。(現場で)やっている人には「絶対成功する」と思ってもらわないと困るんですけれども、経営的には出したものの中で3割がちゃんとうまくいけばいいな、ぐらいの感覚ではあります。

あとは、産業のさっきのほにゃらら屋というところで言うと、会社によっても違うんでしょうけれども、人事制度がほぼ終身雇用みたいなのも大きい気がしますね。

山口:基本的には大きな差が付きにくいので、逆に大バツの付いた人を降ろすというシステムになっていることが多いです。今は若干変わってきていますけどね。

川邊健太郎氏(以下、川邊):組織文化に対してのところが大きいので、ネット屋であろうがほにゃらら屋であろうが、「組織文化をどう作るか」でこの問題は解決できるんじゃないかなと。大赤字の事業をUSENから買って、GYAO!の社長に僕が就任した時に「大赤字なのでこれ以上失敗はできない」という中、社内で失敗を恐れるということがありましたね。

僕が始めたのは「今週のフルスイング賞」といって、豪快に三振をした人を表彰したんです。長嶋茂雄のフルスイング銅像、三振でフルスイングして転んでヘルメットが落ちている長嶋茂雄の銅像をあげました。

山口:いいですね。

川邊:ネット屋でも状況によっては失敗を恐れるようになるので、「変える」と。

(会場笑)

「外せない」というプレッシャー下でどこまで失敗を許容できるか

舛田淳氏(以下、舛田):当社で言うと、プロジェクトをたくさんやるんです。ネット界の中でも、ものすごい手数を打っている会社なんですよね。それってまさに、「成功するかどうか」はやってみなきゃわからないんです。経営側も正解は持っていないので、とくに新しい領域に関しては、まず出してみないとわからないんじゃないかということにあります。

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